« 東京大気汚染訴訟、雑感 | トップページ | 最近の北のお便り、どんより編 »

2007.07.05

民医連→東京新聞→ロイター(国際)に流れる東京の老人問題

 ちょっと微妙な話題かもしれないのでできるだけ誤解を避けるべき前口上をあげるべきかもしれないのだが、どうもその手の前口上を逆手にとられることが多くなってきたので、それもどうかなとちょっと戸惑う。まあ、なんとなく気になるので書いておこう。
 話は4日付けのロイター記事”Tokyo's isolated elderly risk dying alone -survey”(参照)からだ。


TOKYO, July 4 (Reuters) - Thousands of elderly people who live alone in Tokyo have little social contact and face the prospect of a lonely death, according to a survey by an association of hospitals published this week.
(東京7月4日(ロイター)今週発表されたとある病院協会の調査によると、東京に住む何千人も一人住まいの高齢者に社会的な交流がなく、孤独死の予測に直面している、とのことだ。)

 東京に住む一人として、そして青春の日々からの時の速さを思えば遠からず高齢者の私にも気になるニュースではあるのだが、その前に、「とある病院協会」というのがなんだろと調査団体に関心が移った。これは次のパラグラフでわかる。東京民医連だ。

Tokyo is home to some 2.3 million people over the age of 65, and according to the Tokyo Min-Iren association, more than 30 percent of them live alone and need urgent help, the regional Tokyo Shimbun said on Wednesday.
(水曜日のローカルな東京新聞の報道では、東京には65歳を越えた230万人が住むが、東京民医連によると、その30パーセントが一人住まいであり、緊急の支援を要するとのことだ。)

 というわけで、老人の一人住まいは約70万人ということだ。そのこと自体は、他の国際都市と比べて多いと言えるのかよくわからない。老人には意外と一人で暮らしたい人も少なくないし、それ自体はどうということでもないはずだ。というか、ロイターはいったいどういうつもりでこのニュースを流したのだろうか。ロイターの問題意識はこうらしい。

The survey of almost 2,000 people aged 65 or over in the capital last year found 37 percent had little or no contact with their neighbours and 30 percent almost never went out, except to buy food or visit the doctor.
(昨年首都に済む65歳以上の人2000人を対象とした調査では、その37パーセントが隣人との接触がなく、食品購入などを除けば30パーセントが外出したこともないとのことだ。)

 このあたりから、ちょっと違うような感じがして、どういうサンプリングだったのか、気になりだした。それはちょっと置くとして、ロイターの結語はこうだ。

Japan has the world's highest proportion of elderly to the population as a whole, and many experts have expressed concern about the fate of the urban elderly, who often have fewer social ties than their rural counterparts.
(日本は世界有数の高齢者人口比を抱えている。多くの専門家が指摘したことだが、地方より社会的な絆が薄い都市高齢者の今後に懸念を表明している。)

 いま一つロイターの趣旨がわからない。
 この話題日本ではどうなっているかざっと探すと、ロイターの参照にもあったが東京新聞の記事にある。だが、他紙では見かけないようだ。
 元記事はこれらしい。”東京・独り暮らしの高齢男性 『相談相手なし』4人に1人”(参照)。

近所との付き合いがまったくないか、あいさつ程度という人が四割近くを占め、三割は日常の買い物や通院以外ほとんど外出しない―。東京の高齢者のそんな実態が三日、東京民主医療機関連合会(東京都豊島区)の調査で分かった。独り暮らしの高齢男性の四人に一人は相談相手が「いない」と回答。東京民医連は“孤独死予備軍”にあたるとして「行政と住民の協力による対策が急務」と指摘している。

 ロイターの記事と比べると、トーンがかなり違う印象があるが、全体を比較すると大きな違いがあるわけでもない。気になる調査方法だが、同記事には明記されていた。

 調査は全日本民医連が昨年十、十一月に全国の約二万人を対象に実施した「高齢者医療・介護・生活実態調査」の一環。東京民医連が六十五歳以上の高齢者のうち、医療生協組合員など都内の千九百五十六人から聞き取り調査した。

 つまり、東京での調査対象者は医療生協組合員がベースになっているようだ。よくわからないのだがそれって、この手の統計調査としてどの程度有意味なのだろうか。
 もう少し実態が知りたいので、東京民医連と全日本民医連のサイトを見たのだが該当調査報告はなさそうだ。もしあったらコメントなどで教えていただきたい。追記 全民医連サイトに概要についてはレポートがあった。「高齢者医療・介護・生活実態調査/貧困 孤立/2万人の声が伝えたこと」(参照)。
 ところで元になる全日本民医連、全日本民主医療機関連合会だがウィキペディアの関連項目はこう(参照)。

関連項目
日本共産党 - 全日本民医連内、各地方の民医連内には同党の党員が多い。また加盟医療機関内に党支部(所謂職場支部)や有志後援会が組織されているケースもある。

 共産党と強い関わりはあるとはいえるのだろう。03年の読売新聞記事”「民医連系の病院、共産の集票マシン化」と指摘/自民・西野氏”(2003.2.7)にはこうある。ベタ記事で短いのと事実を記載したものなので全文を引用する。

 自民党の西野陽氏は六日の衆院予算委員会で、民医連(全日本民主医療機関連合会)系の複数の医療機関で起きた医療事故を取り上げ、「本業の検査では手抜きしていながら、あらゆる選挙で共産党を支持し、集票マシン化している」などと指摘した。共産党は西野氏の発言に対し、「医療ミスの問題を特定政党の誹謗(ひぼう)中傷と結びつけるのは卑劣だ」と反発しており、議事録からの削除を求める方針だ。

 たしかにそれは誹謗中傷のようにも思える。
 地域レベルでは共産党と民医連の選挙のつながりは比較的硬いようにも見える。例えば、”鹿児島市長選 「つくる会」の園山氏が無所属で立候補表明=鹿児島”(2004.10.30読売)より。

 十一月二十八日投開票の鹿児島市長選挙で、共産党や民医連など十一団体が作る「市民の市政をつくる会」の常任幹事で農業の園山一則氏(61)が二十九日、同市役所で会見を開き、無所属で立候補すると表明した。

 とま、話は以上で、こういうエントリの書き方をすると、情報の流れ、民医連→東京新聞→ロイター(国際)の背景に共産党がとか誤読されそうだが、別にそういう意図ではない。ので、そんなバッシングはしないでね。そうではなくて、調査の信頼性についてロイターが伝聞記事ということで放棄しているけど、他のジャーナリズム的にはこの問題どうなんでしょというののほうが気になる。なんとなく、シカトなのだろうか。

|

« 東京大気汚染訴訟、雑感 | トップページ | 最近の北のお便り、どんより編 »

「社会」カテゴリの記事

コメント

東京民医連による高齢者調査の記事は今日7・5「毎日」24面にも掲載されています。各地の全日本民医連加盟組織では、昨年から調査を行い、今年春先より、各地方新聞でもその調査結果を掲載しています。
私は民医連が医療・保健に関する調査ならまだしも、このような高齢者の社会背景的調査を行なうこと自体が、医療機関としての目的を逸脱していると思います。高齢者の経済・生活状態の調査を行なうなら、民医連と同じく日本共産党関連団体「社会保障推進協議会」(略社保協)が行なうべきでしょう。民医連調査対象は、東京新聞によると、やはり医療生協組合員だったのですね。(毎日新聞ではその点言及なし。地方紙でも調査対象の言及はなかった)
赤旗では民医連調査を受けて、やはり春頃に都市部老人の実態を連載記事にしていた。記事登場人物のほとんどは若い頃、労働組合や社会団体(たぶん共産党関係団体)の専従やその家族でした。なかには民医連と思われる医療機関に勤めていた高齢者の事例もありました。
 高齢者が孤独で経済的に不安だということが異常に強調された記事でした。VENTさん同様、私も、民医連調査結果が高齢者の実態だとは思えず、違和感を抱きました。。
医療生協組合員が主なサンプリングでは、低収入などの、調査にある程度の傾向が出てきます。共産党貧乏人部隊「全国生活と健康を守る連絡協議会」(全生連)が貧しくて孤独な高齢者を掘り起こして、医療生協に加入させているのですから。

投稿: うみおくれクラブ・ゆみ | 2007.07.05 12:39


>たしかにそれは誹謗中傷のようにも思える。
誹謗中傷ではなく、それは実態ですよ。川崎共同病院安楽死事件でも、学会による病院批判が行なわれたら、病院職員あげて地域でビラ戸配して反論する。普通の病院がここまでやりますか。医療事件の信頼回復は、これからの病院の医療業務で社会に示していくべきでしょう。

>地域レベルでは共産党と民医連の選挙のつながりは比較的硬いようにも見える

都市部では、地方と比較にならないほど、もっと共産党と民医連のつながりは強いですよ。

投稿: うみおくれクラブ・ゆみ | 2007.07.05 12:57

2年前、私は金融機関で強盗の人質にされるという事件に遭って、精神的後遺症を自覚して、日本共産党東京都委員会の紹介で、民医連代々木病院を受診して、アルコール依存症だと、とんでもなく甚だしい誤診を受けました。
私は「自分が人質になった」とはっきり伝えたのに、医師のカルテには「自分が人質にされたわけではない」と書いてあったのです。
 これではまるで私がアルコール依存症で、幻覚を起こしたかのような診断です。医師にこの誤りの説明を求めたら、説明を拒否して診察室を出て行ってしまい、診察室で呆然としている私に向って事務次長は「業務妨害で警察を呼ぶぞ」とまで言ったのです。
今も私の夫が病院に対し、説明と謝罪を求めていますが、病院は知らぬ顔を続けています。
このように民医連は医療ミスを隠蔽し続けるのです。患者の人権も尊厳も看板だけの嘘偽りの民医連に、皆さんもお気をつけてください!

投稿: うみおくれクラブ・ゆみ | 2007.07.05 13:20

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 民医連→東京新聞→ロイター(国際)に流れる東京の老人問題:

« 東京大気汚染訴訟、雑感 | トップページ | 最近の北のお便り、どんより編 »