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2006.08.21

国連レバノン暫定軍(UNIFIL)へのイスラム教国の参加意志

 レバノン紛争停戦後の動きについて、この時点で気になることを簡単にメモしておきたい。国連レバノン暫定軍(UNIFIL)へのイスラム教国の参加意志についてだ。
 停戦以前からインドネシアおよびマレーシアはイスラエルによるレバノンへの空爆に反対しており、そのために和平活動への意欲を見せていた。こうした動向は、CNN”OIC緊急首脳会議、マレーシア首相が安保理批判”(参照)などで垣間見ることができた。
 ここに来て、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)へのイスラム教国の参加という形を取るようになった。産経新聞”イスラエル、「国交のない国」は拒否 国連増強部隊”(参照)より。


イスラエルのオルメルト首相は20日の定例閣議で、レバノン南部に展開する国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の増強部隊について、「(イスラエルと)国交のない国」の参加に反対するとの考えを示した。
 イスラム教国のバングラディシュやマレーシア、イスラム教徒が多いインドネシアが参加の意向を示しており、イスラエルがこうした国々を念頭に置いて参加を拒否する姿勢を鮮明にしたことで、増派部隊の展開がさらに遅れる可能性が強まってきた。

 とはいえ停戦維持は、バングラディシュ、マレーシア、インドネシアなどアジアのイスラム教国によるUNIFILへの参加がないと難しいのではないのだろうか。人民網”Indonesia reaffirms support to Lebanese and Palestinian people ”(参照)によるとインドネシアでは千人規模のようだ。

The Indonesian Military has made 850 personnel ready to be deployed to Lebanon and Defense Minister Juwono Sudarsono said the number of the personnel might be increased to 1,000 people.

 先の記事と話が被るが、イスラエルはこの動向に反発している。東京新聞”伊に国連軍指揮要請”(参照)より。

ロイター通信によると、イスラエルのオルメルト首相は二十日、イタリアのプローディ首相と電話で会談し、レバノン南部で停戦監視に当たる国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の指揮をイタリアが執るよう要請した。
 当初、UNIFILの主力と期待されたフランスが工兵隊二百人の派遣にとどまっており、イスラム圏からも複数の国の参加が予想される中、指揮権を非イスラム国に担ってもらいたいとの考えがあるとみられる。

 建前上イスラエルにはこの要請の権限はないが、国連側は中立性ということで考慮中のようだ。
 私にはやや意外だったのは、東京新聞に記事にもあるようにフランスの関与が当初の予想より薄くなりそうなことだ。
 また、ドイツは派兵すらしないことになりそうだ。理由はドイツの歴史問題とのこと。朝日新聞”ドイツ、レバノン派兵に二の足 ユダヤ人虐殺の過去連想”(参照)より。

 だが、イスラエル周辺は特別だ。戦闘に巻き込まれればユダヤ人に銃を向ける可能性が生じるためだ。
 メルケル首相はこれまで「最大限の慎重さがいる」と繰り返してきた。16日の連立与党党首会談でも「何らかの形で貢献する」としたが具体策はまとまらなかった。シュトイバー・キリスト教社会同盟党首が「歴史的な背景から軍の投入は難しい」などと強い反発を示している。

 そういう議論を日本に当てはめるとどうなるのだろうと少し考えたがよくわからない。
 いずれにせよ、停戦維持にはアジアのイスラム教国の関与を深める方向で進むしかないのではないか。”OIC Countries' Participation In UN Peacekeeping Force Vital”(参照)といったマレーシアの報道を見ていると、イスラム諸国会議機構(OIC)はイスラム教国という枠組みを超えて国際平和への寄与が読み取れる。
 こうした動向に対して、日本はもとより、米国、中国、ロシアといった国がどう対応していくのかが見えてこない。

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コメント

これって実質 十 字 軍 5 秒 前 って認識で宜しいの? そうでもなく?

投稿: ハナ毛 | 2006.08.21 18:40

>私にはやや意外だったのは、東京新聞に記事にもあるようにフランスの関与が当初の予想より薄くなりそうなことだ。

フランスは以下の記事にあるような事情です。

フランス、レバノン増派200人止まり
イスラム教シーア派組織ヒズボラの武装解除がなかなか進まない。武装解除の役割を担うはずのレバノン政府軍は軍事力でヒズボラに劣っており、ヒズボラの武装解除に及び腰。国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の増強部隊の主力になるとみられていたフランスが200人の工兵部隊増派にとどまった。過去に国連軍に参加した際の苦い経験が背景にあるようだ。それに加えて、ヒズボラと、ヒズボラを支援するシリア、イランからもフランスは「復讐の対象」(ルモンド紙)とみられているらしい。とりわけヒズボラとの関係は最悪で、2000年に当時のジョスパン首相がヒズボラを「テロリスト」と非難し、04年にはシラク政権がヒズボラ解体も狙った国連決議を米国と共同提案した経緯がある。
(産経新聞8月19日)

投稿: kusukusu | 2006.08.21 19:57

>十字軍5秒前

じゃないですね。他にJakarta post紙 を当たってみましたが、

http://www.thejakartapost.com/detailweekly.asp?fileid=20060819.@01

イスラム連合と言うより汎アジア連合というより汎アジア連合というほうがより的確な認識だと思います。
なぜなら、この報道を見ればわかるように、バングラディッシュ(finalventさん、この国は仏教国ですよ)やネパールと言った仏教国でなおかつこれまで国連平和維持活動に熱心な国も大規模な参加を予定していますから。

投稿: F.Nakajima | 2006.08.21 21:46

↑じゃあアレですかい?
5…4…3…2…1…2…3…4…5って感じで宜しいどすか? そうでもなく?

投稿: ハナ毛 | 2006.08.21 22:13

>1-2-3-4-5・・・
ですかね~~~。インドネシアには色々思惑があるようで。
16日と20日の記事を読む限りじゃインドネシアは色々駄々を捏ねているようで(自国独自の指揮権を認めろとか、ヒズボラの武装解除の仕事はやだとか)。どうも行間を読むと「一応兵は派遣するけどややこしい仕事はするのはやだ」というポーズみたいですね。

投稿: F.Nakajima | 2006.08.21 23:12

横から失礼。

>バングラディッシュ(finalventさん、この国は仏教国ですよ)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/bangladesh/data.html
9割近くの国民がムスリムですよ。元東パキスタンだったという歴史を踏まえれば当然。

投稿: 通りすがり | 2006.08.22 09:36

ミャンマーと間違えました.

投稿: F.Nakajima | 2006.08.23 19:48

finalvent様はじめまして。ねたねこと申します。
トラバ失礼します。

なにやらフランス軍がえぐい戦力をレバノンへ派遣したそうです。
私はヒズボラの背後にいるイランへのなんらかのメッセージではないかと愚考するのですが…

今次侵攻においてイスラエルの戦略的敗北は明らかです。これに気をよくしたヒズボラやイランが更なる膨張主義に走らないよう独仏も態度を変えてくるのではないかとも思います。

突然の駄文失礼いたしました。

投稿: ねたねこ | 2006.10.02 23:36

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【UNIFIL参加の仏軍、ハイテク戦車を投入 - レバノン】  (AFP通信 15日)  国連レバノン暫定軍(UNIFIL)に派遣する部隊を構築する中で、フランスは少なくともルクレール戦車を90台と、装甲車約10台を投入した。高度な機能を備えたルクレール戦車が... [続きを読む]

受信: 2006.10.02 23:27

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