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2007.08.13

また失われる10年かな

 これを書くかどうか悩んだが軽く少しだけ書いておこう。日本の政局とアジア情勢の見取り図みたいなことだ。今週のニューズウィーク(8・15/22)の記事”蘇る「失われた10年」の悪夢”が面白かったのでそれを引くことになる。オリジナルの"A Symbolic Whipping"の含みがわかりづらいが。
 要点は二つある。一つは、中国経済バブルの崩壊に日本がどう備えるかということに関連してだ。参院選で大敗し安倍首相が退任するかという文脈で。


 この局面で日本の首相が交代すれば、アジア諸国に及ぶ影響は大きい。日本の景気回復は、アジアとくに東南アジアの成長と投資の原動力になっている。中国経済のバブルが崩壊するときには(時間の問題だろう)、日本経済が堅調かどうかで、アジア経済のこうむる打撃の大きさが変わってくるだろう。

 筆者ジョージ・ウェアフリッツは随分踏み込んで書いていると私は思う。つまり、中国経済バブルの崩壊は時間の問題だという点だ。そうなのだろう。この含みは大きい。彼は中国はバブルの本人だからということか、とりあず東南アジアのほうに視点を置いているが、言うまでもなく中国の打撃のほうが大きい。そして、端的な話、その打撃を緩和するのは日本の堅調な経済力なのだ。
 でだ、そのことを中国がどのくらい理解しているかというのが問題なのだ。もっとベタにいうと上海と北京の権力闘争がどのくらい中国未来の経済破局を取り込んでいるか。概ねの見方としては、権力闘争は北京の勝ちで決まりだろうが、「極東ブログ: 胡錦涛政権の最大の支援者は小泉元総理だったかもね」(参照)でふれたこの秋の第17回党大会へ向けた追い込みがどうなるのか。ちょっとブレがありそうに思える。なぜか。
 ここでぐっと日本の復興にむけて対日情報操作のグリップをもう変えないといけないはずなのだが、どうもしこたま打たれている操作っぽい感じの情報はそうではない。せいぜいコシヒカリが中国で売れまくってよるなやっぱりというくらいのものだ。というあたりを見ると、意外に胡錦濤が苦戦している部分は多いのだろうし、たぶん、すでに権力闘争の実働部隊はポスト胡錦濤時代に向かっているのだろう。というあたりで、上海閥とかそのあたりで衰えてもいないのだろう。中国はもうちょっと中国国民全体の福利を考えて、べたでもいいから日本協調をすればいいのではないかと思うが、そうもいかないのだろう。
 もう一つはこれもウェアフリッツが随分踏み込んで書いたなと関心するが、中国の脅威にアジアがさらされていること。

 日本は外交面でも、北朝鮮問題などで、中国とインドと並ぶアジアの大国として振る舞いはじめている。軍事面では、安倍政権のもと、いわゆる「普通の国」への移行を進めてきた。中国と韓国は警戒心をつのらせているが、中国が覇権志向に走ることに恐れる他のアジア諸国は、この動きをひそかに歓迎している。つまり、安倍政権の行方は、近隣諸国にとっても大きな意味をもつのだ。

 このあたり、普通に世界を見渡せば当たり前なのだが、どうもブログですら言いづらい空気になってきた。
 軍事面ではいろいろうざったいので話を割愛するが、問題は日本の経済成長であり、いずれ中国経済が崩壊したときさまざまな形で日本が応答しないといけないはめになるのだが、どうもそういうふうな構えはできていないようだ。
 結論は、ウェアフリッツに同意するしかなさそうだ。どたばたしてもボロボロのまま安倍続投となるということ。

 これこそが最悪のシナリオだ。内閣と首相官邸の権威が弱まり。小泉政権が進めた「脱派閥」化に事実上終止符が打たれかねない。そうなれば、派閥の力学で政権がころころ変わり、首相が強力なリーダーシップを発揮できなかった90年代に逆戻りしかねない。


 近隣諸国は、日本の緩やかな再軍備化や「普通の国」への移行を恐れるより、このことを心配すべきだ。日本経済が瀕死の状態に陥るほど、アジアの平和と安定、繁栄にとって深刻なリスクはない。

 たぶん、中国にとっても。

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コメント

いくら何でも前後の文脈を作為的に省略してませんか?
これを読む限り、まるで中国に利するのは民主党の勝ちのせいみたいです。
元記事はむしろ逆で、自民党が政権にしがみつくのを悲観しています。

>これこそが最悪のシナリオだ。内閣と首相官邸の権威が弱まり。小泉政権が進めた「脱派閥」化に事実上終止符が打たれかねない。

は正しくは、

要するに、民主党は自民党とさほど変わらない。自民党と違うのは、政権を担った経験が無いこと、政権与党にふさわしい党内のまとまりが無い事だけだ。
この先、安倍や閣僚がよほど重大な失態を犯さないかぎり、次の衆院選で日本の有権者が自民党を政権の座から追い出すとは考えにくい。しかし、安倍が大勝するとも思えない。結局は、ボロボロになりながらも現在の与党が政権を維持し続けることになりそうだ。
これこそが最悪のシナリオだ。内閣と首相官邸の権威が弱まり。小泉政権が進めた「脱派閥」化に事実上終止符が打たれかねない。そうなれば、派閥の力学で政権がころころ変わり、首相が強力なリーダーシップを発揮できなかった90年代に逆戻りしかねない。

ですし

投稿: | 2007.08.13 17:20

> これを読む限り、まるで中国に利するのは民主党の勝ちのせいみたいです。
> 元記事はむしろ逆で、自民党が政権にしがみつくのを悲観しています。

 自民党が選挙に負けても政権が変わらないのでパワー不足で最悪のシナリオとなったという意味合いなので、民主党の勝ちが中国を利したとだけ読むほうが問題に感じます。

投稿: 切込隊長 | 2007.08.13 19:07

>自民党が政権にしがみつくのを悲観しています

ここは微妙ですね。全体としては日本ではあまり紹介されない、しかし欧米の識者には確実に存在する、小泉路線支持・その継承者安倍敗北悲観論の系譜にある記事かと。あえて言えば自民党が勝ても負けもできない状態を悲観してるんでしょうが、これはあたりまえでしょう。この記事の文脈で言ったら今の民主党は戦後自民党の中の派閥のひとつですから。

投稿: | 2007.08.14 03:35

↑つまりたとえ政権交代が起こっても民主党の大勝はないだろうし、政策も自民と大して変わらず、すぐにまた政権交代して、結局全体としてみれば、民主党という新しい派閥を加えて「派閥の力学で政権がころころ変わり、首相が強力なリーダーシップを発揮できない」という状態になるだろうという意味です。そう言えば90年代にもちょっと似たような展開はありましたが。

投稿: | 2007.08.14 03:42

ニューズウィークの論理の進め方って、
うさんくさいと思いませんか。
日本の行政改革が進んで得するのはだれかと言えば、
ニューズウィークの背後にいる人たちでしょう。
脅しというか、不安を煽っているような感じがします。
中国のバブル崩壊はたしかに不安材料ですけど、
中国からロシアにシフトを変えるとか、
イスラム諸国、中央アジア、南米と仲良くするとか、
いろいろとやり方はあるはずですし、
経済人もそれくらはわかっています。
安部政権が倒れたからって、
日本経済がダメになるわけじゃないですし、
要するに行政改革をどんどん進めて、
おれたちにも旨みを分けてくれよ、
そういうメッセージを強く感じました。
今週のニューズウィーク、一番面白かったのは、
韓国人教授のデズニーランド参観記でした。

投稿: オルフォー | 2007.08.16 03:14

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