« カナダ大規模テロ未遂 | トップページ | 台湾陳水扁総統の親族不正疑惑、流れは変わったか »

2006.06.20

ソマリア南部情勢

 ソマリア情勢に大きな動きがあるので、とりあえず現時点でのメモを書いておこう。比較的最新のところでは日経”ソマリアのイスラム武装勢力、南部を支配”(参照)がわかりやすい。


アフリカ東部ソマリアで首都モガディシオを制圧したイスラム原理主義勢力「イスラム法廷」の武装勢力は14日、首都北90キロのジョワルにある敵対勢力「反テロ連合」の拠点も押さえ、同国南部をほぼ支配下に置いた。「反テロ連合」は米国の支持を得ていたとされるが、幹部の暫定政府元閣僚らは逃走したもよう。イスラム勢力はイスラム法に基づく支配を強めるとみられている。

photo
ソマリア
 ソマリア南部はイスラム原理主義勢力下に置かれた。もっとも、このイスラム原理主義勢力が何を意味するかは、とりあえず留保しておいたほうがいい。原理主義といっても「極東ブログ: 国連がハマスに資金供与の疑惑?」(参照)といった面もある。
 ここに至る近況はCNN”イスラム武装勢力、ソマリア首都掌握”(参照)が詳しい。現時点の国際情勢で関連するのは次の部分だろう。

 米国と国連は今のところ、首都を掌握したとする同連盟の主張を確認していない。マコーマック米国務省報道官は、ソマリアが「外国人テロリストの避難場所」になることを望まないとする米政府の意向を表明。アナン国連事務総長は声明を発表し、ソマリア各勢力に停戦と交渉開始を呼びかけた。
 また、アフリカ連合(AU)は米政府に対し、ソマリア政権樹立に向けた支援強化などを要請する一方、ソマリア国内の世俗派部族勢力への支援を打ち切るよう求めた。

 米国が「ソマリア国内の世俗派部族勢力」を支援していたのだが失敗したということだが、端的に言えば、テロとの戦いと称して現地の軍閥に肩入れしたが失敗に終わったということ。
 現在の南部ソマリアの状況は比較的安定しているとも言えるようだ。CNNと同時期の記事だが、朝日”イスラム勢力が首都掌握 秩序回復に期待 ソマリア”(参照)が伝えるのはあながち反米に偏っているわけでもない。

 「法廷」の代表は数百人の群衆を前に、「イスラム国家が成立するまで戦い続ける」と宣言した。一方で、英BBCに「我々は政治組織ではない。今後のことはソマリアの人々自身が決める」とも語った。
 「法廷」は、厳格なイスラム法の施行を求める聖職者らでつくる組織。無政府状態のソマリアで、イスラム法に基づいて地域社会の秩序を守ってきた。イスラム教徒が全人口の9割を占める国民には反米感情が強く、「法廷」への支持は厚いとされる。

 これも端的に言えば、「法廷」側が現地での治安維持に機能しているということだ。ちなみにイスラム法が何を意味するかは、「極東ブログ: 罪のない者と罪を犯したことのない者」(参照)でその一端に触れたことがある。
 これをもって米国の対テロ戦略が失敗に帰したというには規模が小さいにようにも思える。先の朝日記事でもこう触れられている。

 ただ、首都が掌握されても、北部では一部勢力が「ソマリランド共和国」「プントランド」などの名で独立を宣言、全土の群雄割拠状態に変わりはない。秩序回復に向かうかどうかは予断を許さない。

 今回の事態で背景に気になることがある。アルジャジーラ”米外交がソマリアでも失敗 イスラム原理主義組織が首都制圧”(参照)が触れている点だ。

 ―ソマリアでの戦闘を米国とイスラム過激派との代理戦争と表現してもいいのか。
 「それだけではない。ソマリアでの戦いはエリトリアとエチオピアとの代理戦争でもある。エリトリアはイスラム法廷を支援し、エチオピアは米政府に協力している。イスラム法廷は、シャリア(イスラム法)の施行で治安の維持を期待する地元財界から資金提供を受けている」

 問題の背景の一端にエリトリアがある。
 私が注視してきたダルフール問題に関連してエリトリアが関連していることがあった。昨年の六月十二日ロイター”ダルフール紛争の協議再開、エリトリアをめぐり暗礁に”より。

 国連、欧州連合(EU)などの支援を受け、アフリカ連合(AU)が仲介役を務めているが、エリトリアも加わる見通しとなった。
 これに対し、スーダン政府代表団は「エリトリアを仲介役、あるいは交渉役として受け入れることはできない。エリトリアが武装勢力に武器を提供していることは周知の事実だ」と述べた。
 スーダンは再三にわたりダルフール地方の武装勢力を支援しているとしてエリトリアを非難してきたが、エリトリアはこれを否定している。

 簡単な図柄を想定するとスーダン政府側がイスラム勢力なのでエリトリアに近いようにも思える。この構図はよくわからないが、気になる。
 もう一点。ロンドン同時テロ事件の容疑者の四名の一人、ムクター・サイード・イブラヒム(二十七)容疑者はエリトリア出身だった。もっとも、彼が英国に来たのは十四歳なので直接的な関連はないのかもしれない。
 ダルフール問題を紛糾させているのが中国だが、今回の事件の裏に中国の動きはあるか見ると、むしろ政府を国連寄りに支援していたふうでもある。

|

« カナダ大規模テロ未遂 | トップページ | 台湾陳水扁総統の親族不正疑惑、流れは変わったか »

「時事」カテゴリの記事

コメント

 パッと地図見た感じ、中東・欧州でおイタしたムスリムがちょいとほとぼり冷ましに逝くのに丁度いい塩梅の地域ですな。

投稿: 私 | 2006.06.20 22:03

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ソマリア南部情勢:

» アメリカ、今度はソマリアを空爆。27人死亡 [匿名希望]
msg:141890のニューオーリンズの状況は酷いですね。一年も経ってるのに驚きです。 復興がこれほど進まない原因は、ニューオーリンズが黒人の貧困層を多く有する土地だったことが大きいと思います。ビバリーヒルズが被災したら、彼らは速攻で復興するでしょう。 アメリカは、今度はソマリアの黒人達を空爆しているようですね。 http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20070110/mng_____kok_____001.shtml イスラム法廷会議が、いろいろ... [続きを読む]

受信: 2007.01.10 13:57

« カナダ大規模テロ未遂 | トップページ | 台湾陳水扁総統の親族不正疑惑、流れは変わったか »