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2007.03.01

死刑確定囚が常時百人の時代

 極めて難しい問題なのでスルーしてしまうか少しためらったのだが、気になることは気になるので取り敢えず時代のログとして書いておこう。話題は、死刑確定囚が常時百人の時代となったようだ、ということ。
 大手紙などジャーナリズムでこの問題がどう取り上げられたのかいまひとつわからないのだが、ネットのリソースとしては二月二十日付けアムネスティのアジアニュース”日本:死刑確定囚が100人となる ”(参照)が新時代の到来日について明確にしている。


本日、日本で死刑確定者数が100人となった。アムネスティ・インターナショナル日本は昨今、特に2000年以降、死刑判決が増えている現状を憂慮する。

 ただしアムネスティのニュースは実際にはニュースというより死刑廃止の主張に近いので事実認識の上ではもう少し距離を置いたほうがいいのかもしれない。なので、ネットを探すと、アムネスティを受けた形で二月二六日付けクリスチャントウデイ”国内の死刑確定囚が100人に、人権団体は厳罰化を憂慮”(参照)の記事がある。

 最高裁判所によると、記録が残る昭和55年以降、全国の地裁・高裁で言い渡された死刑判決は、平成11年までは年間2~15人で推移してきたという。しかし12年以降は、刑罰一般が厳罰化している流れをくんで、年間20~30人に急増。最近3年間で死刑確定囚の数は、平成16年=66人、17年=77人、18年=94人と推移した。
 死刑判決の急増に対し、執行される死刑囚は年数人程度。判決までは順調だが刑の執行だけ滞っている状況だ。このため、最高裁は今後も死刑確定囚の数は常時100人台で推移すると見ている。

 気になるのは、実際の死刑執行数なのだが記事では数人程度としか触れていない。大雑把に考えても、執行数が少ないのに死刑判決が多いので、未執行の死刑確定者数が増えるということになっているのは確かだろう。
 新聞では二月二六日付け読売新聞(大阪)”[今日のノート]極刑”にて「昨年末、死刑囚4人に対する刑が執行された」と書かれていたので、昨年は四人の執行だったのだろうか。
 ネットを見渡すと、”死刑囚リスト(事件史探求)”(参照)というページに近年の推移が掲載されている。ただし、十八年は三名とあり最新の情報は反映していないようだ。この数値の信憑性はよくわからないが、おおよその参考にはなるだろう。
 ざっと見て驚いたのだが、平成に入ってからは多くて七人。それも前年がゼロだったので多くなったという印象なので、だいたい四人程度で推移しており、こうしてみると、死刑執行数は五人程度を上限とするといった国家意思のようなものが感じられる。もちろん、そういう定量的なものではないのだろうが。それでも、現実のところ、日本の極刑には、実際に執行する死刑と執行しない死刑という二つが分かれてきたのではないかという印象もある。つまり、これは実際的には釈放のない終身刑ができつつあるということなのではないか。死刑存廃の議論とは独立したかのように、実態のほうが無規定で先行しているようにも思える。
 ウィキペディアの関連項目”日本における死刑”(参照)ではこう言及されている。

刑事訴訟法の第475条では、死刑は判決確定後、法務大臣の命令により6ヶ月以内に執行することが定められているが、再審の請求や恩赦の出願等の期間はこれに含めないことも定められており、死刑確定から執行まで、多くが数年から十数年もの間、平均では7年6ヶ月を要するのが実際である。異例の早さで死刑が執行されたといわれる池田小児童殺傷事件の死刑囚でさえ、確定してから約1年の時間を要している。そのため、刑を執行されないまま拘置所の中で一生を終える死刑囚もいる。

 このあたりも先の印象と整合している。
 話題が少し逸れるのだが、死刑確定になると身柄は拘置所に移される。とすれば、拘置所には未執行者にあふれているのではないかと思ってネットを見渡すと、〇五年の記事らしいが”まわりが死刑確定の人だらけになってます”(参照)という興味深い話があった。真偽はわからないがこうした実態はどうなっているのだろうか。

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コメント

#死刑判決より死刑確定数の方が問題ですが。
死刑確定数は70年代から2003年までは、概ね数人程度でした(1988年は11人と二桁に達しましたけど)。ところが2004年からまた二桁になり、15、11、20と続いています。執行数は、確定数より少ないレベルの「数人」のままですから、2004年から死刑確定囚の合計が急激に増えて、三桁に達し、まだ増え続けています。2007年は2ヶ月が過ぎたところで6人ですから、単純計算で36人の死刑判決が確定するのでしょうか。確定囚(確定判決)が2004年度からなぜ激増したのか、ぜひ知りたいところです。
#調べたら分かりそうだけど、調べてないし。

投稿: worldNote | 2007.03.01 19:18

凶悪犯が増えたのかそれとも裁判のスピードが
速くなったのでしょうかね?

投稿: lba | 2007.03.02 19:44

いっそのこと性悪説的な存在へ祭礼化し、処理することを是認する空気がまた巡って来たと言うことだったり。

検察って、実際空気を読むのに長けてますから。

投稿: 夢応の鯉魚 | 2007.03.03 16:49

>確定囚(確定判決)が2004年度からなぜ激増したのか、ぜひ知りたいところです。
ひとつの流れとしては裁判員があると思います。裁判員導入は確実に厳罰化に向かうとされてますから、裁判所としても今から『素直な国民の眼』に判決を合わせようとしているようです。
社会の空気読んで判決の傾向が変わるのは『刑法とは国民の規範意識の上に成り立たなければならない』という立場からは自然なことではあります。
なお、客観的な治安はそれほど悪化してません(ここ数年は景気回復を受けてむしろ改善)。しかし体感治安は悪化してます。この辺はもちろんメディアの報道のあり方の問題もあるのですが、社会全体として治安に対する要求水準が上昇してきていることも見逃せません。

投稿: aki | 2007.03.04 09:00

前内閣の杉浦法相は死刑廃止論者で、彼の任期の約1年の間は執行されなかったんですよね。ですが、昨年新内閣になって長勢法相が就任してすぐに4人の死刑が執行されました。

投稿: Kazu | 2007.03.04 18:08

死刑執行は法相の職務である。
執行を延期するなら、死刑囚別に、その理由を詳細かつ明確に公にすべきである。
理由もなく死刑執行をしないのは職務怠慢である。

投稿: 野分権六 | 2007.03.09 18:43

確かに理由は必要かな?怠慢にもなる!でも、確定してる以上は執行してもらわなければいけないんじゃないか?本人も認めている分にはね・・・

投稿: sinobu | 2007.06.01 20:00

文化放送報道スペシャル「死刑執行」

2008-05-07 00:25:35

「死刑執行」
- the moment of executing the death sentence in Japan -

文化放送報道スペシャル「死刑執行」。来年に迫った裁判員制度に向けて日本の死刑制度について解き明かす。

this radio program is broadcasted at May-6 2008 by JOQR

Sound Only, Japanese only

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投稿: | 2008.05.07 00:27

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