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2006.11.12

中国アフリカ協力フォーラム関連

 今朝の日経新聞の社説”中国、アフリカ外交の功罪”(参照)が興味深かった。朝日新聞と同じく日経新聞はすっかり中国様にヘタレだと思っていたが、そうでもないふうだった。話は先日北京で開催された「中国アフリカ協力フォーラム」の関連で、欧米紙ではこの日経の社説にあるように「資源確保を狙って中国は人権抑圧国家を援助している」という批判が掲載されていた。
 そういえば三日付け朝日新聞の関連記事”中国・アフリカがサミット 北京に48カ国首脳集結”(参照)はヘタレというべきかよくわからないが微妙な文脈を書いていた。


 アフリカ53カ国のうち中国は48カ国と国交を持つ。対アフリカ接近は90年代半ば以降に勢いを増した。経済成長に伴う資源確保が狙いだ。今年1月に発表した対アフリカ政策文書では、「政治的条件をつけずに援助を続ける」ことを柱の一つに掲げた。
 例えば長く内戦が続いた産油国アンゴラ。日米欧は復興に向けた支援国会議を立ち上げ、透明度の高い援助をしようとしたが、アンゴラは「自由度の高さから中国の援助を選んだ」(アフリカの外交筋)。「世界最悪の人道危機」とも言われるダルフール紛争を抱えるスーダンでは、大型油田開発に携わる中国が、国連が検討した対スーダン制裁措置に一貫して反対している。

 この話はここでぶっち切れて後段に続くわけではない。なので、どう解釈していいのか微妙な話なのだが、文脈的には、ダルフール危機についても、アンゴラ同様スーダンにも、政治的条件をつけずに援助を続けた結果だから、国連でもスーダン制裁に中国はきちんとじゃましてやったよーんということなのか。おい、それでいいのか。
 その点、日経社説のほうはダルフールというキーワードを出さないまでも、かそけき批判の視点があった。

 住民虐殺で国際的非難を浴びるスーダンや「圧政国家」(ライス米国務長官)との批判も受けるジンバブエなどへの援助拡大は、国際社会の対中イメージを損ない、長い目で見て中国のためにもならないだろう。中国の進出が目立つスーダンやナイジェリアなどでは、中国人労働者が流入する一方で現地の雇用拡大につながっていないという。政権抱き込みに偏りすぎると、相手国の国民の反発を招く結果にもなりかねない。

 この程度でも、ダルフール危機とスーダンの問題が中国との関連で報道に出てきただけましかもしれない。本来ならもうちょっと日本のジャーナリズムも踏み込んでもらいところだが、どうもこの手の話を極力嫌う勢力があって、私も閉口する。
 参考までに、無用な誤解を減らすべく、リベラル色の強いガーディアン”Scrambling to Beijing”(参照)を引用する。

As happened with the European powers in the 19th century, the red flag is following trade that has grown to a staggering $50bn this year. China's clout in many countries is enormous: it buys 70% of all Sudanese exports; Angola has just overtaken Saudi Arabia as China's biggest energy supplier.
(試訳)
あたかも一九世紀列強のように、中国貿易には赤旗がつきまとい、今年は五百億ドルにまでなった。これらの国々おける中国の影響力は桁外れのものになりつつある。中国はスーダンの輸出の七割を購入しているし、中国の大口エネルギー供給者としてアンゴラはサウジアラビアを抜いている。

 というあたりを先の朝日新聞の記事の注釈として読まないといけない。というか、反米的な視点を持つガーディアンですら以下のようにコメントせざるを得ない。

Economic interests are dictating political stances. Like the US during the cold war, China is at ease with African dictators who are relieved not to be pressed to live up to other peoples' standards. Once Washington sustained Zaire's kleptocratic Mobutu. Now Beijing's intimate links with Sudan and Zimbabwe, and its diplomatic efforts to block their censure over Darfur and human-rights abuses, give comfort (and weapons) to Omar al-Bashir and Robert Mugabe, against the grain of western policy - and against the interests of ordinary Africans.
(試訳)
経済的な利害は政治を語るものである。アフリカの独裁者たちはその国民を通常の生活水準に達成しようはしないのに、中国は、冷戦時の米国のように、こうした独裁者と懇意になっている。米国政府はザイールの泥棒政治家モブツを支援したが、今や中国政府はスーダンやジンバブエ政府と親密になっている。ダルフール問題や人権蹂躙へ非難を制圧する外交努力によって、スーダンのオマル・バシル大統領やジンバブエのロバート・ムガベ大統領に安らぎと(そして武器)を与えている。こうした外交は欧米風ではないし、普通のアフリカ諸国の国益にも反するものである。

 本来なら日本もこうした文脈でどういう立ち位置にあるのか、議論くらいあってもいいだろう。っていうか、議論はあってもよいという別のナンセンスな話題に盛り上がり過ぎだってば。
 ところでこのところのダルフール危機についてはどうか。依然問題は混迷を深めている。チャドにまで深刻に及びそうだ。十一日付のワシントンポスト”Next in Darfur”(参照)を読んで悲しい気持ちになった。

The world's leaders may hope that the problem of Darfur will go away if they close their eyes long enough. But the reverse is likelier. Darfur's violence is spilling into Chad and could precipitate the collapse of that country's government. It is also contributing to the risk of renewed north-south fighting. If there is no solution in Darfur, the world will witness Darfur-like atrocities elsewhere on a scale appalling to imagine.
(試訳)
世界の指導者たちは、彼らがしばらく目をつぶっている間にダルフール問題が解消すると願っているのかもしれない。しかし、現実はその逆になりそうだ。ダルフールの暴虐はチャドに及んでおり、その政府を崩壊させかねないものなっている。同時に、衆目を集める南北問題の危機を増長させることになる。ダルフール危機が解消されないなら、世界は、ダルフールで起きているような虐殺を、ここかしこで見ることになるだろう。しかも、それは身の毛もよだつほどの規模で起きるだろう。

 とはいえあまり悲劇的なことを想像したくはない。というか、日本人にはなにかそうした悲劇性は無縁のような感じもあるのだろう。
 中国をバッシングすればいいというわけではない、というか、中国のこの動向とアフリカとの関係に日本はもっとなにかできないものだろうか。

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コメント

諸事の動きを見ていると今は
ね、私の方が良かったでしょ?
をチャージするターンなんじゃないかと思う
ある層にはまた失望の蓄積と信用の崩壊になるんだろうけど

投稿: 梨 | 2006.11.13 22:55

>すっかり中国様にヘタレだと思っていたが、そうでもないふうだった。

 すっかりヘタレな人に限って、変なところで虚勢を張る罠。

投稿: ハナ毛 | 2006.11.14 03:08

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先日あるダンプカーを製造する会社を訪問しました。 最近は輸出が好調だとのこと。 「どのあたりに輸出する案件が多いですか?」 「アフリカだね。スーダンだとかナイジェリアだとか。」 「アフリカ?ODA関連か何かですか?」 「いや民間需要だよ。オイルマネーだね。」 ここでピンと来ました。 またしても中国の影響です。 中国経済急拡大で資源需要が急増しておりますが中国がその供給先として もっとも注目しているのがアフリカです。 中国の輸入する石油の30%がアフリカから来るそうです。 ... [続きを読む]

受信: 2006.11.25 21:45

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