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2006.03.22

トラスト・スクールについてちょっと

 トラスト・スクール(trust school)の定訳語を知らないのだが、財団学校、基金学校とでもなるのだろうか。現在、英国でこの新しい学校システムについて、もめているようだ。まだ、法案は通っていない。
 制度的には、公立と私立の二区分に加え、新しい区分としてトラスト・スクールができることになる。というあたりで理解しづらい。親たちや企業が基金を作り学校を運営するという。そう聞けば、私立ではないかという印象を受ける。
 トラスト・スクールについて、日本語でのネットのリソースはあまり見かけなかった。探し方がまずいのかもしれない。そんななかブログ「シェフィールド便り」”School Reform Law”(参照)が詳しい。BBCのソースをまとめたもののようだ。


1、目的
トニー・ブレア首相の言によれば「学校に更なる自由を」というもの。具体的には、イギリスのセカンダリースクール(日本で言う中学校、高校レベル)レベルで新たにトラストスクールという形式の学校を設立しこの形式をイギリス国内に広める。トラストスクールの特徴として①学校が独自に自校の校舎や敷地をどの場所に立てるかもしくは購入するかについての選択権がある。②学校が独自にそのスタッフを雇い入れることができる。③入学選考基準について学校が独自に設定、管理をすることができる。

 引用がやや長くなるが。

2、インディペンデントスクールとの違いについて
インディペンデントスクール(財源が国から独立しているという意味で、日本の私立と同じであると考えていいと思う)がトラストスクールの手本になっているのは間違いない。しかし、トラストスクールは①授業料を課すことができない②利益を求めることができない③必要以上の資金を受け取ることができない、などの制約がある。

 手短によくまとまっているのだが、今回の英国のトラスト・スクールの位置づけは基本的には公立であるようだ。そのあたりが、私も理解しにくい点である。
 公立に近いものでありながら、企業からの出資を受け入れ、その企業が運営に参加できる、ということで、それは学校としていかがなものかといった問題はおきている。BBC”Who will run 'trust' schools? ”(参照)がそうした問題をやや皮肉にまとめている。たばこ会社やファーストフード会社が学校運営?といったトーンだ。

Would a tobacco company be acceptable? What about a big fast-food brand taking over a school? Or a company that did not recognise trade unions?

The prime minister's response to this was to say that the proposed new schools commissioner would be a filter, deciding which outside organisations were suitable to be school partners.

Mr Blair added that he had "not come across the Big Mac Academy concept".


 この問題の全貌がよくわからないのではずしているかもしれないが、米国の例を考えると、こうした経営はそれほど違和感はない。確か、チョコレートのハーシーは巨大な慈善団体を持ち、学校も運営していたかと思う。また、米国の通常の州運営の学校でも、食品会社から資金を受け、その事実上の見返りにスナックを子どもたちに食べさせている。もっとも、この点はいろいろと問題が起きた。
 話を戻して、なぜトラスト・スクールという考えが出てきたかというと、基本的には教育費の問題が背景あるのだろう。誰が学校運営のゼニを担うかということだ。そして教育費の問題は事実上教育水準にも関係する。日本でも公共教育の費用が問題になれば、トラスト・スクール的な発想は出てくるだろうか……とちょっとそれは勇み過ぎか。
 トラスト・スクールの法案はまだ可決していない。ブレア首相が教育改革の目玉として意気込んで推進しているのだが、ブレア自身の労働党与党内で反対者が多く、むしろ野党保守党が賛成している。現状を合算すると保守党の賛成によって法案は可決されるようだが、ブレアとしてはそれでいいのかという問題は残る。そのあたり、ガーディアン”Focus on trust schools, Blair tells councils ”(参照)から少し伺える。ブレア自身の発言はこんな感じ。

"I believe it will make schools stronger, improve standards and offer better opportunities to young people. These reforms to raise standards and expand opportunities in schools, along with reforms in health and other public services, are delivering on our commitment to make our public services safe for a generation," Mr Blair added.

 トラスト・スクールの法案が最終的な形になるまでまだ紆余曲折はあるようだが、この間、興味深かったのは、入試での面接の禁止だ。日本だと人柄を重視するとかいって面接にあまり抵抗はなさそうだが、公的であるといことは面接の禁止に及ぶのものなのだなと私は印象深く思った。正義の女神はブラインドであるし。

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コメント

>正義の女神はブラインド

胡散臭い笑顔でニヤニヤしてるからじゃないですか?

投稿: 私 | 2006.03.22 22:27

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» トラストスクールに影? [シェフィールド便り]
BBCの記事より 「『叙勲に対する金銭要求』問題に関与指定していた学校長が保釈された。これは、スコットランドヤード曰く、『さらなる調査の間の一時的なもの』とのこと。」 (2006年4月13日、BBCnews、http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/4906504.stm) 一見何のことだかさっぱりな記事なのだが、この問題、トラストスクールの今後を考える上で、もしかしたらものすごいインパクトを与えるかもし知れない。先ずはこの事件の周辺状況についての説明をした... [続きを読む]

受信: 2006.04.15 06:08

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