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2006.12.20

リトビネンコ毒殺疑惑、雑感

 リトビネンコ(Alexander Litvinenko)の毒殺疑惑の話題は世間ではもうすっかり旧聞になってしまったが、先ほど岸田今日子や青島幸男の死去のニュースを見たついでにこの件の最新ニュースを見た。共同”ロでの捜査終了発表 毒殺疑惑で最高検”(参照)が少し気になった。


 ロシア連邦保安局(FSB)元中佐リトビネンコ氏の毒殺疑惑を調べている同国最高検察庁は19日、ロンドン警視庁の依頼に基づく捜査は終了したとの声明を出した。最高検の協力を受けて行われていた英国側によるロシアでの捜査も終わったとみられる。

 この捜査がどのようなものでまたどのような結論が出たかまではわからないが、たぶんどってことない結果というか、真相は藪の中ということではないかと思う。つつくなよ、と。この事件については私はこの捜査の行方に少し関心を寄せていた。
 リトビネンコ毒殺疑惑については、率直に言ってそれほど関心がない。やるなあ西側報道という感じだ。とにかく祭りだ、野郎ども。国内メディアで一番笑ったのが十二月四日付け産経新聞社説”露元スパイ怪死 警察国家体質が暴走許す”(参照)の飛ばしようだった。

 3人ともプーチン批判の急先鋒(せんぽう)だが、プーチン政権は事件への関与を否定している。しかし、犯人が誰であれ、問題の本質は同政権の「警察国家」的な強権体質が反体制派の人権を軽くみなす風潮を蔓延(まんえん)させ、テロを許す土壌を提供していることだ。

 「しかし、犯人が誰であれ、問題の本質は」かよ、おいおい。という以前に、まさにこうした世論のリアクションも恐らくこの事件の本質に関わっているのだろう。産経新聞、豪快に釣られましたなというものでもないのかもしれない。
 事件だが欧米のメディアでは反プーチンの空気が強いこともあってプーチン大統領への疑惑という話も出てきたが、さすがにそれなりのジャーナリズムのレベルでは、それはありえないでしょうという基調トーンになっていた。つまり、ロシア連邦保安庁(FSB)の関与はありえないでしょう。
 この事件の核は案外しょぼいマフィアの暗殺(ロシアではよくあること)ではないかと思うが、大局で見るならポスト・プーチンの権力闘争の一環の構図にあるので、もうしばらくして煮詰まってきたら全体の配置から読むべきものが出てくるのだろう。
 今回の事件で衆目を集めたネタにはポロニウム210もある。日本での報道はどうなのかよくわからないが、これは要するに汚い爆弾(dirty bomb)であり、簡単な話、北朝鮮の核化よりもはるかに日本にとって脅威となるものだ。が、まあ日本だと最大の防御は無関心というところでしょうか。あるいは無防備?
 話を少し戻して、今回の英国の捜査が多少気になっていたのは、ファクツだけ取り出したときロシア政府の関与があるのかもという点だった。ポイントは二つ。ポロニウム210がロシアから持ち込まれたこと、リトビネンコ毒殺疑惑には、ロンドンのホテルで十一月一日に彼が会った二人の元ロシア治安機関工作員が運び屋として関わっていることだ。
 ロシア政府はこの二人を隔離していたのだが、このまま英国側の捜査前に口封じをしてしまうのかなというのが気になっていた。が、そうでもないようだ。
 さっき届いた日本版ニューズウィークを見ていたら、プーチンの天下り先はガス・プロムでしょという話があり、あー、もしかしたらポスト・プーチンというより、ガス・プロム回りの利権の問題とかでプーチン失墜狙いという線もあるのか、と思った。
 とか、思った時点で釣られてますな。

追記(2006.12.22)
 ポロニウム210(polonium-210)と汚い爆弾(dirty bombs)については、以下の記事が参考になる。ご関心あるかたは英文だが参照されたし。

New York Times
"The Smoky Bomb Threat"(参照

By PETER D. ZIMMERMAN
Op-Ed Contributor
Published: December 19, 2006

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「時事」カテゴリの記事

コメント

ポロニウムが、その辺の薬局で買えるような代物ではなく、国家レベルの機関でない限り作れないわけで。やはり、それなりの組織の犯行ではないかと。

投稿: XYZ | 2006.12.20 19:39

>が、まあ日本だと最大の防御は無関心というところでしょうか。あるいは無防備?

 そういうことでしょうね。

 ところで、私、12月23、24の両日、無駄に東京出陣とかしますんで、もし宜しかったら雷門前にてお待ちしてます。日頃のご愛顧に感謝してお米進呈です。要りませんか? …そうですか。しくしくめそめそ。

 来てね。とか言って。

投稿: ハナ毛 | 2006.12.20 20:08

その手のヤバイ放射性物質なんて、ソ連崩壊のドサクサで大量に流通してるもんだと思ってたのですがホントのとこはどうなんでしょうね。

ロシア政府が本当に厳重に管理できているかどうかも怪しいもんだと思うのですが。

投稿: オレオレ、イクイク | 2006.12.20 21:16

↑来ぇへんのやから、言わんとき?

投稿: ハナ毛 | 2006.12.20 21:24

死して屍拾うもの無し。
隠密同心の掟、知ってる?
なら簡潔明瞭。

投稿: きりかぶ | 2006.12.20 22:15

きっと。ホテルモスクワの仕事でしょw

投稿: ういうい | 2006.12.21 00:14

ハナ毛氏
>ところで、私、12月23、24の両日、無駄に東京出陣とかしますんで、>もし宜しかったら雷門前にてお待ちしてます。日頃のご愛顧に感謝し
>てお米進呈です。要りませんか? …そうですか。しくしくめそめそ。

12月23、24日の何時から何時までの間に雷門前で待っているのか明記しないと終風先生も困るのではないですかね。

僕はクリスマス前に恋人に一方的に別れを告げられたので、どこかで粛々と年賀状でも書いています。
人生に疲れたことですし、来年は普通にデートして普通にメールを返してくれる人を探そうと思っています。

投稿: 通りすがり | 2006.12.21 08:12

>きっと。ホテルモスクワの仕事でしょw

手口がヌル過ぎますw

投稿: 無粋な人 | 2006.12.21 09:29

>通りすがり

 23日11時45分ごろ東京着それから雷門へ直行して翌24日17時まで待機。17時に帰る。ユー、アンダスタン?

投稿: ハナ毛 | 2006.12.21 14:04

今回は、ハナ毛様はチェックなさらないのですね。

> 青島幸夫
青島幸男かと思います。

投稿: かすみん | 2006.12.21 19:20

 今ダウナー気味なのでそれどころじゃないです。

投稿: ハナ毛 | 2006.12.21 21:04

 ネタ人生は厳しいです。でも頑張ります。宜しくお願いします。そんだけ。

投稿: ハナ毛 | 2006.12.21 21:06

じゃ、代わりにやってさしあげましょう。

>この事件については私はこの捜査の行方に少し関心を寄せていた。
 リトビネンコ毒殺疑惑については、率直に言ってそれほど関心がない。やるなあ西側報道という感じだ。とにかく祭りだ、野郎ども。

へえ。矛盾した物言いですな。関心はあるんですか?それともないんですか?


投稿: F.Nakajima | 2006.12.21 21:42

ついでだ。
>これは要するに汚い爆弾(dirty bomb)であり、簡単な話、北朝鮮の核化よりもはるかに日本にとって脅威となるものだ。

polonum-210 をdirty bombだ。と言った時点で、私は大笑いして、はい、さようなら。と申し上げます。
この物質の半減期はたった184日ですよ。ウランやプルトニウムのように何千年といったレベルじゃありません。

投稿: F.Nakajima | 2006.12.21 21:59

たしか、ポロニウムってアメリカでは普通に販売されてるんでしょ?
インターネットで通販もされてるし、特に免許とか資格が無くても入手できるって聞いたけどなぁ。

投稿: 無名 | 2006.12.27 07:20

釣られてるというか
犯人がロシア政府関係者でないにしても
ロシアに関わる事に対する嫌気は同じ事なんじゃないかな
マフィアなら制御の面で余計悪い気もするし

投稿: 梨 | 2006.12.27 21:06

半減期が短いほどdirtyだと思うんだけど。普通に販売されてんの??

投稿: cru | 2007.01.01 01:13

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 もういろんな所で報道されているが元ロシア連邦保安庁(FSB)情報部員アレクサン [続きを読む]

受信: 2006.12.21 01:56

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