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2007.04.09

2007年都知事選雑感

 都知事選には関心がなかったが蓋を開けてみて、へぇと思ったことがまったくなかったわけでもないし、その、自分にとっての小さな新規性の感覚は、案外これからの日本を考えていくときの軸になるかもしれないのでメモ書きしておこう。
 まず結果だが、読売新聞東京都知事選 : 開票結果 : 統一地方選2007””(参照)より。


得票数(得票率) 氏名 年齢 党派(推薦等) 新旧 当選回数 代表的肩書
2,811,486(51.1%) 石原 慎太郎 74 無所属 現 3 知事
1,693,323(30.8%) 浅野 史郎 59 無所属 新(元)宮城県知事
629,549(11.4%) 吉田 万三 59 無所属(共) 新 (元)足立区長

 四月一日時点でした私の予想はこんな感じ。

 都民の票が1000万くらいか。投票率は40%。全体は400万。
 前回石原は300万だがそこまではいくまい。てえと、石原200なら浅野にも目。
 石原250はいけるか。前回左系動員でせいぜい150万。これに浅野で50万上乗せするか つまり、浮動票がそっちに動くか。
 あまり動かないんでないの。っていうか、浮動票は黒川紀章とかにブラックホールする。すると、石原200万。浅野150万。のこり50万。かな?
 勘だと、石原200万、浅野100万。残り100万。か?

 大差で浅野が負けるというのは予想通り。比率で見て、石原50%、浅野が30%くらいとすればこの予想も当たりではある。
 が、投票率が54・35%と高い点は大きく外した。日経”知事選投票率2ポイント増の54.85%”(参照)より。

 統一地方選前半戦の平均投票率は、13都道県知事選で54.85%となり、前回(2003年)から2.22ポイント上昇した。知事選のうち投票率が前回を上回ったのは北海道、東京都、福岡県だけだが、東京都知事選が54.35%と、前回より9.41ポイントも高いため、全体を押し上げた。

 前回の石原が300万票で今回は280万票。前回より投票率が高くても票が減ったわけだし、前回の比率は70%だったのが今回は50%と見ると、石原支持もだいぶ減ったと朝日新聞社説のようにくさしたくもなる(参照)。だが、前回はまだまだ世界もかなり右傾化した空気だったし、石原の対立候補がいたなんで誰も覚えてすらいないだろう。なので、特殊な選挙だったと見たほうがいい。
 とすると、石原支持層はほとんど変わってもいないし、きちんと選挙にも行きましたということのなのだろう。都民っていうか、東京という疑似国家の国民の政治意識というか活動はけっこう、こりゃすごいわと私は思った。ネットなどではいわゆる左派的リベラル系の発言が目立ち、右傾な発言は2ちゃんねる的なアングラないしサブカルチャー的な発言と見られがちだが、現実世界とネットの言論の差のディスプレースメントというか補正の感覚を養うにはよい結果となった。でも、たぶん左派的なリベラルな人たちには通じてないんじゃないか(あー、非難ではないの糞コメントしないように)。
 浅野170万票については、左派的なリベラルな人たちの現時点の総勢力か、あるいは、民主党がブレているからもうちょっと潜在的な力があるか、なのだが、たぶん逆でむしろ、今回の浅野票は左派的なリベラルな人たちの現時点の総勢力に下駄を履かせているだろう。石原非難の層はけっこうあったし。ということで、左派的なリベラルな層は、東京疑似国家では20~25%くらいの比率はあり、依然強い勢力を持つのではないかと思う。
 というあたりで、ぼんやりと私は小沢の心中を思った。民主党の今回のブレはかなりひどいもので、ひどさにはいろいろ反省点があるが、一つには菅直人を出さなかったのはというあたりの議論をネグってしまうのはまずいのではないか。私は彼をわけあって全然支持しないのだが、民主党がマジで選挙するなら彼くらいの看板しかないのではないか。ところが菅はきちんと今回の負けを読んで動いているわけで、しかも小沢もその動きを是認しつつこらえていたのだろう。そして、私のような従来からの小沢支持者にしてみると、昨今の社民党や共産党とも共闘しようする政治指針に多少異和感がある。もう後がないので民主党の左派勢力に日和っているともとられるのだが、たぶん、そうではなく、反自民の勢力の礎石をなんとか作りたいという一心なのではないか。彼は自民党がどう変わろうかまったく微動だに自民党を信じていないと思う。むしろ、小泉はノイズにしか見えなかったのではないか。この読みが正しければ小沢のビジョンは小沢の政治生命の続く範囲で実現することはないのかもしれない。
 話を地べたにもってくるとと言うか自分なりの庶民感覚でこの都知事選を見ると、石原が自分が勝つと信じたというか浅野に負けるわけないじゃないかと思えた理由は、彼がオモテ向きよく語っているような都政の実績が認められたではなく、浅野なんてあいつ江戸っ子じゃないよ、そんなもの東京の人が支持するわけないじゃないか、ということだったと思う。
 石原が江戸っ子かというとめんどくさい議論になってしまうかもしれないし、むしろ彼は戦後のハイカラボーイの部類だ。だが、今回ぼんやりメディアで久しぶりに石原の言葉を聞いてみると、アプレゲールも爺さんになったのか、とても懐かしい東京人の言葉遣いがある。とても微妙なんだけど。そして言葉遣いというのはただ言葉の表面だけじゃなくて、東京人らしい心のころころっとした動かしかたがある。このあたりうまく表現できないのだが、江戸弁とか古典落語とかなにか擬古的な江戸や東京というのが語られるのでうまく伝えづらいのだが、むしろ石原の言葉の感性はとても東京っぽい。そのあたりは、けっこうなるほどなと思ったし、東京というのはとてもローカルなカルチャーを持っているとも思った。
 地方選全体ということでの雑感を一つだけ加えておくと、島根県知事選で溝口善兵衛(参照)の当選ってなんなんだよ、しかも大差。

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コメント

おはようございます。
江戸っ子として、気持ちいいくらい禿同です。
落語はどう考えてもはまっちゃうだろうから避けてますが、そろそろチェックしちゃおうかな。

投稿: marco11 | 2007.04.09 10:45

東京の若者だからか、黒川紀章からお手紙が。
曰く「区を市に昇格し、個性的な都市の集合を目指します」
http://www.kyoseishinto.org/03.html
ヒント: 東京都特別区
あほらしくなって選挙行く気なくなってしまったよ。

「浅野なんてあいつ江戸っ子じゃないよ」
まぁ、つまりはそういうことなんでしょうね。
半年ROMってから出直して来いというふいんき

結局一番空気読めてたのが石原であり、それが現職の強みなんだろうな。

投稿: な | 2007.04.09 13:19

>ネットなどではいわゆる左派的リベラル系の発言が目立ち

ヲイヲイ?
いろんなブログランキングでも政治・社会系じゃあ「左派的リベラル系」なんぞベスト10にも入ってないじゃないのよ?

あ、弁当オヂチャソが親分格のアロファブロガーの皆さんは「左派的リベラル系」でしたね?w
痴性溢れるアロファブロガーのセンセイ方と、馬鹿で貧乏人のネット右翼共とを一緒にしてスミマセンでした(笑

投稿: ○○毛 | 2007.04.09 15:05

おいらの地元では 現職と共産党の一騎打ち・・・って世論調査でもして選挙しないほうが 地元民のため(費用面)であったように思いますが。選挙費用で印刷費用が還流されるとかはさておき。

投稿: りん! | 2007.04.09 17:30

>浅野なんてあいつ江戸っ子じゃないよ、そんなもの東京の人が支持するわけないじゃないか、ということだったと思う。

この部分を見て、アンチ石原で浅野支持なサヨクサイトが「石原なんて湘南の田舎者ププーw」ってなヘイトバナーを作ってたのを思い出しました。江戸の政治は浅野に任せろ!だったらしいです。
あの手のサイトのセンスってなんなんでしょうね?反政府バナー山盛りのクソ重たいヤツ。

投稿: TR | 2007.04.09 23:17

「右翼討伐委員会」や、「ザ・のじじズム」というサイトに行くと、
今でも安倍さんをヒトラーに重ねたバナーを見ることができます。

安倍さんの顔写真に落書きする某ブーゲンビリアといい、
本当に何なのでしょうね……

投稿: ジンヤ | 2007.04.10 00:27

>○○毛さん

>ネットなどではいわゆる左派的リベラル系の発言が目立ち
その文章の末尾は「と見られがちだが」なのではないでしょうか。

投稿: | 2007.04.10 02:45

別に○○毛さんの味方をするわけではないのですが、
>ネットなどではいわゆる左派的リベラル系の発言が目立ち
確かにこれはないと思いますよ。
finalventさんとは思想が異なるが故に印象が強かっただけかと。
どこかで見たのですが、「石原氏が勝ったのは都知事だからだ」という身も蓋も無い分析があったのですが、妙に胸に落ちました。

投稿: hagakurekakugo | 2007.04.10 04:51

私はありがちに参加意識はあっても候補者にピンとこなかったので誰にすべきかYahooの特集などを参照しながら検討していました。そこで思ったのは普通の会社でいうところの企画書があまりにも出来が悪いということでした。
日常の仕事と思って見ると黒川さんのが一番企画書っぽいかなと思いましたよ。東京は縮小するからコンパクトシティでプランニングするというメッセージがありました。おかげで前提が自分のと違うとはっきり分かった。テーマが漫然としているけどやはり石原さんのは絵面も良くまとまっていた。これは現役の強みみたいなもので実務能力として現れているのではないでしょうか。対照的に革新候補はだらだらと長文を書くのがお好きなようですが伝達能力の決定的な欠如があると思います。調べて無いので逆かもしれませんが、関わりの少ない「書類審査」の選挙区では長文系革新は弱いんじゃ無いでしょうか。

少々暴論ですがコンピュータが世界の何を変えたかというと、実は回覧板や町内会報を分かりやすく簡単に作ることが出来るようになったことが最大の功績ではなかったかと考えています。Macは商業印刷に役立ったように見えますが本当は学校や同好会のプリントのロングテールを相当効率化させたことのほうが重要なのではないかと。当たり前すぎて広告にも出ないニーズである、自分は何者で何をしたくて何を求めているかの表現、そしてそれで積み上がっているのがコンピュータを発達させたアメリカだったんじゃないのかなあと思うのです。

業者まかせ、給料はいただきませんとかの朝三暮四は好きだけどDIYはあまり気の進まない我が国なりのありようを考えると、選挙対策費としては金を出せないないなら国選選挙屋みたいなものをつけたらどうかなあと思います。その費用が1000万円ぐらいで供託金の代わりになる、とか。

投稿: papepo | 2007.04.10 07:14

浅野は一応保守の人間ですから、保守票に食い込んだ上で、反石原の左派票を総取りすれば勝てる、と民主党は考えていたのでしょう。
実際に吉田(共産党)の出馬を辞めさせる、とまでいかないまでも石原に唯一対抗可能な候補として浅野が認知されれば、吉田票の8割は浅野に流れたはずですし、さらに保守票からの流出も見込めたのでは?と思います。
まぁ、負けた後の祭りですが・・・。

投稿: aki | 2007.04.10 08:38

民主党でなくても誰でもそう考えるでしょう。
上の方の考察をまとめると、本丸の保守層を落とせないから
局地戦に走ったということですよね。

今回石原に入れた人はどうやっても石原だったわけで、
これが250万票入ったという結果です。
だとすると最初から勝ち目のない戦いだったということになります。

投稿: @ | 2007.04.10 10:15

沢木耕太郎の『馬車は走る』に収録されてる石原の都知事選を取材した「シジフォスの四十日」を読み返したら、黒川紀章が石原陣営の応援団をしてたんで感慨深かったです。秋山祐徳太子にも触れてました。
美濃部がすごかったのか、時代がそういう時代だったのか、石原慎太郎がかつて落選したというのは今から考えればすごいことだな、と。
ウグイス嬢の仕事はのどを痛めるので浅利慶太がよこした役者を使わずに素人を起用したというあたりがナイーヴだなと思いました。今回はどうしたんだろうこのあたり。
この選挙に比べれば、今回はまあ軽かったんじゃないでしょうか。

投稿: 個人的に | 2007.04.10 11:01

>石原が自分が勝つと信じたというか浅野に負けるわけないじゃないか
>と思えた理由は、彼がオモテ向きよく語っているような都政の実績が
>認められたではなく、浅野なんてあいつ江戸っ子じゃないよ、そんな
>もの東京の人が支持するわけないじゃないか、ということだったと思
>う。

石原閣下の発言のどこに「東京人らしい心のころころっとした動かしかたがある。」のかはそんなに長いこと東京に住んでいるわけではないのでよく分からないのですが、ただ浅野陣営の行動には「野暮」とか「品がない」という言葉で表現されるものものが付着していたかな、という感じがします。
例の「きっこの日記」のエントリーはその際たるものですね。

政治を「粋」とか「野暮」という言葉で語るのは思考停止状態を招くのかな、とも思うのですが。。。

投稿: キングフラダンス | 2007.04.10 23:05

横文字を多用してしまって恐縮ですが、
パブリックマインドって結局はスタイル(スタイリスト像)へのシンパシーなんじゃないかと。

投稿: 夢応の鯉魚 | 2007.04.13 16:20

> 地方選全体ということでの雑感を一つだけ加えておくと、
>島根県知事選で溝口善兵衛(参照)の当選ってなんなんだよ、
>しかも大差。

この人が介入を支持する→通貨戦争で米ヘッヂファンド大敗
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/special/47/naruhodo146.htm

という過去を考えても、島根だけでなく、国の経済政策に
関わった方が良いのでは?という気がする。

まあ立候補したのは本人なわけでとやかく言えんけど。

投稿: そういえば | 2007.04.22 22:59

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