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2007.01.18

夫婦同居しない社会

 一六日ニューヨーク・タイムズに半数を超える女性が配偶者と同居しないという記事があった。”51% of Women Are Now Living Without Spouse”(参照・要登録)である。国内では産経新聞”シングル女性 米国で過半数 日本42%”(参照)がこれをネタとして引いていた。ヒキはこんな感じ。


いまや米国女性の過半数は「シングル」-米国勢調査局がこのほど発表した2005年の国民の生活実態調査で、変わりゆく家族の形が明らかになった。「女性解放」が発展した先進国で進む男と女の“別離”。夫と一緒に暮らす女性は少数派に転落し、家族のイメージや社会政策のあり方も様変わりしそうだ。

 一読へぇ~と思う人もいるかもしれない、というか私もへ?くらい思った。産経の子引き記事の標題は日本指向なのだが、オリジナルでは「51%」と半数を超えたところに意味を持たせていた。つまり既婚同居がマイノリティになったという展開だが、実際には大きな社会変化ではない。00年時点で49%という数字が出ている。

In 2005, 51 percent of women said they were living without a spouse, up from 35 percent in 1950 and 49 percent in 2000.

 むしろこの五年間は微増というかむしろ抑止的な傾向もあったのではないかと推測される。どうでもいいが、そういうことなので以下の産経の書き方はちょっとよろしくない。

60年には35%だったシングル率が、70年に40%に、90年には47%と右肩上がりに増え、2005年、ついに半数を上回った。

 ついでに。産経はこう進めているのだが、それはなぁ。

 平均寿命の短さなどから男性のシングル率は女性より低いが、増加傾向は同じ。夫婦そろって同じ屋根の下という家族の最小単位像もすでに崩壊に向かっている。伝統的な家族の価値を重んじるブッシュ大統領が家族像をどう取り戻すのか、内なる試練になりそうだ。

 そんな話の展開はちょっとお作文が過ぎるわけで、オリジナルにはそんな示唆はない。というか産経のお家の事情が入りまくり。
 とはいえ、「日本でも15歳以上の女性で配偶者がいない割合は42%(2000年)と、半数近くはシングルというのが実態だ」という指摘はそれなりに、消費動向などの点では重要だろう。
 オリジナルのほうに戻って、ふーんと思ったことがいくつかある。

Only about 30 percent of black women are living with a spouse, according to the Census Bureau, compared with about 49 percent of Hispanic women, 55 percent of non-Hispanic white women and more than 60 percent of Asian women.

 黒人の配偶者同居女性は30%。ヒスパニックだと49%。いわゆる白人は55%。アジア人では60%を越える、とのこと。これが民族・文化的な傾向なのか、米国社会のエスニシティの状況との相関なのか、所得階層などの影響なのか、簡単にはわからないが、エスニシティ社会の問題のようにも見える。というのは、アジア人が同衾の傾向を持つとは一アジア人として私は想定しづらい。
 結婚や同棲の制度的な問題もありそうだ。

Ms. Zuzik has lived with a boyfriend twice, once in California where the couple registered as domestic partners to qualify for his health insurance plan.

 健康保険などの待遇において同居者が優遇されることが行動に影響を与えるだろう。このあたりは日本の場合はどうだろうか。いわゆる社会的な要因よりも大きいと言えるのだろうか。
 もう一点、離婚との関係では。

"Men also remarry more quickly than women after a divorce," Ms. Smock added, "and both are increasingly likely to cohabit rather than remarry after a divorce."

 米国では男性のほうが再婚しやすい。そして男女ともに離婚後は再婚より同棲が多い。これらも法制度的なメリット・デメリットの問題かもしれない。
 こうした統計を見て私なりの結論は特にないが、結婚が女性の生き方というのは、日米ともに大筋でどんどん軽減されていくのだろう。むしろ、女性の生き方における結婚・同棲という意味合いが変わるだろう。それと、意外と社会制度側の要因は大きいのかなと思った。フランスでは出生率が2・0を越えたというが、婚外子を扱う社会制度の側の要因は少なくはないだろう。

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コメント

こんなに同居率が低いのに出生率問題がないんですねえ。
ちなみに、現代の日本人が「一アジア人」に含められるほど類似の文化を共有してるのか、ちょっと疑問。

投稿: cru | 2007.01.19 23:25

>こんなに同居率が低いのに出生率問題がないんですねえ。

某エコノミストのサイトによると、「都市部においては確かに出生数は減っているのだが、田舎では未だに多産(場合によっては10人以上)の傾向があり、それがトータルとしての出生率を引き上げている」だそうです。

>夫婦そろって同じ屋根の下という家族の最小単位像もすでに崩壊に向かっている。伝統的な家族の価値を重んじる
ちなみに、そのような場所こそ中西部、つまりアメリカ的保守の強固な地盤であり、伝統的な家族像は全く崩壊していない、と思います。

投稿: F.Nakajima | 2007.01.20 23:05

浮き草同然の都会っ子が増えてるだけですよ。単純に。

投稿: ハナ毛 | 2007.01.21 08:14

はじめまして。
ちょっと立ち寄りました。
女が仕事は覚えても、家事家政を習っていないせいでしょう。
そういう私は、仕事は出来ても家事は苦手なのです。
主婦で生きられる人は幸せだろう・・と思ってきたのに、主婦ぐらい難しいことは、ナイッ!
もうすぐ58歳女です。

投稿: asupa | 2007.02.02 08:54

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