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2006.12.09

豪イアン・キャンベル環境大臣は日本人英霊を敬すとのこと

 ココログに投稿できないうちになんとなく、極東ブログも千日をもって終わってしまったような感じがしていた(本人談)。が、気を取り直してなんか書いてみるべか。と気になる最近のニュースだが、そういえば先日オーストラリア、シドニー北部沿岸海底で旧日本軍の特殊潜航艇が発見され、その報道が興味深かった。
 話の発端は、オーストラリアのテレビ局、チャンネル・ナインによる十一月二十六日報道番組「60ミニッツ」だ。第二次世界大戦時、シドニー湾攻撃で豪艦艇を撃沈した後、母艦に帰還せずに行方不明となっていた旧日本海軍の小型特殊潜航艇一隻が、シドニー湾沿岸約五・六キロ沖の海底で発見されたと報じた。しばらく真贋が論じられたが、報道内容は後日は確認された。
 一九四二年五月三一日夜、三隻の日本海軍特殊潜航艇がシドニー湾の連合軍艦船を攻撃する任務を負った。二隻は湾内に侵入できず自決。残骸は回収されキャンベラのオーストラリア戦争記念館に展示されているが、残る一隻(伊24搭載艦)は侵入に成功。米国重巡洋艦シカゴに魚雷を二発発射。うちの一発が豪軍艦艇クッタバルを撃沈。二一名が戦死(一九人が英国人、二人が豪州人)した。任務を遂行したこの一隻はその後行方不明となり、探索が続けられていた。これが今回ようやく発見された。
 任務を遂行したのは、NICHIGO PRESS”旧日本軍潜航艇、シドニー北部沖で発見か シドニー湾攻撃後、 64年間行方分からず”(参照)によると、愛知県碧海郡高瀬町出身伴勝久少佐(当時二三歳)と和歌山県海草郡貴志村出身芦辺守少尉(当時二四歳)の二名。
 同記事ではまだ確認されていない時点のものだが、豪イアン・キャンベル環境大臣は日本人英霊を敬すとの話が興味深い。


  また、同環境相は「連邦政府は、船体の長期的な扱いと、日本兵の英霊を敬うための適切な方法について、日本政府とNSW州政府と協議している」と語った。

 この英霊を敬するというのは修辞なのかというとそうではない。というのは、自決した二艦についても敬意を払っている。

一方、自爆した2艦は同年6月4・5日、シドニー湾内から引き揚げられた。オーストラリア海軍は当時、日本軍と交戦中であったにもかかわらず、船内で自害していた松尾敬宇大尉ら日本兵4人の勇敢さに敬意を表して、海軍葬を行った。

 このニュースが私の心を引いていたのは、なぜオーストラリア人は敵国日本人にそこまで敬意を持つのかということだ。ことは以前にふれた「極東ブログ: ダーウィン空爆戦死日本兵銘板除幕式」(参照)でも思った。こういうオーストラリア人の感覚が、正しいとか違っているとか難しい話は抜きにして、国際的には普通の感覚なのではないかという疑問がある。加えて、どうもオーストラリア側での報道を見ていると、伴勝久少佐と芦辺守少尉は英雄という印象を受けた。
 とはいえ、この作戦に関連してチャンネル・ナイン型のニュース”Secret papers reveal bizarre war plan”(参照)の表題にあるように、"bizarre war plan"(珍妙な戦略)とでもいうべきものもあった。
 今朝の朝日新聞社説”開戦65年 狂気が国を滅ぼした”(参照)によると日本国を滅ぼしたのは狂気で「日本中を「狂気」が覆っていたといえよう」ということだそうだ。確かに当時の朝日新聞を読むと納得するしかないし、私も二三歳の伴勝久少佐と二四歳の芦辺守少尉を死地に追いつめたものは狂気であったと思う。ただ、彼らは狂人ではない。豪イアン・キャンベル環境大臣がそう言明したように、敬すべき存在である。

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「歴史」カテゴリの記事

コメント

 身の程弁えて自分に出来ることをやり遂げた人を褒めるのは当たり前のことやろう。途中で失敗しても、頑張ったらそれで良しとするのが当然やろう。人として。それの、どこが遺憾のか。
 そんな感ずぃ。

投稿: ハナ毛 | 2006.12.09 16:46

>>が、気を取り直してなんか書いてみるべか。

 今さら泥臭い台詞吐いても手遅れだョ。

投稿: ハナ毛 | 2006.12.09 17:01

>>極東ブログも千日をもって終わってしまったような感じがしていた(本人談)。

 2000本安打打って現役引退の花道にしようとか阿呆なこと考えてるプロ野球選手みたいなこと言いなさんな。
 だいたい1000本しかやっとらんやないけ。
 そういうときは「4000本安打まであと2094本(広島カープ・前田智徳選手の場合)」とか言うもんよ。

 山は8合目まで登ったらそこを5合目と看做すもんじゃろ。楽したら遺憾。苦しいときこそ重労働。働いて働いて働き抜いた挙げ句に ボ ー ナ ス は 重 労 働 。コレですよ。人として。

 気を抜いたらぷっ頃すゾー。

投稿: ハナ毛 | 2006.12.09 17:17

お、添削係が復活してる。コメント欄が0だと寂しい感じがしてた。
元気にツッコミ入れてるようなので一安心。

投稿: とまと | 2006.12.10 09:09

>添削係が復活してる

一度、尋ねてみたかったのだが良い機会だ。
あんた、本当に元編集者かい?その割には文章がへたくそだが。

投稿: F.Nakajima | 2006.12.10 09:18

 上手である必要はないと思うんですけど。なんで上手を期待するの?

投稿: ハナ毛 | 2006.12.10 09:26

 俺は別にイナバウアーやって金メダル貰ってそれからプロになった人間じゃなくて「頼もう」でいきなりプロになってそっから小突かれ蹴られ見よう見まねで覚えた人ですから。
 門前の小僧習わぬ経を詠む、のレベルでしかないでしょ。
 期待する水準に到達しないのは、当たり前のことなんですけど。

 街のラーメン屋@閉店寸前の若(バカ)大将に銀座の味を所望するようなもんさね。

 アレでしょ。学校逝って一生懸命勉強してキチンと就職して真面目に働いて、そういう視点でモノを見るから、そういう感性でしか人を評価できないんでしょ。
 んで「評価」なんて単語が出たら、「評価=良い意味で認める」くらいにしか思ってないんでしょ。

 こないだ言ったやん。「+1」「0」「-1」で人を見たほうが吉、って。ユーの評価は「0、1」止まりよ。デジタルよ。そんな感じ。

投稿: ハナ毛 | 2006.12.10 09:39

べんとお おぢちゃん みたく つちと あせの かおりの する ひとに なって ください

投稿: ハナ毛 | 2006.12.10 09:41

>村上欽ちゃんをつぶすと空気が変わるってことか。

>ありえない出だし。

(日記より引用)

 -100に-を「掛けたら」+100になりますね。逆もまた然り。
 小学校の四則演算レベルですわ。んだから、べんとーおぢちゃんみたいに体系知を身につけた人間からすると、アホの世迷言にしか見えんのですよ。そりゃ当然。

 マスコミとか新聞屋は、いざとなったらそーゆー真似を仕出かして「無から有を生み出す」とかおっしゃるから。んだから、私とか「ブンヤは煽り騙りで飯を食う」って喝破するですよ。そーゆーもん。

 で、そーゆーやり口に余りに馴染むから、体系知の構築やそれに伴う技術力の底上げが、無理なんですわ。体質的に、無理なんよ。頑張りきれないの。日本人は。

 だいたい、べんとーおじちゃんだって宗教やってんじゃねえか。学術レベルなのか生活体系レベルなのか知らんけど。只の人間は、そういうもんなんだよ。

投稿: ハナ毛 | 2006.12.10 09:52

 どんなに疾く走ることが出来ても 誰よりも疾く走ることが出来ても あの日夢見た明日の自分には追いつけない

 そこで「嗚呼儚い」と思うのが日本人。
 何苦楚で神様頼みをしてでも走りぬくのが欧米人。

 その差よ。

投稿: ハナ毛 | 2006.12.10 09:55

 昔の日本ならヤオヨロズの神々がいて、それぞれ信仰があっても誰もケチつけなかったから、んだから個々の分野でキラリと光る一芸人ってのは、幾らでも居たのよ。そういうのが国家統制の元否定されて「オメー宗教やってんの? ウェー」みたいな空気になってるから、だから、弱いんだ。
 でも、だからって国家規模で宗教やっちゃうと、悲劇に至るわけよ。それで一遍滅びたろうに。

 ビックになろうとしても既に世界規模のビックが存在する以上、邪魔者でしかない。牛後でしかない。いずれ潰される。ハエのように。それだったら、逆に個人レベル…生き様や信念の次元で「個々が徹底して保持・護持する」の領域に走るしかないんだ。
 それが、廻り廻って「ヤオヨロズの神々」に成るんだよ。
 日本は、そういう国。

投稿: ハナ毛 | 2006.12.10 10:02

 今日も今日とてキングボンビー@私は走る。常に全力疾走。力尽きたら、それまでよ。人生そんなもんや。

投稿: ハナ毛 | 2006.12.10 10:04

>>F.Nakajima

 野良犬のくそ垂れはいかがですか? お気に召しまして?

投稿: ハナ毛 | 2006.12.10 10:16

 今日は昼から父ちゃん@半身不随とホームセンターに買い物に逝くんよ。父ちゃんの護衛で急がしいんよ。

 母ちゃんは文句ばっかり垂れるけん、もう知らん。小賢しい馬鹿は放っときゃええんじゃ。勝手になんかしよるじゃろ。

投稿: ハナ毛 | 2006.12.10 10:36

 金持ちは暗殺@最後の手段に気をつけろって感じ。
 貧乏最強!! 今日も平和です。ハイ。

投稿: ハナ毛 | 2006.12.10 11:29

 日本人の賢さなんてもんは「そこ彼処さ」にあるんよ。ちょい語呂合わせ。
 路傍の土くれ石ころと一緒。土くれ石ころに価値は無いけど、でもそれが無いと依って立つ土地が無い。
 お前らどこに立って生きとるんやと。ドラえもんみたいに空気に浮いとるんかと。

 出来ん事を言うな。やれることを一生懸命やれ。そんだけじゃい。

投稿: ハナ毛 | 2006.12.10 13:04

こら、白黒人間!君にも唯一出来ることがある。それは一所懸命な連投を止める事だ。でも、白黒だからこそ出せる味ってものは確かに在る。

投稿: たま | 2006.12.10 17:40

添削してやろうかとも思ったが、全部目を通したうえでやめることにした。
ネタ的に面白くないのと、あんた、やろうと思えば書けるじゃん。

投稿: F.Nakajima | 2006.12.10 20:16

↑ご両名

 はいはい、そうですか。ご苦労さん。

投稿: ハナ毛 | 2006.12.10 20:50

 最終弁当翁が私に「連投禁止・1エントリに1回400字まで」等の制約を通告すればそれで済む話。技術的な対策なんぞ施さんでも、口頭一発でノー問題。来てほしくなければ「帰れ」で済む。
 横合いからわざわざ出てきて言ったところで、そんなもんは無視だろ。言うだけ無駄だよ。

>やろうと思えば
 私がやる気を出したかどうか、どこでどう判断してんだか。それがアナタの心の鏡だ。俺に言ってる風で自分にしかモノを言わない人と、どうやって会話すればいいのか謎ですな。
 こんなもんでイチイチ「やる気(笑)」なんか出す訳ないだろ。余りにも標準でしょうが。

投稿: ハナ毛 | 2006.12.10 20:59

 序でに言っておくと、ネットやらない友人と遊んでいるときにブログを紹介して「ホラ、こんなの書くとこういう対応が帰ってくるよ」的なレクチャーしてその一環でなんか書くこともあるから、(そういう局面に備えて予め仕込み的書き込みをすることもある)そういう状況で「やる気」というのは、少なくともレスした人には万全に向けられないと思いますよ。
 今は正面向いてるから向いたなりの事を言ってますけど。

投稿: ハナ毛 | 2006.12.10 21:05

へえ~~。悪かった。前言撤回するわ。あんた中々やるもんだね。

投稿: F.Nakajima | 2006.12.10 21:55

ふ~ん。正論だが、あまり人の好いとこにつけこむつうのも考えもんだぜ。スレ主がどっちか分からなくなってるじゃん。父ちゃんの世話で忙しくって、趣味がブログのコメントだけ、つうとこは極端に泣かせるけど。

投稿: たま | 2006.12.10 23:03

狂気だったと言うのなら今は正気であるという視点なわけだ。
「狂気」を「マスメ」に置き換えても全然!みたい~なー
これぞ狂歌連歌の直系、ショートコメント文化の泣かせるとこ。

投稿: きりかぶ | 2006.12.10 23:32

こちらにいては見えてこない、オーストラリアからの対日戦争の記憶と和解については、指揮者の故岩城宏之氏がたびたびコラムで書いておられました。やはり、オーストラリアは日本軍からの本土攻撃を受けた国ですから、それなりに。

投稿: kiyo | 2006.12.11 15:31

空襲にしても潜水艇攻撃にしても極端に困難なオペレーションですよね。
特に水面下のフネはやたら小説や映画のネタになるように、人の想像力をかきたてるシチュエーションだと思います。

加えて軍務、命令下での半自殺攻撃(決死・必死という言葉の使い分けがあるらしいですが、よくわかりません)は日本独特の狂気とやらによらなくても軍隊という組織の性質上、完全に排除できるものではないでしょう。そのような究極の公務を負い、殉じた人間に敬意を払うのは同じシステムを利用している共同体同士の間ではコンセンサスとして成立しそうに思います。現にそうなってるかもしれないです。

このコンセンサスが成り立たない国もありますが、そういう国では軍事行動は公的なものではないのではないかと思います。

投稿: hamanako | 2006.12.11 16:35

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» 日本海軍潜航艇 [馬鹿と煙]
暫く前になるが昨年の11月26日シドニー北部海岸沖で旧日本軍特殊潜航艇らしき潜水艦が発見された。発見したのは地元スキューバ・ダイバーグループ。この船は第二次大戦中の1942年5月31日にシドニー湾を奇襲攻撃したあと行方不明になっている伊24搭載艦の可能性....... [続きを読む]

受信: 2007.06.20 08:35

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