中国化する世界?
先日のラジオ深夜便で春節のラスベガスの話を聞いた。街のデコレーションが豚だらけという感じだったそうだ。ことさら春節に中国人がラスベガスに集うというものでもないにせよ、中国本土や世界各地、米国の華僑たちは上客であろうから、そういう風景もあるのかもしれないなと思い、ネットでフリッカーの写真を見ると、なるほどそうした印象が伺えるものがあった。
![]() Pig by Las Vegas Bill |
このラスベガスのカジノ資本だがアジアではがんがんとマカオに進出している。そのようすをNHK地球特派員2007「アジアを席巻するチャイナマネー ~マカオがラスベガスを超える~」(参照)で見た。かつてののんびりとしたしたマカオの風景を知っている私としてはすごいもの見ちゃったなという感じがした。
中国に返還されて8年となる"老舗"マカオでは、ついにカジノの売上高がラスベガスを抜きました。本場ラスベガスの資本も参入し、金余り中国人目当ての熾烈な顧客獲得戦争が繰り広げられています。東京ドーム17個分の敷地に2兆円を投資するアメリカ資本も登場、カジノブームに拍車がかかっています。
話は中国マネーの受け皿としてのマカオということで進めていたが、ちょっと考えたって博打だけじゃないだろと想像は付く。嫡子正男ゴールデン(参照)が常駐しているのだってチョイ悪オヤジというわけではない。しかし、そこにNHKにつっこめというのも野暮な話だし、番組を子細に見るとなかなか大人の仕上がりになっていて微笑ましかった。がんばれNHKである。
それにしてもこんなところに巨額の投資をすること自体博打じゃないかと日本人とかならすぐ思うのだが、一年ほどで回収できてしまうのだそうだ。ありかよ。とはいえ、次第に米国のラスベガスのようにファミリーな雰囲気に軟着陸させるようにはするのだろう。
番組ではアジアのカジノ地図というのも出てきたのだが、これがまた、え゛?とうなる代物だった。この話題だとシンガポールとか出てくるのかな(参照)となんとなく思ったのだが、そうではない。上位から見ると、一位カンボジア24。いきなりなんだそれ。
一方、"新興国"カンボジアでは、ここ数年で24ものカジノがオープン。国をあげてカジノビジネスを推進しています。資本は、中国系。地の利を生かして、東南アジアの経済に深く食い込み始めた中国の大きな影響が見て取れます。
番組ではタイ国境に近いポイペトを取材していた。番組に出てくるジャーナリスト莫邦富は、どこに行っても中国語で取材ができると呆れていたが、いやはや。というころで、アジアのカジノ地図を見ていて隣国タイはどうよ?と、それがない。タイにカジノはないのか、日本みたいにないのか、と冗談を言っているのか俺。ミャンマーだってマレーシーアだってラオスだって一つはあるぞ。北朝鮮にだってシンガポールと同じで二つはあるぞ。タイにないのか……というかそれがカンボジアということなのか。考えさせられる中国化の浸透である。ついでに他の国のカジノだが、フィリピンに14、ベトナムに8、韓国に17とふーんというところだが、意外なのはスリランカに5、インドに5、ネパールに5ってただのホテルの付属ということか?
話は少し逸れるのだが、NHK「シリーズ 欧米が見た中国 ドイツ買いの現場では」(参照)もたまたま見た。
ドイツの高い工業技術を入手しようと、中国の大企業がルール工業地帯にある最新鋭のコークス工場を買収した。中国側の目的は、工場を解体して、この工場の設計図を手に入れること。この設計図で中国各地に最新鋭のコークス工場を作り、ドイツその他の先進国にコークスを輸出するのが狙いだ。
日本人などからすると多数の中国人というのはそれほど違和感はないのだが、ドイツ人にはかなりの違和感があるようすが伺えて面白い。
ドイツ人は、早朝から夜遅くまでの作業を黙々とこなす中国人の集団主義と勤勉ぶりを揶揄し、自分たちの誇りであるコークス工場を、“蟻のようにわいてきた”ような連中に渡すことに後ろ髪を引かれる思いを募らせていく。
番組は06年ドイツの制作でオリジナルタイトルは”Winners and Losers”つまり、勝利者と敗北者ということ。勝ったのは中国である。というのは、コークス工場が採算に合わないからと中国に売却し、それが中国に移転されてから、コークス価格は高騰した。つまり、ドイツはこの工場を手放すべきではなかった。
中国は工場自体を手に入れたこともだが、そのノウハウも手に入れ、このコピー工場も中国東北部にどんどん作るのだそうだ。
まあ、産業面での中国脅威論を言いたいわけではないが、こうした中国人の世界での活躍はなんであれ今後も高まり、それにつれてごくごく自然に世界は中国化するのだろう。
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コメント
そんなん言うたら、漢字文化圏(笑)の日本なんか1000年前から中国化してますやん。和洋折衷っちゅうか和洋華三位一体っちゅうか。
日本の「消化力」って、それはそれで凄いから。「○○化」なんて言わんでも大丈夫でしょ。日本は日本。何処まで逝っても日本ですyo。
投稿: 名無しさん | 2007.02.25 16:23
中国の(わざわざ海外へ出奔する系統の)女の人って顔つきが大ぶりで目鼻立ちがスッキリハッキリしてるから、ブス(?)でも可愛いですよ。しょぼくれた日本男性はとっとと受け入れて吉かと思いました。
ってかそれ言ったら日本の女の人も同様で、私の同級生で国際結婚した人も何人か居ますけど、皆一様に「日本水準で言えば美人系」ばっかりでしたyo。日本に残るのは馬鹿とブスばっかり。
おっとっと。 男 も 同 様 。←コレ言っとかないとね。片手落ち。
投稿: 名無しさん | 2007.02.25 16:28
一応、この職業に携わるものとして一言。
コークスの製造技術は現在日本がトップ。これまでの中国の技術水準は多分80年代に新日鉄がアンシャンで教えた技術が最新だったと思います。
多分、中国のコークスは日本では売れない。と思います。現在、コークスの唯一の使用目的は現在は製鉄の原材料です。そして日本のコークスは各製鉄会社が全て内製しています。つまり全ての高炉に対してオーダーメイドの調合でつくられています。おそらく、輸出ではなく、全て中国国内向けとしてまかなわれることになるでしょう。
投稿: F.Nakajima | 2007.02.26 00:24
先日(21日、22日)箱根に行ったんですが
観光客の80%が中華圏の人でした。観光バスにも「新春旅行」的なペントがしてありましたね。
あー正月休みなんだくらいの感想しかないかな、と思いましたが大涌谷
の土産物屋のオバチャンが中国語で客寄せしてたのには驚きました。
自力で電車バスを乗り継いでる台湾人と友達になれたりして、観光地って
本来こういうものじゃないかと思いましたね。
投稿: はまなこ1号 | 2007.02.26 02:12
21世紀は中華民族大移動時代。
10パーセントがアメリカに移住すると、
政治地図は完全に塗り替えられますね。
1位チャイニーズ、1億3000万人。
2位ジャーマン、5800万人。
3位アイリッシュ、3900万人。
4位イングリッシュ、3300万人。
といった具合。
日米安保、証券取引所の統合、旧日本軍批判、
日本はずるずると深みに嵌まって、
抜け出せなくなるでしょうね。
半ば抵抗し、半ばあきらめ、
運命論的に引き受けざるを得なくなるのは、
温暖化と中国化です。
投稿: オルフォー | 2007.02.26 11:57
告発の旗振りをどれだけしたところで、つぶしの利く人材さえ尽きなければ負けることは無い。
連帯の最小単位にまで家産の原理が染み付いている民俗には、
とことん一生活者である私たちとしては、
勝てるはずもありませんね。
ある意味、八百万の一柱みたいなもんですから。
投稿: 夢応の鯉魚 | 2007.02.26 13:19
世界がアメリカ化して中国化しているかはわかりませんがおよそインドと中国で5分の1以上の人口を占めており、ますます 中国化・インド化がすすむのではないでしょうか?地元では 自転車に乗った 中国人がたくさんいます。そして晴れていてもなぜか 傘をもっています。
投稿: りん! | 2007.02.26 17:46
タイ人はめちゃめちゃギャンブル狂なので、カジノは法律で禁止されています。
潮州人も広東人も、あばれておるな。
投稿: ハリマオ | 2007.02.27 20:07
中国人の日本化、欧米化?(漫才ではなく)も三世代過ぎればありうる。マックス・ウェーバーがいう世俗的な中国人(漢民族)倫理の変容が混血化とともに顕著になるだろう。
投稿: アカギ | 2007.02.27 23:25