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2006.12.04

チェイニー副大統領のサウジ訪問は何だったのだろうか

 難しい問題なのだがやはりブログに疑問だけでもとどめておく意味がありそうに思えてきた。話は先日のチェイニー副大統領のサウジ訪問についてである。
 まず基礎事実から。日経一一月二五日”米副大統領、サウジ国王と会談・「イラン包囲網」狙う ”(参照)より。


チェイニー米副大統領は25日、サウジアラビア入りし、アブドラ国王と会談、首都リヤドで混迷が深まるイラクやレバノン情勢への対応などを巡り話し合った。

 表面的には、三〇日ヨルダンでもたれたブッシュ米大統領とイラクのマリキ首相会談の下準備ということだが、日経の記事はこう加えている。

副大統領は国王との会談で、同じイスラム教スンニ派が主導する国家であるサウジがイラクのスンニ派勢力に影響力を行使するよう要請したとみられる。

 このあたりの見解はごく妥当なものなのだが、もう一歩踏み込むと、スンニ派勢力への影響力の内容と具体的なサウジ王家の関わりが見えてこない。
 もう一つ事実。CNN”イラクで家族襲撃と自爆テロ 外出禁止令は27日まで”(参照)より。

一方、チェイニー米副大統領は25日、サウジアラビアのアブドラ国王との会談を終えて帰途に着いた。サウジ当局者がCNNに語ったところによると、イラク情勢や域内で拡大するイランの影響力、ガザ地区におけるイスラム原理主義組織ハマスの状況、シリアのレバノン政府介入について意見交換が行われたという。

 会談は短い。報告は曖昧だ。
 この問題の深層とまで言えないのだが、サウジによるイラク介入の可能性だ。この話の発端はナワフ・オバイド氏によるワシントンポストへ”Stepping Into Iraq”(参照)寄稿だが、国内のソースを見ていると意外にも赤旗が注視している。”イラク駐留長期化狙う 米秘密メモで浮き彫り : イラク駐留長期化狙う/米秘密メモで浮き彫り/地位協定交渉を要求”(参照)より。

 この点で注視されるのは、サウジ政府の安全保障問題顧問のナワフ・オバイド氏のワシントン・ポスト十一月二十九日付への寄稿です。同氏は、米軍のイラクからの段階的撤退もありうる情勢になってきたので「サウジ指導部はイラク政策の大幅修正の準備をしている」と指摘。サウジはこれまでイラクへ不干渉の立場をとってきたが、米軍が撤退すれば、イラクのイスラム教スンニ派の擁護のため、同派の「指導」国として軍事的に介入することもありうるとの見方を示しました。
 同氏は、「サウジが関与すれば地域戦争を引き起こす危険があるが、何もしないことの結果の方がはるかに悪い」と述べています。

 赤旗の記事はここで終わるのだが、表題を見るに「イラク駐留長期化狙う」が強調されている。赤旗は米国がイラク占領を長期に継続したいという意図があるのだととらえているのだろうか。しかし実際には、サウジの関与を控えさせるためのチェイニー副大統領の努力だと見てよい。もっとも、それが正しいとか短絡的に理解していいことではない。
 ただ、ナワフ氏の見解が重要であることは確かだ。

In this case, remaining on the sidelines would be unacceptable to Saudi Arabia. To turn a blind eye to the massacre of Iraqi Sunnis would be to abandon the principles upon which the kingdom was founded. It would undermine Saudi Arabia's credibility in the Sunni world and would be a capitulation to Iran's militarist actions in the region.

To be sure, Saudi engagement in Iraq carries great risks -- it could spark a regional war. So be it: The consequences of inaction are far worse.

(試訳)
 このような事態で、サウジアラビアが傍観的な立場に留まることは容認しがたい。イラク・スンニ派の人々への虐殺に目をつぶることは、王国が依拠する原則を放棄することになる。そんなことをすれば、スンニ派の人々がサウジアラビアに寄せる信頼を傷つけることになるし、この地域におけるイランの軍事活動に屈服することになる。
 サウジがイラクに関わることは大きなリスクが伴うことは確かだ。地域戦争の引き金にもなりかねない。なすべきことをなせ。怠惰の結果はさらにひどいことになるのだから。


 この状況のなかでチェイニー副大統領が具体的に何をしてきたのか。「極東ブログ: チョムスキーとチェイニーと」(参照)でふれた過去のことを考えると、いろいろ思うことは多い。

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コメント

>イラク駐留長期化狙うというので意図的な米国の占領のようにとらえているのだろうか。

 ここの日本語おかしいで。書き手の意図が明確に伝わんねえ。修正きぼん。修正例とか出すのダリー。んじゃ。

投稿: ハナ毛 | 2006.12.07 18:31

ハナ毛さん、こんにちは。ご指摘箇所書き直してみました。意図は通じるでしょうか。

投稿: finalvent | 2006.12.07 20:01

↑美しいですね。

投稿: ハナ毛 | 2006.12.08 07:48

 今日の愚考

 いろいろ手を打ってんだけどイラクとかレバノンとか本格的に駄目になったら石油優先的に回してネ。象さんとか増産とかヨロピク。高く買うからさ。
 …てな話もあったやもしれませんな。

 問題解決のため「だけに」対話をしていると思わない私は擦れッ枯らしですか?

投稿: ハナ毛 | 2006.12.09 00:14

友達におもしろいからと勧められて読んでみたが、あれだな、文章自体はへたくそではないが、構成があまり考えられていなくて、全文を読む気にさせないところがありますね。

投稿: booboowambo | 2006.12.12 19:51

> booboowambo

それはここに書くべきことではなく、あなたの御友人に直接お話しされるべきことでは?

投稿: | 2006.12.13 12:32

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