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2007.05.16

米ペットフード事件に関連した人間の食の問題についてメモ

 米ペットフード事件については特に取り上げてこなかった。単なる中国バッシングでは意味がないことと、化学・医学面でよくわからない点があることだった。後者については、ニュース報道ではあまり見かけないように思われるが、日本語版ウィキペディアのメラミンの項目にあるように、毒性は、メラミン単独ではなくシアヌル酸との化学反応によるものらしい(参照)。


なお2007年に、メラミンが混入された中国企業産ペットフードがアメリカ等に輸出されて犬や猫が主に腎不全で死亡する事件があった。メラミンはペットフード中のタンパク含有量(窒素含有量)を多く見せかけるために混入されたものとみられる。 この毒性はメラミン単独ではなく、シアヌル酸との化学反応により得られた結晶にあったと考えられている。

 より科学的な詳細については、英語版ウィキペディアのMelamineの項目にある”Focus on melamine and cyanuric acid : Melamine”(参照)が詳しい。
 ネット上のリソースとして日本語で読めるものとしては、ホームページ「猫のIBD」(参照)にある”リコールの件”(参照)が詳しい。
 現状の日本人の問題意識としては、このペットフード事件が日本人の通常の食とどう関わるかという点だが、先の”リコールの件”に詳しいが、それほど心配することでもないさそうだ。

人間の食物経路へメラミン流入

リコールで回収されたペットフードが豚や鶏の飼料として処分されていることがわかり、人間の食物経路へのメラミン流入危機について波紋が広がる。まだ市場へ出回っていない分については出荷自主規制。

5/7 FDAとUSDAが合同ニュースリリースを発表。多くの政府機関からの科学者を集めたチームによりメラミン汚染飼料を食べた鶏や豚の肉を人間が食べても、極めて低いリスクしかないことがあらためて確認されたと報告。その他すべての影響評価の報告を受けてから、今週中には現在一時留め置き中の鶏、豚をどうするかが決定される由。 5/14同様内容の公表

メラミン汚染飼料原料は魚用飼料原料としてカナダへも運ばれ、出来上がった魚用飼料はアメリカへ持ち込まれて養殖に使われた。魚への影響については、先に調べられている豚や鶏と同程度とみられる。 中国からの小麦粉については、小麦粉は小麦粉であり内容を偽装する必要がないため、汚染されている可能性が高いとは考えられないとの事。 魚用飼料原料にもケムニュートラ社が関わっていた。


 基本的には、家畜を介した食物連鎖で人間が毒性の影響を受ける可能性と、人間が食べる加工品材料に同質の毒性があるかという2点だが、どちらもそれほど深刻ではなさそうだ。
 英語版ウィキペディアには、今回のペットフード事件についてかなり詳細なまとめである”2007 pet food crisis ”(参照)が上がっており、ざっと見た感じ新書一冊分くらいの情報が含まれている。
 この中に、”Impact on human food supply(人間食物供給への影響)”(参照)という項目もあり、今後の参考にもなるかもしれないので、簡単に訳しておきたい。エラーがあれば、コメントでご指摘を。できれば、バーカバーカといったノイズは少なめに。

Impact on human food supply(人間食物供給への影響)

While U.S. officials say they don't believe melamine alone to be harmful to humans, they have too little data to determine how it reacts with other substances, in particular, the combination of melamine with cyanuric acid, a similar chemical known to be found in the waste product of at least some methods of melamine production[121], and which combination some American and Canadian scientists have suggested may have led to the pet deaths through kidney failure.[122][67][123]
(米政府当局者はメラミンは単独では人間に有害ではないと述べているが、メラミンが他の物質、特に、シアヌル酸とどのように反応するかについて、当局者ほとんど情報をもっていない。シアヌル酸は、メラミン製造手法によっては廃棄物のなかに存在することが知られている。米国またカナダの科学者は、腎不全でペットを死に至らしめたのはメラミンとシアヌル酸の化合物であると示唆している。)

In the United States, three potential vectors of impact on the human food supply have been identified. The first, which has already been acknowledged to have occurred by US FDA and USDA officials, is via contaminated ingredients imported for use in pet foods and sold for use as salvage in animal feed which has been fed to some number of hogs and chickens, the meat from which has been processed and sold to some number of consumers: "There is very low risk to human health" in such cases involving pork and poultry.[124][125][126][14] On May 1, the FDA and USDA stated that millions of chickens fed feed tainted with contaminated pet food had been consumed by an estimated 2.5 to 3 million people.[12]
(米国では、人間食物供給への影響について潜在的な3要素が特定されている。第一は、汚染された原材料によるもので、これは米国FDAとUSDA担当者によってすでに認められている。これらの原材料は、ペットフード用に輸入され、豚や鶏用の餌への廃品として販売されていたものだ。この豚や鶏肉が加工されすでに消費者に販売されていた。しかし、豚や鶏肉を介した場合では「人間の健康へのリスクは非常に小さい」とされている。5月1日、FDAとUSDAは、汚染ペットフードを含んだ何百万もの鶏が250万から300万人に消費されたされたと述べている。)

The second potential vector is via contaminated vegetable proteins imported for intended use as animal feed, which has apparently been acknowledged to occur with regard to fish feed in Canada,[127][128] while the third possible route is via contaminated vegetable proteins imported for intended use in human food products, and the FDA has issued an import alert subjecting all chinese vegetable proteins to detention without examination."[11][4]
(第2の経路は、養殖用の餌として輸入された植物性たんぱく質の汚染によるものだ。すでにカナダでの魚の餌に利用されていたことが解明されている。第3の経路は、人間の食物に利用するために輸入された植物性たんぱく質の汚染によるものだ。FDAはすでに検査なしで中国製植物たんぱく質を引き留める輸入警告を出している。)

A fourth potential vector is referred to in the May 10 FDA-USDA press conference, viz. incorporation of contaminated vegetable proteins into products intended for human use and subsequent importation.[128]
(第4の潜在的要素については、5月10日のFDAとUSDAの記者会見で言及されているが、汚染された植物性たんぱく質が意図的で人間の利用や今後の輸入品に混入されることだ。)

The original Xuzhou Anying wheat gluten was "human grade," as opposed to "feed grade," meaning that it could have been used to make food for humans such as bread or pasta. At least one contaminated batch was used to make food for humans, but the FDA quarantined it before any was sold. The FDA also notified the Centers For Disease Control and Prevention to watch for new patients admitted to hospitals with renal failure. There have been no observed increases in human illnesses and little human food has tested as contaminated, however the FDA still has not accounted for all of the Xuzhou Anying wheat gluten.[129]
(元来、徐州安営生物技術開発公司の小麦グルテンは人間食向け品質であり、飼料品質ではなかった。つまり、人間が食べるパンやパスタに利用可能なものであった。少なくとも一塊は人間食向けに利用されたが、FDAはそれが販売される以前に隔離したとしている。また、FDAは疾病対策予防センターに対して、新患者に腎不全が認められるか注意するよう通知した。人間の疾病は観察されておらず、人間向け食材の汚染についてはわずかだが、FDAは依然徐州安営生物技術開発公司の小麦グルテンすべてを認可していない。)

Reports of widespread melamine adulteration in Chinese animal feed have raised the possibility of wider melamine contamination in the human food supply in China and abroad.[10] Despite the widely reported ban on melamine use in vegetable proteins in China, at least some chemical manufacturers continue to report selling it for use in animal feed and in products for human consumption. Said Li Xiuping, a manager at Henan Xinxiang Huaxing Chemical in Henan Province: "Our chemical products are mostly used for additives, not for animal feed. Melamine is mainly used in the chemical industry, but it can also be used in making cakes." [130]
(中国製家畜飼料へのメラミン不純物混入拡散の報告は、中国内のみならず海外の人間の食の供給に対する幅広いメラミン汚染の可能性を喚起した。中国で植物性たんぱく質にメラミンを使用ことは広く禁止と報告されているにもかかわらず、化学品製造業社によっては、人間が消費する食品となる家畜の飼料として、その販売を継続すると未だに報告している。河南省の河南新郷Huaxing化学社の管理者Li Xiupingによると、「私たちの化学製品は添加物に利用されますが、家畜飼料用ではありません。メラミンは主に化学産業で利用されますが、同時にケーキを作るにも利用されます」とのことだ。)


 ウィキペディアとしての公平性に欠ける印象もあるが、事実の点において大きな間違いはなさそうだ。潜在的に日本人にとっても警告となる指摘もあるかと思われる。

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コメント

世界人口と環境汚染の増加で未来の食品はまず自然、有機等はなくなるのではないか。今のブームはインテリと裕福層に限定されていると思う。脳が美味いといえば美味いから、そのような薬(安全な)を含んだ加工食品の時代が来ると思う。その制御により無理に家畜を喰らうために商業ベースにのせる現今の文明のありようが問われるのではないか。競馬で用済みの馬刺しが筋肉増強剤で作られたり、軟らかい肉好きの顎骨のない顔立ち裕福層が進化、退化かはこれからの進化と食にゆだねられるのではないか。私は虫歯なし、顎が強いからか硬いステーキが好きだ。肉そのものではなく、唾液による旨味の快楽過程があると思う。

投稿: アカギ | 2007.05.17 01:06

自分で検査もせずに怪しげなとこから仕入れてさっさと…
ツッコマナイのがグローバル化ですかそうですか。
ふつうはお店潰れます。

投稿: わすれた | 2007.05.27 23:06

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