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2007.04.20

[書評]男は3語であやつれる(伊東明)

 男にとってこれほど楽しめる自虐系エンタ本ないのではないか。「男は3語であやつれる(伊東明)」(参照)を読みながら、おっ、これはイタイ、かなりイタイ、これはちょっと回復に一服必要系のダメージ、一晩ヤケ酒系のダメージとか、わくわくしながら読んだ。もっとも書籍としてはどうよなんだけど、エンタ本は笑ってなんぼでしょ。

cover
男は3語で
あやつれる
伊東明
 読みながら、これはブログ男の心理そのものではないかという感じもしてきて、ヒリヒリとイタイ。

「眠れる獅子」「身を潜める龍」「在野の大賢人」。男性が好きなイメージです。
 ほとんどの男は心のどこかで「オレはこう見えても眠れる獅子だぜ、ほんとうはタダ者じゃないんだぜ」という妄想を抱いて生きています。

 おお、そうそう (はい、そこのヤローさんたち合唱で、はい、「そうそう」ご一緒に)。特に、ブログなんて「眠れる獅子」「身を潜める龍」「在野の大賢人」が絢爛豪華じゃないですか。自傷じゃないや自称しているイタイのから、はてブに「この指摘はするどい」とか書いてもらいたいが一心でダイアリーもといエントリーに小難しいこと書いてみたり、オレはただの引き籠もりじゃないんだ以下略。

 ただ、眠れる獅子も、ときどき起きてその姿を見せたくなるときがあるようです。「タダ者じゃないオレ」を見せたくてたまらないときがあるのです。「よくいるタイプ」と思われるのは大変な屈辱。「血液型、いかにもB型って感じするよね」などと、枠にくくられるとガックリきてしまいます。「オレはあえて眠れる獅子でいるんだ、でもそれを見抜けない世間のやつらがバカなんだ」ぐらいに思っているのです。

 というわけで、これは恰好のお魚くんなんで、2ちゃんとかその他の雑魚メディア、もとい匿名メディアもとい釣りメディアの恰好の釣り対象となってしまうわけで、そこはもう「在野の大賢人」ブロガーなら、釣られると見せかけて釣るくらいの構えをもってないといけないものだなんて、ああ、なんてイタ過ぎ。
 本書はおじさん世代攻略にバッチグー(死語)。ちなみにおじさん世代というのは、だいたい三十五歳から四十五歳か。これもイタイぞお前ら。イタがってないで現代幇間の技術と心得るべし。

 おじさん世代には「諸葛孔明」も効きます。部長が会議でいい発言をしたり、知的なことを言ったら、「○○部長って孔明タイプですよね」。これで勝ちです。男で諸葛孔明みたいと言われてうれしくならない人は絶対にいません。お世辞とわかっていても、ちょっとニヤけてしまうでしょう。

 そりゃもう(例外ブロガーを一名知っているが)。
 このイタサはある程度実証できる。gooランキング”好きな「三国志」の武将ランキング”(参照)を見よである。ランキングを見ていると、劉備(玄徳)みたいなのも使えるかもだが、関羽(雲長)はちと中華街ぽいか。

 これが効くのは、プライドをくすぐられた喜びプラス、『三国志』という男の領域をこの女性は理解してくれている、といううれしさがあるからです。「信長」「家康」「秀吉」あたりは人によって好みが分かれるので、ちょっとリスクがあるでしょう。坂本龍馬、武田信玄あたりなら、ほぼ大丈夫だと思います。

 あと、ガンダムネタとか加えるときっとあのブロガーとあのブロガーとあのブロガーだって釣れますよ。
 つうわけでヤローやオッサン・ブログを俯瞰するにも使える書籍だということはご理解いただけたかと思いますというのはネタなんで、読者マーケット的に見ると、これっていわゆる女性が社会性のために知るべき基礎知識とかでありながら、読みつつ、いやちょっと違うかな。男が女につらく当たったというケースで。

 かといって、単純に「ごめん」と謝られるよりも、「ほんとはやさしいから言ってくれているんだよね」「私のためを思って厳しく言ってくれているんだよね」と言われたほうが、「そうだよ、わかってくれたな」と、思わず抱きしめたくなるほどグッとくるのが男性なのです。

 これね。著者心理学者なので、たぶん、ここには校正上のヌケがあると思うのだけど、つまり、「男性なのです」の前に、「DVの」がヌケ。そして、こんなふうに言う女あるいはそう思いこんで自己催眠的に○ナっちゃう女、オメー一生不幸から抜け出せないって。それってば傍から見ていると好きで自虐やってるだけだってば、というか、そこまでして何かを支配したい女の欲望って何?という文学的な領域になる。
 似たようなネタとしては。

男性が自分のワルぶりを披露し始めたら、笑ってはいけません。ここでうっとり尊敬のまなざしで見つめてあげてください。そして、「○○さんってかっこいい」とつけ加えられたら上級です。
 じつはみんな心のどこかで、自分は単なる群れのなかの子羊じゃないかと不安に思っているのです。だからこそ、「ワルなオレ」を認めてくれる女性には、とても好感を持ちます。きっと、堅実に仕事をがんばっている独身男性や、家庭を持って落ち着いている人ほど、「ワルなんでしょ」と言われたら大喜びです。

 ネタバレもなんだが、ちょいワルオヤジには二種類あって、一つはこの実は小心者というのと、もう一つはただのスケベというの。で、賢い女性としては後者はけっこう後腐れなくていいかなと前者と後者をTPO(死語)で選り分けているだけ。というか、あまりそういう賢さもどうかと思うが。むしろ。

普通に会話ができる男性がいたら、そのれだけで貴重品と思ってください。そういう人はつかまえておいて損はありませんよ

 ということになる。普通に会話っていうのは、コミュとか非コミュとかじゃなくて、もっとべたなものでしょう。問題解決型会話というか。
 以上、上目目線で書いてみたが、個人的には、これはイタイなこれをくらったら、オレもやられるながある(とか妄想しているあたりのイタさはさておき)。世代的な嗜好かもと思うけど。現代版雨世の品定めにて。

 それから、「大事なのは透明感」だねという話で盛り上がりました。もちろん、男は小悪魔っぽい女性とか、セクシーな女性にくらっときます。しかし、「口説きたい」じゃなくて「いつもそばにいてほしい」、「ちやほやしたい」でなくて「大切にしたい」。簡単に言えば、一晩を一緒に過ごす相手としてではなく、彼女にしたい・結婚したいと本気で思えるのは透明感のある女性です。

 というくだりでしょうかね。気になるかたはそのあたりのテクも載っているけど。
 本書の締めは、いずれ松下幸之助かというマジックワード、仕入先も道行く人もみなお得意先、じゃなくて、「ありがとう」。

「ありがとう」
ここまで読んできて、最後にに出てきたのがこのあまりにも平凡な言葉なので、拍子抜けしている人も多いかもしれません。でも、これだけ大事な言葉だと誰もがわかっていながら、実際は言えてない言葉が「ありがとう」ではないでしょうか。

 違うね。その言葉のせつなさから恋が始まる。

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コメント

この本て、「こういう風に男に向かって言う女はダメ」と
反転させた使い方もできそうですよね。

いや、その逆かな?

投稿: standup | 2007.04.20 11:00

なんだ!分かってるならもっとやってよ!ちゃんとやってよ!
という気分です。

といいますか、女性はそういう方向で関心が無いから男は切ないのだと思うんですけど。「へえ、そうなんだ」てなもんで。

投稿: papepo | 2007.04.20 11:49

>その言葉のせつなさから恋が始まる。

ウギャー、痛い、のた打ち回るぐらい痛いですよ、胸に突き刺さる(笑)

投稿: 無粋な人 | 2007.04.20 11:51

今回のエントリに誤字脱字が多いのは、やはりイタさにのたうち回っているからでしょうかw って人ごとじゃねえよオレもw

投稿: つんつん | 2007.04.20 14:34

すみません。この著者は女性なんだろうと思ってました。男性とは思いもしませんでした。
痛すぎて死にそうです。
例えれば夕方駅前の人ごみで尻を突き出してモジモジしている革靴履いた全裸のおじさんを見てしまったときのようです。
何故この人はこんなことを公に書いてしまうのでしょうか。

投稿: papepo | 2007.04.20 15:08

完全に撃墜される自信がある・・・

投稿: だめだ | 2007.04.20 16:05

『彼女にしたい・結婚したいと本気で思えるのは透明感のある女性です。』

それは浮気しても透明なのでスルーしてゆく都合のいい女のことですかね。毒にもクスリにもならない女なんか飽きますよ。即。

投稿: ホの字 | 2007.04.20 16:51

これほど多く性について語っているのに
なぜ本人にまったく性を感じないのだろう

投稿: | 2007.04.20 17:10

女衒は女房衆の為に存在するのだ、といってみたり。

あれは肉体のある『幻の女』ですから。

投稿: 夢応の鯉魚 | 2007.04.20 18:30

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