« [書評]人生は負けたほうが勝っている(山﨑武也) | トップページ | [書評]なぜ若者は「半径1m以内」で生活したがるのか?(岸本裕紀子) »

2007.11.21

豪州ハワード時代の終わり

 24日に予定されているオーストラリアの総選挙だが、オーストラリアン紙による世論調査では、現ハワード首相率いる保守連立政権の支持率は46%に対し、ラッド党首率いる労働党は54%とのこと。もう少し僅差に見ている世論調査もあるが、労働党の優勢は崩れそうにない。つまり政権交代が実現し、ハワード時代が終わることになる。
 ハワード時代の終わりは、なんとなく朝日新聞が浮き立っているようにも思えるが、20日付け記事”豪総選挙、与党が劣勢 敗北ならイラク撤兵も”(参照)の表題のようになる可能性は高い。もっとも記事には書かれていないがラッド党首の主張はあくまで段階的な撤退である。


ブッシュ米大統領の「最後の盟友」となった首相が退陣すれば、豪州のイラク派兵や地球温暖化対策も見直しを迫られる。

 同記事は朝日新聞的にありがちな偏向がないのは、それが選挙の争点ではないことも特記している点だ。

 1500人規模を派兵するイラク問題をめぐり、かつての盟友に背を向けられた形だが、主な争点はむしろ減税や雇用法制など内政問題だ。
 ハワード首相は総選挙実施を発表した翌10月15日、総額340億豪ドル(約3兆5600億円)の大規模減税を発表、支持率浮上を狙った。首相は「労働党が政権を取れば今の好況は終わる」と危機感をあおる。

 イラクの内政は落ち着きを取り戻しつつあり、また米軍が強化されている現状、米軍の百分の一規模のオーストラリア軍の重要性は低くなっている。余談めくが、オーストラリア軍も日本の自衛隊派兵と同様に死傷者を出していない。
 経済面での保守陣営の政策もそれほど受けてはいないようだ。同記事では、むしろラッド党首に焦点を当てている。

 その追い風を受けるのが、労働党のケビン・ラッド党首(50)。「豪州には若く、新しい指導者が必要」と訴える。

 もっともネットではちょっと違った見解もあるにはあったようだ。ラッド労働党党首の顔を知るのにもいいかもしれないが、ちょっとお下品な映像というか、別段盗撮されたわけでもないからいいのだろう。ラッド党首が自分の耳垢食っているの映像が話題になった。”Kevin Rudd picks his ear and eats it - the worms verdict”(参照)だ。この映像、野党党首になる03年以前のものらしく選挙に備えていたのだろう。
 ということでラッド労働党党首の人柄がわかったかというと、重要なのは彼が中国通という点だ。普通語がしゃべれる。先月30日付けAFP”オーストラリア総選挙は中国が争点、親中派のラッド党首が優勢に”(参照)より。

ラッド党首は1980年代、北京に外交官として滞在した経歴を持つが、89年の天安門事件以前に帰国している。中国語が堪能で、胡錦濤(Hu Jintao)国家主席の9月初頭の公式訪問時には、その達者な中国語で胡主席を魅了した。


演説の中でラッド氏は「妻もわたしも、中国には特別な愛着を抱いている。中国の国民も文化も大好きだ」と述べた。また、2人の息子が中国語を習っていたことや、娘が今年、オーストラリア国内の中国系男性と結婚したことも明かした。

 それを言うならプーチンの娘さんは日本語を学んでいるが、与太話はさておき。中国系移民の影響は今回の選挙に大きくなりそうだ。というのも、同記事にもあるように、ハワード首相の地元ベネロング選挙区は中国系移民が17%も占め、これがらラッド労働党首に大きく傾けばハワード首相自身の議席すら失う可能性がある。
 さて、ラッド首相が実現してどうなるか。対外的に直接的な変化があるわけではない。イラク撤退は穏和な段階的なものになるだろうし、日米豪三カ国戦略対話も継続される。日本への外交面ではというと案外調査捕鯨が以前より風当たりが強くなりそうな感じもする。彼は以前、軍艦を使ってでも調査捕鯨を阻止すると言っていた。

|

« [書評]人生は負けたほうが勝っている(山﨑武也) | トップページ | [書評]なぜ若者は「半径1m以内」で生活したがるのか?(岸本裕紀子) »

「時事」カテゴリの記事

コメント

調査捕鯨と豪労働党については、自分のブログでもちょっと取り上げてみました。どうも構図が慰安婦問題に似てるような気がするんですが。
http://d.hatena.ne.jp/Baatarism/20071120

ラッド労働党首の軍隊派遣発言については、日本でも報道されてますね。さすがに政権を取ったら引っ込めるのか、それとも盧武鉉みたいに突っ走るのか、どっちなんでしょうね?
http://mainichi.jp/select/world/news/20071116ddm041030150000c.html
http://www.j-cast.com/2007/11/19013528.html

投稿: Baatarism | 2007.11.22 12:28

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 豪州ハワード時代の終わり:

« [書評]人生は負けたほうが勝っている(山﨑武也) | トップページ | [書評]なぜ若者は「半径1m以内」で生活したがるのか?(岸本裕紀子) »