バタールでござる
このところバタールをよく焼く。バタールというかフランスパン系は難しいといえば難しい。味的には自分が食う分にはまあいいかというか、旨ぇという感じなのだが、職人には遙かに及ばない。写真を上げておく。見ればわかるが、あはは、素人だね、である。特にクープの数についてはツッコミ禁止な。

バタールはフランスパンの一種。フランスパンについてはウィキペディアの説明が簡素(参照)。
本国フランスではパン・トラディシオネル(pain traditionelle)、または単にパン(pain)と言う。卵、乳製品、油類などの副材料を使わない事が特徴で、それゆえ作り手の技術が味を左右するため、パン職人になる上での難関であると言われる。
そのとおり。そして、「同じくパン・トラディシオネルを使ったパンでも形や大きさにより名前が違う」ということで、バタールは「バタール(batard 中間の)350g 40cm」ということ。写真の手作りパンはだいたいそのくらい。市販のバタールはもっと軽いのが多いようだ。「中間の」というのは、普通「バゲット(baguette 杖、棒)350g 68cm 」と「パリジャン(Parisien パリっ子)650g 68cm 」の中間というか、いまひとつよくわからない。クープ(切れ目)の入れ方にも決まりがあるらしいが、私は適当。クープのカッターも持ってない。
我流の作り方だが、そんなに難しいものではないが、簡単とも言えない。まず参考までにウィキペディアに製造例を引用。
小麦粉(フランスパン用粉):100% ドライイースト:1.2% 食塩:2% モルトエキス:0.4% ビタミンC:0.1% 水:68%
⇒ミキシング(スパイラルミキサー L4"-M3" 捏ね上げ温度24℃) ⇒一次発酵(120分) ⇒パンチ(ガス抜き) ⇒二次発酵(60分) ⇒分割 ⇒ベンチタイム ⇒成型 ⇒ホイロ発酵 ⇒蒸気焼成(220度30分)
ちなみに私はたいていはこうする。ビタミンCの量がやや多い。ビタミンCは原末が薬局で買える。
小麦粉(ハルユタカブレンド300g + ファリーヌ100g) ドライイースト:小さじ 1 塩:小さじ 1 グラニュー糖:大さじ 1/2 ビタミンC:耳かき 1 杯程度 水:250CC(+α)
⇒ミキシング(機械のドゥコースで) ⇒一次発酵(60分) ⇒パンチ(ガス抜き)+分割 ⇒二次発酵(30分) ⇒成型 ⇒ホイロ発酵(度30℃・湿度75%) ⇒蒸気焼成(220度30分)
ウィキペディアに製造例とあるように、他にも製造方法はあり、「プロのためのわかりやすい製パン技術」(参照)に簡単な説明がある。パンの原理については「パン「こつ」の科学―パン作りの疑問に答える」(参照)が面白い。パン作りは理屈がわかるとわかる部分がけっこうある。
![]() プロのためのわかりやすい 製パン技術 |
沖縄暮らしの初期に、三〇代も終わりになってさすがに手コネが難儀になってきたのでベーカリーマシンを買った(参照)。買ってみると便利(現在二機目)。ついでにオーブンも買った。東京に戻ってからは粉も選ぶようになった。昔の野蛮なお手製パンに比べると随分変わったものだなと思う。ちなみに、私の現在の独自パンでお気に入りはライ麦を混ぜるもので、これも機会があったらご紹介するかも。
さて、バタールの製法だが、ホイロ発酵とか蒸気焼成というのが、普通はできない点。できないわけでもないのだが、そのあたりはかなり難しいと言ってもいいのだろう。蒸気焼成はオーブンを熱したあと庫内に霧を吹くとかする。めんどくさい。ので、パン・トラディシオネルはあまり作らなかった。チャーハンと同じでプロにはかなわないよと思っていたのだ。
![]() パン「こつ」の科学 パン作りの疑問に答える |
ヘルシオ……塩が減るのか? そんなことはどうでもいい。問題は、これって蒸気焼成のマシンじゃないのか、ってことは、パン・トラディシオネルができるってことじゃないか。まいった。鳩摩羅什の前に現れたあられもないリア・ディゾンみたいに、すべて捨てたはずの欲望が、ずんと思春期のアレみたくもたげてしまったじゃないか。
負けた。買った。悦楽。私は嘘つき野郎なので遺灰に舌が残ることはないが、このタイプのオーブンはアフィリエイト・リンクで買うもんじゃないよというくらいの良心がちと残っているのでアフィリなし。
かくしてなんとかバタールも焼けてしまうのだった。子供の頃イーストで蒸しパンを作り、青春時代に鍋パンを作っていたこの俺がバタールかぁ。でも、旨ぇよ。
追記
ちなみに、パンの全長を短くして一筋にクーペを入れるとクーペ(coupé)になる。これもパン・トラディシオネルの一つだ(パンの種類としてはバタールと同じ)。日本のコッペパンのコッペはこのこのクーペが語源であるらしい。
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コメント
pan out
ずるい!
投稿: tai-kun | 2007.03.10 11:28
潔くないですね。外面の写真じゃ出来がどのくらいか断言できない。
恥をかくなら最後までやり通して、カットした写真も載せてください。
投稿: F.Nakajima | 2007.03.10 12:24
誰でもいいから「バタールでござーる」にもちゃんと、突っ込んであげてください。
>ALL
投稿: てけてけ | 2007.03.10 16:49
>>finalventさん
私の存在自体がスパムで申し訳ないんですけど、失礼します。今月いっぱい時間使って、こちらのブログで放言させて頂いた文章の回収作業に入らせて頂きますので。その旨お伝えに上がりました。
基本的に回収した文面はワードパッド(チラシの裏)に俺メモリアルとして保存しておきます。当面ブログを開設する気はありませんので、他所への流用は、致しません。あくまで個人保存用とさせていただきます。もし今後気が変わって自分でブログでもやってみようかという段に成りましたらご挨拶に上がらせて頂きますので。その節は宜しくお願いいたします。多分、そうなった暁には今までのような無礼放言に及ぶことは無くなりますので。それが味と思われておられるようでしたら、肩透かしかもしれませんね。
短い間でしたが、ご厚情賜りまして、誠に有り難う御座いました。
追記:2000本安打まであと1000本! の気概で頑張っていただければ。それに越した慶びも御座いません。爺の今後更なるご活躍、祈念いたしております。
それでは。
投稿: ハナ毛 | 2007.03.10 17:50
おじさん、ぼくもうつかれたよ……
投稿: tai-kun | 2007.03.10 20:52
さて、
パリジャン・バタール・バケットは1993年にフランスでJASのように法律で制定された「パン・トラディシオネル」の中の寸法・重量の規格。
ちなみに、その法律の中にはしっかり「製法」の規定もある。
後、一言だけ言わせてくれ。フランスパンというのはパリパリとした皮のクリスピーさを味合うものであって、詰まった身を味合うものじゃない。カットした画面をアップしてくれないので私の想像だがこのパンは多分中身が詰まっているだろう。これはバタールといわずにクッペと言って別の種類のパンになる。
投稿: F.Nakajima | 2007.03.10 23:21
お腹が減ってきたよ
投稿: osyo | 2007.03.11 09:14
ハナ毛おじさんへ
上記のご挨拶を読みました。これまでのハナ毛おじさんらしくないヘンな文章にちょいと首をかしげました。
「・・ますので。」で終わる文章が3つと、「・・れば。」で終る文章が1つありますが、この4つとも「。」のかわりに「、」を使い、ひとつの文章にしたほうが読みやすいですね。あるいは、「ので」を取り、キリッと終わらせる。
それから、「それに越した慶びも御座いません。」の文章も読みにくいです。「慶びも」を「慶びは」にすればちょっとは...とも思いましたが、ここはあっさりと、次の文章でいきましょう。
「・・気概で頑張っていただければ、それにまさる慶びは御座いません。」
以上、遅ればせながら、最後のツッコミでした。
これまでのコメント、楽しかったですよ。
投稿: 早蕨 | 2007.03.11 19:57
ハナ毛さん、こんにちは。ブログもいいかもしれませんし、もっと文才を世に問う場でもよいかもしれません。気が変わったらツッコミをまたどうぞ。
投稿: finalvent | 2007.03.12 09:39
せっかくなので返信させていただきます。
>>早蕨さん
>遅ればせながら、最後のツッコミでした。
もう芸は捨てましたから、折角のご好意ですがお受け出来かねます。失礼。
>これまでのコメント、楽しかったですよ。
ありがとうございました。
>>finalventさん
>もっと文才を世に問う場でもよいかもしれません。
無いものは問えません。
>気が変わったらツッコミをまたどうぞ。
そういうことで。
投稿: ハナ毛 | 2007.03.13 01:47
他所の庭桜の枝振りを厭うような、そんな不躾なお願いとなってしまい恐縮ですが、
アジでもデマでもネタでもいいですから、
例えばまたの春にでも、姿を見せてくださいね、ハナ毛さん。
投稿: 夢応の鯉魚 | 2007.03.15 13:21