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2007.01.11

中国とパキスタンの反テロ合同軍事演習「友情2006」

 たいした規模ではなさそうなのだが、昨年年末実施された中国とパキスタンの反テロ合同軍事演習「友情2006」(the Friendship 2006)についてなんとなく気になりつつ、全体の見取り図のなかでどういう意味を持つのか今一つよくわからないでいた。かく思案している間に七草が過ぎ鏡開きとなる今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか。
 「友情2006」について国内報道がなかったわけではない。人民日報の日本支部というわけでもない朝日新聞にも転載されていた。”中パ反テロ合同軍事演習、実際の部隊による演習”(参照)より。


 両軍の部隊は現地時間17日午前に合同指揮演習を開始。合同監督部を設置し、司令部設置、情況分析、作戦決定の3点を訓練した。合同軍事演習は11日から18日まで実施され、第1段階では装備の展示、戦闘技術の訓練と交流、第2段階では実際の部隊による演習を行う。山地での反テロ作戦のノウハウの共有と、両軍の反テロ作戦能力の向上が目的だ。

 両軍というのは中国軍とパキスタン軍である。友情だね。熱い男の、薫る……。場所はパキスタン北部アボッタバード地区とのこと。CRI”中国とパキスタン、11日から合同反テロ軍事演習を実施”(参照)では邪推されないように親切な注意書きもある。

今回の軍事演習はテロリズムを共同で取り締まり、域内の平和と安定を維持することにあり、第三者を対象とせず、他国の利益を害さないことを前提にしているとのことです。

 なかなか含蓄のある注意書きなんでしばし考え込んでしまうのだが、この微妙なニュースをブログしておこうかと思ったのは、八日実施された新疆での大規模鎮圧作戦との関係をどう見るかということだった。こちらのニュースは朝鮮日報”中国公安当局、新疆で9年ぶりの大規模鎮圧作戦”(参照)が地図や年表を加えていてわかりやすい。公式報道としては、新疆ウイグル南部パミール高原付近の「東トルキスタン・イスラム解放組織(ETIM)」基地を襲撃し、そのメンバー一八人を射殺、一七人を逮捕というもので、それほど大きな規模の鎮圧でもないようには見える。

 今回の衝突は、1998年4月に新疆自治区伊寧一帯で、公安とETIM側が十数回の銃撃戦を繰り広げて以来、9年ぶりに起きた最大の鎮圧作戦だ。
 中国現代国際関係研究所反テロ研究チームの李偉チーム長は「今回の事件を通じ、中国がテロ無風地帯ではなく、中国にも独自の武器調達能力を備えた武装テロ組織が存在していることが初めて明らかになった」と評した。
 国営チャイナ・デーリーは「2002年8月、国連によりテロ組織の一つとされたETIMの中心人物らがパミール高原の山岳地帯に潜入し、テロ活動の訓練基地を建設した。そこでは少なくとも1000人のETIM所属員らが“アル・カイダ”の支援を受けていた」と主張している。

photo
ETIM地域
 このあたりの話もどう受け止めていいのかあまりに微妙すぎるし、言葉面を追っていくとわかりづらいのだが、地図を見れば一目瞭然、パキスタン国境であり、こりゃどう考えても、「友情2006」との関連があるとしか思えない。が、さてその意味はとなるともどかしいのだがよくわからない。ただ、関連情報として”東トルキスタンイスラム運動”(参照)は念頭においておくべきだろう。

 中国政府は、1990年代以来新疆で続発する爆弾テロや2002年にキルギスタンで起きた中国の外交官暗殺事件をETIMの犯行と断定し、ETIMをアルカーイダと関係があるテロリストグループであるとしているが、ETIM側は犯行もアルカイダとの関係も否定している。
 パキスタン軍スポークスマンがAFP通信に語ったところによると、 ETIMのリーダーのハサン・マフスームは、2003年10月2日、パキスタン領内のアフガニスタン国境近くでアルカーイダ掃討作戦中のパキスタン軍が殺害したという。

 話を「友情2006」の外交戦略的な文脈の意味だが、これは中国系のソースでは触れてないがどう考えても米国とインドの関係の文脈に置かれるだろう。Jane's Information Groupの記事”Foreign friends - China expands relations with India and Pakistan”(参照)あたりがわかりやすい。

While Pakistan and China share a perceived threat from Islamic non-state violence, and despite the counter-terrorism nature of the exercises, the small Friendship 2006 does not appear to be primarily designed to actually help prosecute counter-terrorist policies.

Rather, the real impact of the exercises is political. Friendship 2006 followed up on Chinese President Hu Jintao's November 2006 visit to India and Pakistan, where he tried to balance and expand relations with both rivals. China's main strategic partner remains Pakistan: Beijing remains responsible for much of the technology in its nuclear capabilities, as well as significant weapons in Pakistan's army, air force and navy.

For China, decelerating or neutralising India's growing alliance with Washington is the greater goal. Improbably, it hopes to do this while sustaining its strategic relationship with Pakistan, which has a leading role in the Islamic world. Both would advance China's objectives for Central Asia, which include securing access to energy sources and creating overland rail, road and pipeline routes to reduce reliance on vulnerable sea lanes through the Indian Ocean and Southeast Asia.


 試訳を添えるかなとちょっと悩んだけど、そうでもなくて誤解されがちなブログでもあるので、ちょっと控えておこう。

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コメント

いきなり Rather から引用開始するってのも意味不明ですな。

投稿: | 2007.01.11 11:22

国内のウイグル族によるテロ防止策であるのは間違いない。石油利権、体制の維持・強化が中共のねらい。沿岸部地域すら西から押し寄せてくる砂嵐で砂上の楼閣になりかねない。

投稿: アカギ | 2007.01.11 13:46

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» 中国 パキスタン合同軍事演習「友誼2006」061210- [真silkroad?]
AFP アボタバード パキスタンhttp://news.yahoo.com/s/afp/200612 [続きを読む]

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» ウイグルのトレーニングキャンプ急襲 [果科日記イザ館]
人様のブログで勝手にメモシリーズ化していたが、やはりちゃんとメモっておいたほうがよさそうなので、超訳つきでメモ。 中南海ノ黄昏: 新疆公安部隊”テロリスト”の訓練基地急襲す 初動でのAP/AFPは上記コメ欄に挙げたように懐疑的なトーンも含めて伝えられていた。 昨日のAFPは支那派とウイグル派の両方のコメントを載せている。 Questions linger over China's terrorist threat after deadly raid - AFP Rohan Gunaratna, a ... [続きを読む]

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