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2007.07.30

2007年参院選、雑感

 参院選が終わった。民主党に投票した私とすれば期待を上回る結果になったが、ブロガーとしての予想(参照)は大きく外した。そのあたりの反省から書いてみたい。
 予想を外した理由は二つあった。一つは一人区でここまで自民党が負けるとは思っていなかったことだ。象徴的な事例としては片山虎之助参院幹事長落選は想像もしていなかった。私は基本的に5月時点での読売ウィークリーの読みである、15選挙区での獲得はいけるのではないかと思っていた。しかし、読売ウィークリーが自民党勝利例とした富山ですら自民党は敗れた。


 29選挙区のうち、自民が議席を固めつつあるのが群馬富山など15選挙区、逆に民主優位なのが岩手、三重など6選挙区。残りの8選挙区はほぼ互角の戦いだ。

 結果は自民党が獲得した議席は6に過ぎなかった。
 結果がわかった時点で振り返って、一人区の予想が7月7日の時点で可能だったかだが、私には無理だったのではないかと思う。なので、私には2007年参院選を的確に予想する能力が基本的になかったことになる。
 もう一つ予想を外したのは複数区で人気政党による押し出し効果があったことだ。単純な例で言えば、二人の民主党候補が当選することで公明党候補が押し出された。獲得票数としては公明党の勢力が衰えているわけではないが、こうした事態になるとき通常なら鉄板の票数による票固めが有効にならない。
 この点も参考にした5月時点での読売ウィークリーの読みを振り返ってみよう。便宜的に予想が当たっている部分を赤、外したところを青にしてみた。

 選挙区ごとに優位に戦いを進めている党派を並べると、次のようになる。
 ▼改選議席(5)=東京(民・民
 ▼改選議席(3)=埼玉(自・民)、千葉(自・民・民)、神奈川(自・民)、愛知(自・民)、大阪(自・民・公
 ▼改選議席(2)=北海道(自・民)、宮城(自・民)、福島(自・民)、茨城(自・民)、新潟(自・民)、長野(自・民)、静岡(自・民)、岐阜(自・民)、京都(自・民)、兵庫(自・民)、広島(自・民)、福岡(自・民

 東京の保坂三蔵落選を例外とすれば、残り3つは民主党による公明党押し出しによるものだった。この部分の予想については押し出し効果が出ることは予想できなったという点では予想を外したが、概ね予想した域内に収まってる。
 比例区についても同様に見てみよう。

比例選の場合、自民党の獲得議席は直前の報道各社の世論調査の自民党支持率が参考になる。自民vs民主の構図で戦った過去3回の獲得議席との相関(数字は読売新聞調査)を見ると、2004年(32.7%)→15議席、01年(41.0%)→20議席、1998年(31.4%)→14議席。直近調査(3月17日)の自民党支持率は36.4%だから、現段階で17議席程度が見込まれる。

 結果は自民党の議席は14なので、誤差は3議席ほど。これも概ね予想した域内に収まってる。
 なので、複数区と比例区についてはそれほど予想外のことは起きていない。この点について私はこう書いていた。

その後、安倍自民党バッシングのような状態は続いて、5日付読売新聞”安倍内閣支持率32%に下落、不支持率は53%…読売調査”(参照)ではさらに落ち込んでいるが、それで比例選に大きな影響を出すほどのものでもない。また複数区のほうもそれほど変化はないだろう。

 この点は概ね予想どおりではあったが、先の押し出し効果は想定できなかった。私はメディアが安倍自民党バッシングを流しても比例区と複数区にはそれほど影響はでないと思っていたし、結果としてはそれほど大きな影響を出しているとは思えない。
 以上で予想外しの反省は終え、結果についての考察に移る。
 今回の参院選の意義は一人区で自民党が大敗したことだろう。当然ながら一人区というのは基本的に票格差の大きい地方になるのだが、そこで従来の自民党による集票組織が機能していなかったことになる。開票速報のインタビュー映像などでそうした地域の話を聞くと自民党への怒りのようなものから票が民主党に流れたかのようにも思えるし、実際そういう面はあるのだろうが、私としては自民党による集票組織が機能しないことが大きな原因だろうと思う。ではなぜ機能しなかったのか。基本的にこうした地方の集票組織は利益集団でもあるのでその利益機能が弱体化してしまったのだろうということと、小泉政治によって解体させられた余波があるように思える。自民党に集票組織があれば島根の亀井亜希子のような当選は無理だったのではないか。
 今後の日本の政治について今の時点で思う印象を述べたい。外交面ではすでに米国ヒル国務次官補が結果的に言及していたが日本の対北朝鮮外交はより弱体化するだろう。内政面では自民党が参院をグリップできないことで大きな混乱が起きるだろう。ただ、橋本元総理のように安倍総理引退とまで予想はできない。衆院には衆院の論理があるだろう。
 橋本元総理の参院選敗退は、私は基本的に経済政策のミスによるものだろうと思っていたし、私は日本人というのは利に聡く、経済面で大きな失策がなければそれほど政権への打撃はないものだと考えている。年金問題についてはすでに言われているように民主党に解決の秘策があるわけではないし、憲法改正問題は私には悪いジョークのようにしか思えない。では、今回の参院選の結果は日本人が現政権の経済政策にNO(否)を言ったかというと、地方からは大きなNOが出たことは確かだろう。だがそれは多分に地方からのルサンチマンに近く、日本経済のステークホルダーたちにどの程度影響をもたらすかといえば、それほど大したことはないだろう。大企業の活動は円安によって好調だ。なので、経済政策面で安倍続投というのは無言に概ね支持されているのではないか。

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「時事」カテゴリの記事

コメント

憲法改正については、改正内容の是非よりも、憲法が神聖化しちゃって不磨の大典化することの方が私は危険だと思うのです。
むしろ間違ったらまた改正すりゃいいや、くらいの方が健全なのでは。

投稿: ■□ himorogi / neon □■ | 2007.07.30 12:02

>経済政策面で安倍続投というのは無言に概ね支持されているのではないか。

これダウトですね。
基本的に選挙は経済政策のみが評価されるもので、
今回も例外ではないはずです。
経済成長は確保したものの、国民の可処分所得の
右肩下がりは解消されていません。これが最大の敗因でしょう。

小泉の頃は、経済が良くなりかけてきた予兆があって、
それが支持されて選挙に勝った。今回はそれが自分の実入りに
ならないことがわかって野党にスイングした。
1986-1989も似た構図だったと考察しています。

面白い結果があって、東京や北陸の経済が比較的保っているところは
自民が食い下がっている。あと20代、特に前半は自民支持が多いです。
就職状況の改善は大きいでしょうね。

投稿: | 2007.07.30 12:15

finalventさん、こんにちは、

一人区で集票組織が働かなかったということは確かにそうだな、と。

地方が疲弊しているのをひしひしと感じます。自民党の改革路線に乗れば幸せになれると、大企業の利益を財源にまた地方に還元してくれると自民党の地方組織の末端は思っていたように聞いています。しかし、働けど働けどわが暮らし楽にならざり、でどうもこれは違うという思いが若い支持者の間から広がっているように推測します。

参議院というのも地方からみればそんなのに選挙協力してなにかいいことあるのか?という思いがしてしまうのではないでしょうか?たぶん、衆議院の地方区とか「自治」(利益誘導ともいう)に近いレベルでは自民党の集票組織はまだ働き続けていると思いますよ。

投稿: ひでき | 2007.07.30 12:44

日本は円安トレンドが望ましいので安倍続投でも良い。厳密に言うと現在の日本の政権は経済のトレンドにはあまり関係ない。国内外問わず市場の目は日銀に向いているから。国民の年金問題の怒りが行き場を失って、選挙の場を選んだのは良くない現象。軍事では日本人は世界警察の役を担うという感覚すらないわけだから、憲法改正は特に世界の治安には決定的な意味を持ち得ない。今回の結果は特に見るべき物はないが、マスコミの情報を流せる特権がインターネットを軽く凌駕してる事を再認識した。まだ国家権力はネットに介入する時期ではないらしい。

投稿: itf | 2007.07.30 13:05

本エントリに、氏の仰る「ブロガー3年」の確かな腕力を見た気が致します。ご苦労様でした。

私のところは改選議席数が2だったものですから、押し出し効果もなく綺麗に“分ける”だろうと察して、
後は比例をどうするか投票所の前で悩んでいたのですが、
そこに「虫の知らせ」がありまして…比例は自民にしました。
まあ、この選択は…
次の「こんなはずじゃなかった」ヒステリーに対応する為に用意した姑息なアリバイなのかもしれませんが、
「お灸ってのもどうなのさ?」と考えたものですから…
カタルシスなんてこんなところで得るものでもないしなあと。

投稿: 夢応の鯉魚 | 2007.07.30 13:31

民主の四国制圧で、今後の四国がどのように変わるのかが非常に関心がありますね。
まぁたいしたことないのでしょうけれど

投稿: hoge | 2007.07.30 14:17

自民党への「怒り」は共有するけれども、
今回、民主党に入れた人々は、
近いうちに裏切られるんじゃないでしょうか。

投稿: ken | 2007.07.30 22:45

こんにちは。

>地方からは大きなNOが出たことは確かだろう。だがそれは多分に地方からのルサンチマンに近く、日本経済のステークホルダーたちにどの程度影響をもたらすかといえば、それほど大したことはないだろう。

このように書くことが出来るfinalventさんは、とても勇気のあるブロガーだと思います。

投稿: けろやん。 | 2007.07.31 07:38

finalventさん、おはようございます、

「揺れるマンション顛末記」のgskayさんが今回の選挙の分析をされています。

≪引用開始≫

さて、比例で見る限り、自民党は惨敗していません。

しかし、選挙区では、惨敗です。これは、自民党が惨敗したというより、自民党と公明党の選挙協力が惨敗したということだと思います。

≪引用終り≫
http://gskay.exblog.jp/6006663

投稿: ひでき | 2007.07.31 08:18

自分は別に自民支持でも民主支持でもありませんが、沖縄県民として民主党のマニフェストの中にある『沖縄ビジョン』に納得がいかないので民主党には絶対に票を入れません。人口130万人の島に3000万人の外国人を長期ステイさせ、中国語の教育、日本との時差をもうけ、沖縄独自の地域通貨を作るなどなど・・・。民主党のマニフェスト通りに行くと30人に1人が沖縄県民となり、日本で1番治安の悪い県になるでしょう。そしていつか沖縄は日本じゃなくなり、台湾と同じように中国の1部になるんでしょうね。今回民主党に投票した方はちゃんとマニフェスト読んでますか?思想的には外国人の為の政策が多々ありますよ。

投稿: キキ130 | 2007.08.01 14:45

上の方、マニフェストのどこにかいてありますか? http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2007/pdf/manifesto_2007.pdf
をダウンロードしたのですが検索で「沖縄」をかけてもひっかかりませんでしたが・・・

投稿: ぼー松 | 2007.08.01 21:11

貴殿の予想が当たった/外れた……ということに何か意味があるのでしょうか?

投稿: k | 2007.08.01 23:22

民団職員を立候補させた時点で民主党だけは有り得ません。対北朝鮮政策が弱体化するだろうという予想をしておいてなお民主党に投票した意図が知りたいのですが。

投稿: alpha | 2007.08.01 23:50

finalventさんはあまり興味を持たれないかもしれませんが、野党が参議院を支配したことでふと思いついたこと。戯れ言と思って読んでいただければ幸いです。

例の慰安婦決議案がアメリカ議会下院で可決されたことについて、日米関係に悪影響との論調が日本メディアにありますが、日本側が抗議や報復的措置を執るのでない限り、そもそも日米関係が悪化することなどあり得ません。そして、そのような態度に出る気配は日本側にはありません。産経は、同決議案を批判しておきながら、「否決なら日米同盟にヒビ テロ特措法延長」などという記事を載せていますが、お人好しすぎるように感じます。「対テロ戦争」は全世界の共通目標だというお題目ならば、話半分に捉えるべきです。

そこで、参議院を野党が握ったことに便乗して、テロ特措法の延長をしないことをもって日本側の応答とするのはどうかと思ったのです。与党としては、野党が同法を審議未了・廃案に追い込んだことを「不本意ながら立法手続上やむを得ない」という立場をとれますし、野党としても「自らの公約に忠実であったまで」という姿勢をとれます。

まあ、かつて吉田茂がアメリカの要求に対して憲法9条と社会主義政党の存在を出汁に使ったような感じで決然たる態度に欠けますし、テロ特措法が米国にとってそれほど重みがあるとも思いませんが、日本にもこんな対外的パフォーマンスを演じるくらいの度胸があってもいいのではないかと思います。フィナンシャルタイムズによれば、安全保障への影響を懸念して参議院を握った民主党と会談しようという動きがアメリカ政府にあるということですから、ひょっとしたら使える手なんじゃないかと思った次第です。

投稿: 通りすがり | 2007.08.02 00:53

ぼー松さん 民主党『沖縄ビジョン』で詮索して下さい。

投稿: キキ130 | 2007.08.02 14:09

ぼー松さんさん沖縄ビジョン【改訂】の方です。失礼しました。

投稿: キキ130 | 2007.08.02 14:20

東京都の住人さん、誤記のご指摘ありがとうございます。保坂候補および支持者のかたに失礼しました。修正しました。

投稿: finalvent | 2007.08.03 06:45

知識社会15は、「秦の始皇帝の中国統一」が正しいのだろうけれど、きっと、中国の人々もいい加減戦国時代を終わらせる統治者の出現を待っていたと思うので、「統一中国の秦の始皇帝」という言い方も出来ると思います。でも、みんなが始皇帝に幻滅して、秦はすぐ滅びたけれど。
モダンとポストモダン(「ポスト構造主義」ではありません)の違いを示してくれるのが、アンリ・ベルクソン博士とピーター・ドラッカー教授の技術への認識の相違だと思います。
ベルクソン博士は、蒸気機関と原子力といった物理的エネルギーの利用に大きな関心と期待を寄せたけれど、ドラッカー教授は、エネルギー問題である蒸気機関と原子力より、活版印刷技術やコンピュータといった情報技術に注目しました。物理学的認識と生物学的認識のコントラストですね。生物学にあれだけ関心を持ったベルクソン博士でさえ、物理学的枠組みでしか生物学を考えられなかったようなのがあの時代だったのでしょう。
もちろん、ベルクソン博士だって、コンピュータの効用を知れば、コンピュータにすごく関心を持ったと思いますが、コンピュータにどういう哲学的意味づけをしたかはいまとなってはわかりません。
アルビン・トフラーとハイジ・トフラーの夫妻もすごく共感するのだけれど、この人たちをどう位置づけてよいのかはよくわかりません。元はマルクス主義者だったそうだけれど、マルクスの結論を信じ込んでいるのではなく、マルクスの歴史哲学を応用できているのはたいしたものだと思います。
自分とは結論を共有できないマルクス主義者ではあるけれど、ヴィルヘルム・ライヒは基本的に好きです。マルクス主義者でも、すぐにゲバルトの行使を持ち出さないで、基本的に人間性を大切にする人たちには共感します。
マイケル・ムーアもいい人だと思うけれど、もう少しきれいな言葉を使うとよいと思う。やっぱり下品な態度というのは、説得力を損なうと思います。

投稿: 知識社会16 | 2008.04.23 16:45

「知識社会12」では、「コークとベーコンの論争の結果生まれた」とまで書いてしまいましたが、これは、「基本的に確立された」としたほうがより正しいようです。訂正します。コークは「コモン・ロー」を強調して判例法による類比推理を重視したらしく、ベーコンは、ご存知のように自然科学を帰納法による推理の上に確立する考えを提示した。この点はおそらく間違いないはずですが、後により正しい歴史的事実が判明したら、そのときに訂正が必要であれば訂正します。

投稿: 知識社会17 | 2008.04.26 15:56

知識社会20の「暫定的回答」は、「暫定的解答」の誤りです。この「回答」と「解答」の誤字はよく見落とすのが油断なのだろうと思います。

投稿: 知識社会21 | 2008.05.04 12:26

「グローバル社会」ということばについて。
経済がグローバル化しても、経済主体たる事業者は多元化するのは容認されるのだから、社会の多元化があっても、「グローバル社会」という言葉を用いてもそれほど問題はないとも思うのです。
世界中が相互交流、相互依存を深めながらも、共同体や社会機能集団は多様化多元化することに矛盾はないと思うのですが、この点はあまり安易に考えないほうがよいのかもしれません。
「知識社会30」で、「国民国家はなくならないだろう」と申しましたが、この点については、ピーター・ドラッカー教授は、「ポスト資本主義社会」の中で、国家は政治の単位から行政の単位に変化していくだろうといった話をほのめかしています。とりあえず、国家はなくならなくても役割や機能や形態は変化していくだろうと言ってよいのだろうと思います。

投稿: 知識社会31 | 2008.05.14 09:48

繊維産業について。
エーモン・フィングルトンの2冊の著書、「見えない繁栄システム」も「製造業が国を救う」も今となっては時代遅れの意見です。
でも、フィングルトンの洞察のすべてが無価値とも思えません。
どちらの本に書かれていたのかは忘れましたが、彼は、繊維産業について、次のような話をしていたと記憶しています。
「その国の文化水準と経済水準を最も反映するのがその国の繊維産業である。繊維産業が不健全な状態になってしまった国は、実際、活力を失っている国である。」
繊維産業を、製造業だけでなく、流通業も、デザインも含めて考えれば、現在でもこの考えは立派に通用し続けていると思われます。
ただ、現在も通用しているからこれからも普遍的であり続けるのかどうかは正直なところ不明なのですが。

投稿: 知識社会35 | 2008.06.10 06:05

国立大学の教授で、権威ある出版社から何冊も教科書を世に送り出されている方のことを実名を伏せる必要があるのかなとも思いますが、これは、名前は出さないほうがよかろうと思うので、先生のお名前は出しません。
私の大学時代のフランス語の文法の先生は、パリのフランス語の習得にこだわっていらっしゃった方ですが、常々、次のようにおっしゃっておられました。
「偉い人の意見が正しいの。私たち凡人は権威の意見に疑問を持たずに従うの。自分が偉くなったらそのときは自分の意見が正しい意見になるの。」
こういう考えは、パリのフランス人の考えというより、南フランスのプロヴァンス地方とかラングドック地方とか、スペインのカタルーニャ地方とかバレンシア地方とか、地中海沿岸で通用しそうな考え方ではないのかなとも考えるのですが、ともかく、パリのフランス人たちはそういう考え方をするみたいです。
ハインリッヒ・ハイネの「ドイツ古典哲学の本質」を読むと、ドイツ人というのはいつも何が真理で何が正義か、そして誰の意見が真理で誰の意見が正義なのか言い争っているような感想を持ちます。もちろん、これはハイネの誇張なのでしょうが。
ただ、フランス語文法の先生の意見と、ハイネの見解がラテンとゲルマンの対照を明確に示しているとするなら、パリのフランス人の考え方は、スペインにもポルトガルにもイタリアにも応用がきくのかもしれないし、ハイネの見解は、オランダにもデンマークにもスウェーデンにもノルウェーにもある程度応用がきくのかもしれません。
そうなると、ラテン的要素とゲルマン的要素の入り混じったイギリスとドイツ語圏でも基本的にカトリックであるオーストリアはどうなのかというと、こう言うと、イギリス人とオーストリア人がひどくずるがしこく取られるのかもしれませんが、特定の人たちには、真理と正義について是非を議論する権利を与えるけれど、それ以外の人たちには結論への服従を迫るということになるのかもしれません。
実態はなんともわかりませんが、図式としては妙に説得力を持っているような気はしています。

投稿: 知識社会36 | 2008.06.10 06:21

ブログの管理人より。

コメントも多数になりましたので、このエントリはここでひとまずコメントを閉じようと思います。

投稿: finalvent | 2008.06.12 21:40

この記事へのコメントは終了しました。

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