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2006.07.22

米産牛肉輸入再開、雑感

 米産牛肉輸入再開がこの二十七日に決定された。これに昨日ラジオで聞いた話を含めて少しメモ書きしておきたい。
 米産牛肉輸入再開については今日付の読売新聞”米産牛肉、輸入再開27日決定…現地査察「問題なし」”(参照)にこうある。


 BSE(牛海綿状脳症)の特定危険部位である背骨の混入で米国産牛肉の輸入を再停止した問題で、農林水産省と厚生労働省は27日に輸入再開を正式決定する方針を固めた。
 両省が米国に派遣していた調査団が21日、日本向け食肉処理施設35か所の現地査察を終了し、再開に向けて深刻な影響を与える違反などが見つからなかったためだ。

 背景にはいろいろ議論があったがこのエントリではそこは触れない。
 国内的にはというべきかネットの風景ではというべきか、米国牛肉への不信は大きいように見受けられる。反面カナダ牛の問題への指摘はあまり見かけない。ニュースはあった。十四日付けCNN”カナダで7例目のBSE感染牛を確認”(参照)より。

カナダの保健当局は13日、同国内で7例目の牛海綿状脳症(BSE)感染牛を確認した、と発表した。同国西部アルバータ州の乳牛で、生後50カ月。カナダ食品検査庁(CFIA)は、感染牛の処理は確実に行っており、食用や飼料用に混入することはないと述べている。

 カナダの牛は米国民も食べるため、生後三〇か月以下の牛や牛肉の輸入に限定されている(日本は二〇か月)。
 メキシコ産牛肉や中国産牛肉について現在日本では規制がない。BSEを含めた実態がよくわからないのだが、なによりその総量や流通が素人の私には見えない。
 というような関心を持っていたのだが、庶民感覚として例えば私が食べる牛肉は全部といってほどオージービーフである。その国内市場の実態がどうなっているのか気になっていた。
 ラジオの話の受け売りなのだが、日本が米国産牛肉を禁止する以前の二〇〇二年度時点の輸入牛肉については、四九パーセントがオーストラリアで、四五パーセントが米国であったようだ。この比率は薄ら私の記憶にもあり、だいたいフィフティ・フィフティなら米国経路を潰してもなんとかなるのだろうと思っていた。と同時に当時、オーストラリアではこれを機会に日本向け牛肉を増やすべきか悩んでいたという話も聞いていた。あの時点では、オーストラリアとしては日本の米国牛禁止が短期的なものであると想定したらしく、増産の体制を取るのが恐かったようだ。それでも今考え直すと、ある程度の余剰はあったのだろう。
 その後米国産牛肉はゼロとなり今日に至るのだが、二〇〇五年度ではオージービーフが八八パーセントにまでアップしたらしい。これは生活実感にも合っている。逆に言えば、大丈夫かメキシコ産牛肉・中国産牛肉という懸念は一二パーセント内の問題だということになる。それほどたいしたことはないとも言えるし、あるいは流通経路が特定されるのかもしれない。
 オージービーフについては、結局この三年間で徐々に増産体制に切り替えたということになるのだろう。日本側の対処は意外に巧妙なものだなという印象を持つ。
 これで今回米国産牛肉輸入解禁となるのだが、これをオーストラリアがどう見ているかというと、かつてフィフティ・フィフティ状況の再現という予想はなく、それほど脅威とは見ていないようだ。それなりの市場調査の上での予想なのだろうが、これも日本の庶民生活の実感としてはそうなるように思える。ということは、今回の米国産牛肉輸入解禁は日本の市場全体からするとごく名目的なものだろうし、日本が米国産牛肉の市場となるのはかなり先のことになるのだろう。
 国産牛肉はどうなっているのか? よくわからないのだが、輸入牛肉八八パーセントのオージービーフは国産牛肉を含めても五〇パーセントを超えたそうだ。ということは、二〇〇二年時点と二〇〇五年時点の国内牛肉マーケットが同じなら、この間国産牛肉は若干の伸びにとどまったということだろうか。これも庶民的感覚でいうと、高級肉が国産という棲み分けの期間だったような気がする。
 特に話のオチもないのだが、表向きのこの間の米国産牛肉の禁止というのは、BSE問題がというより、牛肉市場の構造変化のための猶予期間だったんじゃないかという印象もある。

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コメント

はんなんに象徴される構造変化、ということでしょうか。このあたりの他部ーが分かりません。

投稿: Sundaland | 2006.07.23 09:17

テレビでアメリカの批判をしている人もハワイなんかに行って牛肉食べてんだろうなぁ。
庶民も海外くんだりまで行ってマクドで昼ごはん食べてるんだろうなぁ。
日本の食品、肉は高すぎるのは確かだし、デメリット表示さえあればあとは自己責任でいいんじゃないかな。
ダメ?暴論?

投稿: pupu | 2006.07.23 11:15

しかしながらわが国の宿痾ともいうべき偽装体質の輩どもにとっては、非常に大きな好機になるんでしょうね。今回の輸入解禁は。

投稿: 名無しですが | 2006.07.23 19:01

 偽装体質の人はどこ逝ってもいるべ。

投稿: 私 | 2006.07.23 23:34

http://www.aussiebeef.jp/b2b/
オーストラリアから対日出荷は02年にガクンと減ってるけど、それ以前と較べると+100㌧で1.25倍程度でしょうか。
飼育頭数を見ても数%変動だし、増産以外の方法で対応してるみたいですね。

http://www.kanbou.maff.go.jp/www/fbs/fbs-top.htm
国内生産量は変動なしです。

投稿: うps | 2006.07.24 04:34

牛肉市場の構造変化のための猶予期間
だったんじゃないかという印象もある。

同意です。政策のプライオリティから鑑みれば、
構造改革の一環だったのだろうなと思います。

投稿: kagami | 2006.07.24 18:03

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