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2006.04.13

イラン問題が日本のエネルギー安全保障に関わるのか

 十一日イランのアハマディネジャド大統領は、イランが低濃縮ウランの生産に成功し核技術保有国に加わったと発表した。ニュースソースとしてはCNN”イランは低濃縮ウラン生産に成功、核技術保有国に 大統領”(参照)など。
 言い分としては原発用核燃料であり平和利用ということだが、濃縮活動の停止を求めていた国連安全保障理事会にとってはこしゃくな一撃となり、いよいよ西側主要国の制裁措置かという流れにはなってきた。
 社説としては産経”イラン核開発 抜け穴ない国際包囲網を”(参照)が扱っていたのだが、ピントがずれていると思う。


 イランの暴走を止めるには、誇り高い同国のナショナリズム、国益、安全保障上の懸念に十分配慮しつつ、国際社会が一致結束してイランを説得し、必要とあれば経済制裁を辞さない国際包囲網を築くことが必要だ。
 しかし、国際包囲網にほころびや抜け穴があれば、効果は生まれない。むしろイランの側を強気にさせてしまう。その抜け穴となる懸念を抱かせているのが、安保理の五常任理事国の中ではロシアと中国である。
 三月末の安保理議長声明は全会一致で採択されたが、そこに至るまでに、両国は経済制裁への言及に反対し、イランの核開発の停止期限を十四日以内から三十日以内に延長させた。
 ロシアはイランの原子力発電所建設に深くかかわり、中国は今年一月にイランが最大の石油輸入先になるなど、両国ともイランとの間には深い経済的利害関係があるからだとされる。

 産経としては国際包囲網とかヘンテコな用語を使っているが中露に視点を置いているということで国連の立場からと見ていいだろう。そして、中露をなんとかすればという甘っちょろいことを言い出しているので、これで産経かよ?という印象も受ける。確かに中露バッシングのトーンは産経のお得意かもしれないが、問題の要点が認識されていない。
 この点「あすを読む」の後釜番組「時論公論」でこの問題を扱った嶋津八生解説員は、国連・国際原子力機関による外交解決、有志連合による制裁、米軍の軍事攻撃という三つの選択肢を示し、実際的には有志連合の制裁となるとしていた。産経社説よりははるかにマシだ。
 具体的に有志連合の制裁とはというと、外交官渡航禁止、輸出禁止、金融機関の凍結といったところで以前のイラクを顧みてその有効性はどうかという問題にもなる。有志連合諸国のなかで反省もあるだろうし、イラク・ケースのような国連という悪の抜け穴もないだろうが、歴史を顧みてもこうした制裁の有効性はそれほどないだろう。制裁と併用する外交のあり方のほうが問われる。
 「時論公論」の嶋津解説員の話だが、この後絶妙にエネルギー安全保障に振れだした。なんだなんだコレはという違和感があった。
 まず、イランの日本向けの原油は総量の二十二%と世界最大というあたりで笑っていいのかただの噴飯物か。嘘ではないのだが、なにを言い出す、オサーンである。ほいで、それが日本側からすれば原油総量の六%となりそこが途絶えると日本はエネルギーに困窮することになると続く。もっとも備蓄で千日は持つと言及しているあたりが可愛い。
 さらに笑わしてくれるのはれいのアザデカン油田開発を取り上げ、日本はこれに二千四百億円を投じるのがフイになると話の展開上、脅す。そして、エネルギー安全保障論が課題になるというお話へ突入。
cover
世界を動かす
石油戦略
 石油危機のころの日本の中東原油依存は九一%で、これが八〇年代には六七%まで落ちたものの現在は八九%と高い。だから、中東が日本の命運だみたいな論である。もうよせよ、と思ったら、石油一般商品論ではなくエネルギー安全保障上の戦略物資論へと転換期が来たのではないかと宣った。石油公団がぷうぷう吹いているのか、NHKの後ろで。
 産経社説ではないが、中国が石油欲しくて世界各国の原油に自主開発で囲い込み路線つっぱしりという状況もあるが、それで原油の一般商品としての位置が転換したとは私には到底思えない。
 日本という国は自由市場さえあれば石油の問題はないのだから、自由市場を守るというのが基本である。他はない。イラク戦争でも米国は石油欲しさに戦争を起こしたとかいうが、米国の石油はむしろ南米に依存しており、本格的な危機は南米の左派化に伴う近未来にある。
 当方もおちゃらけてふかして書いてしまったが、日本が中国様もどきに日本が変貌して原油の囲い込みなんかできるわけもないのだから、取るべき選択肢は少ない。

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御意。

投稿: トリル | 2006.04.14 13:23

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