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2006.12.11

官製談合事件雑感

 官製談合事件についてはあまり関心が向かない。地方の首長なんてものは叩けば埃が出てくるのは地方に暮らした人間なら別段どってことのないことだし、談合とかも一種の富の再配分というか、談合している側の配分や雇用ためのコストくらいなものではないか。いったいこのところのマスコミというか国政は何やってんだか。そこまでして地方をつぶしたいのか。
 また、この事態に対して、国への反感が地方の市民レベルから上がってこないものなのかと疑問にも思うが、私がぼんやり世間を見ている限りではそんなふうではない。福島県、和歌山県、宮崎県と首長を引っ捕まえて皆さん正義に喝采という図柄はどうもいただけないのだが。

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ハイエク
自由のラディカ
リズムと現代
 何が問題なのか。私は地方の議会だと思う。民主主義の小学校である地方自治が機能していないか、あるいは機能してこんなものだということだ。つまりその行政の一番の主体がそれでいいとしている状態なのだから、改善するなら、その地域の市民が意識を高め、斬新的に改革に着手していくしかないんじゃないか。ハイエクではないが、社会をゼロから作り直そうとする政治思想はそのものが危険であり、不合理でもそれなりに機能している諸制度というものにはそれなりの知恵を含んでいるものである。
 大手紙社説はこの問題について、なにやってんだ国政という批判はない。それでいて地方の議会を責めているふうでもない。ではどのあたりで正義を吹いているかというと、入札制度を変えよ、一般入札化を推進せよという感じだ。なんだかなと私は思うがこれについては後で触れる。
 談合なんてものは常態であり民主主義のコストだくらいにしか思わない私だが、今回なんで、福島県、和歌山県、宮崎県が狙われたのかはちょっと気になっていた。陰謀論を練りたいわけではないが、国側というかバッシャー側の構図はどうなっているのだろうか。なぜこの三県が入賞したのか。
 各県の談合疑惑の状態は全国市民オンブズマン連絡会議(参照)が毎年公開している公共事業落札率調査でわかる。このところ見ていなかったので昨年の「05年度公共事業落札率調査06年9月発表」(参照・PDF)を読んでみた。単純な話、入賞に輝く三県について、「ありゃまこれは誰が見てもベタにひどすぎますな」という状況なのか。
 この問題に関心を持たれるかたは資料をご覧あれ。宮崎県ついては談合疑惑一位なので、こりゃま三下をしょっぴいたら親玉もしょっ引かないといけないなというものだ。イエス・キリストだって悪の三下を捕まえたらボスだって捕まえるもんだろというジョークを飛ばしているじゃないか。
 むしろ問題は、福島県と和歌山県がこの資料から、ばればれという感じで浮かび上がっているかなのだが、難しい。福島県をしょっ引くなら他にあれとこれはどうなんだという印象が強い。ちなみに、あれとこれについてはちょっと言うのさけようかとためらったが隠されていることでもないので言うと北海道ね、やっぱし。それと鹿児島県、熊本県。熊本県ってなんか疑惑の話題があったような気がするが、最近とんと記憶力がないことにしているのでこの話は突っ込まない。
 談合というのはボスがいるもので、ボスというのは県庁所在地に権力を構えるものなので各県の県庁所在地の市についての談合疑惑ランキングを見ると、あはは、宮崎市二位じゃん。ほいで福島市四位。ちなみに一位は富山市、三位は鹿児島市、五位は松江市。松江市ってなんか有名な政治家がいたような記憶があるが薄れ。
 入賞者への講評として残る和歌山市がなんでヒットされたかだが、全国市民オンブズマン連絡会議からは見えない。なんか個別の理由があるのしょう。ありそうじゃないですか。しょっぴかれたのだからなんか悪をやっているんですよ、きっと。
 冗談はさておき、リストを見ていると言うまでもなく官製談合なんてものは空気のようなものというか空気に含まれている窒素のようなもので、叩く気になれば他からも出てくるので、「この祭、いつまでやるんですか、アベ内閣」と書いたらバカなブログみたいだな。書かなくてもここはバカなブログですか。
 NHKの解説番組時論・公論を見ていたら、全国市民オンブズマン連絡会議とは別の数値が上げられていたが、それでも立派な県として長野県と宮城県が上げられ、入札方式を一般入札に切り替えたことで落札率が七〇パーセント台になりましたとか言っている。そのあたりが先にふれた全国紙の社説の議論と似ているわけだ。
 ところが全国市民オンブズマン連絡会議の資料を見るとわかるが、そういうのっていうのはこの二県と富山県だけで、続く神奈川県、京都府、沖縄県はがくんと一〇ポイントあがって八〇パーセント台。現状では、一般入札に切り替えろソリューションは特例的な状況にあるのだろう。
 というところでワシタウチナーだが、談合疑惑ないよ上位八五・五パーセントっていうのはどういうことなんだと統計を見ると、昨年は九六・四五パーセント。そうでなくちゃね。というわけで、国もずいぶん鞭と飴を沖縄に振るったものだし、ようするに犯罪でしょみたいなベタな談合でなければくさい臭いの元を絶つ(古いなぁ表現が)方式だと自然に下がるわけだ。というか、八〇パーセント台の談合というのは、けっこうウェルフォームドなXMLとまではいかなくてもヴァリッドで必死な再配分システムなんだろう。つまり、ボスの上納金分を減らしても再配分が増える均衡点がこのあたりにあるだろう。まあ、こうした仕組みが全体的に見られるとしたら、なんのことはない、今回のバカ騒ぎというか祭は、国が地方に回すカネを減らしますからね様の赤絨毯なのだろう。
 それにしてもなんでこの時期に祭なのか。全国市民オンブズマン連絡会議を見ていると微笑んでしまうのだけど、優等生の県はオラガ信州ですよ。ヤッシーあっぱれみたいのがぷんぷんしてくるわけで、祭の御輿に変なの乗せるじゃないよってことでこの時期なのかとちと勘ぐる。
 マジな部分では九日の産経新聞社説”宮崎県前知事逮捕 「談合根絶」は看板だけか”(参照)がわかりやすい。っていうか手品のタネはこれだ。

 まさに、日本列島は談合の“ドミノ現象”である。なぜ、これほど談合の摘発が続発するのか。
 その大きな要因の一つに検察・警察の捜査当局が、今年に入って談合事件を積極的に捜査するようになったことが指摘できる。
 改正独占禁止法が、今年1月から施行され、主に談合を取り締まる公正取引委員会の調査権限が、国税当局並みに強化された点が大きい。
 これまで、公取委は、談合を摘発すると、東京高検にしか告発できなかった。これが、改正独禁法により全国の各地検に告発することが可能となり、検察当局との連携が強化された。

 地方も東京高検をマネしたいということか、東京高検的に恣意な必殺仕置き人が全国に撒き散らされたか。ちなみに、福島県と和歌山県の談合事件の背景はこう。

 福島と和歌山県の両談合事件は東京地検と大阪地検の特捜部が捜査にあたった。和歌山県前知事、木村良樹容疑者の逮捕のきっかけは、公取委が今年5月、汚水処理施設工事発注をめぐる談合を大阪地検に告発したのが端緒とされている。

 私はなんか絶句するね。というところでこの話はおしまい。

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コメント

もう逆に公共事業を請け負う建設会社は国有化しちまえばいいと思うんですよね。そうすれば談合はありえないし。学校だって私立と公立があるんだし。
そうすれば建設会社を食わせるために無理に工事を発注する必要がないから予算もかからないし、工事がないときでも土方は公務員として雇っておいて、訓練かなんかを常にさせて、給料はちゃんとあげれば、金がストップせずに回る。軍隊や警察や消防署は仕事ないときでもお金あげて訓練させてるわけで。
このアイデアいいことずくめだと思うんですよね。困るのは建設会社の社長くらいで。

投稿: 天魔 | 2006.12.11 21:42

公務員と名の付いた瞬間に、首切れ減らせの大合唱な現状だと、ちと難しいかと。
公共事業体にしたとしても、9割は派遣・バイトで回せとか言われて、結局不安定労働者増やすだけになる気がします。

投稿: sw | 2006.12.12 00:09

>そこまでして地方をつぶしたいのか。
素朴な疑問ですが、談合の摘発で地方が潰れる?というリクツが見えません。かつて談合の摘発で地方が潰れたケースがあります?地方を潰すくらいなら談合アリじゃん、民主主義のコストじゃんかよー的な言説は一見もっともなのですが、肝心の「談合摘発で地方が潰れる」の根拠がいまひとつ腑に落ちず、途方に暮れています。本当に談合摘発で地方が潰れるのなら、ドシドシやればいい。逆説的ですが、かえって地方分権が進むかもしれません。あ、これは冗談冗談。

投稿: 参考になりました | 2006.12.12 11:53

国債発行額の減少→地方交付税の減額というのが
タイミング良く出てきましたねぇ。
これで結果的に地方の構造改善と自立が促されるという流れなのかと。

投稿: banana | 2006.12.12 16:13

民意のレベルの低さだと思います。
自分の意思をちゃんともって、投票をしないといけない。
選挙のときに、土木業者に票のとりまとめなんかを依頼するから、彼らの呪縛から脱出できなくなるんだよな。きっと。

投稿: ベリー | 2006.12.12 22:05

岐阜(裏金)・福島・和歌山と続いたのは、全部需要が近隣の大都市に吸われて経済が悲惨なことになってるからじゃないでしょうか?少ないパイだからこそ談合で振り分けるインセンティブが高くなるし、そこから外れた人の恨みも大きいからその不満でバレやすい、と。宮崎ももともとの需要が最低レベルの県だし。
だから、景気よくて充分恵まれてるから身内とそれ以上の贅沢やってたって都民は全然文句言わないんでしょ。落札率だって決して低くないのに。
結局「民衆はパンとサーカスを与えとけばいい」ってことなんですよ。ネットとかで「サーカス」は低コストで提供できるようになったとはいえ、都会の無駄づかいやめたぐらいじゃ地方に充分なパンを回すにゃ全然足らんけどね。

投稿: koge | 2006.12.12 23:05

島根県では談合のような官がその主体となる犯罪について、それらが悪であるというイメージが県民の間で
まるで共有されていないという印象を受けました。

投稿: csun | 2006.12.14 00:29

祭りは、地方行政改革をうまくリードできない首長を、

このままほっておくと地域を破産させかねないので、

公式にクビにできないため、引っぱる材料見つけて、

「万年最下位球団の監督交代を図った。」

って感じの国の地方の財政破綻処理みたいですね。

カンですが、参考までに・・・

投稿: おにぴー | 2006.12.18 01:35

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