« 小泉純一郎がやり残したこと | トップページ | スイスの難民規制 »

2006.09.27

ハンガリー騒乱

 ハンガリー動乱(参照)、とつい口を滑ってしまいそうになるが、先日のブダペストの状況は、CNN”「最も長く、暗い夜」 ハンガリー騒乱で首相が会見”(参照)の標題のように騒乱という程度であろう。あるいは狂想曲か。とはいえ、プミポン国王のような偉大な王なきハンガリー共和国では放送局の襲撃は洒落にならない面もある。


首相によると、暴徒が同市内の公共放送マジャール・テレビ(MTV)の本部を襲撃したことは、警察にとって予想外だった。騒乱による負傷者は、警官102人を含む150人に上っている。警官隊を監督するペトレーテイ法相は、騒乱の責任を取るとして辞表を提出したが、首相はこれを却下した。

 騒乱の原因について同記事では簡単にこう触れているがわかりにくい。

ハンガリーでは17日、首相が「われわれは国民にうそをついてきた」などと話している録音テープが公共放送のラジオで流され、これがデモの引き金となった。MTV本部には警官隊が出動し、放水車で暴徒を鎮圧した。

 このニュースが一九日のもので、翌日は”首相発言への抗議デモ続く ハンガリー”(参照)と一万人デモ。日本国内ではこのニュースは少ないようだが、二四日共同”反政府デモに2万人 ハンガリー”(参照)と二万人。日経”ハンガリー、首相辞任求め4万人デモ”(参照)では四万人。
 それから数日経つが騒乱としての現状はよくわからない。沈静化しているのだろう。ただ、このまま一時期の騒乱で終わるかというと、CSM”Bitterly divisive politics fuel Budapest unrest”(参照)が指摘するように十月一日の地方選まで潜在的に危険な状況は続くのだろう。

While the violence has abated, smaller-scale protests are set to continue until crucial local elections on Oct. 1. Should the government suffer a crushing defeat, however, demonstrations could grow again.
(暴力的な状況は沈静化したものの、十月一日の地方選までは小規模の反対運動は継続するだろう。政府が壊滅的な敗北を喫すれば、デモは再発するだろう。)

 で、なにが問題だったのか。一九日のCNNニュースでは首相が国民に嘘をついていたのがばれて国民が怒ったというくらいにしか読めない。一九日産経系”反政府デモが暴徒化、ハンガリーで首相退陣求める”(参照)では次のように説明しているが理解できるだろうか。。

 首相は4月の総選挙で勝つために「朝から晩までウソをつき続けてきた」と発言。また、「経済を維持できるのは世界の有り余るキャッシュと数百のトリックのおかげだ。欧州でこれだけろくでもない経済政策をとった国はない」と語った。

 先の共同ではこう説明しているが、これも理解しにくいのではないか。

 4月の選挙で続投を決めた首相は、公約に反し、財政赤字対策として増税を打ち出すなどしたが、与党社会党の会議で国民を欺いてきたと発言したことが地元メディアで報じられ、デモにつながった。

 私自身もこの問題に詳しいわけではないが、外信の説明は不十分だし、なにか問題の核心を避けているかのような印象を受ける。国連疑惑や中国人権問題のようにまた日本のジャーナリズムでは触れてはいけない領域なのだろうか、あるいは問題が複雑で外信では十分に報道されていないのだろうか。単に、ハンガリーの問題は日本にとって些細なことか。存外にオーマイニュースとかに記事があったりして。
 今回の事態が起きなくても、経済構造から背景は理解できる。「大和投資信託/タイムリーレポート(2006年3月30日)」(参照PDF)が比較的詳しい。もっとも、その結論は現状となるといかがなものかの風情はあるにせよ。

なぜ財政赤字が拡大したのか
旧社会主義国であったハンガリーは、西欧諸国と比べると社会公共インフラが整備されておらず、道路建設など財政支出がどうしても膨らんでしまうことが、財政赤字が拡大しやすい理由として挙げられます。これに加えて、2002 年に行なわれた選挙において、財政支出を伴う選挙公約が乱発されたことも、財政赤字を悪化させた要因となりました。

2006 年は選挙の年
同国の選挙は4 年に1 度行なわれ、今年はその年にあたります。最近の世論調査によると、与野党の支持はほぼ伯仲しており、そのため現政権は選挙対策の一環として減税などの政策を打ち出しています。こうした政策が将来のさらなる財政赤字拡大につながる、と心配する声も出ています。


 単純に言えば、大衆迎合のばらまき政治をやり続け、しかも財政問題を国民に隠蔽しつづけていたのだが、その一旦が今回首相の口からぽろっと出てしまったということのようだ。ぽろっと出るものはもっと別のものであって欲しいものだが。
 大和投資信託の見通しは奇妙に明るい。

財政悪化による負の連鎖がはたらく可能性は小さい
今後は、ハンガリー政府が社会保障制度改革など実効性のある財政改善計画を打ち出し、それを実行に移せるかどうかが注目されます。しかし、前述したように、ユーロ導入に向けて後戻りのできない同国が、野放図な財政支出を続けることは考えにくく、財政赤字拡大→格下げ→さらなる財政悪化という負の連鎖がはたらき格下げが続く可能性は小さいとみられます。

 「野放図な財政支出を続けることは考えにくく」というが、そうなのか、と。そのあたりがよくわからない。今回のデモはもうバックレが効かなくなり、痛みを伴う改革に乗り出した矢先の反発だと言えないこともない。
 結局どうなるのかというと、先ほど見たBBC”EU backs Hungary's budget plans ”(参照)の記事だと、EUが支援に乗り出すという雰囲気だが、依然ハンガリー国内では増税・歳出削減というのに変わりはない。痛いぜ。ということで、このBBCの記事も後半のトーンは暗い。
 ハンガリーの現状の国際的な状況については”カワセミの世界情勢ブログ: ハンガリー動乱から50年”(参照)で六月時点の状況をまとめているが、率直なところ米国のスタンスが微妙だ。

|

« 小泉純一郎がやり残したこと | トップページ | スイスの難民規制 »

「時事」カテゴリの記事

コメント

>「野放図な財政支出を続けることは考えにくく」というが、そうなのか、と。

 そんなわけねーじゃん、と思うのが日本人。
 いやさ、一旦大衆迎合やらかしちゃった政党が「やっぱ止めます」とは言わんでしょ。政権交代まで逝かなきゃ、止めんでしょ。そのために政権交代があるわけでね。

 日本の場合は大衆迎合やらかしちゃった政党が「やっぱ止めます」って言ったら止めるなコノヤローで政権交代起こそうとする変態国家なんで、ハンガリー様には敢えて日本を見習って欧州版変態国家と化して欲しいものですな。

 でもまあ、変態さんってのは「この世のどこかにそんな奴がいてもおかしくない」レベルだから容認できるんであって、身近に居たら耐えられんでしょうな。欧州諸国の反応も、そんな感じで推移するんじゃないですかね?

投稿: ハナ毛 | 2006.09.27 17:28

表記面が気になって、内容は読んでいません。

 横書きの文章なのにどうして漢数字を使うのか。
 読みにくい。

”一九日のCNNニュース~ ”の箇所から同様の表記箇所を探し読みして終わり。

投稿: あらさがし | 2006.09.29 18:08

単に出版するときのことを考えているだけでは。

投稿: >漢数字 | 2006.09.30 14:39

ハンガリー語・日本語オンライン辞書は更新されました。
検索の他、文法、発音など、又は語学や翻訳に便利な編集機能と単語帳も掲載済みです。
テスト、ゲーム、などの面白コンテンツ、またはハンガリー関係の文化情報、ブログなども開発中です。

ハンガリー、ハンガリー語に関心の方々をお待ちしています。

www.japanmagyarszotar.hu

Magyar-Japán Szótár

投稿: ハンガリー語 辞典 | 2007.12.29 17:47

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ハンガリー騒乱:

« 小泉純一郎がやり残したこと | トップページ | スイスの難民規制 »