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2006.07.15

Deed Poll(ディード・ポール)

 ラジオ深夜便を聞いていたらオーストラリアで近年改名する人が増えているという話題があった。改名は届け出だけで比較的簡単にできる。現状ではずば抜けて増えているというわけでもなく、妥当とされる理由も特にないようだ。話ではこの制度をDeed Pollと呼ぶという程度に簡単に触れていたが、そういえばこれは私には以前から疑問だった。
 私事だが昔学校で勉強をしていたときカナダ国籍の講師が講議の終わりに突然、次回はかみさんがやりますよとか言って、なんじゃそれと思ったのだが、次回アルビン・トフラーのかみさんみたいな人が出てきて講議をしていた。なんかよくわかんねーなと思ったのだが、このかみさんの姓がだんなと違っていた。よくある別姓ではなく、だんなの名字の頭にドイツ語名だろそりゃみたいのが付いているのだ。ミドルネームかなんかかと思って聞いてみたら結婚したとき改名したのよとのこと。旧姓を旦那の姓の前にくっつけたそうだ。合理的でしょ、子供はこの姓なのよと続くのが、世の中わけわかんねーのいるよなには当時相当に慣れていたので、ふーんそりゃいいとか答えてしまった。
 後、コモンウェルスではDeed Pollというのがあって改名はけっこう普通らしいと知ったのだが、カナダもそうだったのだろうか。あるいはあのご夫妻カナダへの移民だったのだろうか。
 ちらとネットをひくと、ブログ「えるざの英国日記アネックス」に”ダブルネーム”というページがあり、こんなエピソードがあった。


 えるざも旦那さまも、結婚前は割と珍しい名字を持っていました。結婚に当たって、「どちらかが名字を変えなければならないのはもったいない(?)」と言うことで、二人の名前をくっつけてしまうことにしました。ちなみに国際結婚の場合は日本でも夫婦別性が認められていますが、こちらも「せっかく二人が一緒になるのだから」と、二人で一つの名前を作ることに決めました。
 具体的にどういうことかと言うと、例えば「田中さん」と「スミスさん」が結婚して、「田中スミス」または「スミス田中」にしてしまおうということです。

 こういうのけっこう普通みたいですね。
 記事には簡単ですとの話に続いてこうある。

さてイギリスで名前を変える手続きですが、日本在住の旦那さまはまず「Deed Poll」なる書類をインターネットでダウンロードしました。これを持って地元の公証役場へ行き、目の前で書類にサインしたことを証明してもらいます。旦那さまは今後の手続きを考えて公証役場へ行きましたが、職場の上司や同僚でも良いようです。要は証人がいればいいわけです。

 これがDeed Pollというやつ。
 オーストラリアでの改名はとちと調べたらクイーンズランド州の解説ページ”Registering a change of name”(参照)がすぐにめっかった。改名なんて簡単だし自由にしていいよみたいな話に続いて、Deed Poll廃止の説明がある。

As from 1 February 2004, you will no longer be able to change your name by deed poll in Queensland. However, you may be able to register a change of name on the ‘Change of name register’ which is maintained by the Registry of Births, Deaths and Marriages.

 Deed Pollは廃止になったけど、名前の登録はできますよということだが、私がわかんないのはここだ。結局簡単な登録で改名ができるということだが、Deed Pollとどう違うのだろうか?
 そういえば、アラビアのロレンスことThomas Edward Lawrence(参照)だが、三十九歳のときにDeed Pollで改名し、Thomas Edward Shawになっている。この制度はけっこう古くからあるのだろう。
 英語版のウィキペディアにはDeed Pollについて解説(参照)があり、それなりに詳しいのだが、いまいちわからない。

A deed poll is a legal document binding only to a single person or several persons acting jointly to express an active intention. It is strictly speaking not a contract because it only binds one party and expresses an intention instead of a promise.

The most common use is a name change through a Deed of Change of Name (often simply referred to as a Deed Poll). Deed polls are used for this purpose in countries including England and Wales, the Republic of Ireland, Northern Ireland, New Zealand, some States and territories of Australia, Hong Kong and Singapore.


 契約というのは二者で成立するものだが、一者だけで公的に有効な意思表明の文書というのがDeed Pollの原義のようだが、ここにも説明があるように実際には改名の手続きに使われるようだ。
 ところで字引を見ると、平型捺印証書とあるのだが「捺印」ではないだろうし、どうも全然理解されていない訳語のようでもある。あるいは、日本でもDeed Pollのようなものがあるのだろうか。
 こういうのがわかってないってことは私は抜本的に英米法に無知ってことなんだろうと思うので、歴史背景とその背景の哲学がわかっている人がいて、ご親切なかたでしたら、教えてくださいな。

photo
Deed Poll
署名とシール(印)
photo
Deed Poll

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