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2007.04.02

昭和三〇年代生まれには理系爺さんが懐かしい

 雑談。話は標題通りで、昭和三〇年代生まれには理系爺さんが懐かしい、ということ。雑談にありがちで、自分がそうだから他の昭和三〇年代もそうでしょという、論理も糞もない話だが、そうはいっても昭和三二年生まれの私が子供だったころ、学校やメディアにも理系爺さんはけっこういた。とかいう以前に私の父親がそうだった。小学校五年生のときに「電気磁気」を教えてもった。共振回路の設計にルート計算が必要なので解き方を教わった。で、よかったか? 学校が退屈になった。理系の学習が暇なのと思春期特有のなんたらで高校生のころ詩とか書き出して、吉本隆明がいうところの文学の毒で瀕死。まあ、それはどうでもいいんだけど。
 実家の書棚を整理すると、小学生のころや中学生のころの理科・科学・数学関係の、子供向け啓蒙書とか、ブルーバックスの都筑卓司の本とかごそっと出てくる。電気や化学の実験器具とかも出てくる。あはは。っていうか懐かしい。初等になるほど懐かしさがこみ上げてきて、なんというか、ららら科学のぉ子ぉ♪みたいなもので、世界に希望もって生きていたなと思う。そして、あのころの理科系爺さんたちは、今思うとわかるけど、戦争っていう難儀な世間から解放されてとても未来に生き生きとしていた。
 現代でこういうとなんだけど、私のデフォっていうか原点では、原子力ってのは自然に対する科学の勝利なんで原発によって人類は無限のエネルギーを持つ可能性ができた、あとはシズマドライブだけだみたいなそんな感じで、滅法明るい。原発事故とあっても、セキュリティの科学というのはしっかりしているからだけっこう大丈夫だよ、もっと人類の明るい未来を見ようよ、みたいなランラン少年だった。
 自分が世代的に取り残されたかなとなんとなく思ったのは、ノストラダムスの大予言あたりだろうか。あれね、私には、く、くだらねー、非科学ぅ、みたいなものでしたよ。ありえないじゃんで終わり。でも、それをけっこうマジ信じている若い子たちが一群いて、へぇと思ったことがある。二〇代に入ってからか。ああ、こいつら自分と世代というか、科学的世界っていうもの基本的な感性が違うなと。科学が身近じゃないんだ、こいつらとも思った。私たちの世代は科学爺たちのせいだけど、科学っていうのがもう身近極まるんですよ。お風呂のなかのおならがプーでも、アルキメデスの原理とかパスカルの原理とかそういう世界。もっとも、こういう科学好き好きというのはどの世代にも一定数はいるのかもしれないので、単純に世代論では切れないのだろうけど。
 そういうレトロな科学少年の世界にはそれなりのロマンもあって、手塚治虫とかそうかなと思う。特に生化学とか医学的な部分とか、もっとべたに言うと、生殖関連の科学知識と倒錯したといってもいいかと思うがそのあたりのロマンというか。サイボーグ009とかもそうで、私なんかの感じだとけっこうサイバーパンクっていうか生臭い感じがある。で、そういうなかで倫理的な問いというのは神話的なもので、後のガンダムとかエヴァンゲリオン的な言葉が際だつ倫理でもない。スターウォーズとかはレンズマンとかの、あれっぽいSF伝統の感じもあるけど。
 そういう自分が今年は五〇歳。若い人からは老人に見えるだろうし、自分の上の団塊世代は自身をうまく老人と認識してないから五〇代なんか見えてない。世代論はどうでもいいけど、団塊世代もまた、きちんとした科学知識がない人が多い。もっとも反面べたに科学的な人たちがいて面白いけど。

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算数おもしろ大事典 IQ
 とかたらたらと書いたものの、最初思っていたのは「算数おもしろ大事典 IQ」(参照)。これをたまたま発見して中をめくってみたらもうもうこの雰囲気が懐かしくて泣けそうで買ってしまったよ。話は、算数をベースにして科学を面白くまとめたコラムみたいなもの。
 アマゾンの素人評にこうあるけど、復刻らしい。

長らく絶版でしたが、プレジデントファミリーで紹介されて中古市場で大ブレイクし、再版されたようです。類書があまりなく、いずれまた絶版になるおそれがあるので、書店にあるうちに買っておくべきでしょう。

 プレジデントファミリーというのはよくわからないが、雑誌らしく、その06年12月号の「頭のいい子の勉強部屋」という特集記事に、国際数学オリンピックで金メダルを受賞した高校生が小学生のときに愛読した本として紹介されていたらしい。それで親たちが、我が子も国際数学オリンピックのセンスをと思ったのかもしれない。あほかね。国際数学オリンピックっていうのは、まじな数学のセンスが問われるのにね。つうか、秋山仁とかピーター・フランクルとか荻野暢也とかまあ、変人になってしまいますよ。
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ふしぎふしぎ200
ふしぎ新聞社
 そういえばこの手の本で最近面白かったのは、「ふしぎふしぎ200(ふしぎ新聞社)」(参照)だ。もうタイトルからしてレトロなのだが、中身ももう昔の子供ワクワクの話ばかり。

「ヒエログリフで自分の名前を書いてみる」「トノサマバッタを上手に釣る方法」「大きなシャボン玉をつくる方法」など、一度はやって、誰かに自慢してみたくなることがいっぱい。人間もゾウもネズミも一生の間に心臓が打つ回数は同じくらいなんだという話や、アラスカの大地を撮り続けた星野道夫さんのエピソードなど、興味深いテーマも多く掲載されている。また、こだわりや誇りをもって自分の仕事をしている人たちの話なども多彩に盛り込まれている。
 本書は月刊「たくさんのふしぎ」通巻200号を記念して出版された。これまでの「たくさんのふしぎ」1冊1冊のメインとなっている「ふしぎ」があらためて取り上げられ、ぎゅっと詰め込まれている。クイズ、なぞなぞ、パズル、一筆書きをはじめ、本をぱらぱらとめくると動いて見える絵まで、いろいろな楽しい遊びが満載だ。

 そういえば、先日ってか昨年の夏の終わりだったか、公園でぼけっとしていたら、草むらで小学生とかがぎゃーぎゃーわめいているので、なんか事件でもあったのかと、オッサン28号は起きあがって見に行ったのだが、なんのことはない、カマキリだよ。カマキリが怖ーいとかぬかしてやんの。もう、あれですよ、スイッチ入っちゃいましたよ。「大丈夫、こんなの怖くない。やられても手にちょっと傷ができて血が出るくらい」……やば、そういうのが今の子はダメなのかもしれんな……「あのね、かまきりというのは持ち方があるんだよ。こうやって」……と背と腹の接点をちょいと摘む。「ほらね、こうすると、大丈夫。ははは、がんばれ、あばれろカマキリ」とか、つぶやく私はすっかり変なオッサンでしたよ。「おい、帽子持っているか。もっていたら、こいつにかぶせて、二〇分くらい暗いところに置くと、目の色が黒くなるんだぞ……」
 とか思い出すと、こういう時はけっこう幸福感がある。私が子供の頃のあの理科系爺さんたちもほんと幸せそうだったよなと思い出す。

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コメント

カマリキは近所の空き地に捕りにいったな。
緑色の奴と茶色の奴が居て、仲間内では茶色のでかいのはレア扱いだった。
その空き地にはジョロウ蜘蛛やアシナガ蜘蛛がいっぱい巣を張ってて、
的当てよろしく石をぶつけまくったのも良い思い出だ・・・。

投稿: うps | 2007.04.02 10:26

この頃昭和30年代ブームみたいで「3丁目の夕日」とか昨日見た「フラガール」(ちょっとずれてるかも)とか 夢や希望があった時代が妙に取り上げられていますね。原発が近いおいらとしては 地元民は税収が増えて喜ぶけれど、北朝○が爆破するならここだよな~としみじみ思うのです。そして、その電力はこっちにながれてこないという場所。わくわくはしないけれど、朝鮮半島情勢にどきどきはするわけです。かまきりもめっきり見なくなり、青大将が干からびてるなんてことも減った昨今。子供は外で声をかけられたら「逃げろ!」とさみしくなっていく次第です。
昨日きたねえかわらを散歩しながら こんな汚い川にも鳥がと思いつつ、ゴミ掃除する アルピニスト 野口さんの気持ちがわかりました。
まあ 掃除しませんけど・・・。

投稿: りん! | 2007.04.02 10:48

2つ下です。
文系の父が毎月「なぜだろうなぜかしら」を買ってきてました。親に押し付けられたにしては、結構熱中して読んだ記憶が・・・泣ける記憶です。

投稿: P太 | 2007.04.02 14:19

私は小学生の頃はドラえもんの学習漫画シリーズ算数編!みたいなのを延々と読まされてました。おかげで算数には苦労しなかったのですが、理科は最後まで好きになれませんでしたね。理科や科学に対する興味てのは、周囲の環境で決められるところが大きいというのはよく聞きます。

子供の頃から科学を身近に感じてきた子供は、最初から科学を勉強するつもりで理科の授業を聞いています。しかし、そうでない子供はそもそも科学というものの手触りがよく分かってませんから、どうしてもそこから離れて行かざるを得なくなっているような。

そういやベネッセの調査によれば、最近の頭のいい中学生は「理数型」ではなく「英数型」になる傾向が強いだとか。今の子供たちにとっては数学は科学ではなく言語である、とか考えるとちょっとツボです(でもそれって案外正解だったり?)。

投稿: HaruK | 2007.04.02 17:36

>英数型
就職に有利だからでしょうね。

投稿: bias | 2007.04.02 21:20

僕は団塊Jr.世代ですが、親父が俺もこれで育ったとか言って買ってきた「子供の科学」で小学校時代を過ごしましたよ。当時BASICとかも少し扱われてましたが、やっぱりメインは鉱石ラジオ的なものでしたね。その頃の僕にとって科学とはハンダ付けのことでした…。そのまま工学系へ邁進、のはずが、火の鳥やナウシカが遠因で文転?しましたね。

投稿: standup | 2007.04.03 02:06

関係ない話なんだが、ゴルゴンチーズに巣蜜は巣が歯に詰まって合わなんだ。ほんでもってあんまりたくさんも喰えないな、コレ。
巣蜜はトーストには合いそうだ。
グルジェフの音楽だけど、ジョン・ゾーンのレーベルにモロッコ:ブック・オフ・エンジェルというシリーズが有って、この前注文していたユリ・ケインが担当?してる第6巻を聴いていたら、結構近い感じだったよ。多少ジャズの匂いのするのも混ざっているけど面白かった。
そんだけ。

投稿: トリル | 2007.04.03 05:47

理国型の私です。妙な人生の面白さはありますが、社会生活に圧倒的に不利です。理系爺さん予備軍なのは自覚。

投稿: 無粋な人 | 2007.04.03 13:36

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