« アフガニスタンのケシ生産と貧困の関係は薄い | トップページ | この夏の私的ビールランキング »

2007.09.04

遠藤武彦農水相の辞任についてぼんやりと

 安倍内閣にはあまり関心がないのだが、遠藤武彦農水相の辞任については、率直なところ呆れた。国のお金を盗み取るなんて許せないとかで呆れた、わけではなくて、へぇ、こんなことで大臣が辞任させられるのかということで呆れた、というか、大臣を辞任に追い込んだ権力の主体はいったい誰なんだよ、マスコミ様?
 もちろん、理屈はいかようにもマスコミ様が正しいのであって正しいのであって正しいのであって、ブログで擁護論なんか書こうものならとんでもないことになるくらいは、わかる。それに別に何かと天の邪鬼な意見を書きたいわけでもない。
 ただ遠藤武彦元農水相も内心を察するに、ポカーンという感じなのではないか。あまり経緯を知っているわけではないが、彼は農水相をやりたかったわけでもないのでは、というか、やりたくないなとかいうつぶやきをどっかで見たっけ、とネットを探るとスポニチ「遠藤農相“農水だけは本当に嫌だった”」(参照)にあった。


 所属する山崎派の会合に出席した遠藤氏は大臣就任を祝う拍手の中で「農水だけは嫌だった。本当に嫌だった。ここだけは行きたくないと思っていた」とうつむいた。午後5時ごろには引き継ぎの書類を渡されると、「書類以上に重たい気持ちです」と、ひきつった笑みを浮かべた。27日の就任会見でも「一番最後まで残ったポストを振られたわけだから、実は参ったなと思った」と話していた。

 もっとも嫌だった理由は、今回の不正受給がばれそうで、ということではなくて、記事にもあるように、こっちだろう。

 政治評論家・浅川博忠氏は「WTOの結果で農業関係者の票を減らすことを恐れてみんな断ったのだろう。遠藤氏も選挙区は山形なので、本来ならやりたくないポストだったのでは」と指摘した。

 遠藤武彦元農水相は農政の識者でもあるので、好意的に見れば、泥を被る気概もあっただろうが、こういう泥を被ることになろうとは。
 誰が悪い。もちろん、遠藤武彦元農水相である。決まっていることを問うな、朝日新聞の社説でも読んでおけだ。読売新聞社説はというと、3日付”農相辞任 衆参ねじれが迫った早期決着”(参照)は微妙なトーンも出していた。

問題の組合の補助金不正受給については、遠藤農相本人は無論、農水省も、会計検査院も山形県も承知していた。安倍首相は、農相起用に当たって、なぜ把握出来なかったのか。安倍首相の任命責任を問われても仕方あるまい。

 ということで、安倍首相もな、というところに落ち着かせた。私は実を言うとそこが一番ひっかかっていた。この話は後で触れる。
 遠藤武彦元農水相内心ポカーン推測に話を戻すと、2日付けFujiSankei Business i.”農水相は辞任せず 共済組合掛け金不正受給問題で ”(参照)をそのまま受け取ると、遠藤武彦元農水相はこの事態をよくわかってなかったようにも思える。

同相は不正受給を認めた上で、「大変な不祥事で申し訳ない。全体責任は組合長にある」と述べた。ただ、「実務には全然タッチしていない」とし、不正受給に関する自身の関与は否定。

 責任上はそういうことだが、不正受給を采配していたわけでもなく、ざっくばらんに言えば名前貸しのようなものだったのだろう。もちろん、くどいけど、それが責任ということではあるが。そして。

 不正受給について、農水相は「3年以上前に当時の担当課長2人から報告を受け、そんなことまでして実績を伸ばすことはないと叱責(しっせき)した」と述べた。
 ただ、当時は会計検査院から問題を指摘されたが、「(不正受給分の)返還の指示はなかった」と明言した。

 これも事実なのではないか。つまり、要点は不正受給よりも、「実績」にあったのだろうし、そうした「実績」のフライングについてはそれなりの手順があったのではないか。たぶん今回のケース以外にもあると思うが、調べれば。
 また1日付け読売新聞”遠藤農相「組合長だけは辞任」 補助金不正受給で会見”より。

 農相が3年以上前から不正受給の事実を知りながら、未返還である点に質問が集中すると、農相は「返さなくてもいいとは思っていない」と答えたが、「県と相談しなさいと、職員には指示した」などと口調を強める場面もあった。

 通常はこの手のトラブルは、組合と県の実務レベルで決まることなのではないのか、ということで、遠藤武彦元農水相は当初、「辞任というのは、兼業兼職についてで、大臣を含めてと取られては困る」とつっぱねていたのだろう。
 自分を遠藤武彦元農水相の位置に置いてみてと、何かできただろうかと自問して、まあ空しい、あははは、悪いのは、オレとか呟くくらいか。
 この話については、あと、この問題どっから誰がひっぱり出したのか気になってざっくり調べてみたのだが皆目わからん。わからなくてもいいか。なんかその手の、これは使える悪魔の手帳みたいものがどっかにあるのではないか。どっかのブログとかどっかの日記とかによく載るアレとか。
 話を「この話は後で触れる」に戻すと、つまり、大臣の任命は首相一人ということでだから責任も首相一人ということで、要するに悪いのは安倍ちゃん、決まり、と、それはそうなのだが、どうもそのあたり、なんともひっかかりがあった。むしろ、遠藤武彦元農水相より、その仕組みが気掛かりでもあった。
 実はこのしょうもないエントリを書こうかと思ったのは、今朝のNHKラジオで平野次郎学習院女子大学特別専任教授の「誰が石を投げるのか」という、話を聞いたからだ。話はある意味でぶほぶぼのほのめかしみたいなもので、米国の最高裁長官を巡る歴史の話だが、米国政府の要職決定には上院が認可に関わるということがたらたらと続くのだが、あえて意図をとれば、大臣などの任命には上院のような立法府に近いところでの認可の仕組みがあってよいだろう、民主主義というのは手続きなのだから、ということがあり、さらに、そのような仕組みがあれば、マスコミのバッシングで大臣の首がそのまま飛んでしまうということはないだろう、という含みがあった。
 つまりだ、私もそう思う。
 今の世論やマスコミの空気を読めば、遠藤武彦元農水相が悪いに決まっている決まっている決まっている、辞めさせて当然、というものだろうが、大臣の首を飛ばすというのはある種の権力の露出であり、こうした権力にいろいろと歯止めをかけるのが民主主義の手続きの特性であるべきなのではないのか。もし、日本に大臣を上院で認可するみたいな制度があれば大臣は簡単に首は飛ばない。認可の責任というバッファができるし、そこで誰がその権力を持っているかが可視になる。

|

« アフガニスタンのケシ生産と貧困の関係は薄い | トップページ | この夏の私的ビールランキング »

「時事」カテゴリの記事

コメント

初めまして、カラと申します。いつも興味深く拝見しております。
この辞任劇については、何だかなぁ、と思う反面、ああ、やっぱり起こったか、という気持ちもありますね。どこかで誰かのが発覚するだろうな、そうなったら辞任するだろうな、というか、この手の悪事(と呼ぶべきなのでしょう、たぶん)に関わってないお偉方ってどれくらいいるのでしょうか。
何となく、次は誰の番だろう、とも思います。で、そういう風に世論が動いて大臣が入れ替わっていくのって、確かに目に見えない大きな権力、マスコミと言ってもいいのだけれど、彼ら自身にも操縦し切れない、透明な怪物のようなものが存在していると感じます。集団ヒステリーにも見える。でも、実際は誰がヒスってるの? みたいな。個人的には、多少の不正なんてどうでもいいから、まともに仕事してくれ、と言いたいところなんですけどね。

投稿: カラ | 2007.09.04 17:51

結局、何でもいいから言いがかりをつけて、大臣を辞めさせるのが空気になってるんでしょう。
日本は空気が支配していると喝破したのは山本七平でした。

投稿: MD3 | 2007.09.04 18:02

米映画「ザ・コンテンダー」が副大統領任命の経緯を詳しく描いています。
副大統領の急死で、大統領が女性上院議員を後任に任命しようとするが…という設定で、下院の司法委員会が開く聴聞会を経て、議会の承認をいかに得るかの攻防が興味深い映画でした。

アメリカ式の閣僚の任命制度は、議会・マスコミ対策では日本以上に難しいような印象も。
現実に主要閣僚人事が、マスコミのバッシングや議会の抵抗でなかなか決まらない事態というのは、アメリカは民主主義のコストとしてやっていけてるのだろうけれど、日本向きではないような…

投稿: 倫敦橋 | 2007.09.04 18:16

どっかの党が大臣のイスをもう一つ欲しがってるんじゃないですかね?
次は下半身問題の予感がしますw

投稿: 通りすがり | 2007.09.04 18:16

憲法上、内閣総理大臣の権限は68条と72条にしか規定されておらず、72条はあまり有意な条文ではないので、総理大臣が権力を発動できるのは72条の国務大臣の任免権しかないわけです。
で、実際日本政治の現実において、総理大臣が権力を揮えるのはまさにこの任免権が背景にあるわけで、大臣の任命に議会の承認を要求すると・・・う~ん・・・みたいなことになりそうです。
いずれにしろ憲法改正が必要になるわけで、そしたらそしたでいろいろ考えないことが増えますねって話です。

あと、議会の承認があってもマスコミはマスコミだと思います。

投稿: D | 2007.09.04 21:04

首相に任命責任があるのなら、候補者の公認責任というものもあると思うのだが、議員の不祥事で党首や幹事長といった人々は辞任しませんね。

投稿: K | 2007.09.04 21:18

あの恐怖政治の代名詞であるロべスピエールだって
ダントン派を絞首刑にする時には、
儀礼的にせよ国民公会の支持が必要だったのに…w

投稿: ういうい | 2007.09.04 21:51

マスコミは知っていたのに総理が知らなかったなんて...
傍目に総理は孤立しているように見えるのですが、今回の
件は、単に相談する相手がいなかっただけなのではないか
なぁ...なんて思いました。そうしたことに気づける事情
通がいないのか、と。

投稿: ななし | 2007.09.04 22:41

なるほど!
その含みを読み解いたその話が、とても面白いです。
たしかに大衆に迎合するマスコミは、大衆が決めた大臣の首をパッシングしにくくなるんでしょうねー。

投稿: あぶく | 2007.09.05 09:11

 一円の金にビクビクする大臣や代議士なんて、見たくもありません。
 私の方も極論なのですが、一国の首相や大臣は「身綺麗だけど力がない人」よりも、「何やら悪そうだけれども力を持ち、国民に幸せを与えられる人」のほうを私個人としては望みます。(右例に見せられる程度の腹芸は持っていて欲しいですが)
 少なくともこのところの一連の話は、特定の大臣をやり玉に挙げる話ではなく、国会議員全体の話でしかありません。
 マスコミも、もっと大事な話がいくらでもあるように思うのですが...。

投稿: 山本大成 | 2007.09.05 09:45

農業団体の自民党への恨み+安倍首相を困らせて有頂天になってるマスコミ+過剰CM垂れ流し民主党のスポンサー食害大国ってとこだろうと思うのですがこの手のリークは一度しか使えないし民主党が政権とっても変わらないので農業団体のやけっぱちにしかみえない。
安倍首相の美しい日本>中国にも米国にも頼らないで自立していく日本>正統派なんだが今の段階では無理>クリントンにまで献金してる中国が日本の誰かを支援して無いわけないだろ
首相は真面目杉。修行が足らんと同い年の私は思うんで。

投稿: yokunaiwai | 2007.09.05 10:46

マスコミは読者がついて儲かればヨイヨイと。あとは自己満足で力を誇示したいと。だから屁垂れは安倍さん本人です。信念を持って閣僚を支持すべきでしょう。自分の首ばかり撫でてるから下の者の首はほいほいと切るのです。麻生と与謝野の操り人形じゃナインでしょ。しかし大政治家に細かい金の話は似合わないとかいう甘やかしが、倫理観まで洗い流してしまった観は否めませんね。

投稿: たまたま | 2007.09.05 18:20

今回の件はマスコミなんて関係ないですよ、参院で与党の民主党が問責決議を出すと言ったのでその前にクビを斬っただけ。
マスコミのバッシングと違って、法律に定められた国会の多数政党の問責決議は拘束力がありますからね。
逆に言えば民主党が参院で与党にならなければこの程度でエンタケさんが首を斬られることもありませんでした。

衆愚選挙って怖いですね。

投稿: | 2007.09.06 04:21

ベンジャミン・フルフォードがそのブログで、「農水大臣が3人も続けて、自殺や、疑惑でもって辞任するという前代見聞の出来事がありました。その裏には大きな利権争いがある。… いずれにしても、ただ偶然の3人の辞任はありえなく、… 」と書いています
http://benjaminfulford.typepad.com/benjaminfulford/2007/09/post-2.html

「なんかその手の、これは使える悪魔の手帳みたいものがどっかにあるのではないか」ということになると、上のような話にもつながっていくのでしょうか。今日、たまたま自分のブログで、【《闇の支配者仮説》はどのようにして真実に近づくのか … ここで展開された「仮説」が、信憑性を増すのかどうか見守りたいと思います/ベンジャミン・フルフォード『暴かれた〈闇の支配者〉の正体]』書評】というのを書きました。なんだか不可解なことが多くて、いろいろな「仮説」を頭の片隅に留めつつ、どう考えたら腑に落ちるのかを考えていくしかないと思っています。トラックバックを送らせていただきます。

投稿: SeaMount | 2007.09.06 05:17

まともに仕事をしない議員と公務員にもの申す。神戸、大阪市は様々な改革を進めているのでまだまとも。京都市の腐敗ぶりはもっと根が深い。醍醐東市営住宅は一応立て前は公開抽選に当選しないと入居できない事になっているが老朽化したコンクリートブロック住宅を建て替える際先ず醍醐中市営住宅を5棟を新築しそこに全世帯入居させた。そこで終わらず、その少し上の丘陵地に醍醐東市営住宅を20棟新築した。その醍醐東市営住宅に一旦中市営住宅に入居して1年半程度しか住んでいない世帯を数件再入居させるという裏技を使った。引越しの度にかかる引越し費用は全て京都市の公費つまり税金である。その東市営住宅には京都市の元正職員や現職員家族関係者が現在も住む。名義は無職の職員家族になっているが元職員の老夫婦もいる。団地の約半分の世帯がペットを飼育。偽装の精神疾患や障害者が殆どその人間達に共益費や駐車場代金を集金させそのうちの4割程度を助成金等と称して一部の人間達に手渡していた。表向きは団地住民の為に使うという事になってはいるが領収書等の報告義務はないので一部の人間にわたる。これら政務活動費を偽宗教法人に垂れ流した市議が庇護する地域での出来事。他にも生活保護を受給し続けベンツ2台所有し山科区に家を建て古い家財道具を公費で処分させた女。深夜に床を鈍器のようなもので殴り続け階下女性宅へ騒音を出す女、偽装障害者は出かける時だけ車椅子に乗り普段は共用廊下に置きっぱなし、犬の予防接種も無料、偽装残留孤児の女は20年以上生活保護を受給し車を所有し週末になると男が出入りし男の黒の大型車は団地の駐車場の来客用スペースにに堂々と止めている。そしてシラをきれるようあらゆる不正不法行為は閉庁後に行われている。それらを黙認しているのはそれらを取り締まるべき筈の市職員も地区出身者が殆どで指定職と呼ばれる係長以上の職員もこの地区出身者が突出している。

投稿: 偽装残留孤児・障害者・帰化人・結婚・離婚を疑え | 2016.11.05 00:12

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 遠藤武彦農水相の辞任についてぼんやりと:

» 遠藤氏が辞任、安部内閣解散(≧▽≦) [OLに憧れる女子高生ミホの日記(≧▽≦)]
農水相の遠藤さんが辞任会見。内閣改造スタートしたばっかでこれだとねぇ~。安部さんの「自分の責任」の取り方は間違ってると思う。 何か失敗をする→周りがチャンスをくれる→自分の責任なのでがんばる!! ならいいけど、 何か失敗をする→選挙大敗→周りは求めてない...... [続きを読む]

受信: 2007.09.04 18:02

» 遠藤農水相、坂本外務政務官辞任 [歌は世につれ世は歌につれ・・・みたいな。]
しかしまあ、もうどうしようもありませんなあ。。。 ***♪内閣くずれ♪ ひとりで任命なんて できないと 泣いてすがれば辞職が 辞職がせまる カネと政治の問題ばかり ダメよもう 民もキレます 安倍 内閣くずれ ひとりやふたりじゃないの 更迭は うわべばかりの身体 身体検査 そんなポストでいいならあげる 誰もかも 辞めてください 安倍 内閣くずれ しあわせ それとも今は ふしあわせ だってあなたは不始末 不始末ばかり 言葉足りないあなたが悪い あの人に 後を託して ... [続きを読む]

受信: 2007.09.04 22:55

» [書評][科学][陰謀仮説]《闇の支配者仮説》はどのようにして真実に近づくのか [SeaMountの雑記と書庫]
仮説を検証するということは、なかなか困難なことです。一方、その仮説にもよるのですが、否定することは簡単な場合があります。このことを科学論では、「検証と反証の非対称性」といいます。“ウィキペディア”(ここ)から引用すると(一部改変)、それは、[「検証」には... [続きを読む]

受信: 2007.09.06 05:11

« アフガニスタンのケシ生産と貧困の関係は薄い | トップページ | この夏の私的ビールランキング »