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2007.08.01

サウジアラビア周りで気になること

 ちょっと陰謀論臭い感じがしてしまうかもしれないが、このところのサウジアラビア周りで気になることを簡単にメモしておきたい。まずこれ、昨日付CNN「米国務長官、中東歴訪前に大型軍事援助を発表」(参照)。話の要点は、ライス米国務長官が中東の親米国に対する大規模軍事援助を行うということだが、メインはサウジアラビア。ポイントはそのカネの動き。


米高官は28日、イランがペルシャ湾岸地域を攻撃する可能性を念頭に、米国がサウジアラビアに対する10年間、総額200億ドル(約2兆4000億円)の大型武器援助を計画していることを認めた。米国はサウジのほか、アラブ首長国連邦やクウェート、カタール、バーレーン、オマーンと、軍事援助に向けて協議中。

 昨年末の「極東ブログ: ポーランドのミサイル防衛メモ」(参照)でも触れたが、イランを使って米国がいい出汁取りまくっているという感じがする。ちなみに、こちらのほうについてはプーチンが、ほいじゃアゼルバイジャンとかに仲良くミサイル基地作ろうとかいうバッチグーな提案をして、米国が沈黙しているらしい。このあたりのニュースが国内報道からはうまくフォローされていないように思えるがどうだろうか。代わりに、米露、英露の関係が悪化みたいな一般論だけが流れている。
 話を端折るが、今回のライス提案は、ようするにシーア派の脅威からスンニ派を守るということであり、穏健な産油国の維持とも言えないこともない。が、もっとベタにサウジアラビアと米国の関係があるのだろう。このところ、サウジアラビア側が米国に対する焦りでスタンドプレー的な動きを出してきており、妙なコーチが付きかねない。
 ついでに日経の同種の記事”米国、中東に大型軍事支援・エジプトとイスラエルに”(参照)より。

米政府はエジプト、サウジアラビアなど親米アラブ諸国とイスラエルへの大規模な軍事援助を実施する。イスラエルとエジプトに10年間で合計430億ドル(約5兆1000億円)の軍備供与を発表。サウジなど湾岸諸国への軍事支援も計画中で今年秋に決定する。イラン周辺国の軍事力を強化し、同国の核開発をけん制する狙い。

 こちらのニュースではサウジアラビアのほうは付け足しふうだ。
 もう一つ気になるのは、25日付のフィナンシャルタイムズ”Perils of petroeuros”(参照)だ。上の米国による軍事支援の文脈で読んでしまうのは陰謀論めくので、とりあえず、こちらはこちらとして読む。

The good news: oil cost $43.60 this June rather than around $70 per barrel as traded in the markets. The bad news: this is not a price for buyers, it is the real price felt by members of the Organisation of the Petroleum Exporting Countries, after adjustment for currency fluctuations and inflation. The dollar is down, which puts downward pressure on Opec’s purchasing power. There is an argument for a switch from denominating oil in dollars to euros or a basket of currencies. However, Opec should be careful about taking that step.
(良いニュースは、市場取引で1バレル70ドル近辺とされている原油だが、むしろこの6月には43.6ドルの価値になること。悪いニュースは、通貨の変動とインフレ後の調整としては、これは買い手側の価格ではなく、石油輸出国機構(OPEC)側の実売価格だということだ。米国ドルが低下し、OPECの購買力をさらに低下に向かわせている。そこで、米ドル建てで原油を握っているのではなく、ユーロにするか通貨バスケット制にするかの議論がある。そうはいっても、OPECはそうした方針転換により警戒的であるべきだ。)

 ちょっとわかりづらいのだが、現状の原油価格高騰は先年の高騰とは異なり、ドル安の影響があり、実際のところ産油国側にしてみると40ドル半ばといったところらしい。
 フィナンシャルタイムズのこの記事はさらに、OPECの輸入の四分の一はユーロによるものでドルは十分の一と続く。ドル安で購買力が低下している。このあたり、もっと有無を言わせず米国から買わせるもはといえば……という連想が働き先の話を想起したのだがどうなのだろうか。陰謀論めいた稚拙な発想だろうか。
 話をフィナンシャルタイムズの趣旨に戻すと、ここでの”Opec should be careful”というのは、ようするにドル建てをユーロに切り替えるようなマネはしないでくれということだ。なぜか。

If more actual oil transactions were switched from dollars to euros it could put further downward pressure on the greenback. That, in turn, would affect the existing dollar assets held by oil-producing states.
(現状以上に交易が米ドルからユーロに転換すれば、さらなるドル下げの圧力になるだろう。それは逆の立場からすると、産油国の既存ドル資産が影響を受けることになるだろう。)

 無理に日本の話にこじつけるつもりはないけど、もしOPEC側がよりユーロへという流れになれば、日本のドル資産も低下するのだろう。

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「経済」カテゴリの記事

コメント

このエントリーのテーマはドルとユーロですが,昨日,Amazon.co.jpからイザヤ・ベンダサンの『中学生でもわかるアラブ史教科書―日本人のための中東世界入門 (NON SELECT)』の案内が届いていたの思い出し,偶然を感じました。

投稿: kazgeo | 2007.08.01 18:42

シーア派の脅威からスンニ派を守る。ですか。オサマくんは、サウジ出身のバリバリシーア派のような気がします。つかまらないんで、イラク→イランとアメリカは、中東の件を選挙までになんとかクローズしようと天才IQライスが動き回るの構図でしょうか。

投稿: とおりすがり | 2007.08.02 12:03

エジプトが北朝鮮に投資したニュースとの関連はどうですか?

投稿: katute | 2007.08.02 12:18

そういえばイラン辺りから円建てで油買う話はどうなったのでしょうかねぇ。

投稿: 黒潮 | 2007.08.02 19:50

あちこちで、同じようなドル暴落を予感させるニュースもしくは陰謀めいたソースが多いんですが、気のせいでしょうか。

投稿: とほりすがり | 2007.08.02 22:00

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