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2006.07.06

罪深いという感じ

 エンロンの元最高経営責任者ケネス・レイが五日に死んだ。六十四歳。心臓発作である。うっ、という感じで苦しみながら、そのまま死んでしまったのだろう。過酷な米国のビジネスマンにありがちな末路とも言えるのだが、これだけの悪業をされるとなんだか天罰下るみたいな印象もある。もっとも人生というのはそういうものでもないし、まして「鏡の法則」なんてカルトまがいの知恵でどうとなるものでもない。
 それでも、ケネス・レイの死に様を見ると、なんとも、こう言うのは品のないことなのだが、罪深いという感じがする。罪といっても、クライム(crime)じゃなくて、ギルト(guilt)よりも、スィン(sin)という宗教的というか西欧キリスト教的な罪だ。

cover
罪物語
STORY OF SIN
 クリントン元大統領がれいの問題で追及された映像をたまたま見ていたときも、私は、ああ、罪深いと思った。世の中には悪人はたんといるし、私なんかもそれに数える人だっているだろう。だが、悪人というのと、罪深いというのはちょっと違う。なんと言っていいのかわからないが、その人の存在からじわ~っと罪の匂いがする。しかし、日本人だとあまりそういう感じがする人はいないように思う。きっこのブログとかで諸悪の根源とか叩かれている面々を思い浮かべても、それほど罪深いという感じはしない。
 うまく言えないが、西洋人特有のものなんだろうか。随分以前のことだが、私もしらばらくマクロバイオティックスをやっていて、ついでにというか桜沢如一のフランス紀行みたいなエッセイなども読んでいたのだが、彼は、西洋人を称して、実に罪深い人間だ、心の奥に業が貯まっているみたいに言っていた。もっとも桜沢のことだから、その原因は肉食とずばり切ってしまうだけなのだが、私もちょっと欧米人の内面を覗く機会があったが、そうだね、肉食やめたらとか言いそうになってしまいそうだった。
 罪深いっていうのはそう西洋人限定というものでもないようにも思う。なんというのだろうか、男も女もある種のセクシーさを維持している人からは同時に麝香の匂いのような罪の匂いがじわっとすることがある。塩野七生だったか、人を殺したことのないような男や女はセクシーじゃないと言ってのけていたことがあったかと思うが、そんな感じだ。
 別段日本人論がしたいわけではないのだが、罪の懊悩というのを抱えて生きている日本人の大人というのはあまりいないような気がする。
 と、森有正を思い出す。私は高校生時代森有正のファンでもあって、彼に一度会いたいと強く思ったことがある。と、思ったころに亡くなられた。森有正の相貌も文章も、日本人には珍しく、じわーっと罪がにじみ出ている。彼の晩年書いたものというか説教集だったか、人が死に際して一番の障碍は罪だと言っていた。罪があるから心安く死ねないのだとも。まあ、キリスト教的な枠のなかでの言及にすぎないのだが、そういうものを抱えて生きていくってことがあるんだろうなとは思った。逆に、渡辺一夫もよく読んだが、あまり罪という感じはしなかった。どさくさで言ってしまうけど、悪を気取っていた澁澤龍彦にも、連想が続くが花田清輝にもそんな感じはしなかった。
 もっと私が強く影響を受けた人たちの相貌をいろいろ思い出すと、しかし、どことなく罪の匂いがあるような気がする。

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コメント

> 随分以前のことだが、私もしらばらくマクロバイオティックスをやっていて、ついでにというか桜沢如一のフランス紀行みたいなエッセイなども読んでいたのだが

というとき、この「私」は誰なのでしょうか? finalvent? それは誰? 「私」は具体的なイメージを持つことができません。ケネス・レイ、クリントン、森有正、渡辺一夫、澁澤龍彦、花田清輝と、「私=finalvent」を同列に論じても良いものなのでしょうか? finalventという仮面の影に隠れた「私」がどんな人なのか? 「私」はすごく知りたいです。

投稿: 貧乏人 | 2006.07.06 23:10

> もっと私が強く影響を受けた人たちの相貌
三角関係の面々ですか。

投稿: jiangmin | 2006.07.07 01:52

今日のエントリーは、内容が浅薄と感じました。
finalventさんが、sinfulな日本人に未だ出会っていないだけのことでは? この国にも棲息していることは確実です。
塩野七生の何という題名の本に、セクシー云々のコメントがあったのですか。恐ろしいご意見だと思います。もし、本当ならば、その感性が罪深いことではないでしょうか。

投稿: kamui | 2006.07.07 10:58

↑確証も無いのに生息しているのは確実、と言い切れるなら、ツチノコを拾ってきていただきたい。

投稿: 私 | 2006.07.07 17:18

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 finalventさんのところで森有正氏についての話を読んで、マイナーなネタを思い出した。僕の処女作が『沈黙と抵抗』というマルクス経済学者(だけじゃないが)である住谷悦治(元同志社総長、ジャーナリスト)の伝記であることはほとんど知られていない(ええ、そのほかの... [続きを読む]

受信: 2006.07.07 00:59

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