« 温家宝のオセアニア歴訪の裏面 | トップページ | [書評]純情きらり(NHK朝ドラ) »

2006.04.02

民主党の深い闇

 昨日の朝日新聞社説”民主党 迷走の果ての総退陣”(参照)は冒頭「偽メールをめぐる民主党の迷走がようやく決着した。前原代表ら執行部が総退陣し、永田寿康衆院議員は議員を辞める」と切り出したのだが、これで「決着」なのだろうか。朝日新聞は戦前からそうだが事実と意見が混同される傾向がありこれもその一例で、ようするに「決着したい」という意見だけかもしれない。
 事態が急展開したのは三月三十一日。翌日だったらその卓越したユーモアセンスに世間が爆笑して次は何?ということになりかねないのを懸念したのかもしれない。とりあえず単純に考えると同日公表された民主党の調査報告を見れば、前原代表ら執行部の総退陣以外はなかっただろう。”民主党 「メール」問題検証チーム報告書 ”(参照PDF)で注目されるべきは一千万円で西澤孝から情報を買い取ろうとした部分だ。少し長いが重要なので引用する。


①2 月19 日(日)、永田議員は、野田国対委員長に対し、「未明に西澤氏から電話連絡があった。珍しく『情報提供者』から西澤氏に電話があり、高飛びも考えているような状況なので、場合によっては『情報提供者』が持っている様々な情報が入力されているハードディスクやメールの電磁的データをコピーしたハードディスクを売ってもいいと言っている」と報告し、「西澤氏を通じて『情報提供者』と具体的な交渉に入っていいか」と相談した。
②これに対し、野田国対委員長は、金銭の話が出てきたことをいぶかしんだが、「『メール』の信憑性の立証が困難を極めるなか、それが『情報提供者』の存在を確認できる唯一の手段ならば、瀬踏みを掛けても交渉の余地は残した方がいい」と考え、永田議員に対し、「西澤氏と『情報提供者』とハードディスクを保護下に置くことが最優先」であり、「西澤氏と『情報提供者』を職員として雇用して生活を保障することも考える」、「『情報提供者』との交渉には自分が出向く」と述べた。
③また、永田議員は、野田国対委員長に対し、「自分で1,000 万円程度は用意できる」と述べた。これに対し、野田国対委員長は、「必要なら、党でそれくらいは何とか用意できる」と述べた。
④永田議員は、西澤氏に対し、その条件で「情報提供者」と交渉に入りたい旨を伝えた。これに対し、永田議員によると、西澤氏は、「永田議員に経済的に迷惑をかけるわけにはいかない。民主党ならば少しは気が楽だが、それでも受けるわけにはいかない。経済的な負担は自分で賄うから心配するな」と述べた。
⑤西澤氏から金銭の話が出てきたことを受け、野田国対委員長は、原口議員に対し、改めて西澤氏の身辺を徹底的に洗うよう指示した。午後遅く、原口予算委員は、野田国対委員長に「西澤氏の評判がすこぶる悪い」と報告した。それを受け、野田国対委員長は、永田議員に対し、独自の判断と行動は慎み、西澤氏や「情報提供者」とのやりとりは逐次報告して判断を仰ぐよう指示した。
⑥その夜、野田国対委員長は、顧問弁護士から、「偽情報に金銭を支払うことになれば、相手が詐欺罪を構成するので、情報を買うようなことはすべきでない」との助言を受け、交渉を通じた「情報提供者」の存在の確認を断念した。

 報告書では一千万円の授受はなかったとされるが、その真偽が十分検証されたわけでもない。経緯を見ても西澤のカネに対する振る舞いにはやや異様な印象を受ける。特に、西澤からカネの話が切り出されたのに「民主党ならば少しは気が楽だが、それでも受けるわけにはいかない。経済的な負担は自分で賄うから心配するな」という部分は、こうした商売をする人の世界であれば、その埋め合わせは、必ずあるか、すでにあった、という意味だろう。そう考えると納得のいくように思えることが他にもあるが、ここではその問題には触れない。
 カネの授受もだがメール作成の経緯もこれで隠蔽されたことになる。それで済むわけもないので、前原代表ら執行部の総退陣は政治的な「決着」というか代償としてはやもうえない線だったのだろう。
 結局この決着とは何だったか? 大手紙の社説では昨日の毎日新聞社説”前原代表辞任 「未熟だった」ではすまない”(参照)だけがさらっと言及していた。

 永田氏の辞職で懲罰委員会の処分は必要なくなり、メールを仲介したとされる元週刊誌記者の証人喚問は取りやめとなる。民主党の報告書によると、永田氏らは巨額な情報提供料を用意する話もしていたという。このため、この日の決断は「証人喚問を避けたかったのではないか」との疑問も残る。

 なんとしても西澤孝をオモテに出すわけにはいかないというのが、民主党の深い闇に関わっていたのだろう。そこを自民党は見抜いていたわけでもあったし、そこをきちんと突いたわけだが、恐らく自民党してはやりすぎだったのではないか。
 今回のどたばたを見ていて別の面で面白かったのは、民主党を支える地方の動向である。メディアからははっきり見えないのだが、前原じゃ選挙できないというのが痛切な地方の声だったようだ。このことは民主党と限らずどの政党でもそうだが、中枢部のごにょごにょが少し時間的に遅れたかたちで地方で大きな運動になることがある。
 つまらないオチだが、政党の運営というのは大変なものだなというがよくわかる一例でもあった。

|

« 温家宝のオセアニア歴訪の裏面 | トップページ | [書評]純情きらり(NHK朝ドラ) »

「時事」カテゴリの記事

コメント

もっと言うと西沢氏が出てこないのを見越しての早めの手打ちだと思われます。自民党はふんぞり返ってそっちでどうにか連れて来いと言うだけで窮地に追い込めるわけですから。

投稿: イブ | 2006.04.02 22:01

もっと言えば西沢氏が証人喚問に出てこないのを見越してのことだと思われます。
自民党に攻撃の材料を与えるだけでしょうし。

投稿: イブ | 2006.04.02 22:05

誤:やもうえない
正:やむをえない

投稿: 774 | 2006.04.03 00:42

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 民主党の深い闇:

» 前原代表辞任 もっとやることがあったのでは・・・ [日高正樹税理士事務所 (名古屋税理士会千種支部所属)]
31日、民主党の前原誠司代表は代表を辞任することを決断しました。 鳩山由紀夫幹事長ら他の執行部も総退陣する方向のようです。 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060331NTE2INK0231032006.html 永田議員の偽メール問題でずっとバタバタしていて、いつまでやってん... [続きを読む]

受信: 2006.04.02 14:45

» 民主党はピンチをチャンスにすべきだった、はずが・・・ [Hardcoded]
民主、「本格党首」で調整・小沢氏、3日に見解 - NIKKEI NET 民主党は 1 日、偽メール問題で引責辞任を表明した前原誠司代表の後任選びに向け、党内各グループが調整を続けた。各グループでは後任代表に有力視される小沢一郎、菅直人両氏のいずれが就任した場合でも、9 月末までの前原氏の残り任期以降も続く「本格党首」とすべきだとの認識が広がってきた。小沢、菅両グループは擁立に向けた準備に着手。小沢氏は 3 日午前に記者会見を開き、代表選への対応を明らかにする見通しだ。 「ガセメール」以来民主党が取... [続きを読む]

受信: 2006.04.02 17:18

» 民主党の体たらく [ひろのきまぐれ日記]
 民主党の体たらくはどうしようもないですね。。  浅野さんに都知事選の依頼に行くのはいいですけど、病気で倒れている  鳥越さんのところに行ったり、菅さんは出ないと言ったり。。  柳沢さんの例の発言の時も、そればっかり攻撃。 #マスコミの取り上げ方のせいかもしれませんけど。  あんなのほっといても周りが攻撃してくれるんだから、  真面目に政策論争すればいいのに。。  自民党にお灸をすえて、一時的にしろやってみろ、  とわれわれが言えるような党作りをしてもらわないと困りま... [続きを読む]

受信: 2007.02.17 02:06

« 温家宝のオセアニア歴訪の裏面 | トップページ | [書評]純情きらり(NHK朝ドラ) »