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2005.02.26

入管難民法改正案でなにか改善するわけでもなさそうだ

 人身売買罪の話の全貌がよく見えないので、当然、話もさしてまとまらないのだが、気になることでもあるので書いておきたい。
 話はまず、入管難民法改正案が今国会で成立する予定ということ。日本経済新聞記事"人身売買罪を創設・刑法と入管難民法改正案を閣議決定"(参照)を引用する。


 政府は25日の閣議で、人身取引の撲滅や密入国対策の強化を目指し、「人身売買罪」の創設を柱とした刑法改正案と、偽造旅券の授受や所持を罰する規定などを盛り込んだ入管難民法改正案を閣議決定した。今国会での成立を目指す。
 国際組織犯罪防止条約に付属する人身取引議定書などを批准するための国内法整備の一環。売春や強制労働など人身取引をめぐる日本の対応の遅れが国際的な批判にさらされてきたことから、対策に乗り出す。

 これだけ読めば、それほど難しい話ではない。人身売買はよくないよね、国際間で協力しないとね、ということだ。ただ、この話の背景には外国人の人身売買が野放しになている日本の現状に対して国際的な圧力がある、というふうに読める。この話は以前も書いたが、日本という国は欧米などからはそう見られているようだ。
 で、これに風営法改正が関連する。産経新聞記事"人身売買防止へ罰則強化 風営法改正、就労資格確認を義務付け"(参照)を引用する。

 人身売買の温床となっている性風俗店での不法就労を防止するため、業者に就労資格の確認を義務付け、無届け業者の罰則強化を盛り込んだ風俗営業適正化法(風営法)改正案が二十五日、閣議決定された。人身売買で来日した女性はほとんど資格がないため店で働かせることができなくなる。
 改正案は、風俗店や飲食店が外国人女性を従業員として雇う際、ビザでの就労資格確認を義務付け、違反すれば百万円以下の罰金を科すほか、刑法に新設される「人身売買罪」で摘発された業者を刑の終了後五年間、風俗営業の欠格とする。

 この話もそれほど難しいわけでもない。「人身売買で来日した女性」(この表現もすごいものがあるが)は資格の有無によってフィルターできるというのだが、それも普通に考えると当然でしょとも思える。
 よくわかんないのは、実態だ。
 話が少し飛ぶようだが、先日17日付けの朝日新聞記事"女性来日、比大使館が仲介業から預託金 是正要請"(参照)で、興行ビザで来日するフィリピン人女性に興行仕事を斡旋する業者に対し、フィリピン大使館が手数料や預託金を徴収しているということが問題になった。

 外務省によると、同大使館は業者の登録制をとっており、登録には2万ドル(約200万円)を「預託金」として納めなければならないとされていた。同大使館は外務省に対し、給料未払いなどの時に女性への補償に充てると説明していた。
 また、登録業者が女性を日本に呼ぶ場合、「認証費用」などの名目で1人当たり7350円の手数料を大使館に支払っていた。03年の来日者数の8万人から単純計算すれば、大使館の手数料収入は6億円近くに上ることになる。
 国際法では「行政面の公権力は他国の主権にかかわるため海外では行使できない」が原則。外務省は、フィリピン大使館が国内業者から預託金・手数料を徴収していることは、この公権力行使にあたると判断した。

 これもこれだけ読んでいるなら、そりゃそうでしょなのだが、この問題は記事からもわかるようにこれまで外務省は黙認していた。それがここにきて強行した理由は、先の、人身売買対策に関係するというのだ。

 日本は昨年6月、米国務省から人身売買の防止などへの対応が不十分な「監視対象国」と指定された。その理由の一つが、興行ビザで来日するフィリピン人ホステス問題への取り組みの不十分さだった。すでに日本政府は興行ビザの発給基準の厳格化を決めているが、今回、外務省がフィリピン大使館への是正要請という措置を取る方針を固めたのも、人身売買対策に前向きの姿勢をアピールする狙いがある。
 外務省によると、問題となったのはフィリピン人女性が「歌手」や「ダンサー」として来日するケース。日本政府はフィリピン政府発行の「芸能人認定証」に基づいて興行ビザを発給し、来日を認めている。

 回りくどく大人語で書かれているが、ぶっちゃけ、おっと、ここでぶっちゃけるとろくでもないが、ま、大人なら察してくれ、ということらしい。
 この事態にフィリピン政府はかんかんに怒っているらしいが、確かにこうした上納金の制度はまずいとしても、ようするにこれはフィリピン人労働者の排除なのだから、怒りも当然ではないかとも思う。
 ここで、私はよくわからないのだが、無資格者の労働者を排除するというなら、「芸能人認定証」があればそれを資格とみなしていいのではないか。だめ?
 19日付朝日新聞社説"興行ビザ――やっと動いた外務省"では、このあたりをこう言ってのけている。

 批判を受けて、政府は人身売買を防ぐための議定書の批准手続きを急いでいる。乱発気味の興行ビザについても、「人身売買に悪用されかねない」として発給の基準を厳しくすることを決めた。

 私はナイーブすぎるのかもしれないが、人身売買と興行ビザにはなんの関係もないと思うし、朝日新聞のこの誘導的な書き方も変だと思う。
 さて、実態はどうなっているのだろうと、といって紅灯の巷を彷徨う金も気力もないのでネットなんぞをピーピングするだけなのだが、CASA ROSSA"現場のデカは知っている"(参照)が興味深かった。

実際どういうことになっていくのか?
一番怖いのは、北海道のように警察が、「資格外活動」で活発に動き出せば、現在の形態の店舗は全滅してしまうだろう。入管と警察の温度差、各都道府県警間の温度差がどの程度に出てくるのか?

今回の興行査証を絡んだPP問題、今のところフィクサーは誰も手を上げたがらない様だ、全く落としどころが無い状況なのか?とりあえず「落として」、時間経過で法改正へ持っていくなど、手はいろいろあると思うのだが・・・・。


 よくわからないが、この問題は今後「入管と警察の温度差、各都道府県警間の温度差」に出てくるのか、というのはなるほどなと思う。地方ニュースとかワッチしておこう。
 他にも同ブログで興味深い話があったのだが、"人身売買罪の新設で、ほくそえむヤクザ"(参照)には考えさせられた。

今、米国務省が指摘する 《日本の組織犯罪集団(ヤクザ)》 が大忙し。

人身売買罪の新設で、笑いが止まらないらしい、もっとも当局は彼らと米国務省のために人身売買罪の新設を急いだわけだから当たりまえかもしれない。

特にシノギが無くきつい犯罪集団には、新しいビジネスがたくさん生れてくるこの外人ビジネスはうまみがある。

シノギは、昔はシャブやチャカ ・・・ 今は、外人ビジネス ・・・ というわけ、さらに人身売買罪がビジネスに拍車をかけてくれた。

『稼ぐだけ稼いで、帰国したくなったら 「私、人身売買の被害者です」 と話して、帰国経費も国費で帰れる。ブラックにもならないですむ、今帰国したらもう日本へはこれないよ!』 式の勧誘が続いている。


 率直に言って、私はこの手の世界について無知すぎて実態をどう捕らえていいのかわからない。が、私が知っていることもある。入管難民法改正案では、従来ならただちに強制送還となった人身売買の対象者を、日本国は一時的な滞在を含めて保護しなくてはならないということだが、どこに保護するのか? 婦人相談所らしい。そこは受け入れた体制はできているか? そうでもないらしい。また保護の期間もよくわからない。1か月程度で強制送還ということらしい。
 入管難民法が改正されても実質は従来どおりということ、じゃないのか。

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2005.02.25

[書評]サーノ博士のヒーリング・バックペイン(ジョン・サーノ)

 現在発売中のTarzanが腰痛・肩こりを特集していた。へー、Tarzanがこの特集ですかと冷やかしに立ち読みでぱらっとめくりつつ、微笑みながら、あれ、PNFが載ってらとちょっと驚いたので買うことにした。とはいえ、PNFやその関連についてはこのエントリでは触れない。でもそういえば、と、標題の本のことを思い出した。ネタにしようとして、していなかった。

cover
サーノ博士の
ヒーリング・
バックペイン
 この本は、日本版の副題に「腰痛・肩こりの原因と治療」とあるように、とりあえず腰痛について書かれた本だと言っていい。米国では"Healing Back Pain(腰痛治療)"として1991年に出版され、話題となった。というのもこれを読んだだけで腰痛が完治したという人が多数出現したからである。ちょっと宗教みたいな状況だった。
 と、書きながら、少しためらうのは、そう書くことでいかがわしい本であるかのような印象を与えるのではないかということだ。実は、この本をどう伝えるかということが非常に難しい。つい尻込みしてしまう。
 本の帯には「腰痛、肩こり、関節痛患者が最後に読む本 投薬、手術、物理療法によらない画期的治療プログラム」とあるが、本書を読めばそれがある程度よく練られているもののアオリだとわかるだろう。「プログラム」というのは違う。本書でサーノ博士はこう明言している。

 断っておくが、本書に書かれているのは、背腰痛の「新しい治療法」ではない。TMSはこれまでなかった「新しい疾患概念」である。となれば、その「疾患概念」に合った方法で治療しなくてはならない。

 正確に言えば、本書は、腰痛や肩こりの治療法ではなく、サーノ博士がTMSと呼ぶ疾患、緊張性筋炎症症候群(Tension Myositis Syndrome)について本だ。なんとなく、TMJ(temporomandibular joint Syndrome)に似ているが、こちらは医学的に広く認められた疾患であるの対して、TMSについては、現代医学からは、どちらかというトンデモの部類になっている。というのは、TMSは、ある意味、腰痛の原因は心だというふうに受け止められているせいでもある。確かに広義には心因性ということになる。
 しかし、本書を直に読むとわかるが、TMSはかなりきちんと医学的に整理され、限定された概念であり、現象面では筋肉の部分的な機能原因による酸欠状態を指している。その酸欠状態は、人間のなんらかの神経系の指示によって、ある利得のために発生しているのだろうも、としているがそれはある意味で推測として区別されている。
cover
腰痛放浪記
椅子がこわい
 TMSにはそうした現象の考察と原因についての考察の二面があり、むしろ、サーノ博士が本書を著したのは、原因がある種の心因であることの一つの社会的な説得なのかもしれない。
 ただ端的に言って、腰痛のある人に向かって、「それって心の問題ですよ」と言っても通じない。いや、通じないことにサーノ博士の内省の部分の呼応があるので、その意味では、日本版の帯にあるように、腰痛治療にすべて諦めた状態になってから読むのがいいのかもしれない。また、そのあたりのことは夏樹静子の「腰痛放浪記 椅子がこわい」が参考になる。こうした問題の機微をこの本はよく描いている。ある意味でホラーとも言えるほどだ。夏樹はその後、サーノ博士の本を訳した長谷川淳史の「腰痛は<怒り>である」なども推薦しているので、心因について深く思うところはあるのだろう。が、そこはそれほど表層的な理解でもない。
cover
腰痛は
<怒り>である
 ところで、こちらの「腰痛は<怒り>である」だが、私はこちらも読んだのだが、取りあえずサーノ博士の本をわかりやすくアレンジしたともいえる。ちなみに、アマゾンでのサーノ博士の本の評価であまりに絶賛が多いのも、どうやら長谷川の影響のようでもあるようだ。それはそれで実際的なTMS理論の普及でもあるのだろう。ただ、私は、両者、つまり、サーノ博士の理論と長谷川の理解には大きな違いがあるようにも思う。が、非難の意図はないので、それ以上は述べない。
 ブログでもあるので私と腰痛の話も少し書いておく。高橋源一郎よろしく私も30歳を少し過ぎた頃、ぎっくり腰というのをやった。朝起きたら、毛虫になっていたというくらいの変容だった。いや、朝起きたらではない、起きられないのだ。腰から全身に激痛が走った。知り合いに石坂宗哲(参照)の系譜を引く闇鍼を打つものがいて、応急処置をしたものの、へっぴり腰とはこのことかと思った。まわりの者というか、やや年長者から「そうなんだよ、30歳過ぎにくるんだよ」「治らないないよぉ~」「いや、おまえも腰痛持ちか、童貞でよかったな、※EXは難儀だぞ」と祝福していただいた。るせーっ。
 幸い、呪いは解けた。最近では一年に一度は腰がちょっと痛いかなということがあるが、「かな?」程度ですむ。そういうこともあり、腰痛については随分考えさせられたし、いろいろ試みた。結果として一番効果があったのは……なにかの機会にふれるかもしれないが、こうした問題は人それぞれなので各人の工夫あるべしだろうし、大筋でサーノ博士の見解は正しく、心や生き方の問題も関連してはいる。
 現状、すべて良好かというとそうもいかない。昨年は、40肩かな、情けねーことになった。これは意図的な筋トレでかなり改善した。その後も、肩だの背筋だのはごちごちとしているが、ま、歳相応こんなものでしょという感じではある。

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2005.02.24

40%と低迷していた日本の食料自給率が70%まで改善したのでお目出度い

 ちょっと古いネタだがスルーするのもなんなのでという程度の話。標題のおふざけはご存じのとおり、食料自給率について従来カロリーベースだったのが、2月10日の食料・農業・農村政策審議会で晴れて金額ベースに改めることになったので、それでみると、日本の食糧自給率は70%になった、という話。というか、この話自体ふざけてんじゃねーのって思うが。
 基準を突然変えた理由は表向きにはいろいろある。簡単なところでは、野菜や果物などカロリーは低いが高価格で国産比率が高いものに焦点を当てたともいえる。また、カロリーベースだといつまでたっても先進国で最低レベルのままなので無意味ではないかという意見もあるようだ。
 が、ぶっちゃけ、これまで、カロリーベースで40%だ、先進国で最低レベルだ、とかぬかしていたのは、なんらかの危機感を煽るための詐術だったわけで、その詐術支持勢力と今回の変更勢力との間に芳しい政治的な抗争があったのではないか。ま、このあたりは突っ込めそうだが突っ込むとうんこまみれになりそうなのでやめとこ。
 とか言ってその近隣の話題かもしれないのだが、このルールちゃぶだい返しの2日前2月8日の"島村農林水産大臣記者会見"(参照)では、こんな話がある。なんか、ドリエル飲まなくても読んでてて心地よい睡眠に襲われる(てか、ドリエルは…)。


Q: 大臣、ちょっと話が変わりますけれども、新しい基本計画の中に盛り込む食料自給率の目標ですけれども、今まではカロリーベースで数値目標を立ててきましたが、今回から金額ベースの自給率も新たに設定するというような報道もありましたけれども、これについてはいかがお考えですか。
A: 型どおりの、まず回答から申し上げますと、(中略)。
 それで今、ご指摘のあったあれなんですが、これはまだ私達自身の中でもそういう動きを断片的に聞くことはあっても、やっぱり10日の企画部会以降に我々はどう対応するかということですから、あまり何かこういうような話が先行していろいろ出てしまうと、かえってやりにくくなるといけないので、私達なりのことではいろんな情報を得ていますけれども、まだ発表段階ではない。ただ、今ご指摘のあったそのカロリーベースだけではなくて、金額ベースの目標も設定するんじゃないかという話は聞いてないわけではありません。

 ととぼけている。が、ここでのQにある報道は、前日の7日の時点でNHKが"食料自給率に新指標を導入"を指しているのだろう。というわけで、既決事項のぼけぼけ感がいい空気を醸し出している。
 で、結局どうよ?なのだが、18日の朝日新聞"食料の新自給率目標、カロリー基準で45% 農水省"(参照)を見るとわかるように並記状態ではある。

 農水省は、15年度を達成年次とする新たな食料自給率目標を、カロリー(供給熱量)基準は45%、金額ベースは76%とする方針を固めた。与党などと調整し、3月に決める今後10年間の農政の指針「食料・農業・農村基本計画」に盛り込む。

 両方の基準が明確になって大変よろしい…じゃなくて、それって矛盾してんじゃないのとか思うが、実際上は、カロリーベースでの食料自給率というのは無視されたということなのだろう。それと、「15年度」って、はぁ?である。
 ところで、よく言われる日本の食糧自給率は最低という比較の元になる国際基準どうなのかとちょいと調べてみると、これは従来どおりカロリーが基準だ。じゃ、グローバルスタンダードでカロリーベースでいいのではとも思ったのだが、ところがちょっと調べたら昭和61年までは食糧自給率は金額ベースで算出していたわけだ。私なんぞにしてみると、え?みたいな感じである。さらに金額ベースが参考値になった(事実上隠蔽した)のは平成10年以降のこと。そういえば、食糧自給率が最低だとかいう議論が出てきたのは、最近のことだなと思い返す。
 余談めくが、毎日新聞記事"食料自給率目標:現行の10年度から5年間先送りへ"(参照)が気になった。

 自給率は60年度には79%あったが、その後は年々低下。最近は03年度まで6年連続で40%が続いている。与党内には「目標は高く」との声もあるが、有効な施策を講じなければ10年度には38%に低下するとの試算もあることから、農水省は「スローガン的目標は無意味」と判断した。

 60年度の79%というのは金額ベースで、昨今の40%というのはカロリーベースではないのか。この手の話は毎日新聞だけじゃなくて他でも見られるのだが(参照)。どうなのだろう。
 さて、総じて見ると、カロリーベースの統計がグローバルスタンダードであっても、そうした統計はすでに先進国では特に意味がないということなのだろうか。さらに現状では、途上国ですら、肥満の問題が起きている(もちろん、アフリカには飢餓の問題もある)。
 畜産物については、カロリーベースでは、畜産物自体の自給率に飼料の自給率を掛け合わせるのだという。上質な肉を作っても飼料を海外から輸入していると自給率は下がることになるのだが…はて、なんだかな、と。
 カロリーの自給率が大切という場合でも、日本の現状では無駄が多い。国民一人の一日当たりの総供給熱量は約2600キロカロリーだが、実際に食べた熱量は約2000キロ・カロリー(参照)。差、600キロカロリーは捨てているのだろう。
 ああ、もったいない。

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2005.02.23

負けたのか、ホリエモン

 フジテレビを含めフジサンケイグーループを事実上乗っ取るというホリエモンの大勝負だが、概ね、終わり。この点については、ホリエモンの負けのようだ。
 当事者とも言える産経新聞だから共同をべたに引っ張っているのか、22日19時の"ニッポン放送株、フジが30%超を確保へ"(参照)では、ご覧のとおり30%の数字が浮いて出た。


フジテレビジョンが実施しているニッポン放送株の公開買い付け(TOB)について、目標に設定している発行済み株式の25%を超え、議決権ベースで30%超を確保できる見通しになったことが22日、分かった。フジサンケイグループや親密な金融機関などがTOBに応じる構えを示したため。

 フジ側としては25%が死守できれば、取り敢えず勝ちのラインだから、それを楽勝に越え、しかも、同記事に言う「株主総会で新株発行や合併などの重要事項に拒否権を持つことができる33%」のラインも目指せるかということだが、23日1時の"「25%超は間違いない」 フジ会長、目標達成へ自信"(参照)ではややトーンが弱い。

 フジテレビジョンの日枝久会長は22日夜、記者団に対し、同社が進めているニッポン放送株の公開買い付け(TOB)について「25%超は間違いない」と述べ、TOBの取得目標である25%超について主要株主から同意を取り付けることへ自信を示した。

 ま、しかし、これは、余裕の表現と見ていいのだろう。当方の素人考えでも、メディアとしてのフジテレビは買えるかもしれないけど、産経新聞は無理なんじゃないかという印象は持っていた。産経新聞がホリエモンの狙い目と読むスジもあったが、私はそれは無理なんじゃないかと思ったのは、至極単純で、産経新聞にまで手を伸ばされることにはかなり御不快な御老人が多いだろうし、彼らは最終局面で動くのではないか、というか、もともと今回の事件の発端は日本放送がフジテレビを持つという古い時代の名残が原因であり、それゆえ古層は古層なりの動きをするのではないかとも思ったからだ。事態がそういうことなのかは真相はわからないがいずれにせよ産経新聞は守られた。しかし、それが結果的にどうよという問題は残る。が、それはまた別の話題だろう。
 今回の勝負、銭の世界の玄人筋には世間とは別につまらぬ勝負と見えていたのかもしれない。私としては、ホリエモンはそうしたことを承知でやったのか、ただのアマチュアリズムでやったのか、その奇妙なアマルガムだったのか、さて、どんなだろう。いずれ銭の世界は銭の世界の論理でカタが付くとして、むしろ、アマチュアリズム的な爆走に関心を持った。王様は裸だと言うのは愉快じゃないかと。
 だが、率直に勝ち目というのがあるのかもしれないとも思っていた。そう思ったのは彼の将棋の比喩からだ。ネットに残っているニュースとしては"堀江社長「将棋でいえば詰んでいる」"(参照)があったのでひいておく。

 ライブドアによるニッポン放送株取得問題で、ライブドア堀江貴文社長(32)が11日、「将棋でいえば詰んでいる。穴熊やっててもしょうがない」と語った。ニッポン放送の子会社化を目指し株式公開買い付け(TOB)を実施しているフジテレビが「最低取得株式の引き下げ」という“裏技”を使ったことを、将棋にたとえて皮肉った。フジの対応については「気にしていない。予想の範囲」とした。

 「穴熊」というのはいい表現だなと思った。現代の将棋で穴熊がどう評価されているかわからないが、これはヘボ将棋にはほとんど禁じ手だ。折角のへぼ勝負の醍醐味がなくなってしまう。ただの時間稼ぎ将棋だかパソコン相手の詰め将棋で手をとちっているのかわからなくなる。ホリエモンがそう事態を認識しているなら、なにか目あるのかもしれないとこの12日の時点で思った。もう少し引用する。

 今回の問題について既に「詰んでいる」と豪語。企業防衛に走るフジを、将棋の「穴熊」にたとえて皮肉った。一方でフジの25%取得が実現すれば、ニッポン放送の株主上位10社の持ち株比率が75%超になり、上場廃止に追い込まれる可能性もある。
 堀江氏「上場廃止になろうが、1年間の猶予があるので我々の持ち分が棄損することはない」。
 エコノミストの紺谷典子氏は「常識的に上場廃止となれば株価の値下がりは避けられず、株主にダメージは及ぶ。持ち分が棄損しないというのは強がりにも聞こえる」とも指摘する。

 この記事に限らず、この時点ではホリエモンはフジの25%の取得を難しいと踏んでいたと読んでいたようだ。が、当のホリエモンはそれを予想の範囲だと言っているのに。
 ここで私はまた率直にホリエモンの言葉を聞いてみる。こういうことではないか……ちゃんと言っているのに通じないやつらだよなぁ。既存メディアっていうのはこれだからだめなんだよな。ちゃんと言っているのに、変な読みばかりしてボクの言うこと聞かないじゃないか……と。
 しかし、世間的には今週開け、村上ファンドが日本放送の保有株をすでに売却したという話が出たあたり(参照)で勝負ありとはなった。これでホリエモンは日本放送の株50%以上の取得は無理だろう。世間的には終わった話となった。
 さて、ホリエモンどんな泣き言を言うのだろうと、"livedoor 堀江社長所信表明"(参照・会員のみ)を聞いてみた。負け惜しみと聞こえないこともないのだが、面白かった。率直に言って、私は腰を抜かしそうになるほど驚いたのだが、すごい素人くさいのだ。わざとそうやっているのかと疑ったが、ホリエモンとしては、どうです、ニュースがこんなに簡単にできるんですよ、ということの実証のつもりのようなのだ。すごいなと思った。ニュース報道やテレビというものを舐めきっているこの壮大なアマチュアリズムに感激してしまった。
 同じ感覚で、ホリエモンはテレビの広告が事実上独占的になっているのおかしいんじゃないのと思っているのだ。広告の現場を知らないというか、頭がいいのか、単なるアマチュアリズムなのかだが、アマチュアリズムなのでしょう。
 一昨日の彼の社長日記も面白かった(参照)。ここにも泣き言はない。

しっかし、今の日本って株主の権利が激しくないがしろにされているなあ、と感じる。なんで命の次に大事なお金を投資しているのに、会う必要がないなどとふざけたことがいえるんだろうか。失礼にもほどがある。株主が投資した資本金がなければ会社はスタートできない。そのことを日本の多くの経営者は忘れてしまっているのではないか?自分たちの力だけで会社が運営できているとでも思っているのだろうか。

 自社株をあれだけ下げるトリックに参加してよく言うよというか株主は激怒するのだろうが、傍からみていると、おもろいやっちゃで、ということになる。
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経営に
終わりはない
 今朝の毎日新社説"ライブドア問題 公正でオープンな視点が必要"(参照)で毎日新聞は爺ぃ代表でなにかと小言を言っているが、雷のち晴れ、雨降って地固まる、彼の大暴れで市場改革のきっかけにはなる。
 たまたまネットを見ていたら、"堀江貴文 株式会社ライブドア代表取締役社長 兼 最高経営責任者/社長対談~デキる男社長に会いに行く"(参照)という記事があって、内容はどってことないのだが、そこにホリエモン社長の格言があった。なんだと思う? 「諸行無常」だそうだ。すごいな。ホンダ創業藤沢武夫の「万物流転」に通じるものがあるな…な、わけはない。

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2005.02.22

なにかと兵力が足りない話

 散漫な話になるが、世界情勢の基本部分のシフトで気になることがあるので書いておきたい。なにかと兵力が足りないという話でもあるのだが、ちょっとこみ入っている。
 枕としてはトーゴの問題から。日本国内ではそれほど話題にならなかったようだし、たしかにそれほど話題にするほどでもないのだが、2月5日、西アフリカ、トーゴのニャシンベ・エヤデマ大統領が心臓発作で死去した。69歳なので異常な出来事ではない。むしろ在職38年を迎えていたというほうが異常に見える。大統領というのだから選出されたかというと、これもありがちなクーデター政権による独裁。それでも憲法があり大統領交代選挙規定もあるだが、この機にシカトして軍指名で息子のフォレ・ニャシンベが大統領なった。ついでに憲法のほうを改正した。お笑いみたいな国である。「また、アフリカか」ということだし、宗主国フランスも直接介入するわけでもなさそうなで、ほっとけとなるかと思いきや、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)とアフリカ連合(AU)も歩調を合わせて圧力をかけ、フォレ・ニャシンベ辞任という圧力が強まってきている。つまり、アフリカ内部でこの問題の見通しが立つというめでたい展開になりそうだ。むしろ、そっちのほうが事件という印象すらうける。この点で、ワシントンポスト"Africa's 'Huge Blot'"(参照)が指摘するように、南アフリカとナイジェリアの労も評価できるだろう。


The continent's two powerhouses, South Africa and Nigeria, are both democratic and are trying to spread democratic values across the continent. According to Freedom House, 32 African countries are free or partly free; 16 are classified as unfree. The South Africans and Nigerians scored a victory recently by leading a continent-wide denunciation of an undemocratic succession in the West African state of Togo. Their firmness is having an effect: Togo's regime has promised an election within 60 days, as called for in its constitution.

 ワシントンポストのこの記事は、しかし、トーゴについて論じているのではなく、ジンバブエ、そのムベキ大統領に焦点が置かれている。たしかにそちらのほうがやっかない問題であり、アフリカがどう取り組んでいけるのかが気になる。
 話をスーダンにシフトする。日本国内では自衛隊のスーダン派遣があまり問題になっていないように見えるのも不思議なのだが、イラク派遣がただの米国への尻尾振りだったのは違い、こちらはほんとに手(兵)が足りないということではあるのだろう。ダルフール危機について朝日新聞社説などは、AUの取り組みに期待したが兵力が足りず難しかったなどとバックレているが、AUは兵力不足で実際的にはアフリカの各種の危機に対応できない。
 こうしたなかで、昨年度世界ワースト独裁者の栄誉に輝いたスーダンのバシール大統領は、スーダン問題はAUだけの関与にせよとほざいている。笑止なのは、これを中国が事実上後押ししていることだ。というのは、China Radio Internationalの動向なのでもわかる。むかつく例をあげておく。まず"アフリカ諸国指導者、ダルフールへAU以外の軍隊を派遣しないよう呼びかけ(2.17)"(参照)。

 スーダンのバシール大統領を含むアフリカ諸国の指導者は16日声明を発表し、アフリカ諸国がダルフール地区の和平を推し進めるために払った努力が失敗しないようにするため、国際社会はダルフール地区へAU・アフリカ連合以外の平和維持部隊を派遣せず、またスーダンを制裁しないよう、呼びかけました。

 さらにお笑い。"ムバラク大統領とカダフィ大佐、AUの枠組み内でのダルフール危機解決を支持(2.18)"(参照)。

 エジプトのムバラク大統領は、17日カイロで訪れたリビアの指導者カダフィ大佐と会談を行いました。双方は共にAU・アフリカ連合の枠組み内でダルフール危機を解決することを支持し、この問題の国際化に反対する」と表明しました。

 ふざけた笑話を中国が撒いているのも、アメリカが動かないと踏んでことで、現状ではアメリカには動きの動向はアフリカ問題には見られない。いろいろ憶測があるのだが、一番のポイントはやはり手(兵)が足りないということだろう。
 先の大統領選で民主党はブッシュが再選されれば徴兵制が復活するぞとデマを飛ばしまくったが、この問題が難しい。
 兵が足りないからといっても、現代の軍事では徴兵制の素人は役に立たない。むしろ、プロフェッショナルが必要になるのだが、そうした人材が民間に移動するために米軍が細る結果になっている。そして、イラク戦争ではその民間、つまり事実上の傭兵を投入したのだが、結果は、あまり芳しくない。テロとの戦いというのは空言ではあるが、都市部の治安という点では、傭兵の軍はあまり機能できないということなのだろうか。
 こうしたなか21日付のワシントンポスト"Army Having Difficulty Meeting Goals In Recruiting"(参照)で、やがて軍志願が減るよという話が出てきている。これにどういう裏があるのか、どう流れていくのかわからない。が、気にはなる。
 日本ではあまり報道されないが、イラク戦争では、米国市民権が優遇されるこということで移民の志願兵が多く、戦死後に名誉の市民権を与えるというようなこともやっている。ひどい言い方になるが、米国というのは貧富の差とか、移民とかをある程度じゃぶじゃぶさせておくと、こうした時のためのメリットになる。もちろん、そうしたことで底辺の人間も命を張れば教育の機会が与えられるということでもあるのだろう。

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2005.02.21

尻割れならぬ札割れ的世界

 ふざけたタイトルにしたが、話は量的緩和政策と実質的な増税論のことだ。が、さして私が詳しいわけでもないので、簡単に雑記しておくだけのことになる。
 話のきっかけは、この手の話題の毎度毎度の毎日新聞社説"量的緩和策 金融政策は自然体が一番だ"(参照)である。毎日新聞の経済担当というか財務省の一部なのかが言いたいのかのは、量的緩和政策の出口論である。


 景気の先行きについては、強気論もあれば弱気論もある。だが、いずれにしても30兆~35兆円を日銀に積んでおくべき合理的な理由は見当たらない。すでに日銀内でも論議されているようだが、4月のペイオフ凍結解除をひとつの区切りに、量的緩和の出口を模索するのがよいだろう。
 この先には消費税増税問題などが控えている。待てば金融政策の正常化が容易になるというものではないのである。

 一読、わっははなのだが、こうしたことが国内世論にならないように、先日OECD対日経済審査報告が出ていたことについては、極東ブログ「OECD対日経済審査報告と毎日新聞社説でちと考えた」(参照)で触れた。
 たまたま典型的なので毎日新聞の社説を取り上げたのだが、この議論がまたぞろ出てきたのは、やはり昨今の札割れである。

 しかし、日銀の資金供給が予定額に達しない「札割れ」がしきりに起き、30兆円以上の残高維持が難しくなっている。景気が回復し金融不安も遠のいたため、市中銀行も巨額の資金を日銀に積んでおく必要性を感じなくなった。日銀の政策委員の間から、当座預金残高の引き下げ論が出てきたのは当然である。また、目標は引き下げないまでも、一時的に30兆円を割り込むのは容認しようという意見もある。これまた、当たり前のことではないか。

 私もこれはなんだろうと思った。毎日新聞が意図的にミスリードしているのか周到にミスリードしているのかわからないのだが、単純に受け止めると、札割れ(参照)しているのだから、日銀の言葉を借りれば、「資金供給オペレーションで札割れが起こっているということは、金融機関に十分な資金が既に行き渡っているため、金融機関がオペレーションに全額は応じようとしなくなるほど、日本銀行が豊富に資金供給を行っていることを意味します」ということで、ふーん、リフレ政策も終わりか、ふーん、リフレ政策なんてたいしたもんじゃないな…なんて言おうものなら総叩きになるくらいの空気は読めるのだが、さて、いわゆるところのリフレ派はこの札割れをどう見ているのか…と気にはなった。もっとも、現状の課題としてはOECD対日経済審査報告が示すとおりなので、別に政策転換の必要性はないのだが、ま、言い方まずいと反リフレ派みたいく思われるのもなんだしな、と。
 で、これがよくわからない。まず、昨年の非不胎化介入は効果があったでしょみたいな意見もあるようだが、ま、それについては、当時極東ブログ「グリーンスパンは日本の円介入をリフレと見ていた」(参照)で触れていたとおり。専門筋はあたりまえでしょということなのだが、この時点で私なんぞがこれを明確に言うのは、けっこうきつかったなと思い起こす。
 それはそれとして、その後はどうよ、と。そこがはっきりしない。リフレ派的にみるとどうなのか、と愚問を抱き続けていたのだが、bewaad institute"[economy][BOJ]日銀券残高と長期国債保有額との関係等"(参照)で取り上げていただいた(謝々)。

単なる量的緩和では無意味で、将来においてもそれをきちんと継続し、足りなければさらなる緩和をするというコミットメントが重要だと考えています。日銀の量的緩和は、前者はまあある程度満たしていますが、後者がまるで欠けているので、リフレ派から見ると不徹底で不十分なものだと映ります。

 この文脈にテクニカルな説明が続くのだが、とりあえず上記の部分でいうと、やはりOECD対日経済審査報告と同様でまず常識的な見解にはなる。
 ただ、それでも札割れといわゆるリフレ政策の具体的な提言みたいなのは見えないなと思ってはいたのだが、そもそも、今回の札割れという事態もわからない。当然、当方の知識が足りないせいもあるのだろうが、この点は、マーケットの馬車馬(参照)で取り上げていただいた(謝々)。3回シリーズになっている。

  1. 札割れのお話(1) 日銀当座預金というキノコの苗床
  2. 札割れのお話(2) 札割れのメカニズム
  3. 札割れのお話(3) 傾向と対策

 これが非常に興味深い内容で、特に私などには次のように指摘してもらえるだけで、ああ、そうかと思う。

だが、この説明で最近の札割れを理解しようとするのは無理がありすぎる。マネーマーケットにキャッシュが溢れているのは今に始まった話ではない。2年前から当座預金残高は30兆円を超えていたのだから。一方で札割れが頻発し始めたのは昨年の10月くらいからだ。

 内容を端的にまとめる能力が私にはないが、特に、「札割れのお話(3)」での具体的な提言は今後の予想の部分が含まれているので、そのあたりを指針に今後の動向を見ていこうかと思う。
 話を毎日新聞社説に戻すのだが、読みながら、先日のフィナンシャルタイムズ"Japan's recession"(参照)を思い出していた。あたかも、こうした議論が日本で沸き起こるのを想定していたかのタイミングだったからだ。
 フィナンシャルタイムズの経済見通しなんて毎度外すじゃんという意見もあるのだろうが、まず同紙は標題が暗示するように日本はまだまだ不況だよと見ている。内容を読むとフィナンシャルタイムズらしい慎重な物言いなのだが、いずれにせよ、欧米からは日本がそう見えるという例証にはなる。

The bare statistics published yesterday about the world's second-largest economy make grim reading. Not only did Japanese gross domestic product shrink in the three months to December, it also declined - according to revised figures - in the previous two quarters. Three consecutive quarters of negative growth are more than enough to count as a recession. On the face of it, Japan's recovery of the past three years has come to a juddering halt.

 フィナンシャルタイムズはかくどよ~としたトーンで切り出すのだが、国内では奇妙なラッパが鳴り響いていた。日銀が大丈夫と言ったからでもあるのだろう。そのあたりの記事として"(2/17)日銀総裁「春以降、再び成長軌道に」・設備投資拡大続く"(参照)がある。

 日銀の福井俊彦総裁は17日の記者会見で、景気の現状について「好調な企業収益を背景に設備投資は増加を続けており、景気回復の基本的なメカニズムは維持されている」と強調した。日本経済は昨年10―12月期にマイナス成長となったが、情報技術(IT)産業の在庫調整が終わる春以降、再び成長軌道に乗るとの見解を改めて示した。

 この点についても実際的には「春以降」を見ていけばいいのではあるだろう。ただ、実は、フィナンシャルタイムズはこの日銀アナウンスを受けての記事だった。

Yesterday, the Bank of Japan, which has been consistently over-optimistic about economic growth, began a two-day meeting at which it had been expected to discuss a possible tightening of the ultra-loose monetary policy that has kept interest rates at zero. Meanwhile, the tax bureau, which remains disconcertingly independent of political control, is still considering the kind of tax increases that would throttle another recovery at birth.

 かくフィナンシャルタイムズでは、量的緩和政策についてはすでに今朝の毎日新聞的な議論は外されているが、増税の効果を懸念している。

Neither of these ideas is wrong in principle. Interest rates and taxes will both have to rise eventually as Japan emerges from deflation and recession and begins to tackle the problem of budget deficits and high public debt. But the timing is all-important. With the economy in a recessionary trough, the time is not now.

 フィナンシャルタイムズとしては、日本が増税へシフトする施策の議論は可能だろうとしているし、その必要性をも理解はしているが、とにかくタイミングが重要だとしている。確かにタイミングなのだろうと私も思う。
 先日、京都議定書関連の話をしつこく3つも書いたが(参照参照参照)、環境問題の実際的な施策は経済とのバランスが必要になる。まじでもう不況はやめにしてもらいたい。
 と、以上、毎日新聞社説をくさしたようになったが、次の視点は重要だと思う。

 半面、年金システムはずたずたになり、預金者の金利は銀行に吸い取られ、財政規律は緩んでしまった。国債市場はバブル状況であり、副作用も無視できないレベルとなった。

 経済通には失笑されるのだろうが、この間、銀行は、生活者の金利を吸い上げていただけではないかという思いはぬぐい去れない。

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2005.02.20

2プラス2で何が起きていたのか

 まったく予想していない展開でもなかったのだが、日米安全保障協議委員会(2プラス2)を取り巻く動向にちょっとふいを突かれた感はある。私の読みが外している可能性も高いのだが、国内報道が中国への利害関係から総へたれ状況になりそうなので、簡単にまとめておきたい。なお共同文書"Joint Statement of the U.S.-Japan Security Consultative Committee"そのものはすでに公開されているが(参照)、外交文書なので読みづらい。
 話題に入る前に、国内報道の見取り図を書いておきたい。あまり単純に言うのもなんだが、国内の報道はこんな配置に見える。朝日新聞は中国内の特定派の代理店化している。すらっと読んでいるとムっとくるのだが、逆に割り切ってしまえば、中国の手の内が見えるインフォとなってありがたい。日本経済新聞は中国にへつらっているせいか曖昧な報道しかしていない。が、逆に事実関係の大筋だけはくっきりしている。読売新聞は端からこの手のインテリジェンスはない。使えない。産経新聞は最近の傾向としては古森御大などが出てくるのはなぜか遅れるきらいがある。古森御大以外にもよい記者がいるのだが、その動向は鈍い。本社側の揺れがあるのかもしれない。主に地方紙に配信している共同は、情報の分析能力がないのか単に英語力の不足なのか朝日新聞のようにイデオロギー的な変更なのか、あらぬ方向に爆走している(昔からそうだが)。最近の奇怪な例は、"中国の主張正当と米専門家 沖ノ鳥島問題で米紙"(参照)の誤報だ。反MSM"マス・メディアが報じないアメリカ"(参照)に訳があるので読み比べてみると、共同の爆走ぐあいがわかる。
 話に入る。意外に使えるのが毎日新聞の外信だ。"日米安保協議:共通戦略目標は朝鮮半島と台湾海峡の安定"(参照)が詳しい。共同文書でもそうだし国内報道でも朝鮮半島が重視される。確かに、その側面はある。この点については、すでに金正日後が射程に入っている。が、問題は、中国である。


 共同発表文に盛り込まれる「朝鮮半島の平和的統一」への支持は、北朝鮮の金正日(キムジョンイル)体制の崩壊を視野に入れたとみられ、北朝鮮への影響力が大きい中国に対しても「責任ある建設的役割」を期待する内容になる。

 軍隊の再編成と自衛隊、特に沖縄問題の動向は別に稿を起こしたい。ただ、グリンピースの爆走が気がかりではある。
 問題の目は、表向き中台関係にある。つまり、日米の軍事文書に明確に台湾海峡への警戒感が盛り込まれた。

日米両政府の共同発表文書に台湾海峡への警戒感が盛り込まれるのは初めて。米国としては、日米共同対処をちらつかせて中国をけん制するとともに、台湾側にも自制を求める思惑がある。

 毎日新聞の外信もしかたがないのかもしれないが、この問題の台風の目については、ワシントンポストとAPを引くだけになっている。余談めくが、こうした点では、すでにブログと新聞社の外信は同じ土俵にいる。

 「2プラス2」協議を翌日に控えた18日付の米紙ワシントン・ポストは「日本が米国の台湾政策に参加」との記事を1面に掲載。「日本は中国との争いを回避する傾向にあったが、北朝鮮の脅威と中国の台頭への懸念が刺激となって約60年間の平和主義を転換しようとしている」と報じた。さらにAP通信は「日米は安保条約改定を議論し、中台の緊張を初めてアジアの発火点と確認する」とまで報道。米国務省のバウチャー報道官は「改定などしない」と即座に否定したが、米国での中台問題への関心の高さを示す動きだった。

 何が台風の目かというと、このワシントンポストの報道であり、これは要するに、日米安保が事実上終わったということを意味している。もちろん、表向きは、それを否定しているし、日本国内のへたれ報道の多くは勧進帳に決め込んでいる。
 当のワシントンポストの記事は"Japan to Join U.S. Policy on Taiwan"(参照)である。これを詳しく解説すべきなのだが、大筋では変わらないので先に進める。
 ワシントンポストに遅れてニューヨークタイムズでも重要な関連の記事が出た。"Japan Said to Support U.S. on Security of Taiwan"(参照)である。ある意味で、こちらの記事のほうがワシントンポストより重要かもしれない。標題を見ればわかるが、意訳すれば「日本は、台湾防衛において米国軍を支援すると明言した」ということだ。意訳しすぎのきらいはあるかもしれないが、そういう内容であり、ようするに従来の日米安保の終わりを実質意味する新しい軍事同盟の発足でもある。
 より大衆的なCNNは、ある意味、より明快に、対中国の側面を強調している。記事としては"U.S., Japan to address China's growing military"(参照)が参考になる。米国はかねてより中国の軍拡に警告を出していたが、今回のポイントは日本にある。類似報道はGoogleをひけば英文で山ほど出てくるのだが、日本国内の報道はあまりないように見受けられる。この点については冒頭に触れた報道の見取り図の関係だろう。いずれにせよ、問題の核は台湾海峡の緊張ということでもあるのだが、それはあくまで中国にへたれて問題の軸足を台湾に置いているからであって、問題の本質は中国の軍拡にある。
 問題の全貌については、VOA"US Rules Out Expanding Mutual Security Treaty With Japan"(参照)がわかりやすい。大本営VOAだからなのか、標題は、ご覧のとおり、「日米安保の拡張・変更を米国側は否定した」ということになっている。が、当然、そこが問われているからなのだ。記事を読むとその機微がわかりやすく描かれている。
 まず、報道上のエポックである先のワシントンポストの記事のインパクトである。

Bush administration officials say the United States and Japan share concerns about the security of Taiwan, but that Washington and Tokyo will not be expanding the scope of their mutual security treaty. The comments came on the eve of the annual gathering of the U.S. Secretaries of State and Defense and their Japanese counterparts, the so-called "two-plus-two" meeting. It is normally a low-profile affair. But Saturday's meeting at the State Department is drawing heavy attention after a Washington Post report that the two countries will declare for the first time in a joint statement that Taiwan is a "mutual security concern."

 "mutual security concern"は軍事同盟の目的と理解していいだろう。そして、これは安保の変更(終了)でしょうと話の筋をつける。

Such an assertion would be a policy departure for Japan, which has been circumspect on the issue in the interest of preserving relations with China. The newspaper said the pending statement was the most significant alteration of the U.S.-Japanese security alliance since 1996.

 そして、外交マターでもあり、表向きは、安保問題の変更はないとしている。もっとも、バウチャー米国務省報道官がワシントンポストの記事内容を否定していない点も重要ではある。そこを延長した形で、次の発言が出てくる。

Mr. Boucher said the U.S. view of China's behavior is not entirely "rosy" and that it has frequently expressed concern about among other things its export of missile technology and Chinese military activity in the Taiwan Straits area.

 さて、ここからもう少し私の読みを踏み込んでみる。
 なぜ、米国は2プラス2とはいえ、あるいは2プラス2にこの問題を抜け出せないように日本を巻き込んだのか? 私は、まじで、中国の暴走が懸念されるからだろうと思う。
 来月三月開催予定の中国の第十期全国人民代表大会(全人代)の第十三次会議では、台湾独立を武力的に阻止することを正当化する「反国家分裂法(反分裂国家法)」が可決する可能性がある。この話は先に極東ブログ「春節限定、中台直行便」(参照)で少し触れたが、春節話題以外、二月に入ってからは国内ではあまり報道を見かけないが、わずかに中国情報"台湾:「反分裂国家法」阻止、各国で反対意見表明"(参照)に記事がある。ここでは、台湾内部の問題に主眼が置かれているが、ある意味、それこそが中国の目論見であるのだが、要は、そうした外交的な圧力の政策なのか、まじで軍事力が行使されるのか、という点だ。私は、基本的には前者とは見ていた。
 が、米国は、これをまじで中国が軍を動かして台湾攻勢をかける懸念を読み取ったのだろう。それが、今回の事態の一連の背景だろう。
 日本国内の知識人は反米派が多いせいか、また、私としても、台湾海峡の緊張は米国の軍産業の利益だろうと斜に構えているが、それでも歯止めが必要だ。マジで戦争になっては困る。しかも、中国という国は、先の中国原子力潜水艦による日本領海侵犯事件の動向を見ても、軍は常識では考えられないような変な行動をする。というか、中国という国は、内部の政争のメンツに血がのぼると外側に世界があることが見えなくなる。蘆溝橋事件のとき、蒋介石は日本軍との和解を狙っていたが、共産党の工作の結果、メンツの自縄自縛になってしまい、事態収拾の糸口を見失った。もっとも、戦前の日本軍も同様だが。
 まとめると、全人代で成立予定の反国家分裂法をできるだけ骨抜きにするというのが、米国が、今回、日本を巻き込んでの強面をしたということの意味ではないか。もちろん、ここで強面にしておかないと、中国は米本土を狙う原潜開発に爆走してしまう危険性もある。この点については、極東ブログ「中国は弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN-Type094)を完成していた」(参照)を参照してほしい。
 さて、さらにもう一歩踏み込んで考えてみたい。この先は陰謀論に近いので、冗談と聞かれてもいい。
 私は、今回の米国強面の裏には胡錦濤と米国の摺り合わせがあったのではないかと思う。中国原子力潜水艦による日本領海侵犯事件(参照)でもそうだが、どうも胡錦濤のコントロールが軍に浸透していない。
 なにが中国内部の抗争になっているのか。人民解放軍の若手のエリートというかテクノクラートはSARS騒動を見てもわかるが基本的に胡錦濤的に合理的な行動をする。人民解放軍が一枚板だとは思えないが、軍事を動かすから軍部という筋でもないかもしれない。中国のこうした騒動の定石は、まず名目の権力者を屠ることだから、胡錦濤を屠ることがメリットになる集団と反国家分裂法の影響を見ていけば、抗争の筋は見えるのではないだろうか。江沢民派みたいなものではないかなとも思う。また、日本のスポークスマンである朝日新聞がこの構図のどこにポジションしているかが興味深い。はっきりとはわからないが、朝日新聞のアナウンスがある派を代表しているだろう。
 最後に余談めくが、こうした孤立した中国権力者が米国に擦りつくというのは、実は、毛沢東や鄧小平と実に伝統的な陳腐な政策でもある。そう、毛沢東も鄧小平も親米派でありそれで権力を巻き返した。そしてその代償にいつも台湾を支払ってきたのである。

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