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2007.06.12

年金記録不備問題メモ

 年金記録不備問題が皆目わからん。なにが問題なのか。そりゃ、年金記録不備が問題だ、ということなのだろうが、であれば、それは年金貰うときに整理したらええんでないの、というだけの話ではないのか。
 それとネットの世界を見ていると年金が貰えるの貰えないのという話題があるけど、なんだかなという印象が私にはある。年金制度の条件を満たしていたら貰えないわけないんじゃないの、それが国家の制度なんだし、と思う。ただ実質的にはそんな議論は無意味でしょとも思う。たとえば、私は今年五十歳になってしまうのだが、私が年金を貰えるのはたぶん七十歳でしょう。そこまで私は生きている自信はないし、生きていても年金で生きるというよりも病院とかに送り込まれて半分植物人間になっているんじゃないか。そうなりたいわけでもないけど、生きていたらそれでいいだけの存在じゃないだろうか。イエス様は明日のことを思い煩うなと言ったけど、二十年先のことは年金よりイエス様とかにお任せするような領域にも思う。いやマホメット様でもブッダ様でもいいけど。
 年金はどうあるべきかはこのブログでも過去に扱った。特に参照はしないけど、結論としては、スウェーデン方式というか一律の制度にすればいいんじゃないのというくらいだ。この改革案はけっこう民主党で検討されているように思えた。ただその後の動向を見ていると、民主党が政権をとったとしてもどうにもならないんだろうなとも思うようにもなったが。
 短絡的な話をするけど、今回年金が貰えるのかとか騒いでいる人たちってどんな人なんだろうか。報道を見ているとまるで国民全体が騒いでいるかのような印象もあるが、まず、公務員は関係ない。大手企業の雇用者も関係ない。そして国民年金の人も事実上関係ないんじゃないか。貰える額は雀の涙なんだし、大半はおカネを収めてもいないんだから。すると、残りはというか騒げる人は、中小企業を転々とした人たちだろうか。それでも数年ごとに勤め先をころころ変える人でもなければ、それなりに受け取り時の対応も不可能ではないし、ころころ変えた人は実際には国民年金と同じようなものではないか。とか思うのだが、よくわからない。
 話を少し戻して年金制度について言えば、民主党案のように一律の年金という制度にすると確実に国民年金は上がる。自営業の人は耐えられるのだろうか。よい制度なら耐えられるとか言えるのだろうか。ダメじゃないかなと思う。それに公務員が一律の年金制度なんか支持するわけもない。結局のところ、年金制度というのはダメであるそれなりのメリットというものもあるわけで、形骸化して雲散霧消になる定めかもしれない。冗談を言っているみたいだが。
 今回のバカ騒ぎで、私が注目したのは、自民党サイトにある「あきれた社会保険庁の実態」(参照)だった。いやすごい時代になったものだと思った。


はっきり見えてきました。わたしたちの「敵」の姿が。

混み合う社会保険事務所。
その受付の向こう側で、私たちを無視して休憩しながらコーヒーを優雅に飲み続ける職員。
そんな姿に怒りを覚えたこと、ありませんか。
しかしそれは、不正と腐敗の進んだ組織の、ごく表面の部分でしかありませんでした。

大切な年金を流用して、ゴルフボールやマッサージ器などを購入。
仕事の効率を上げよ、と言われて、ウソの実績を捏造して平気な顔。
興味本位で有名人の年金状況を覗き見て、その情報を他人に漏らす。


 その「敵」というのは労組らしい。つまり、この文書は「自治労の中の国費評議会という労働組合」が国民の敵だと自民党はいう、としているのだ。

社会保険庁の不正行為を突き詰めていくと、そこに労働組合の姿が浮かんできます。

社会保険事務所の窓口で端末を操作する時、「職員は45分操作したら15分休憩をとる」という約束事がありました。社会保険庁は、自治労の中の国費評議会という労働組合とこんな約束を交わしていたのです。
大問題になった「覚書」。これはそのほんの一部です。全部で100近くある覚書の中には、この他にも、普通の神経を持っていたら「?」と思う項目がたくさん羅列されています。

もう一つ挙げると、「磁気カード」の問題がありました。これは、パソコンを操作して情報を見る時に使うカードですが、なんと、このカードはつい最近まで、職場の誰が使っても特定できないようになっていました。


 この引用部のパソコンの云々の話はちょっと尾ひれがありそうだがそれには触れないとして、このプロパガンダは本当に自民党で作ったものなのか疑問だった。私はいっぱい食わされているのか。
 どうにも腑に落ちない。いったいどういう経緯でこれが作成されたのだろうか。ただ、作成意図はすごくはっきりわかる。民主党潰しだ。

年金不正免除問題では、最初は威勢の良かった民主党ですが、最近はさっぱりです。
理由は簡単。
民主党の最大の支持母体は連合で、連合の中の最大の組織が自治労。自治労の中で一番力を持っていると言われているのが自治労・国費評議会だからです。
つまり、自治労・国費評議会を批判することは、自分たち民主党の支持母体を批判することになるから、腰が引けているのです。

 ようするに今回の年金記録不備問題というのは参院選のためのプロパガンダ合戦であってそれ以上でもそれ以下でもない。というか、年金議論とまるで関係ないんじゃないだろうか。くだらないな。
 なによりこのプロパガンダがむかつくのは、安倍総理の顔が見えないこと。もし、安倍総理が、小泉元総理のように自分の言葉でこれを国民にきちんと訴えるなら、私はちゃんと聞く用意がある(批判する用意もあるというべきか)。現状ではなんとも言えない。
 以上でこのエントリの話は終わりでもいいのだが、社会保険庁と自治労の関係はそれはそれで別の話題とされるべきなのだろう。
 このあたり、私だけが知らないことかもしれないが、今回のバカ騒ぎであまり議論されていないようでもあるので、備忘を兼ねてメモしておく。専門性が高い問題でもあるので、間違っているかもしれない。そのあたりは「ばかだろお前」みたいなコメントではなく、間違いをただす有意義なコメントがいただけらたらと思う。
 まず、社会保険庁の問題だが、根っこに地方事務官制度というものがある。地方事務官は、身分は国家公務員だが、形式上知事の監督指揮を受けることになっている。
 この制度は、戦前、国が都道府県を下部機関とみなして事務を行わせていた制度の名残で、昭和二十二年の地方自治法制定で、地方事務官は地方自治体に勤務しながら身分上は「当分の間」国家公務員となった。その「当分の間」が半世紀以上も経って、ようやく二〇〇〇年四月地方事務官制度は廃止された。結果、社会保険庁を構成する公務員は次の三つに分別された(この話は北國新聞八日社説を参考にした)。

  1. 厚労省からの出向者(キャリアの国家公務員)
  2. 社会保険庁が採用した職員(国家公務員)
  3. 以前の地方事務官(国家公務員)

 地方事務官制度は廃止され、以前の地方事務官も国家公務員なのだから、組合としては日本国家公務員労働組合連合会(国公労)になるのではないかとも思うのだが、以前の地方事務官は、地方自治体職員などによる労働組合、全日本自治団体労働組合(自治労)に所属しているらしい。そして自治労は民主党・社民党を支持している。これはウィキペディアにもある(参照)。

現在、政治的には主に民主党を支援し、組織内候補も送り込んでいる。東北地連に所属する県本部や富山県など、いわゆる「13県本部」と呼ばれるところでは社民党を支援している。自民党にとっては脅威であることも手伝い、同党はヤミ専従問題摘発などの自治労批判に力を入れている。

 ウィキペディアにはさらにこう続く。

その一方で、2004年の第20回参議院議員通常選挙では、自治労出身の民主党・高嶋良充の比例個人名得票が約17万票にとどまり、また2001年の第19回参議院議員通常選挙では社民党の又市征治が同じく約15万票にとどまるなど、その集票力は必ずしも大きくないという見方もある。

 自民党による参院選のための民主党攻撃というには過剰攻撃なのかもしれない。むしろ、別の理由があって自治労を叩いているのかもしれないがその部分にはブログだと突っ込まないほうがよさそうな空気。
 話を二〇〇〇年四月の地方事務官制度は廃止に戻すと、国交労のサイトに興味深い話があった。「地方事務官制度廃止法案の衆議院通過をめぐっての談話」(参照)にある自治労側の意見である。

2.一方、自治労(国費評議会)は、「国の直接執行事務」とすることは、①地方分権に逆行する。②行政改革に逆行する。③年金制度の崩壊、無年金者の増大につながる。とし、事務処理は都道府県への法定受託事務とし、地方事務官は地方公務員とすべきと主張してきた。その立場で国会対策を行い、公明党・民主党・社民各党はそれぞれの思惑から、社会保険制度に対する根本的問題での質疑どころか、地方事務官制度問題で自治労(国費評議会)の主張に沿った質問を繰り返し、制度運営や事務処理実態を無視した質問に終始した。
 このことは、公党が自らの政策を持たないまま、一労働組合の組織問題のために地方分権一括法の本来の問題点を置き去りにし、地方事務官制度廃止後は地方公務員とすべき、あるいは国民・住民の利便性が損なわれる、国民年金制度の崩壊をまねくと主張するなど、いたずらに職員の不安をかき立て、国民の社会保険制度への信頼を損ねるもので極めて問題であると言わざるを得ない。

 以前の地方事務官は地方公務員に成りたかったし、そうしないことで国民年金制度がゆらぐと考えていたとなる。
 そのあたりの判断は私には難しいし、その部分はブログだと突っ込まないほうがよさそうな空気。いやはや空気が重たいな。

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コメント

・実際、駄目だよと言われた人がいたので問題になったのですが。
> 年金制度の条件を満たしていたら貰えないわけないんじゃないの、それが国家の制度なんだし、と思う。
 払ってるはずの人が窓口で「あんた年金払ってないから支給されないよ」と言われて、反論したら「これまで払った分の領収書を持って来い」と言われたから問題になったんでしょ。数十年分の領収書が残っているか!と怒って。で、調べてみたらデータ化する際に打ち漏れがあったらしいと。しかもデータ化する前の紙ベースの台帳で、廃棄処分されてしまったものもあると。それで現在「大急ぎで確認しろ」「どうやって確認するのか」「役所の不手際なのに、個人に立証責任を負わせるのか」という話でしょ。
 条件を満たしている/いないのレベルで確認しなきゃという話なのに、「条件を満たしていたら貰えないわけないんじゃないの」では話にならないです。

・実際に自民党のサイトなのですが。
> 自民党を装ったサイトにある

> このプロパガンダは本当に自民党で作ったものなのか疑問だった。私はいっぱい食わされているのか。
>  これって本当に自民党が出したものなのか、どうにも腑に落ちない。
別に隠し立ても無くパンフレットのページに載っているじゃありませんか。
http://www.jimin.jp/jimin/kouyaku/pamphlet/index.html
調べもしないで陰謀論ですか。やーれやれ。

自民党の自治労叩きがターゲットそらしというのは同意ですが、上の点はどうにも事実誤認ですよ。

> というか、年金議論とまるで関係ないんじゃないだろうか。くだらないな。
というか、(いわゆる)年金問題と年金記録不備問題とはそもそも完全に別の話のはずですが。
年金記録不備問題は民主党が今年の2月に国会に持ち込んだ与党叩きネタじゃないですか。

投稿: 岩魚 | 2007.06.12 21:03

岩魚さん、ご指摘ありがとうございます。パンフレットの件は確認し、エントリーに最小限の修正を加えました。

投稿: finalvent | 2007.06.12 21:22

今は公務員も給料安くて特に若手は貧乏ですからね。
組合は貧乏人の心をつかむことなんかできません。
貧乏人を束ねられるのは、庶民の王者だけです。
というわけで、世間の印象と違って結構貧しい公務員は、入信して庶民の王者さまの政党に票を入れる、ということもあるみたいですよ。
あと、民主党も公務員たたきやってますし。
組合が旗振っても、そりゃ民主党には票集まりませんわ。
入信してない貧乏若手公務員は受け皿がないんで選挙に絶望してますね。

投稿: desk | 2007.06.12 21:32

>払ってるはずの人
これも微妙な問題で、実際調べて見ると実は払っていない人が大勢いる。

>「役所の不手際なのに、個人に立証責任を負わせるのか」
実際は本人が払ったと勘違いしている方が圧倒的に多いわけで…

>データ化する際に打ち漏れがあったらしいと
ここらへんも、3,000件サンプル調査したら打ち漏れは0件。実際にどのくらいなのか分からない状態。数万件に1件位なんじゃないだろうか。

「名寄せされていない年金記録が5,000万件」って話と「払ったはずの年金」って話がごちゃ混ぜになって、「払ったはずの年金が5,000万件」になってしまっているのが騒ぎ過ぎの一番の要因なんだと思います。

投稿: 匿名でよろしいか | 2007.06.12 23:00

奇妙な感じから1年ほど経ち、ここ数ヶ月は理不尽な印象があります。ハンドルを容易にするために野放図なネットコミュニケーションに上部構造を架けようとしてるのではないかなあと感じています。システムでなく、汎用性の高い社会的な方法で。妄想といってしまえば妄想ですが。

投稿: papepo | 2007.06.12 23:16

軽トラ(ミニカー含)専門店。里子ももちろん軽(笑)。んー、年金問題より北朝鮮問題の方が・・・。タブーだけど・・・。それは・・・モウシワケゴザイマセン!

投稿: 上迫秀樹 | 2007.06.12 23:53

>たとえば、私は今年五十歳になってしまうのだが、私が年金を貰えるのはたぶん七十歳でしょう。

ここだけ訂正しておきます。年金法では、年金の支給開始年齢は国民年金・厚生年金ともに65歳からです。しかし、厚生年金は以前は60歳から支給されていたのです。60歳から65歳に法改正をする時に、1歳違いで極端に不利益にならないように生年月日により経過措置を設けて、徐々に支給開始年齢を遅らせていくという方法をとるのです。石垣君(←今度からこう呼びます。)の場合は、生年月日が経過措置の途中であるため、厚生年金の報酬比例部分は63歳から支給されます。定額部分(基礎年金に該当する部分)は、65歳から支給されます。
これを70歳支給開始にする時は、現在、厚生年金・国民年金共に65歳から支給開始する人達(男子S36年4月2日生、女子S41年4月2日生以降の人)の支給開始年齢を1歳ずつ遅らせていく方法を取ります。
石垣君は、すでに決定済みの人なのでご心配なく。

投稿: nami | 2007.06.13 23:38

年金がもらえるかどうかは個人にとってあまり関係ない(年金の額や受給の開始年齢は相対的だから。例えば受給前に交通事故で死ぬ人もいることや少子化やインフレによって制度や受給額(の価値)が変わる事を考えれば良い。)関係ない、とはおかしい、という人は満足のできる年金システムがあると何故信じられるのか?年金は利他的な意味合いが強い。
国民は国家の暴走を防げるか?(振り込め詐欺は逮捕された人がいるが今回の年金詐欺には逮捕された人がいない)防げないんなら立憲主義は意味ないことになる。防げるんなら年金問題はおこらないことになる。現実には立憲主義は採用されてるし、年金問題は起こってる。これが問題(国家の暴走を防げないのに防げると信じられてる立憲主義を採用・・・)。後国民に固有の番号を未だに振ってないことも問題(振っても完全に問題は防げないがそれを言うなら振らない理由もない。実際は何故か複数の番号を振ってる。)。政治の話は特に関係ない。

投稿: itf | 2007.06.17 18:15

現行の公的年金制度は改めないといけない。
新公的年金制度を提案したい。
これから生まれてくる人には、新しい制度に加入してもらうのがよい。
新制度の概要は、
http://nowaki.cocolog-nifty.com/nowaki/2006/01/post_8d2d.html

投稿: 野分権六 | 2007.06.20 22:02

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