ミンチ偽装事件にさらにボケた感想を
なんだか悪ふざけしているみたいだし、そういうふうに前書きでもしとかないと書けそうにもない話題になりつつある。でもなあ、個人的には、前回「極東ブログ: ミンチ偽装事件にボケたツッコミでも」(参照)を書いたあと、多少関心をもって話題を追っていたら、へぇと思うことがあった。ボケた感想になるのだろうけど、まあ、たぶんこれっきりだから書いておこう。
私のボケ感想には2つの「へぇ」がある。最初のは、ミンチ偽装事件ってミートホープについては違法性は全然ないっぽいこと。二六日付け朝日新聞”牛ミンチ表示、全国調査へ JAS法見直しも”(参照)によるとこう。
ミート社を巡っては、表示以外の肉の混入や産地偽装、賞味期限の改ざんなど様々な不正が次々と明るみに出たが、同社が直接、消費者に販売している商品はなく、一連の行為は製造業者との取引での不正で、JAS法違反には問えない可能性が高いとされる。
え? もしかして現行法では違法性は全然ないんじゃないのかもしれない。へぇ、と。
しかし、なんか腑に落ちない。そりゃそうだ。いいわけないじゃん、どっかが罰せられるべき問題でしょ。で、誰が、ほんとは、悪いんだ、と単純に疑問に思っていた、ところ、26日付「解説委員室ブログ:NHKブログ 食肉偽装はなぜ起こったか」(参照)に、私には意外な指摘があった。これが二つ目の「へぇ」。
現在のJAS法では、表示の責任は最終的な製造者が持つことになっていますから、問題を引き起こしたミートホープは罰されず、逆に北海道加ト吉や生協に、最高で罰則一億円が科される可能性があります。
私は物事をけっこう単純に考えることが多いのだが、その単細胞頭で考えると、なーんだ、悪いのは北海道加ト吉や生協など最終的な製造者じゃないか。それで現行法的には、お終い、という問題なんじゃないか、と思えてきた。
なんでそこで終わらないのだろうか? あるいは現行法が悪いなら、これから法改正をして今後そういうことがないようにすればいい、というだけのことではないか。
ただ、どうも、国民感情というか、国民感情操作者的にはそれでもいけないかのようだ。NHKブログでは話はこう続く。
最終的に確認を怠ったといえばそれまでですが、偽装の悪質さから考えるとミートホープも同じ責任を追わなければバランスがとれません。
私は正直に言うと、そのコメントにはずんと引いた。どこに法意識があるんだ、それ、とか思った。「それまでです」で終わりじゃないのか。というか、私としては、予期せぬ終了をしてしまいました。
あと余談っぽくなるけど、JAS法的には、同ブログにあるように、「企業の規模によって、都道府県と農水省が分担してその指導に当たることになってい」るらしい。そして、今回のミンチ偽装については、「東京にも支店を構えるミートホープは、本来は農水省が対応すべき企業でした」ということなので、それって単純に農水省さん、お仕事してちょうだいねというだけではないのか。
というか、ちょっと出遅れたけど農水省さんがお仕事をしたということか。でも、当初は「担当者が北海道庁に文書で対応を依頼」ということなので、それって、べたに農水省さんのミスってやつではないのか。
まとめると、法的には北海道加ト吉や生協などに罰金払わせろ、というのと、農水省のしくじりじゃん、の2点がこの事件の核心なんじゃないの、か?
とま、以上、ミンチ偽装事件にさらにボケた感想でありました。
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コメント
今回の場合、JAS法での違反は製造者になるのですが、ミートホープは不当景品表示類および不当表示防止法(景品表示法)への違反になるはずです。 なのでミートホープが罰せられないというわけではないはずで。
投稿: まさる | 2007.06.28 12:03
ミンチ偽装をしたのはミートホープなので、
罰せられるべきはミートホープだと思います。
ですので、法律のことはよく分かりませんが、今回の記事については、
極東ブログさんよりNHKブログさんの見解が正しいと思います。
投稿: A | 2007.06.28 13:54
もし、仮に最終製造業者が、善意であったとしても、最高1億の罰金を支払わないといけないでしょうか。
北海道加ト吉や生協だったら、原材料の安全性や内容物を自前でチェックするとか、賠償で1億くらい払うくらいはできるでしょうが、、個人商店レベルの飲食店だったりしたら、、どっちもできまへん。クビくくらないと払えませんがな。
投稿: nuke | 2007.06.28 15:36
不正競争防止法にめちゃくちゃ引っかかりますよぉ。
2条1項13号違反です。
十年以下の懲役、罰金は3億円以下です。
投稿: hamana | 2007.06.28 16:39
> 罰せられるべきはミートホープだと思います。
finalventさんは「べき」論の話をしているのではないと思うのですが。
それにしても、豚肉を混ぜているどころではなさそうですが・・・
投稿: | 2007.06.28 16:41
コメント欄の指摘でエントリの拠所である「最初のは、ミンチ偽装事件ってミートホープについては違法性は全然ないっぽいこと。」ということが、まったくの嘘であり、所謂陰謀論としてのエントリになっていますね。私は、法律に詳しくないので、この方面ではfinalvent氏のエントリが正しいとして、書きます。
法律に触れなければ、ミーとホープ君的事業者は、人に害を為すこと無ければ、ナニをやっても良いというのが、エントリの主旨と理解しました。三つ目のへぇ!!腐った豚や回虫を混入して目方を増やす、これはいけないことですね。しかし、ビーフコロッケを偽り、犬肉や猫肉やなんかは幾ら混ぜてもOKだと。イクラなんでも、それfinalventさん、おかしいッスよ。
あなた、本当かどうか知らないけど「モラルの低い人を傍観するようになった。それでも、小さな子どもや老人や身体障害者が自転車の危険にさらされそうなときは、私はダッシュして彼らを守るべく行動する。これだけは変わらない。」とか、書いていたじゃないですか?その心意気。コロッケと自転車。
・・・まったく、ダルフールについては、小さな叫び声をあげるのに、身近な問題については、超法規的な人だと、私は思うし、小さな叫び声の受け手にも誤解されてしまいますよ。
投稿: けろやん。 | 2007.06.28 19:08
素人なりに知るところでは景品表示法は一般消費者保護が目的、つまりBtoC取引に適用されるものでこのケースではやはりカトキチや生協が消費者に対して負う問題なのでは?ミートホープの責任はBtoBの企業間取引での問題でしょう。
つまり
・消費者⇔カトキチ・生協:JAS法、不当景品類及び不当表示防止法で対処
がまずあり、
・カトキチ・生協⇔ミートホープ:契約不履行か詐欺で損害賠償とか?
という段階を踏むのではないですか。
それでもミートホープ(あるいは食肉業界?)の対応は悪質なので監視なり指導なりできるように農水省はちゃんとしてよというのがこのエントリーの趣旨で別におかしいと思えません。
なお、ことなかれであればこんな地雷臭い件に言及しないでしょう。これもまた小さな声なんだと私は解釈してますよ。そんなに聞こえないものなんでしょうかね。もしかすると聞こえすぎて耳障りなんでしょうかね。
投稿: papepo | 2007.06.28 21:56
偽装したミートホープが法的には罪に問われず、
ミートホープに騙されたカトキチ・生協が、
罰せられるというのは、おかしいのではないか。
カトキチ・生協が罰せられるというのなら、
その罰と同等の責任をミートホープも負うべきではないか。
以上がNHKブログさんの見解だと思います。
それに対して、
ミートホープは法的に罪が無いのだから、
ミートホープに対して責任を追及するのはおかしい。
というのが、極東ブログさんの見解だと解釈しました。
以上のような解釈に基づいて、
偽装したミートホープが罰せられず、
確認を怠ったカトキチ・生協だけが罰せられるのは、
公正ではないと思いました。
ですので、極東ブログさんよりNHKブログさんの見解が正しいと思いました。
投稿: A | 2007.06.29 00:54
ミートホープの件がいかなる意味でも違法でないなら、
法改正によって法の不備を修正するべきです。
ただし法の不遡及の原則があるので
ミートホープをその法改正によって罰することはできません。
今回はJAS法以外でも違法となりうるようなので
記事の立論自体がハズレになるかも知れないわけですが、
それで罰せられれば帳尻が合ってよろしいのではないですか。
投稿: h | 2007.06.29 01:46
加ト吉や生協が罰金払って、取引先には詐欺と契約違反で損害賠償、と考えればよいのでしょうか? 安全上問題が無い範囲での偽装に関しては、それはそれでいいと思う。
契約の概念が日本では無きに等しいためか、それだけで許さないのが日本の世論。で、個別の法律と検査業務まで作って役人の仕事を増やしていく。税金高い、役人使えない、と言うそばから国民が要求するんだから始末に負えない。
投稿: 円山貫 | 2007.06.29 06:13
>Aさん
>ミートホープは法的に罪が無いのだから、
>ミートホープに対して責任を追及するのはおかしい。
>というのが、極東ブログさんの見解
ではなく、
>ミートホープは法的に罪が無いんじゃなかろうか。
>だとすると、
>ミートホープに対して「法的」責任を追及するのは「現行法下では」おかしい。
>というのが、極東ブログさんの見解
ではないでしょうか。
私も最初は「なんでやねん」と思いましたが、どうも我々は法的なものの考え方というのが苦手な傾向にある様です。
投稿: カルマ | 2007.06.29 13:40
カルマさんへ
私は次のように解釈しています。
ミートホープは、
法的には罰せられないけれども、
その罰と同等の責任を負ってしかるべきだ、
というのが、NHKブログさんの見解であり、
ミートホープは、
法的には罰せられないけれども、
その罰と同等の責任を追及するのもおかしい、
というのが、極東ブログさんの見解だと思っています。
論点は、
ミートホープは法的に罰せられるか、否か、
ではなくて、
ミートホープは法的には罰せられないが、
同等の責任を負うべきか、否か、
だと思います。
法の精神と言うと大げさですが、公正さという点で、
ミートホープは同等の責任を負うべきだという、
NHKブログさんの見解に賛成です。
投稿: A | 2007.06.29 15:27
あのさぁ、中国産品の怖さが取り沙汰されてたりするけど、これって中国の業者や当局に当然努力というか期待はせざる得ないわけど、それを「当て」にして取り扱う日本の商社や販売店がイケイケドンドンやられても困る訳で、ミートホープは国内事業者だけど、この場合は監督主務省と現地行政局を「当て」にしつつ、やはり加ト吉や生協の姿勢こそ問われるべきだと自分は思う。
投稿: トリル | 2007.06.29 15:29
素晴らしい位、色々手をかけている。
人件費を考えたら、普通に売った方が安くつくのではないか?
工夫する方向を間違えているよ。正しい方向へ向かえば、良い会社になったのではないか。
投稿: K | 2007.06.30 20:09
不正競争防止法とか見てきましたが。
ミートホープを咎める法律はちゃんとあって、JAS法は単に関係がない、ということのようですね。
投稿: TK | 2007.07.01 09:51