« 乞食と米に外道な私 | トップページ | サハリン2は何がなんだかわからない »

2006.10.20

セイタカアワダチソウ

 セイタカアワダチソウ(参照)は漢字で書けば、たぶん「背高泡立草」となるのであろう。でも、子供のころから見慣れたこの植物について、私は、ヨウシュヤマゴボウ(参照)と同じように、カタカナの名でしか受け付けない。多分に気分的なものだが、北米からの帰化植物だからという印象が強かったからかもしれないし、「背高泡立草」なら「セダカ」となりそうなものを「セイタカ」と呼ぶのにも、なにか懐かしい響きがある。そういえば、みんなの歌だったか、宇多田ヒカルがクマクマクマと歌っていたが……違う違う、十朱幸代だ。歌っていた。まだ七〇年代だったか。ベトナム戦争の歌だったのか。
 セイタカアワダチソウが好きかと自問するといつも微妙な気分になる。明らかにある種の嫌悪感がある。にょきにょきと生えていたり川辺に群生していたりすると、およそ日本の美観にそぐわないように思えるのだ。が反面、そう嫌いとばかりも言えない。昨年たまたまとある場所で、四メートルは超えようかというセイタカアワダチソウを見かけて、驚嘆した。奇妙なものであり、それゆになにか私に問いかけてくるようにも思えた。セイタカアワダチソウの黄が目立つこの季節が巡ってきたので、あいつのことが気になって、足を伸ばして今年のようすをわざわざ見に行った。二メートルくらいのがしょぼっと生えているくらいだった。みすぼらしい感じでもあった。この一年の気候か、あるいは何者かにいじめられていたのかもしれない。案外、自業自得っていうことかなとも思った。
 セイタカアワダチソウが繁茂する理由の一つでもあるのだが、その根から植物の成長を阻害する物質を出して、他の植物を圧倒する。物質の正確な名前はなんだったっけかなとど忘れするが、ネットを見ると出てくる。シス-デヒドロマトリカリアエステル(cis-DME:cis-dehydromatricaria ester)。特定の物質を使った植物間の争いはアレロパシー(allelopathy)と呼ばれていて、なにもセイタカアワダチソウだけの得意芸というわけではないし、こうした物質の研究は農薬にも活かされているらしい。
 セイタカアワダチソウの自業自得というのは、自分の根が出すこの物質で自家中毒のようにもなるからだ。川辺などに繁茂しているのは、土壌中にこの物質が残留しにくいからなのだろう。昨年の見事なセイタカアワダチソウも自業自得であったかとも思ったのはそんなわけだ。
 文句なしにセイタカアワダチソウが美しいと思ったことが一度だけある。もう随分昔のことだが、斑鳩のあたりをこの季節とぼとぼと歩いて旅していたら、川の向こうが金色に輝いていた。なんだあの金色は。浄土に辿り着いたか。それとも懐かしのケンタッキー。セイタカアワダチソウだった。あまりの群生を遠くで見ると不思議な光景になっていた。
 セイタカアワダチソウは英語ではゴールデンロッド(Goldenrod)になる。黄金の枝ではあるな。ただ、正確にゴールデンロッドというならアキノキリンソウであり、セイタカアワダチソウがその一種であっても、見た目はちと違う。ケンタッキー州の花だそうだが、これも群生しているのだろう(参照JPEG)。
 日本中で見かけるセイタカアワダチソウ(Solidago altissima)は北米からの帰化植物ということだが、本家の北米でも繁茂しているのだろうか。そういえば、日本の葛は北米に帰化して繁茂していると聞く。葛は私には美しい植物だが、北米の人にはそうでもないのかもしれない。
 セイタカアワダチソウは花粉症の元のように言われてもいるが、ウィキペディアを見ると日本語版も英語版もそうじゃないという話がある。悪いのはブタクサ(参照)ともある。そうなのだろうか。セイタカアワダチソウもキク科(Asteraceae)なのでアルゲンにはなりそうにも思えるのだが。
 季節はこれからセイタカアワダチソウを枯らしていく。冬にはあいつらもその枯姿を晒すだけかのようだがそうではない。ロゼットで冬越しをする。霜に当たったセイタカアワダチソウのロゼットは美しく、これには愛着がある。地べたにへばり付いたおまえさんが、セイタカだっていうのを俺はよくわかっているよと、冬の朝にはときおり思うのである。

|

« 乞食と米に外道な私 | トップページ | サハリン2は何がなんだかわからない »

「雑記」カテゴリの記事

コメント

おはつに。このエントリはわたしの感性に合います。

異国にて猛々しくも繁茂してセイタカアワダチソウに瞬時でも心を
よせるお方が居たとはこころ強い。ちなみにロス近辺はもともと乾燥
したる地にて、日本に至りて、彼奴めにも天国だったろうと思います。
全ての生物と鉱物をぁぃするわたしからも、彼奴らに代わり一言御礼。

投稿: たま | 2006.10.21 02:38

 今日は田んぼでトラクター三昧だったんで道すがら見たけどさ。
 綺麗な花が咲いていいですねと思う面もあり、根から先に枯れて天辺だけいつまでも花が咲いてるところが今様ですねと思う面もありましたな。
 貧乏人は縁起悪いって思っちゃうかもね。

 無駄に大きくなるから処分に困りそうだな、と思いました。焼いて肥料になりゃいいけど、下手に種持って帰って根を下ろされても困るし。
 いまのところ綺麗以外に取り得のない厄介者って感じですかね。

投稿: ハナ毛 | 2006.10.21 18:06

セイタカアワダチソウですが、トラックバックされている方のサイトでも出ているように、虫媒花で花粉に粘性があるため飛散せず、花粉症の原因にはなりにくいというのが最近の一般的な見方です(全く飛ばない訳ではないらしいが)。ブタクサ(風媒花)との混同があったようです。むしろ、蜜源植物としての価値が高く、どちらかと言えば人間の役に立っている植物とも言えます。役に立っているのに逆恨みされ毛嫌いされている植物で、ちょっと同情を禁じ得ません。

投稿: kh0705 | 2006.10.21 22:12

 茎が短くて30~50㎝程度に収まれば、そこまで困るってもんでもないでしょうけどね。アレはでかすぎ。場所とりすぎ。そんな感じ。

 あと、どちらかと言えば役に立つ? の理由付けが、ちょっと強引気味。数掻き集めて蜜とって蜜でなんか役立つアイテムでもこしらえるんであれば話は別ですけど。そうでもなくてただ害は無いよ? くらいのことであれば、不要なデカさが邪魔でしかないっちゅうか。
 繁殖力の強い草って、燃やしても種残るんですよね。死滅しない。そのへんもマイナスポイント。

 同情が同情以上の価値に転化するようなナイス情報があるといいですね。

投稿: ハナ毛 | 2006.10.22 04:52

あほう!おれたち一族は人間の為に生きてんじゃねーやい。
船の荷物にしがみついて、はるばる異国から渡って来たんでえ。
人間が人間の為に持ってきた草花、樹木はいっぱいあるが、俺たちゃ
そんなに柔ではないわい。なにが同情だ!おつむ使ってコメントしろい。

投稿: 泡立ち草 | 2006.10.22 21:54

↑文句言いたいがため草にまで堕さんでも

投稿: ハナ毛 | 2006.10.22 22:48

↑そもそもその発想にモノモース。草でも虫でも小鳥でもみんな
一所懸命生きてるし、みな可愛いのだ。堕ちたとは何たる下劣。
ブログ主殿ごめんなさい。さらばごめん。

投稿: たま | 2006.10.23 00:33

オラ、ススキと曼珠沙華が好きだよ。

投稿: 無粋な人 | 2006.10.23 11:54

>堕ちたとは何たる下劣。

 「文句言うためだけに」わざわざやるから「堕ちる」なんだよ。

 「文句言うためだけに」わざわざ判で捺したように万物平等を謳う精神性も相当下劣だと思うよ。

投稿: ハナ毛 | 2006.10.23 18:59

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: セイタカアワダチソウ:

» ススキとセイタカアワダチソウ [    あなたへのEメール]
もより駅まで歩く途中には、幾つかの造成地がある。造成されてからかなりの年数が経つ [続きを読む]

受信: 2006.10.21 10:00

» 秋の花粉症でショック。 [とにかく行ってみよう。]
極東ブログさんに出ていたセイタカアワダチソウはこれです。春の花粉症はもちろん、秋も年によっては花粉症になる僕は、これのせいだとばかり思っていました。そんな悪さをするから「ブタクサ」と蔑称するのだと・・・。ガビーン!それは間違いらしいです。正解はこちら↓(地味・・・)... [続きを読む]

受信: 2006.10.21 15:35

» 秋の草 [りるる文庫]
■脱力生活日記 猫じゃらしは犬のしっぽ [続きを読む]

受信: 2006.10.22 18:51

« 乞食と米に外道な私 | トップページ | サハリン2は何がなんだかわからない »