「女性の脳(The Female Brain)」(ルーアン・ブリゼンディン)は翻訳されるだろうか
先日読んだニューズウィークの記事(日本語版は8・9)に、「女性の脳(The Female Brain」(ルーアン・ブリゼンディン)の話があった。英語のオリジナル記事は”Why Girls Will Be Girls”(参照)にある。リードはこんな感じ。
In a controversial new book, this psychiatrist argues that differences between men and women start with their brains.
(物議を醸す新刊書で、この精神科医は男性と女性の違いをその脳から解き明かそうとしている。)
つまり、男性と女性は脳が違うから違うのだというのだが、そんなの当たり前じゃないかという人は……困るなぁ。話はその逆が当たり前という前提にしとかないと。
![]() The Female Brain |
その成果をまとめた初の著書『女性の脳』がもうすぐ出版される。著者自身が「女性の心の健康マニュアル」と位置づける本だ。
この本が一部で反発を招くのは必至だ。脳の性差を論じれば、フェミニストの批判を浴びることはわかっていると、ブリゼンディンも言う。「私自身、政治的な立場と研究結果の間で苦しんできた。でも女性のものの見方は男性とは違うと確信している。その違いを認識すれば、人生のさまざまな局面でよりよい判断ができる」
というわけで、出版されると米国ではなにかと議論になるのだろう。
日本ではどうなんだろうか。すでに「話を聞かない男、地図が読めない女(Why Men Don't Listen and Women Can't Read Maps)」(参照)がトンデモ本ということもなく、なんなく出版されているので問題なくこれも翻訳とか出るのだろうか。
こういう問題をどう扱っていいのかわからないが、心理学的には別の結果が定説だしその方法論による科学的な研究も多い。
著名な心理学者のジャネット・ハイドは昨年、男女の感情と行動を比較した過去数十年分の論文を検証して、大半の性差は統計学的に「ゼロに近い」と結論づけた。「性差」と呼べるほどの違いはないとハイドは言う。
性差は文化的に形成されたものだという定説だが、感情表出や行動に現れる性差のなさも文化的に形成されたものに等しいという解釈が成り立つだろうか。無理過ぎるか。
まずはこの本が日本語に翻訳されるかなというあたりを気に掛けておこう。
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コメント
10年くらい前に男女の脳は違うって聞いたんだけど、最近はジェンダーフリーの影響で違いはない事になってるのかな?
それとも俺が間違った知識を仕入れてただけかな。
投稿: 流 | 2006.08.18 21:11
都合が良いか悪いかによって違ったり違わなかったりするものですからな。
都合のいいように、言うんでしょ。
あとまあ、男女差がある程度把握できたとしても、大まかな把握かステレオタイプの押し付け論くらいしか役立たんでしょ。
問題起こして解決必須系の人は、結局個別論で語らなしゃーないわけで、出版大いに結構・頑張って儲けてね・とは言えるけど、それ以上の意味や価値はないかなー、と。そんな感じ。
投稿: ハナ毛 | 2006.08.18 21:48
やっぱ、ジェンダーは疑似科学のようです。
投稿: | 2006.08.18 21:52
ですよねー
ventさんに激しく1票!
まったく、アホかと。
「右脳派」も同様デス。
投稿: tom-kuri | 2006.08.18 23:23
この問題は非常に微妙かつ政治的・社会的介入が多いんで少々知っていることを背景情報として書きたいと思います。
まず、3つのキーワードを書きます。
「性同一性障害」「intersex」『「ブレンダと呼ばれた少年」出版問題』
「性同一性障害」というのは最近では戸籍の改定が認められたこともあり、みなさんニュースとしてご存知だと思います。それに対し、おそらく"intersex"という言葉自体ご存知ない方が多いと思います。これは出生及び幼少時に性器管に奇形もしくは負傷が発生し、その結果として整形外科手術を受けて遺伝子上とは逆の性とされたことを意味します。
これは英語版の"intersex"を見ればわかるように相当微妙な問題を含んでいます。
で、最後に「ブレンダと呼ばれた少年」ですが、あらずじを言えば、マネー博士という人物が双子の兄弟の内の一人に対してintersexを行い、なおかつこの人物(ブレンダと名づけられた)を追跡調査して「性とは遺伝子ではなく、その後の生活環境として決まる」という学説を打ち出し、彼がその研究成果を持って脚光を浴びたのですが、その後の追跡調査によってその研究は全くのでたらめであったことが明らかになり、なおかつこのブレンダという方は最終的に自殺してしまいます。
このあらすじだけを読むと性とは「社会環境ではなく遺伝子によって決まる」と思われるかもしれません。
ところが話はここでややこしくなるのですが、実はマネー博士の学説自体は間違いだったのですが、実際intersexを受けて全く違和感のない人物が存在することが研究によって明らかになっています。
でなぜ『「ブレンダと呼ばれた少年」出版問題』と私が呼ぶかというとこの本自体はなんら政治的要素はないのですが、実は、この本の翻訳は一回廃刊になったあと、「つくる会」のメンバーの一人がこの本を見出し、その後「つくる会」の熱心な運動によって「扶桑社」から再刊されているのです。
一度この3つのキーワードで検索をかけてみて下さい。某フェミニズム運動家から「つくる会」まで、医学的所見を曲解して政治運動にこの問題を利用しようとする、さまざまな人物がひっかかるはずです。私の目からみると彼ら(彼女ら)の政治的活動は生臭すぎて、気分が悪いですね。
投稿: | 2006.08.18 23:28
名前抜けました。
投稿: F.Nakajima | 2006.08.18 23:32
自閉症があきらかに男性に多いことから、心と性別が無関係というのはあまりに暴論だと思えます。ジャネット・ハイドなる人物は、自閉症の方々を統計学的にゼロに近いと切り捨てているのでしょうか。
投稿: ymt | 2006.08.19 05:16
そもそも物理的な性差によるどうにもならない体験の違いがあるので、脳か環境かというだけでジェンダーの正誤は語れないように思います。
ジェンダー論に結び付けないほうが良さげです。
投稿: cyberbob:-) | 2006.08.19 06:02
自閉症は心の病気ではないです……。
脳機能障害です。
その点だけ、指摘させていただきます。
投稿: 気になって | 2006.08.19 07:09
>脳か環境かというだけでジェンダーの正誤は語れないように思います。
そもそも、ジェンダーが存在するという論拠が示されたことは無いよ。
あるある言っているだけ。
投稿: ほるほる | 2006.08.19 07:15
>自閉症は(中略)脳機能障害です。
これも、あるある言ってるだけやね。
ちゅーか、大概それやろ。物理現象としてほぼ100%出るもの以外は、大抵あるある言ったヤツ勝ちなんじゃないの?
投稿: ハナ毛 | 2006.08.19 07:57
なんか2chで
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2006/06/post_ee74.html
が話題になってるよ
投稿: けろやん。 | 2006.08.19 08:22
脳科学は進展著しい分野ではありますが、それだけに定説というべきものがありません。
右脳が直観的、左脳が論理的。男性は左脳優先で女性は右脳優先なので感情的--と俗にいわれてきました。ところが、近年、男性は右脳優先であるという結果が出てきました。自称「脳科学者」は、「女性は左脳優先で論理がきわめて発達しているために、おしゃべりが止まらない。」などと恥知らずにも述べていたりします。
現時点の脳科学でいえることは「男女の脳はたしかに違うようだ。しかし、巨視的に見える男女の性差との関連は今後の研究を待ちたい」というところではないでしょうか。
投稿: hdk | 2006.08.19 10:28
けろやん、うるさい!
ひとのフンドシで、相撲をとるな!!
投稿: ハミ毛 | 2006.08.19 10:30
>私は、当該エントリに好悪を抱いていないのですが・・・
んじゃ送るなよとも言うし、そもそも話題及び登場人物並びにネタにして騒ぐ馬鹿がクソ過ぎて心の底からどうでもいいとも言う。
それだったらご飯やおやつの作り方の記事でも見て「 写 真 が ま ず そ う だ 」とか言ってるほうが健全だわね。
投稿: ハナ毛 | 2006.08.19 17:20
脳の話とは関係なくなるけど、恐竜の生態・形態についても最近新説が出たりして。羽毛恐竜なんて、私が子供の頃には考えもしませんでしたね。子供の頃にそういう情報が入ってくると、何嘘こいてんだ? くらいに思っちゃったかもしれませぬ。
脳の機能がどうたらって、別に(一般人の)脳みそに電極ブッ刺して治療その他(重要かつ一般的な技術)を施せる域まで達して無いでしょ。
テレビのCMで「今日も一発、ブスッと逝こう!」なんて言ってるわけでもなし。
そういう段階でアレコレ出てくる説なんてモンは、よく逝ってファンタジーの域を越えないと思います。信じるものは救われる、の領域ッちゅうか。
○○って学説がありますけど~なんて言っちゃう人は、もちっと具体的に言って欲しいものですな。誰某が言った、じゃなく、ほぼ100%物理現象として現れるとか。そういう実例込みで言わないと。
面白そうな意見だから乗ってみた~程度のことでは、摂理に引っ掛かるぼっちゃんじょうちゃんと何ら変わるところは無いですな。残念ながら。
投稿: ハナ毛 | 2006.08.19 17:56
男と女の脳は子供の時からまったく違う。
試しに幼児に絵を描かせてみれば一目瞭然。
うさちゃん・お花・人物(お母さんなど)が描かれていればそれは100%女の子の絵だし、
怪獣・ロケット・乗り物(自動車や戦車など)が描かれていればそれは男の子の絵だ。
(韓国の子供の絵にはセーラームーンが日本をミサイル攻撃している絵があったが、あれは中学生だったし先生の指示が有ったのでは無かろうか。でもセーラームーンを描いてるので100%女の子の絵だろう。)
投稿: くー | 2006.08.19 21:29
>誰某が言った、じゃなく、ほぼ100%物理現象として現れる
>とか。そういう実例込みで言わないと。
ときどき↑なガキみたいなことを言うエセ懐疑論者っているのよな。件の「摂理」なるカルトの教祖も、質してきた信者に対して同じように答えてるだろうよ。
投稿: t_f | 2006.08.20 00:35
>うさちゃん・お花・人物(お母さんなど)が描かれていればそれは100%女の子の絵だし、
↑まじで? 私とかアレだよ? うさちゃん・お花・人物(お父さん)とか描いてたけど100%女なんだ? 知らんかったなー。そっかー。ふーん。
>怪獣・ロケット・乗り物(自動車や戦車など)が描かれていればそれは男の子の絵だ。
↑怪獣は描いてたし乗り物プラモ作って遊んでたけど、基本的に車に興味ないんよね。まったく。
あと、アレだね。姉ちゃんに貰ったねずみのぬいぐるみが大好きで、小学校低学年頃まで近所の女の子とままごとしてたよ? 親戚んちに泊まりに逝ったときに座敷犬にボロボロにされて泣いたなぁ。懐かしい。
そーゆー場合はどおなるの? どうせアレだろ? そんなのは幼少期の話だとか誤差だとかお前が異常なんだとか、そのへんに落ち着ける心算だろ。
んだから、
>男女差がある程度把握できたとしても、大まかな把握かステレオタイプの押し付け論くらいしか役立たんでしょ。
って始めに言ってんだけど。
投稿: ハナ毛 | 2006.08.20 06:29
子供の頃怪獣の絵を描いていた私はどうなるのでしょうか?甥と姪の絵を見るとまだ表現もつたないような幼い頃の絵は双方とも花や人物を描いてますね。
ブログの文書でも男か女かわからん、間違える、判別つかない場合なども多いですね。表現という場に於いては性差はあまりない気もいたしますが、どうでしょうか?
投稿: あんとに庵 | 2006.08.20 11:59
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上・下)
スティーブン・ピンカー
「ブランクスレート(タブララサ)」「高貴な野蛮人」「機械のなかの幽霊」という ジェンダー決定論者、行動心理学者、環境決定論者の論拠を最新の脳科学の視点から批判。
男女の違いは全て文化的に決定される、教育から男女の区別をなくせば、いずれは性差も消滅する、等のジャンダーフリー推進論は木っ端微塵に粉砕されています。
生まれながらの性差はない、等と言う方は是非ご一読を。
投稿: | 2006.08.20 12:32
t_fさん
>件の「摂理」なるカルトの教祖も、質してきた信者に対して同じように答えてるだろうよ。
カルトが懐疑論者の手法を悪用しているのは、懐疑論者の責任ではありませんよ。
カルト教祖を出して反論できた気になっているあなたがガキ。
投稿: ほるほる | 2006.08.20 17:11
特定の資質があるかないか、なんてのは結局個々の資質に依るもんで、学問があーだーこーだ言ってるから万人がそうだってもんじゃないでしょ。
あると言われればあるだろうし、無いと言われればないだろうし、あってもなくてもどっちでもいいもんでしょ。
じゃあ逆に聞きたいけど、あって、どうなの。なくて、どうなの。どういう意味があって、何の役に立つの?
そこまで逝かなきゃ凡人にはいっそ何の関係も無いよ。元々どうでもいいことなんだし。くだらね。
投稿: ハナ毛 | 2006.08.20 17:28
>カルト教祖を出して反論できた気になっているあなたがガキ。
↓が読めないの?
>摂理に引っ掛かるぼっちゃんじょうちゃんと何ら変わるところは無いですな。残念ながら。
>
>投稿 ハナ毛 | 2006/08/19 17:56:24
それに「懐疑論者」ではなく「“エセ”懐疑論者」を問題にしてるんだけど。
投稿: | 2006.08.20 20:58
>元々どうでもいいことなんだし。くだらね。
結局、個人的な快楽でしか判定できないというのは動物以下とうことで。
投稿: | 2006.08.20 22:19
意味不明なコメントが続いている件について
投稿: | 2006.08.20 22:31
性差に肯定的な結果がでている研究には妥当なものも多いと思いますけどね。
性差があってもいいじゃないですか。平等であれば。
性差があったら平等でないなら、民族差があったら民族観が平等でなくなるんですかね。怖いなあ。
むしろ性差があるとしたら、それをを認めない平等主義ってのは公平じゃないような。
投稿: cru | 2006.08.21 01:02
性差を認める認めないじゃなくて、そういう研究は自分の都合の良いように解釈して主張する奴が多いからスルーしようぜ、という話なのでは
投稿: | 2006.08.21 02:10
↑要約すればたったそれだけのことなのに、直ぐ0か100かでしか評価・判断しないヤツが多すぎでしょ。ネット界隈だと。別に私向けの発言だからいいけどトコトン見下してくるヤツもいるし。
だいたいのところ、この手の研究は
>性差を認める認めないじゃなくて、そういう研究は自分の都合の良いように解釈して主張する奴が多い
って系統のヤツが好き勝手言ったのを、
>意味不明なコメントが続いている
って系統のヤツが都合のいいトコだけ援用して
>それに「懐疑論者」ではなく「“エセ”懐疑論者」を問題にしてるんだけど。
>結局、個人的な快楽でしか判定できないというのは動物以下とうことで。
気に入らない発言をした人を見下すときのネタに使うだけなんだよね。
「話を聞かない男、地図を読めない女」も、そういう文脈の中でしか読まれて無いだろ。んだから
>トンデモ本ということもなく、なんなく出版されている(本文より引用)
・・・って「 わ ざ わ ざ 」書いてるんじゃないかと。
ふつーは、そういう見方でしょ。
投稿: ハナ毛 | 2006.08.21 06:03