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2007.10.25

イラクのテロ件数が減少しているらしいのだが知ってた?

 イラク情勢についてちょっと気になることがあるので簡単にメモしておきたい。気になるなというくらいで特に深い意味はないので、そこんとこ、よろしく。
 どう切り出すかも少しためらう。あまりいいソースではないのだけど、切り出しが面白いのでNews-Leader.comの”'No news' in Iraq bad news?”(参照)を借りてみよう。


Last week, ABC's Charles Gibson introduced a segment about Iraq on "World News Tonight" with this curious remark: "The news is (pause for effect) that there is no news. The police told us today that, to their knowledge, there were no major acts of violence. Attacks are down in Baghdad and today no bombings or roadside explosions were reported."

先週、ABCのチャールズ・ギブソンは、ちょっと変わった言い回しで、「今晩の世界ニュース」のイラク部分を切り出した。いわく、「ニュースは、(間を取って)、ニュースがないということです。今日の警察によると、知られている限り、主要な暴力行為はありませんでした。バグダッドの攻撃は減少し、今日は爆弾も道脇での爆発も報告されていません。」


 米国の場合、軍人など米人が実際にイラクの軍事活動に関わっていて、イラクのテロ活動は身近に関わることなので、ニュースではかならずイラクを報道する枠があるのだろうが、その日は平穏だったようだ。
 さて、この平穏さはどうもこのところの傾向らしい。
 日本でもこのところイラクのテロ活動のニュースをほとんど聞かない。試しに、現時点でグーグル・ニュースで「イラク テロ」で検索しても、具体的なテロ事件はリストされない。「イラク」だけで検索しなおして、なにかテロ事件はあるかと眺めてみたが、ない。まったくニュースがないとは言わないが、目立ったテロ事件はイラクで発生していないかのように見える。
 もっとも、まったくなくなったわけでもないだろうし、私のニュースの読み違いかえもしれない。それでも、テロ事件は明白に減少しているのではないだろうか。そして、そのことは、どうやら日本ではほとんど報道されていないのではないだろうか。
 もし、そうだとしたら、それはなぜなのだろうか。
 関連して、ニューズウィーク(10・31)Periscopeに”イラク テロ件数減少を喜べない理由”という興味深い記事があった。

 米政権にとっては、待ちに待った朗報かもしれない。最新の米政府統計によれば、イラクにおける各種の攻撃件数が05年以前のレベルに減ったという。


 本誌が入手した未発表の軍事統計によると、9月中旬の1週間に発生した攻撃件数は約900件。6月の約1700件から大幅に減少している。

 イラクにおけるテロ事件は確実に減少していると見てよさそうだ。そして、最近のイラクからの各国の軍の撤退動向も考えてみればそれに見合っていそうだ。
 なぜテロは減少しているのか。普通に考えれば、米軍増派によるテロ対策が功を奏したということだろう。ブッシュもそれを強調しているのだが、メディアを通して伝わった情報からなかなかそういう印象は持ちがたいのではないのだろうか。
 ここでふと22日付の朝日新聞社説”パキスタン 「対テロ戦」が招いた混迷”(参照)を思い出して読み返してみた。この社説の趣旨は表題からもわかるように、パキスタンの混迷は米軍による対テロ戦争が引き起こしたというものだ。
 対テロ戦争において、アフガニスタンでの戦闘では国連での合意のもとに欧州も参加している。なので、以下の朝日新聞の主張は「米軍などによる」というのは国連と言い換えてもそれほどハズしていない。小沢民主党ですら、手順は踏まえるにせよ、この軍事活動に日本も参加すべきだと主張している。

 アフガンでは米軍などによる軍事作戦で住民被害が広がり、逆にタリバーンが勢いを盛り返す一因にもなっている。パキスタンでも、それに呼応してイスラム原理主義や反米感情が強まっている。
 「テロとの戦い」といいながら、ひたすら武力で相手を根絶やしにするかのような作戦は、地域を不安定化させるばかりではないか。

 端的に言えば、朝日新聞の主張がめちゃくちゃなだけで無視していいのだが、ふと思い出した理由は、なんとなく、後段でイラクが暗示されているような印象をもっていたからだ。そうした点で読み返すと、この社説、テロ戦争が混迷を深めているかのように主張していながら、イラクにまったく言及していないという高度な文章技術の上に成り立っていたことに気が付いた。
 朝日新聞が間違った報道しているわけではない。なのに、こうしたメディアから受けるある種の催眠術のような印象はいったい何に由来しているのだろうか。

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「時事」カテゴリの記事

コメント

お久しぶりです。
ニュースが無いのがニュースの件、
NHK-BSで放送している「今日の世界」でやっていました。

投稿: haha | 2007.10.26 13:41

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» デメリットは報道するけど、メリットは報道しないよ [脳内新聞(ソース版)]
イラクのテロ件数が減少しているらしいのだが知ってた?(極東ブログ) 日本の参院選報道などと同じ構造ですね。 明確に嘘を言うわけではないけど、事実を全て報道しないで、情報を偏向させていくわけで。 ... [続きを読む]

受信: 2007.10.26 07:48

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受信: 2007.10.31 13:34

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