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2006.07.19

パロマ湯沸かし器死亡事故、雑感

 パロマ湯沸かし器死亡事故についてよくわからないのだが、存外に世間の話題になっているようで、新聞の社説でも取り上げられるようになった。この問題について私は特に考えもまとまらないが世相のブログということで少しだけ雑感を書いておこう。
 いつからニュースになったのか、とりあえず今回の世相面での表出の発端を見ると、十四日の経産省の発表のようだ。十四日付け時事”パロマ製湯沸かし器で15人死亡=CO中毒、事故原因を究明へ-経産省”(参照)あたりがネットから見える最古の記事のようだ。


 パロマ(名古屋市)が販売した瞬間湯沸かし器4種で1985年から2005年までに一酸化炭素(CO)中毒が17件発生し、15人が死亡していたことが14日、経済産業省の調べで分かった。同省は、パロマと機器を扱うガス事業者に対し、当該機種のほか類似3機種の点検の実施と原因究明を指示。他メーカーでも同様の事例がないか調査に乗り出した。

 私がこの時点でなんとなくラジオで聞いたのは、被害者遺族の疑念追求の話だった。そのあたりはどうなっているのかと調べ直すと十五日付けの読売”「パロマ」事故多発判明、母の執念による再捜査が契機”(参照)が見つかった。

 「息子の死の真相が知りたい」――。パロマ工業製ガス湯沸かし器で一酸化炭素中毒事故が多発していることが発覚するきっかけは、今年3月、ちょうど10年前に起きた死亡事故を巡って、息子を失った母親が警視庁に再捜査を依頼したことだった。

 一遺族の問題提起が今回の話題の発端になっていたようだ。毎日”パロマ 無念の10年なぜ今ごろ 遺族の怒り捜査動かす”(参照)にはもう少し詳しい話がある。

 東京都港区のマンションで一人暮らしをしていた敦さんが死亡した当時、健二さんは警視庁赤坂署から死因について「心臓発作ではないか」としか聞かされていなかったという。今年になって、息子の友人の勧めもあり、当時の監察医務院の医師に問い合わせたところ、「死因は一酸化炭素中毒。それも考えられない濃度。事件性がある」と教えられたという。
 今年2月から3月にかけて警視庁に原因究明を訴え出た。再捜査のきっかけだった。
 健二さんは「警察は10年前に事件性を把握できたのではないか。なぜすぐに捜査をしなかったのか納得がいかない」と批判。

 当時に気が付かないものだろうかと疑問に思っていたが、中日新聞”母の思い通じ再捜査 パロマ製ガス湯沸かし器事故”(参照)にはこういう情報がある。

 1996年3月、松江市の自営業山根健二さん(57)の長男敦さん=当時(21)=が東京都港区の一人暮らしのマンションで遺体で発見された。ギタリストを目指し高校中退後に上京。仕事も軌道に乗った矢先の訃報(ふほう)だった。赤坂署は死因を「心臓発作」と説明。発見が死後1カ月後ということもあり、母の石井聡子さん(53)は敦さんの顔を見ることができず「母として息子に申し訳ない」と後悔し続けた。

 遺体が発見されたのが死後一ヶ月後。このことが警察の対応のまずさに影響していのかもしれない。しかし、検視はきちんとされていたようだ。

 それから10年が経過した今年2月、悩んだ末「息子の写真を見たい」と署に問い合わせた。同時に監察医務院の医師にも連絡をとると「通常では考えられない高濃度の一酸化炭素中毒だった」との説明を受けた。「息子は病死じゃない」。署に何度も電話をかけ、真相究明を訴えた。

 この事件について言えば、明白に警察の落ち度と言っていいだろう。
 ここで少し考えるのだが、この事件は、死者二十人と言われる今回のパロマ湯沸かし器死亡事故発覚のきっかけであって、その事件の中心部分ではないのかもしれない。死者が集中しているのは一九八五年から九〇年製造の機器のようだ。毎日”パロマ事故 85~05年に27件、20人死亡…会見で”(参照)とある。

パロマは14日、80年から89年に製造した屋内設置型の「半密閉式瞬間湯沸器」4機種で17件の事故が発生し、15人が死亡したと発表していたが、その後の調査で、同じ機種から新たに秋田、福岡など5都道県で10件の事故と死者5人が判明した。これで事故は8都道府県に拡大した。

 事件発覚のきっかけになった山根敦さんの事故は一九九六年だが、この期間の機種だったのだろうか。
 この事件は現状考えられているよりもっと裾野の広い問題を秘めているのかもしれないと思った。

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「時事」カテゴリの記事

コメント

この事件なんですけれど、ニュースで聞いててすごく不思議だったんですよ。
私は、遺族年金の相談や請求の仕事をしているんですけれど、添付書類として必ず、死亡診断書or死体検案書をつけるんです。そこには、死亡原因が書いてあるんです(この事件の場合は、事故死なので死体検案書)
遺族年金や生命保険の請求以外には必要ないので、家族は見てなかったのかなぁーとも思いました。

投稿: nami | 2006.07.19 13:39

家で使ってたのは屋外式ですが、頻繁に安全装置が効いてシャットダウンしてくれました。時期的に見てマイコン炊飯器なんかが普及し始めた頃ですので、メカトロ実装に対する経験不足の問題ではないかなー、と。
半田割れとかの実装技術もそうですが、それ以前に安全装置が働けばいいんだろという投げやりな思想が感じられて、サイバネティクスというかインテリジェントデバイス化する効用を開発陣が理解できてないのではないかなー、と、再起動するたびに思ってました。

投稿: ■□ Neon / himorogi □■ | 2006.07.19 14:18

【新聞ウォッチ】パロマ事故で消えたトヨタ「欠陥放置」報道 | Response.
http://response.jp/issue/2006/0719/article83976_1.html
こういう方向にも裾野の広い問題かも知れません。
手札のような物の一つと言える位に、手抜き体制によるよくある事故でしかなかったのかなぁと。

投稿: null | 2006.07.19 14:56

トヨタといえば何をするにも臆病で慎重な企業で、
それゆえに強いのだと思っていたのだけれど、
他がこけたのをいい事にお茶を濁すように
なってしまったのかと思うと、変わったのかなぁ。

投稿: nand | 2006.07.19 15:25

↑もともとそういうトコやん。何を今さら。

投稿: 私 | 2006.07.19 20:09

トヨタについては憶測でしかないわけじゃん?まあどうでもいいが。個人的にはトヨタが腐ってるとは全く思えないので・・・逆に、ああ、うまいこと攻撃されてるなという感じもする。

で、自分も憶測。これって安全装置を外していた修理業者にどうして責任追及がいかないんだろうという疑問がある。まあ陰謀の臭いがするっていえばする。なんつーか、バタ屋関係とか、ブサヨ的世論操作のかんじ?

NEON氏が言うように昔から現地業者と設計生技の黒い蓄積はあったと思うが、それが嫌な方向に爆発しているように思う。なんなんでしょーね。

投稿: kurogane | 2006.07.19 20:41

マスコミの報道がなければ私たちはこの事実を知ることができませんでした。
が、やりすぎ。
トヨタの件はどうなのよ???
三菱のときと何が違うの???

ま、どうでもいいのですが。

投稿: 徹夜明け | 2006.07.19 22:17

安全装置のジャンパ改造の話だけなら
これまたえらいパロマ本体への火病りようだなという所ですが、
17件は安全装置自体の誤作動だなんて報道もあるし、
警察の捜査ミスが隠れているし、
何か面倒で複雑な事件になっていますね。
面倒で複雑な事件としては処理されてはいかないでしょうけど。

投稿: 無粋な人 | 2006.07.20 11:17

えー、トヨタのジャスト・イン・タイムでは、公共の道路が倉庫代わりに使われていました。

労災の扱いとかを見ても、そんなに大した企業だとは思えないな。

投稿: | 2006.07.20 22:23

 某トヨタの元ブチョーさんとかがどっかの会社に再就職して業務指導その他でお見えになられて「このくらいだったらバレなきゃいいんだよー」系の業務指導してニコニコ笑顔でお帰りになられた現場なら、何度となく見てますが。

 腐る腐らない以前の問題として、その程度でいいんでない? みたいな。現場って所詮そんなモンでしょ、みたいな。そういう感じ。

 ボクのアイドルはうんこしない、みたいな美化があり過ぎるんと違うか? とも言いますな。

投稿: 私 | 2006.07.21 21:33

 企業である以上、大なり小なり似たような面があるもの。
 知名度がある一定の水準を越えると、そういう(似たり寄ったりな面)が途端に無かったことになるのは、不思議といえば不思議。

 庶民の認知度って、所詮そんなもんなんでしょうな。

投稿: 私 | 2006.07.21 21:49

 パロマだろうがトヨタだろうが、販売後に欠陥が明らかになることはあるだろう。(そういうことにならないために、十分な検査は必要だが)だから、そういうときに、不具合を即明らかにしてリコールしてもらいたい。今回のトヨタの対応は、その点がやや不明瞭だった点で減点。
 それだけでなく、本来、消費財以外の商品は、壊れたら修理して使えることが前提。(パロマの場合、その修理に問題があったようで、これは論外)ところが昨今、「部品を製造してないので」という理由で修理を断られる場合がある。
 職人が作った製品は、比較的高価だが、一生モノが多い。例えば、切子硝子などは欠けてもそれなりのところへ持ち込めばほとんどわからないほど巧みに修復してくれる。結果として安い買い物となるだろう。モノづくりメーカーとして、部品の製造をやめるということは、モノづくりをやめるに等しいと思う。少なくとも、やめるということを周知するよう努力する必要があろう。それが「モノづくり」の心意気であり、責任だと思うのだが。

投稿: 大河 | 2006.07.29 23:36

↑だと思うのだが、と言うのであれば。

 そんなもんはもーねーす。とも言うかと。ちなみに私が通ってる工場だと部品の保証期限は10年。それより古くなると廃棄。10年は結構長いよ? 7年くらいで終わるトコもあるし。
 非情なようでもあるけど、実際のところ旧品の取り扱い量は新製品に比して数千分の一まで落ち込むわけだ。下手すっと万分の一とか。そのくらい「出ない」商品をお客様のご要望に合わせてわざわざ作るのは、もの凄い手間な訳。単純に「10年前なら100円で部品交換できたけど今なら万が付くよ?」言われて、買うかい?
 ものづくりの心意気を夢想するのはご勝手だけど、それが「正当な対価を生み得るものか」よく考えられたし。

 あとまあ、買う側がそんなに商品価値を大事とするんであれば、本体買ってしばらく後に壊れやすい部品・交換が必要な部を別注して、自分でとっとけと。
 修理・取り替えだけなら、町工場でも出来る。

 やめる周知(笑)であれば、大抵の企業はやってる。やらないのは、エロ・アダルト業界くらい。やってることを知らないのは、半分くらい自分の丼臭さにも原因がある。
 道具壊れた。修理希望。・・・そう「思ってから」連絡してないかい?

 ホントに道具を大事にする気あんのかと。壊れて使えなくなった腹いせしたいだけちゃうんかと。ん?

投稿: 私 | 2006.07.31 22:10

ガス器具も、何年で寿命(安全の保証期間)ってはっきり決めて、期限切れたら使えないことにしたらいいんじゃないの?

自分は給湯器なんて10年でヤバイって感覚だけどな。

1996年、3月の事故の人の家族は、事故当時、見たくないから解剖の結果はいらないと断わった、と母親のブログに書いてあった。


投稿: こめ | 2006.08.02 21:59

パロマガス器具の事故は器具の設計ミス(ファンがとまっても燃焼しつづけ結果一酸化炭素が充満するような配線変更が
容易にできたこと)
誰が責任者だということだが 現場ではんだつけクラックによる故障した湯沸し機で 委託サービスマンに 今日の風呂はどうしてくれるのか と詰め寄るユーザーにできることは恭一にはこれで応急処理しますが 明日はメーカーに 再度連絡してください。というバイパス結線を行うしかない。なぜ明日もう一度修理連絡をしなくてはいけないか?
委託業者は修理依頼伝票1枚で出張修理をするが 歩合給で器具を完全にする あるいは顧客の安全を最後まで守るという責任感を持てる収入がないからです。
器具設計のミスは明らかな設計変更が行われています。
20年前北海道の美容院で事故を起こしたとき 何も処置せず見過ごしたこと。これが発端です。
完全に 経営責任です。

投稿: 坪井陽介 | 2006.09.15 08:21

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