ヨガ雑感
以前「極東ブログ: ヨガブーム雑感」(参照)を書いたが、私はもうヨガとかやらなくなっていた。が、このところ秋めいて涼しくなり長年使っていたマットを取り出して少し練習を始めた。アイアンガー・ヨガの初級ヨガ指導者のコースを終了していたこともあり、どう練習すればいいかというのはだいたいわかっているつもりだし、この歳になると中級レベル以上にまで精進することもないだろう。そもそも、また止めてしまうかもしれない。
![]() Yoga: The Iyengar Way |
初心者のヨガの自習には「Yoga: The Iyengar Way」(参照)という本が一番よいと思うが、邦訳もないようだし、いずれ書籍では学びづらいものだろう。ヨガ全般についてはアイアンガー先生ご自身の名著「ハタヨガの真髄―600の写真による実技事典」(参照)があれば十分だろう。プラナヤマについては「ヨガ呼吸・瞑想百科」(参照)が詳しく、練習方法も詳細に書かれているが、グルジェフの教えのように呼吸法というのは理解せずして行うものではないし、理解が進めば自然にその発展があるだろう。というか、私は昔習った少しの呼吸法を自然に深化できるかなと思うくらいだ。
手元の「ハタヨガの真髄」をめくっていたらこういう話があったのを思い出した。
ウッディーヤーナやムーラ・バンダを一人で試みるのは大変危険である。ウッディーヤーナ・バンダを誤って行うと、精液の放出を招き、活力が減退する。ムーラ・バンダも正しく行わなければ精力の弱い者はさらに弱くなる。ムーラ・バンダは正しく行ってもそれなりに危険性を伴う。性交時間を伸ばす効果があるので、濫用におちいりやすい。濫用の誘惑にまけると我を失い、潜在しているすべての欲望を目覚めさせて、棒で打たれた眠れる蛇のように致命的になる。
「棒で打たれた眠れる蛇のように」というのがインドの歴史・文化とその蛇の神話を思うと含蓄が深い。
そういえばアイアンガー先生はご存命なら九十歳近いのではないかと思ってネットを見るとウィキペディアに項目があった(参照)。ご健在のようす。八十八歳かと思う。八十八歳といえば、ヨガについてだが佐保田鶴治の「88歳を生きる―ヨーガとともに」(参照)という本があった。が、たしか彼は実際には八十八歳まで生きてなかったように記憶しているので、ネットを見る。「日本ヨーガ禅道友会」(参照)によると一八九九年生まれ一九八六年没。八十七歳だったようだが、享年は数えなので八十八としてもよいのだろう。彼は六十歳からヨガを初めてそして長命であったとは言えるだろう。
そういえば彼のお弟子の番場一雄は何歳だろうとネットを調べて驚いた。「日本ヨーガ光麗会(お知らせ)」(参照)によれば三年前にお亡くなりになっていたのか。
番場一雄名誉会長の急逝と会葬のおしらせ
番場一雄名誉会長が8月1日(金)に入院先の病院にて急逝いたしました。
師は4月1日に名誉会長に退いた後、NHKおしゃれ工房出演の準備を調えつつ、17年間講師を続けてきた京都市シティーセミナーへ出講、海外視察など多忙な日を過ごしておりました。
そうした中で、6月末に体調をくずし、入院加療致しておりましたが、8月1日午後6:10に心不全のためになくなりました。66才でした。
私などから見ると野口晴哉ではないが人間六十歳くらいまで生きたらいいのではないかと思うが、社会通念からすれば六十六歳は若い死と言えるだろう。佐保田ヨガの第一人者が長命でなかったのかというのはアイロニカルな思いがよぎる。そして自殺した牧康夫のことを少し思い出す。
連想で沖正弘のことを思い出したが、私の記憶では彼も六十四歳くらいで亡くなった。噂によればヨガ的な修行の最中であったというが、確かにあのころの沖ヨガはスーフィズムのようになっていたかと記憶している。奇妙にも思える荒行みたいなグループレッスンみたいのに参加していた若い人たちがいた。といっても私より上の世代で、松本智津夫などもそうした時代の空気の中にいた一人ではなかったか。あのヤングな人たちは今でも沖ヨガというのを支えているのだろうか。関心を失って久しい。
![]() あるヨギの自叙伝 |
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コメント
なんていうか。ヨガブームって瞑想とかリラクゼーションとかそういうの中心に広まってるからそういうもんかと思うわけですけど、基本は「苦行」でしょうに。
ある一定量の苦行に耐えられたら次も大丈夫じゃね? みたいな感覚。
基本的に酷使をばしとるわけですから、ガタがくりゃ死ぬのも早かろうと思いますがね。100歳以上の高齢者でヨガやってる人って寡聞にしてさっぱり聞かないですし、そういうもんかと。
投稿: ハナ毛 | 2006.09.24 09:00
ヨガやってどうこうじゃなくて、普段の基本の生活の中で如何に体を上手に使い込んでるかの差じゃないのかね?
とって付けたようにスポーシやってる人は大概短命だョね。
投稿: ハナ毛 | 2006.09.24 09:02
ふだんからの歩き方ひとつ意識して修正していくように心がけておくだけで、随分と違ってくるように思います。あとは後背筋がこわばって固まらないように、適度にストレッチを心がけておく程度かなぁ。
投稿: てけてけ | 2006.09.25 02:36
本当に修行を積んだ行者にとって、寿命の長短はどうでもよいことなのかもしれません。ヨガナンダの場合は晩餐会で演説した後にマハサマディ(ヨギの肉体離脱)に入ったとありますから、具合が悪くなって病院に担ぎこまれたとかではないようです。死後20日に及んでも腐敗せず、死臭を全く発しなかった、とも。
まあ、この手の本は「トンデモ」だと言われればそれまでですが。
投稿: 六尺 | 2006.09.25 10:46
前々から思うんですけどね。
以前ジョギング健康法とか流行ったけど、提唱したメリケンの学者さん、ジョギング中に心臓麻痺で死去でしょ。馬鹿でしょ。そう思うわけで。
ヨガ流行らせた馬鹿がヨガ中に死んだら面白いのにね。
投稿: ハナ毛 | 2006.09.26 04:14
桐山やすおは、
くんだりにーヨガやっているので
長命ですよ
投稿: ちから | 2006.10.13 14:51
はじめまして。偶然にこのサイトに辿り着き、コメントさせていただきますね。パラマハンサの死は、彼自らが選んだものなのですよ。彼の逝く前に他のお弟子さん達にその旨、伝えられたそうです。
パラマハンサのような高次元の意識をもたれたヨギは、肉体から解脱する事はとても簡単な事なのです。一般的にヨガは健康志向の方に注目されておりますが、パラマハンサがやっていたヨガ「バクティヨガ」など、精進を目的に実践するヨガもあり、私自身の解釈では、ヨガは死への準備であると思っております。
ありがとうございました。
投稿: Kunlun | 2010.09.10 07:12
私は番場先生について7年ほど習いました。それ以前は独学で3,4年研究していました。きっかけになったのは佐保田先生の池田書店より出ていた「ヨーガ入門」でした。その数年後に番場先生の著書が平河出版社から出ました。一読して驚嘆したことを思い出します。
すぐに門をたたきました。
始めてあった先生の印象はなんてとっつきにくい人だろう。まるで相手にしてもらえません。1,2年がたった頃、ようやく話せるようになったのですが、そのヨーガに対する姿勢になみなみならぬものがありました。アーサナの前に講話をするのですが、見識、と独特の考えを話すのです。何かオーラのようなものに見せられていたような気が今はします。
20数年前に先生からは離れ、ある日偶然その死を知りました。研究会の方と話すと、みな異口同音に信じられないとのことでした。
日本全国に支部を作り、講演をし、著書を書き、いったいいつ休むのかと思われるような活躍でした。
ある意味でそれが寿命をちじめる結果を招いたのかも知れません。なお番場先生のDVDはNHKから2枚出ています、3000円位で買えます。参考になりますよ。
気になる点があったのでひとつ注意します。
アーサナに慣れている人は、同じアーサナしかしないので、体が偏ってくるというものです、気をつけましょう。
上で述べられている本は、邦訳されているこれのことではないでしょうか、「アイアンガーヨガ」ジュディ・スミス著、2600円。産調出版から出ています。間違えたら御免。
これとは別に「b・k・s・アイアンガー・ヨーガ」英文、DKから出ています。432ページある。アマゾンで買えます。良い本です。少し重いけれども。3キログラムはあるな。こっちのほうがいいな。
「ヨガの真髄」は英文(原書)1冊、背が破れた邦訳1冊、予備に買った1冊、都合3冊待っている。一番良いのは原書である。なぜか、、、
投稿: 羌笛 | 2010.12.06 22:06
いくらヨーガやっても、生活環境が悪ければ体と精神に変調きたす、世の中が人々に長命をもたらさなくなっている。長命大国といわれた日本もだんだん短命になっていくであろう。日本人の心が最近悪すぎる!
投稿: | 2011.05.02 11:44