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2007.02.05

線維筋痛症と産後鬱病のことを僅かに

 昨日知人と食事をしたおり女子アナが自殺したという話を聞いた。私はその分野に関心がなく、ふんふんと聞き過ごしていたのだが、産後というのと身体が痛む病気だということでよもやと思い、後でネットのニュースで確認した。

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線維筋痛症とたたかう
未知の病に挑む
医師と患者のメッセージ
 女子アナというので私は二十代の女性を想像していたが、四三歳のベテランとのこと。産後一年以内。病気は線維筋痛症(Fibromyalgia)とのことだ。自殺原因については子細にわからないし、あまり関心も持つべきではないだろう。ただ、産後一年以内ということと線維筋痛症という点に心は引っかかった。女性は産後一年以内に鬱になりやすいし、線維筋痛症は米国の患者数から考えると日本にも潜在的にかなり存在するだろうが、あまり日本社会では問題になっていないように以前から考えていたからだ。
 このエントリでは別段変わった見解を書くわけでもないし、現在苦しまれているかたに役立つ情報を提供するということにもならない。が、以前から気になっていたことでもあるのでこの機会に簡単に触れておきたい。
 線維筋痛だが、メルクマニュアル家庭版の情報が詳しく信頼がおける(参照)。線維筋痛には各種あるが、全身性線維筋痛については女性に多い疾患だ。

全身性線維筋痛は、女性が男性よりも約7倍多く発症し、痛みとこわばりが広がり、全身が痛む病気です。原発性線維筋痛症候群は、全身性線維筋痛のバリエーションの中では最も多く、若いまたは中年期の女性に起こり、基礎疾患がありません。

 原因はわかっていない。

全身性線維筋痛の原因は通常は不明です。原発性線維筋痛症候群も原因は不明です。全身性線維筋痛は、肉体的または精神的ストレス、睡眠不足、反復する疲労、外傷、慢性的に湿気や寒冷にさらされる気候、などによって悪化します。

 この疾患に私が関心をもったのは化学物質過敏症となんらかの関係がありそうな点だ。もっとも強い関係とは言えないし、まして原因であるというわけではない。同じくメルクマニュアル家庭版の多種類化学物質過敏症候群の項目より(参照)。

 多種類化学物質過敏症候群は、自然環境にごく普通に存在する多様な低レベルの化学物質にさらされることで誘発される病気です。
 この症候群は男性より女性に多くみられます。慢性疲労症候群患者の40%、線維筋痛患者の16%が、多種類化学物質過敏症候群を併発します。

 線維筋痛患(FM)、化学物質過敏症候群(MCS)、慢性疲労症候群(CFS)、にはなにか関係があり、さらにこれら全体に心理的な問題も関係しているように見える。ただし、心理的な原因で起きるというわけではない。あるいは心理的な症状は神経系の問題の副次的な表現なのかもしれない。また、遺伝的な要因も考えられるようだ。
 話が少し逸れるのだが、私の化学物質過敏症への関心は、嗅覚への関心に連なっている。ごく個人的な関心なのだが私は子供のころからなぜ嗅覚というのはこんなに人によって違うのだろうと疑問に思っていた。いわゆる味の感覚は嗅覚との総合でもあり、人の味覚の差異というものも不思議に思っていた。
 さらに微細な嗅覚が人間の無意識的な記憶と強く連結しているとしか思えないのに、あまり語られることがないようなのはなぜなのだろうか。嗅覚をトリガーする物質はほんの僅かなのに我々の無意識は実際にはかなり強く反応しているように思える。いわゆる恋愛といった人間関係においても嗅覚は少なくない比重を持っているように思える。だがあまり体系的に語られたことはないのではないか。
 話を少し戻して、もう一つの点、産後鬱病だが、これは一般的にはマタニティ・ブルーのように扱われることがあるが、そうした延長だけではないようだ。同じくメルクマニュアル家庭版の同項目より(参照)。

産後3日以内に生じる悲しさや惨めさなどの感情は、マタニティーブルーと呼ばれ、多くの人が経験します。こうした感情は通常は2週間以内に治まるので、あまり心配することはありません。産後うつ病はこれより重症の気分の変化をいい、数週間から数カ月間続きます。このタイプのうつ病は女性の約1%にみられます。さらに重症で、ごくまれなタイプの産後うつ病は、産後精神病と呼ばれ、精神病的な行動を伴います。

 線維筋痛症も産後鬱病も、一般的な人の生活では病気であると認識しづらい面があり、そうこうしている内にそれが深刻な人間関係の問題に波及することがある。そうした不幸にはある程度社会の側から予防が可能だろうが、私が無知なだけかもしれないが、あまりメディアで語られることがないように思える。

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「生活」カテゴリの記事

コメント

 なんていうかねえ。エントリの意味合いとは多少違ってくるんだけど、多幸感や失望感の揺り返しが激しい人って、鬱や各種疾患に成りやすいでしょ。私も昨日あやねさん(仮称)と物凄く(?)仲良くなってハッピー気分で帰宅したけど、寝てる最中に理由が分からないまま急激に将来が不安になって、勝手にガクブルしましたよ。布団の中で。

 いい歳こいたおっさんですらこうだから、出産みたく身体に直接影響が出るほどの経験が前提にある(感受性の鋭い)女性は…私なんかの何倍何十倍も、思い悩んじゃうんじゃないですかね? 知りませんけど。

 その点男は気楽で、さ。↑上記程度のガクブル感ならしょっちゅうしてますから。ある意味慣れちゃう。寝汗でもかけば治まるし。余程に酷かったときは神経麻痺(?)みたいな症状も出ましたけど。それもまた過ぎ去ってみればいい思い出です。

 働きすぎは、良くないですよ。そんな感じ。
 あとまあ、無駄に感受性の強い人より、鈍感なくらい大らかな人柄のほうが生存率高いかもね? とか思いました。どうなんでしょ。

投稿: モッサアアア | 2007.02.05 19:46

大脳化が嗅覚への統合であることと関係するのでは。不都合に際して適宜嗅覚をブロックする必要に迫られる場合があるのでしょう。

投稿: Sundaland | 2007.02.05 20:11

心の動きが体に作用するのか、それとも体の変化が心に作用するのか、漫然とと考えていると思考がどこか遠くに旅に出てしまって収集がつかなくなってしまいます。
おそらく、あれか、これか、で考えるものではないのだと言うことも解ってはいるのですが。

彼女の自殺の原因はなんだろう?もし原因を言葉で表すことができれば自殺をする必要も無いのかもしれません。
いずれにせよ、自殺した女性が「線維筋痛症」と言う病気を苦に自殺したのであって、決して「なんとく原因はわから無いけど死んじゃった。」わけではない、と信じることが
今現在生きている人々の心を安寧にしてくれますね。

嗅覚は何時も理性的でありたい、と思う自分にとっては脅威を感じます。
ある種の匂いを嗅いだときの言いようの無い感覚は、理性の部分も情動の部分もすっ飛ばして、心の根幹の部分にダイレクトに入ってくるようです。
これもまた言葉にできない感覚で、だれか言葉に(体系に)してくださる方がいれば私の心も安寧になります。
以前「匂いの科学」と言う本を図書館で借りましたが、
確か「香水をつくるときに微量成分としてスカトール(うんこのにおいの成分)等を入れると、より奥の深い香りを出せる」って書いてありました。
匂いって不思議ですね。

投稿: ほ | 2007.02.06 01:43

線維筋痛症について無知な医者は多いし、死なないけれど治療法がない病気と告げる医師が大半で、おまけにメディアで女子アナが難病で自殺なんてとりあげられると、日本では誤解の上で病が流通してしまいそうですが、欧米等では認知されている病気でもあり、治り方はかなり個人差があるものの、必ず良くなります。
極論と思われる方もいるでしょうが、これは肩凝、腰痛の延長上にある心身症と考えられます。気がかりにならない程度に経過すれば、誰でもある事で、生理現象として片付くのですが、気にしだすと感覚は増幅するのです。
感覚が鋭敏になると、嗅覚、聴覚、視覚、味覚等も以前とは変わってくる場合があります。痛みによる行動制限等が先立って抑鬱状態に陥る事は当然だし、慢性疲労症候群、化学物質過敏症等を併発してしまうのも、生理的な事です。こういう病は昔からあった様に思いますが、病名がなく、東洋医学系なら気の滞りなどと言われてきた容体です。
少し神科の薬を飲んでみるとか、できる範囲で身体を動かす所から始める運動療法、ヨガ、気功等も試しがいのあるものですが、核心は、言葉、概念による呪縛から逃れる事で楽になってゆくということです。
どの医者が良いとか、どういうセラピーが良いとか、色んな情報に振り回される場合もあるし、そこで良い契機を得て良くなる場合もあるし、自分で治すという心境に入ってそこで治る場合、さらにそういう意志すら重大でなくなって治る場合、良くなる地点がその人の心底にはびこるある種の概念のほどける地点かもしれません。
見方を変えたら、身体感覚を通して自己や世界観が変わる興味深い経験なので、悪いものではありません。
マタニティーブルーや産後鬱も、言葉の問題と絡んでいるように思えますが。言葉で説明し難いけれど、病はそういうものでもあるようです、それゆえに解明しづらい部分があるのではないかと。

投稿: 都市に棲む山姥 | 2007.02.06 03:55

>核心は、言葉、概念による呪縛から逃れる事で楽になってゆくということです。

なるほど、と思いました。初めてかかった精神科の医者に、「ああ、あんたの病名はXXXだよ」みたいなこと言われて、農薬飲んで自殺しようとした友人がいます。それまではたいしたことなかったのに。

病に名前をつけて商売するのが医者の仕事じゃないでしょうにね。

投稿: | 2007.02.06 09:37

わたしも以前パフューマーの書いた『匂いのエロティシズム』という本と、
吉本翁の書いた『匂いを讀む』という本を読んだことがあります。
どちらも体系的な記述はされていなかったから、
散漫なところはあるんだけど、それぞれに興味深い点は多々ありました。

逆にこれが体系的に書かれていれば、
その分嘘くさくなりそうな気がしないでもない。
嗅覚のふしぎの底知れなさ…というよりだだっ広さかな?感じます。

投稿: トーマス・ドルビー | 2007.02.06 09:51

原因不明の激痛、というのは、潜在的にかなりの女性(が多い)にあると思います。
科学者の柳沢桂子さんも、そうではなかったでしょうか。原因不明で「痛い」と訴えると医者に「あんたがヘンなんだ(過敏とか大げさの意味でしょうか)」といわれて、絶望したこともあるとか。痛みは個人的なことですから、数値化できないし、まして鈍感な医者には共感されようもない。
命を生んだ脱力感とともに、待ったなしの育児、というダブルパンチがマタニティブルーと呼ばれる。そういわれると「なんだかわかった気になる」のも、怖い話です。
ともかく、悲劇です。残念です。医学はこんな地道な研究もしてほしい。

投稿: c.c | 2007.02.06 12:20

神経質な人は大変ですなあ。子供の頃の躾やトラウマが厳し過ぎたんじゃないの? 両方一遍に来たとか。
そういった「将来の罪過」から逃れる意味でも、子供はおおらかに育てて吉かと思うんですが。まあ、成っちゃったもんは、しょうがない。ナムナム。

投稿: モッサアアア | 2007.02.06 12:35

痛感が神経や脳の動きから定量的に計測出来る様になればいいんですけどね

投稿: 無粋な人 | 2007.02.06 14:53

何某かの中毒に陥る人は、大抵共感不可能な(本人曰く)実際の痛みがあるといいますね。そんな時に善導なんて……当人としては胡散臭く感じるのかもしれません(例えば、性長期は特に)。

たっぷりと午後を残しながら痛み(障り)に耐えるには、如何するべきか? 以上の指向の延長としてあったはずの高度資本主義なのに、実体はといえば、そうそう耽らせておいてはくれない。肉体がもたなかったり、銭が足りなかったり、総合すれば一般に生涯を通した情熱の対象が不在という文明の現況です。

まあ、用意しといてもらうもんでもないでしょうけど、なら尤もらしく「より良い人生」なんて啓蒙して欲しくないですよね。

投稿: 夢応の鯉魚 | 2007.02.07 14:46

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