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2007.01.21

納豆の健康効果

 「発掘!あるある大事典II」第140回「食べてヤセる!!!食材Xの新事実」でまさに新事実が発覚し、関西テレビ放送も「視聴者の皆様へ」(参照)で公式にアナウンスした。この番組は何年か前数度見たことがあるが今でも継続してやっているとは知らなかった。先日スーパーに行ったら納豆が売り切れていて、この番組の影響と知り呆れた。とはいえこの回は見たら面白かっただろうとちょっと残念に思った。


テンプル大学アーサー・ショーツ教授の日本語訳コメントで、「日本の方々にとっても身近な食材で、DHEAを増やすことが可能です!」「体内のDHEAを増やす食材がありますよ。イソフラボンを含む食品です。なぜならイソフラボンは、DHEAの原料ですから!」 という発言したことになっておりますが、内容も含めてこのような発言はございませんでした。

 爆笑。なかなかないいジョークなんじゃないか。楽しめるエンタイメントでFA(参照)、でいいような気もするが、DHEAが日本のお茶の間に出てくる時代なのか。ちなみにウィキペディアにDHEAの解説があるかなと思ったら、あったのだが(参照)。

デヒドロエピアンドロステロン(Dehydroepiandrosterone、略称 DHEA)とは、副腎から分泌される男性ホルモンの一種である。

 「男性ホルモンの一種」と言い切っていいのだろうか。エストロゲンにも変化する前駆体のはずだが。英語版を見ると(参照)ちゃんと書いてある。

Dehydroepiandrosterone (DHEA), is a natural steroid hormone produced from cholesterol by the adrenal glands, the gonads, adipose tissue and the brain. DHEA is the precursor of, androstenedione, testosterone and estrogen. It is the most abundant hormone in the human body.

 DHEAはホルモンには違いないが、コレステロールの一種と見てもよいのではなかったか。いずれにせよ米国では十年来サプリメントで事実上人体実験をしているが特に効果はなさそうだ。という以前になぜそれが納豆?
 ついでにウィキペディアで納豆の項目(参照)を見ると親切というかなんというか。

とくに関東地方以北と南九州で好まれている。特有の匂いのためか、その他の地方(特に関西・四国地方)ではあまり消費されなかったが、製法や菌の改良などで臭いを少なくしたり、含まれる成分のうち「ナットウキナーゼ」の健康増進効果がテレビなどのメディアで伝えられるようになった結果、1990年代後半にはほぼ日本中で消費されるようになった。また、ビタミンKも豊富で、大豆由来のタンパク質も豊富であり現在でも重要なタンパク質源となっている。総務省統計局の全国物価統計調査の調査品目に採用されているほどである。

ただし、一部マスコミが主張するような、ナットウキナーゼが直接体内の血栓を溶かすなどという現象は現実にはあり得ない(ナットウキナーゼは分子量が大きいのでそのままの状態では腸から吸収されない)ので、非科学的な煽動に踊らされて過剰な期待をよせることには注意を要する。


 というわけでナットウキナーゼが血栓を溶かす効果はないと断定し、しかもその理由は分子量が大きいので腸から吸収されないからだそうだ。つまり、それは非科学的な煽動なのだそうだ。へ~ぇ。
 英語のウィキペディアを見るとそこまで非科学的な記述はしていない。

Natto for example contains a compound Pyrazine, which not only gives natt? its distinct smell, but also reduces the likelihood of blood clotting. It also contains a serine protease type enzyme called nattokinase[1] which may also reduce blood clotting both by direct fibrinolysis of clots, and inhibition of the plasma protein plasminogen activator inhibitor 1. This may help to avoid thrombosis, as for example in heart attacks, pulmonary embolism, or strokes. An extract from natto containing nattokinase is available as a dietary supplement. Studies have shown that oral administration of nattokinase leads to a mild enhancement of fibrinolytic activity in rats[2] and dogs. It is therefore plausible to hypothesize that nattokinase might reduce blood clots in humans, although clinical trials have not been conducted.

 数例だがラットと犬の実験では血栓溶解が示されたと記し、それを元に人間でもその効果が期待されるが臨床実験はいまだなされていないとしている。概ね正しい。
 ”The enzyme of enzymes - Nattokinase”(参照)には臨床試験の示唆がある。

Nattokinase has been the subject of 17 studies, including two small human trials. Nattokinase's most intriguing role promises to b e its involvement in coagulation homeostasis. While other soy foods contain beneficial enzymes, it is only the natto preparation that contains the specific nattokinase enzyme.

 この試験についてはPub Medでは確認できなかった。恐らく、倉敷芸術科学大学須見洋行教授の研究だろうと思われる。
 まあ、納豆を食べることで血栓溶解を期待するというのと、納豆から血栓溶解の薬品を作り出す研究をするというのは話が別だが、この数年の動向から見るとそれほど納豆に期待できそうにはない。やっぱりここはミミズですかねとかふざけて書くわけにもいかない。
 十年以上前だがラットの研究”Thrombolytic effect of nattokinase on a chemically induced thrombosis model in rat.”(参照)ではナットウキナーゼをウロキナーゼと比較している。
 ウロキナーゼと言えば小渕元総理の怪死とその総理大臣権限の委譲の闇が思い出される。がまだまだ語るべき歴史には所属していないだろう。ましてブログに書くこっちゃないでしょう。

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「時事」カテゴリの記事

コメント

実際にだまされる人を見ていると、やはり視聴者の(50+α)%以上は信じている、と言えるのかなとも思いました。それとも過半数が「なもん誰も信じちゃいねぇよ」となったとしても、番組というものは成立するのかしら。

投稿: | 2007.01.21 20:34

>視聴者の(50+α)%以上は信じている、と言えるのかなとも思いました

 視聴率と、そこから導き出される(推定)視聴者数と、納豆の商品出荷数と、販売実績(前年度比など)と…その他諸々を考え合わせないと(?)%ってのは、分からんのでない?
 あと、よくある話だけど、品切れになったのは「取材対象店舗だけ」とか「インタビューされてる人自体が業界関係者@グル」とか。
 それに、納豆話そのものが、どの程度の持続性を持つのか。
 余程にテレビさんの影響力を誇示したいか、そのくらいあるんだよって言いたいだけか。
 結果的に、誰を、どういう意味合いで動かしたいのか。
 壮大な釣りってかマッチポンプだと思うけど。私とかは。うちの近所で納豆話とか一切出ないし、尾道で納豆消滅なんか聞いたことが無い。

 馬鹿が多数生息するのは大都市圏で「テレビ取材が可能そうなところ」だけなんじゃないの? 知らんけど。
 カイワレ大根騒動と似たようなもんなんじゃないの?

投稿: ハナ毛 | 2007.01.21 22:08

善玉コレステロールの話とごっちゃになってしまったんでしょうかね?

投稿: kakipi | 2007.01.22 00:25

流行なんて、正直なところ時間の消費さえできれば十分生産的なんじゃないですか? 同意さえ求めてこなければ、分業の括りで納得しとくのが吉かと。結局、言葉なんて会報でしょう。

投稿: 夢応の鯉魚 | 2007.01.22 15:40

> 恐らく、倉敷芸術科学大学須見洋行教授の研究だろうと思われる。

元論文に当たったわけではありませんので確実ではありませんが、1つはこの辺りかな、と思います。

Sumi H, Hamada H, Mihara H, Nakanishi K, Hiratani H (1989)
Fibrinolytic effect of the Japanese traditional food natto (nattokinase).
Thromb Haemost 62(1):549

こちらのレビューより引用しました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cmd=Retrieve&dopt=AbstractPlus&list_uids=16211381&query_hl=11&itool=pubmed_docsum

「small human trials」 と書かれているとおり、被験者は12人と少な目のようです。

投稿: fw0 | 2007.01.23 21:16

finalventさんは

>>ナットウキナーゼが直接体内の血栓を溶かすなどという現象は現実にはあり得ない(ナットウキナーゼは分子量が大きいのでそのままの状態では腸から吸収されない)ので、

>というわけでナットウキナーゼが血栓を溶かす効果はないと断定し、しかもその理由は分子量が大きいので腸から吸収されないからだそうだ。

と言い換えてらっしゃいますが、このようなズラシがどうしてできるか、凡庸な私にはとても不思議です。

まあそれはともかくとして、納豆をたべるとナットウキナーゼが腸管から吸収されて血中濃度が高まるとか、分解されたナットウキナーゼ分子が肝臓かどっかで再合成されるとかをいえたら、finalventさんはそうした「言葉のズラシ」をやらなくてもよかったわけですけど。

それでfinalventさんは、ナットウキナーゼは腸から吸収されるとお考えなんですか? どうか科学的に(=ズラシが紛れ込まない早い話で)教えてください。

投稿: bi0615 | 2007.01.24 12:59

bi0615さん、こんにちは。どの点がズラシなのでしょうか?

投稿: finalvent | 2007.01.24 13:55

finalventさん、それを上に書いたのですが。。。

投稿: bi0615 | 2007.01.24 21:40

よこやり!
内容自体については何も知りませんが言葉についてだけ。

>>ナットウキナーゼが直接体内の血栓を溶かすなどという現象は現実にはあり得ない(ナットウキナーゼは分子量が大きいのでそのままの状態では腸から吸収されない)ので、

>を

>>というわけでナットウキナーゼが血栓を溶かす効果はないと断定し、しかもその理由は分子量が大きいので腸から吸収されないからだそうだ。

>と言い換えてらっしゃいますが、このようなズラシがどうしてできるか、

これがズラシ(あんま聞いたことない言葉ですけど詭弁のような言い換えってことですよね、きっと)
とはあまり言えないと無知で凡庸な私は思います。
あえて突っかかるとすればwikiの記述には「直接」と「そのままの状態では」という文があるので、ナットウキナーゼがなにやら化学変化を起こして結果的には血栓を溶かす、という場合はWikiの記述には問題がないですが
finalvent氏のいいかえは「ズラシ」だということになりますね。

皆様に文章はなるべくわかりやすく書いてほしいとおもう人より。

投稿: 匿名希望 | 2007.01.24 23:17

匿名希望さん、こんにちは。ウィキペディアの「直接」や「そのままの状態」ではという留保が削られているのが「ズラシ」ということなわけでしょうか。依然、bi0615のご指摘は理解できないでいます。

いずれにせよ、「直接」と「そのままの状態」いうことがなにを意味しているかは明瞭ではないでしょう。文脈から察するに腸吸収つまり経口を「直接」が指しているのであれば、bi0615さんには、このエントリで提示した、およびコメント欄で補足していただいた研究概要、および英語版のウィキペディアに記載されている内容を検討していていただければと思います。

科学はそんなことはありえないの集積ではなく、ただ方法論的に正しい実験結果の累積からスタートします。

投稿: finalvent | 2007.01.25 08:36

匿名希望さん

wikiの文章では、「現象は現実にはあり得ない」と、
(1)人体あるいは生体内でのこと[in vivo]であり、
(2)しかも食物として摂取した場合
を限定条件として示唆しています。

それに対して、finalventさんの「というわけでナットウキナーゼが血栓を溶かす効果はないと断定し」は、[in vivo]という条件も食物としての摂取という条件もいきなり取っ払って、あたかも
(3)wikiが「条件無し」の全否定をしている
かのように読者を誘導しています。

finalventさんは
>つまり、それは非科学的な煽動なのだそうだ。へ~ぇ。 英語のウィキペディアを見るとそこまで非科学的な記述はしていない。

とご自身の(3)を受けて、
(4)「wikiの文章は非科学的な記述」だと
おっしゃり、(1)(2)の条件なしの事例を展開しています。

つまり、(1)と(2)の条件内で批判しなければならないのに、言い換えた(3)を論破しようとするのは、ズラシだと私はいってるのです。

ところがどうでしょう、

>(5) まあ、納豆を食べることで血栓溶解を期待するというのと、納豆から血栓溶解の薬品を作り出す研究をするというのは話が別だが、この数年の動向から見るとそれほど納豆に期待できそうにはない。

というのが、finalventさんの結語です。
なんのことはありません、wikiの表現を批判できてないばかりか、科学的には似たような結論なのです。もちろんwikiよりは曖昧表現ですが。

だったら、「同感だけど断定的表現はどうかな?」と、「科学」の問題ではなく「気持ち」の問題としてwikiを批判すればよかったですね。なにも「科学的」云々の言葉を持ち出す必要はなかったのです。

~~~~~~~~~

わたしは納豆が好きですし、食物としてよいものだと思っています。納豆を食べているから元気だという「気」がしています。試験管の中での実験[in vitro]、注射による成分投与、実験動物による対照比較試験、これらでだんだん希望を膨らますことが悪いとは言ってるわけではありません。その点ではfinalventさんに負けるものではありません。

だからこそ、言葉のズラシなど行なわないで欲しかったのです。あるいは、「科学的」という土俵ではなくてせいぜい「気持ち」という土俵で堅実に論じて欲しかったのです。

(「あるある」では、ナットウキナーゼをイソフラボンへ、イソフラボンを
またHなんとかへ、とズラシのリレーをしたようですね。どうせ素人にはわからないよ、と。「科学」という言葉で「非科学」を流布するの好例でした。)

投稿: bi0615 | 2007.01.25 09:18

bi0615さん、こんにちは。私への応答ではないようですが。

>wikiの文章では、「現象は現実にはあり得ない」と、
>(1)人体あるいは生体内でのこと[in vivo]であり、
>(2)しかも食物として摂取した場合
>を限定条件として示唆しています。

 その「現象は現実にはあり得ない」(in vivoではという意味に理解)が否定事例があり、つまり、この日本版ウィキペディアの言及は早急(つまり間違い)だと私は認識しています。

>つまり、(1)と(2)の条件内で批判しなければならないのに、言い換え
>た(3)を論破しようとするのは、ズラシだと私はいってるのです。

についてですが、批判の必要はなく反例が上がっている状態です。

>(3)wikiが「条件無し」の全否定をしている

その条件が事例によって否定されています。
ただし、その反例は十分なものとは言えないという留保はありえます。

依然、日本版ウィキペディアの「現象は現実にはあり得ない」は科学的な記述ではないと私は考えます。というか、事例に則して限定的に考えるべきでしょう。

投稿: finalvent | 2007.01.25 10:02

finalventさん
ご回答ありがとうございます。

>その条件が事例によって否定されています

それは、
(anti1)人体あるいは生体内でのこと[in vivo]でも効力が示され、
(anti2)しかも食物として摂取した場合でも効力が示された

という実験的事例ということですね。

ポイントは多分ソコだと思いますが、私にはどの「事例」が、どうその2つの「条件を否定した」のか、よく理解できません。凡庸な読者に分かるように、ご自分の文章あるいは引用のなかから、ご指摘の上ふたつの条件との関連をお示しくだされば幸甚です。

投稿: bi0615 | 2007.01.26 08:58

ご回答が無いので、

>ラットと犬の実験では血栓溶解が示されたと

これって、
leads to a mild enhancement of fibrinolytic activity in rats[2] and dogs.
の置き換えなのですか? 翻訳とは思えません。 

この文章を忠実に字義どおり読めば、 fibrinolytic activity (繊維素溶解活性)であって、血栓が溶解した訳ではないでしょう。“血栓溶解が示された”というのは、finalventさんの期待感の表現なのでしょうね。しかし、事情を知らない人は「イヌやネズミの血栓が治った」と誤解しますよ。“繊維素溶解活性の穏やかな増大を導くという研究がある”を、“血栓溶解が示された”といいかえるのは、科学的行為ではなく、読者の誤解を顧みない気分的行為にすぎません。

また、
including two small human trials.
を、
>恐らく、倉敷芸術科学大学須見洋行教授の研究だろうと思われる。
と置き換えていますね。推測文の推測であり他者を「非科学的」と決め付ける具体性はありません。

これらが、finalventさんが相手を『非科学的』と断定する根拠なわけです。そう理解してよろしいですか?

投稿: bi0615 | 2007.01.29 08:55

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