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2005.09.17

郵政民営化の十年後

 郵政民営化後の日本経済でそのカネの流れがどうなるかについて考察するには、現状では、平成十七年六月一日経済財政諮問会議に提出された「郵政民営化・政策金融改革による資金の流れの変化について」(参照・PDF)という資料が重要だろう。執筆者は、跡田直澄慶応大学教授との高橋洋一内閣府経済社会総合研究所員で、両氏とも竹中郵政民営化担当相ブレーンのメンバーでもあるといわれていることもあり、政府の見解にも近いはずだ。
 前提として明確にしておきたいのは、郵政民営化は、財政危機回避やデフレ克服が当面の目的ではなく、財投改革に端を発した入口改革であることだ。簡単に言えば、無駄遣い・天下りの根である特殊法人(財投機関)に流れ込むカネを徐々に減少させ、最終的に封じることである。だが、郵貯・簡保が、第二の国家予算ともいえるような不透明な国家運営の資金源になることを断つのが目的であるとしても、現実問題としては一朝一夕にそれを断つことはできない。ウォルフレンがTIME”The Play's the Thing”(参照)で指摘しているように世界経済にとっても危険なことにもなりえる(なお、彼は郵政民営化法案を誤解している面があるようにも思える)。
 日経済財政諮問会議の該当資料の推定によれば、郵政民営化の十年後、二〇一七年度に財投に流れるカネは、二〇〇三年度の二〇〇兆円から一〇兆円にまで減少するとのこと。十年をかけての緩慢な変化ではあるが目的は達せられることになる。
 「官から民へ」という全体については同資料が次のようにまとめている。


この改革によって、2003年度と2017年度の資金循環を比較すると、家計資産に占める公的金融のシェアは26%から5%へ激減し、民間負債に占める公的金融のシェアは19%から6%へ激減するなど、資金の流れは「官から民へ」と大きく変化するだろう。

 しかし、「官から民へ」という表現も「民」のとらえ方によっては、その評価が分かれる。
 例えば、「民」を民間の銀行をターゲットにするのではなく、その先にある民間企業か国かという点で見るなら、十年後も、依然、民へではなく、国(官)への流れが大きい。
 朝日新聞”郵政民営化Q&A お金の流れは変わるのか”(参照)はそこに着目して、解説用の設問から郵貯のカネは民間には流れないという結論を誘導している。

 ところが、視野を郵政→財投の外に広げると、光景は一変する。民間金融機関から国債・地方債を通じて政府・自治体に流れるお金が、280兆円から670兆円に激増している。家計が直接国債を買う額も現在の10倍の100兆円に増加しているのだ。
 さらに、郵貯・簡保が直接買う国債・地方債も、130兆円から150兆円に増える。合計の増加額は500兆円。つまり、政府・自治体に流れ込むお金をみると、財投経由は確かに、80兆円減るものの、差し引きでは、400兆円以上も増える計算なのだ。
 これに対し、民間企業に回るお金は、民間金融機関経由が100兆円から240兆円に増え、郵貯・簡保からも最大30兆円増加する見通し。「伸び率」で見れば大きいが、家計預金の行き先に占める「官」と「民」の比率が大きく変わるわけではない。

 「視野を郵政→財投の外に広げると」という点ですでに論点の変更があるが、それでもいわゆる三百四十兆円が最終的に民間に回るわけでもなく、家計のカネも最終的には依然国へ流れているという構図は正しい。余談だが、だから巷間の奇妙な陰謀論も成り立たない。
 この朝日新聞解説記事のように、郵政民営化は、民間にカネを回すという点では効果がないという結論も引き出せる。が、ここに二つの陥穽があると私は思う。
 一つは、近未来のスパンで見るなら、最終的にこのカネが国に流れないことは日本の国家運営を危うくするだろうということ。いわゆる三百四十兆円も旧勘定となり安定運用として事実上隔離されるに等しいのだが、これは国債など国家保障のもとで運営するしかないだろう(実質的な敗戦処理だろう)。このカネをリスクにさらすわけにもいかない。また、財政危機の深刻さを思えば、財政を支援するこのカネの流れは十年程度で断てるものでもないはずだ。
 二つめは、「では郵政改革が無意味だ」と結論するには十分な程度には財投改革は進む。朝日新聞の解説も認めている。

Q では、郵政民営化は無意味なのだろうか。
A 財投改革を後戻りさせないという意義はあるだろう。「(財投と一般会計という)政府の二重性を排除できる」(跡田教授)ため、財政の透明性は高まる。「資金の通り道」とはいえ、民営化で、資金の配分に市場原理が強まり、政府の無駄遣いへのプレッシャーにはなるだろう。

 つまり、かつての利権、国家から見えない巨額のカネの流れというのは事実上終わることになる。
 つまるところ、それでいいのではないかというのが私の考えでもある。これは自由主義国家というものの根幹の制度の問題であり、市民が豊かなら社会主義国でもいいという話ではない。別の面から言えば、財政危機回避やデフレ克服は経済の分野にあるとはいえ、範疇を異にする問題でもある。郵政改革は財政危機回避やデフレ克服には役立たないという論も見かけるがそれならなおさらのこと、郵政改革はそれ自体の限定性のなかで重要性がある。
 以下は余談だ。
 経済財政諮問会議資料を巡る郵政民営化十年後の話題はこれで終わりかというと、そうもいかない奇妙な疑問が残る。大きな余談になるが触れておきたい。
 先の朝日新聞解説記事の引用部分で、カネの流れについて、絶対量より比率が着目されていたが、この資料では郵政民営化にかかわらず家計のカネの量が大きく膨れることを前提にしている。大まかなところだが、二〇〇三年では八百七十兆円であるのに対し、二〇一七年では千四百兆円に膨れている。一・六倍に家計が成長する。しかし、過去の十年を考えると、率直なところ「ありえない」感が漂う。
 資料を見るとこの効果は郵政民営化がもたらしたものではないようだ。郵政民営化とは独立して家計の成長が想定されている。この意味をどうとらえたらいいか。なお、先の朝日新聞解説記事には、結果として、家計の膨張をあてにした国債消化がありうるのかといった解説的な設問も提示されているが、とりあえずそれは郵政民営化とはまた別の話であり、財政改革とごっちゃにしないほうがいいだろう。
 いずれにせよ、資料に示されているような家計の成長が今後十年の日本で可能なのか、という疑問は残る。朝日新聞解説記事はこう言及している。

 財政改革は、郵政民営化より、はるかに大きくて複雑なテーマだ。経済の成長力や社会保障や税制のあり方など、様々な要素を考える必要がある。
 例えば、試算で前提とされている経済成長や財政収支の見通し自体、決して低いハードルではない。実質成長率は1%台半ばから2%程度。インフレ率を加えた名目成長率は3%台半ばから4%程度が想定されている。名目マイナス成長も珍しくない現状のままでは、実現はおぼつかない。

 朝日新聞は郵政民営化の話から財政改革の話へシフトし、それは無理だろうという雰囲気を醸しだしている。
 だが理論的には無理ではないだろう。さらにきつい可能性すら机上では想定できそうだ。その一例として、「日本経済にいま何が起きているのか」(岩田規久男)には、こういう想定もある。

 勇ましい掛け声だけでなく、本格的に構造改革を進めることにより、潜在成長率を四%程度まで高め、そのうえで、名目成長率を五%~七%程度に維持しようとすれば、GDPデフレータは一%~三%で上昇しなければなりません(定義により、名目成長率は実質成長率にGDPデフレータの変化率を足したものになります)。つまり、日本経済が真に復活するには、デフレを止めるだけでは不十分で、物価が一%~三%で上昇し続けることが必要でしょう。

cover
日本経済に
いま何が起きているのか
 この本の趣旨では、そうするにはインフレを誘導せよということでもあるのだが、逆にそのような想定が先の資料に含まれているのか、そこまでは私は十分には読みとれない。
 資料が暗黙の内に政府の立場を代弁しているとすれば、この想定には、弱い形でのインフレ誘導が含まれているようでもあるし、そのことは国家運営の側でも折り込まれているのかもしれない。そこが私にはよくわからないところだ。それはもちろん郵政民営化の問題ではなく、財政改革の問題でもあるのだが。
 また、インフレ誘導が暗黙に含まれているというならその実質的な増税効果を国民がどう捕らえるのか、どのように国民に提示されるのか、といった点が明確ではない。こうした経済政策は国民の意思とは別に遂行されるのかもしれない。
 関連して気になることがある。先日十三日付フィナンシャルタイムズだが、選挙後の小泉改革を論じた”Koizumi's mandate for reform”(参照)に、今後の日本の経済にこうした提言があった。

Given that growth resumed during Mr Koizumi's first term, despite the absence of serious economic reforms, his best option now is to let it run its course. However, that is not his decision alone. First, the Bank of Japan could seize on the return of even modest inflation to raise interest rates prematurely. Second, although Japan's growth depends less on exports than it did, it would not be immune to a global economic downturn.

 前段には消費税アップといった間違った施策は取るなという話があり、それはわかりやすい。また、全体としては経済をいじるなというのもわかる。含みとしては昨今出てきた量的緩和の出口論の牽制でもあろう。問題はこの二つの提言だが、二番目の提言のほうはわかりやすい。以前ほどではないだろうが日本は輸出依存ではなくなっているものの、また輸出志向になれば世界経済の負の影響をかぶるだろうから自制せよというのだ。中国の崩壊の含みがあるかもしれない。
 一番目の提言がわかりづらい。日銀はこの機に乗じて緩和であれインフレ誘導はやめとけ、ということなのか。そのあたりの話と背景がよくわからない。単なる私の受け止めかたの間違いかもしれない。もっともこの部分は本質的には郵政民営化とは関係のない話ではあるのだろうが。追記:この部分、コメントで指摘をいただいた。「日銀は控えめなインフレの果実すら時期尚早に刈り取って利上げに走ってしまうかもしれない。」ということで現状の弱いインフレ政策の続行を示唆している。

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2005.09.16

今回の選挙は女性の選挙だったなぁ

 衆院選が終わって二つ心にひっかかっていることがある。一つはちょこっと書いたけどそれ以上に展開するのはためらうものがあり、書かないかもしれない。もう一つは、「今回の選挙は女性の選挙だったなぁ」というものだ。
 このブログも昨今の流れだけで読まれて奇妙な誤解をされることもあるし、誤解だなんだっていうのもブログの世界では野暮なことだとは思うが、過去エントリは「極東ブログ インデックス」(参照)から日付単位だがアクセスできるようにしてある。昨年の七月参院選後のエントリもインデックスからアクセスできる。「極東ブログ: 参院選であまり問われなかった女性議員の問題(2004.07.12)」(参照)というエントリでは、私は各国における女性議員の比率について触れ、こう締めくくった。


 話が散漫になったが、ただのスローガンではなく、もっと大きな潮流として、日本でも女性がいっそう政治に大きく関与しなくてはならない時代になってきているのだろう。
 だが、率直に言えば、おたかさんのイメージではないが、女性の政治家であることがある種のイデオロギーの傾向を含むかのように見えるのは日本の問題だろう。もっと端的に問われなくてはいけない中絶問題や低容量ピルといった問題などは、女性問題のなかから置き去りにされている。原因はマイルドな左翼イデオロギーがブロックになっているようにも思えるのだが、それだけの問題でもないだろう。
 飛躍した言い方だが、女性が社会コミュニティの質を変化する主体とならなくてはならないのだろうが、今の日本の傾向としては、優秀な女性がむしろ、経済的な勝ち組に吸収されるような構造があるように見える。

 予言とかいうつもりはない。今回の衆院選で過去の自分の期待が当たっていた面とそうでもない面もある。ただ、この側面の世の中の流れを見つめていたとは思う。
 そうした点で気になるのは、経済的な勝ち組に吸収されたかにみえた優秀な女性が政治の側に回ってきたかもしれないし、そうした兆候を社会の女性が支えつつあるのかもしれない、ということだ、…そう見ることは一部から強い忌避感を受けるのだろうけど。
 選挙後の情報や総括などを見ていて、どれも女性の政治参加という視点では、あまり納得したものがなかった。基本となるのは今回の選挙での女性票の動向だが、それほど資料が見あたらない。NHK「あすを読む」での話では、男性の自民・民主の差が四十二パーセント対三十六パーセントと六ポイント差だったのに対して、女性では四十三対二十八と十五ポイントも差があった。それだけでも、今回の衆院選では女性票の流れは大きな意味をもったはずだ。
 もっともこの差については、男性層の自民支持比率と数値を比べるとわかるが、女性層において自民支持が強かったということではなく、民主党の支持が低かっただけだ。その意味では、この動向については、小泉マジックだの、単純な争点がよかっただの、ヨン様ブーム的な動向だの、といった推論は成り立たない。明確に、女性は民主党を選択しなかったのであり、マーケティングがどうのというのは洒落として、端的に民主党の政策が女性層に支持されなかったと考えるべき問題だろう。
 この女性層の支持は、いわゆる「刺客」「くのいち」という揶揄を浴びせられた女性候補への支持でもあったのだろうし、ちょっと勇み足で言うのだが、こうした下品な揶揄を繰り返した日本のマッチョ・メディアへの否定でもあった。
 今回の衆院選挙では、女性の当選者は四十三名で戦後最多となった。その半数以上を占める二十六人が自民党だった。この政治戦略もただ大衆迎合のように受け止められることがあるが、彼女らを比例上位に置いていたことは、単なる選挙イメージではなく、明確に自民党のなかにこの女性達を取り込む意志があったと理解すべきだ。しかも、彼女たちにきっちりどぶ板回りをさせている様子もうかがえた。
 女性の政治参加という点ではこれでもまだまだ途上という段階でもあるし、二大政党と言われながら、女性票が自民・民主党以外に流れる構造の意味もまだよくわからない。その流れは、もしかすると、現状の自民・民主党という枠を押し流すものになるのかもしれないのに。

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2005.09.15

「英豪によるサマワ撤退打診」ニュースはどこから出たか?

 英国軍とオーストラリア軍が、イラク、サマワからの撤退を日本政府に非公式に打診しているというニュースが、十三日朝日新聞、十二日TBS、十四日時事で流れた。
 だが、関連ニュースやその後の経緯を見ていると、誤報とまで断定できないものの、奇妙な印象を受けるので、検証とまではいかないが、ブログに留めておきたい。
 朝日新聞”英豪、サマワ撤退を打診 日本の派遣延長に影響か”(参照)のニュースの重要部分は次のとおりである。


 陸上自衛隊が派遣されているイラク南部・サマワで、治安維持にあたっている英国軍とオーストラリア軍が、サマワからの撤退を日本政府に非公式に打診していることが13日、明らかになった。12月に期限を迎える自衛隊派遣について小泉政権内では延長論が強いが、英、豪軍の撤退時期によっては、派遣継続が困難となる可能性もある。
 複数の政府関係者によると、日本も含めた3者の意見交換の場などで打診されたという。日本側は撤退しないよう求めたとみられる。撤退時期に関しては「決まっていない」としている。イラクの治安状況の悪化などもあり、各国とも派遣部隊の撤退時期を模索しているのが現状だ。この中で、サマワからの撤退案も浮上していると見られる。

 一読して5W1Hが曖昧であることがわかる。
 TBS”英・豪軍、日本政府にイラク撤退を打診”(参照)は次のとおり。

 厳しい治安情勢が続くイラク派遣をめぐって、自衛隊と同じイラク南部に駐留するイギリス軍とオーストラリア軍が、日本政府に対し、来年夏頃の撤退を打診している事が明らかになりました。日本政府は対米関係をにらみ、対応に苦慮しています。
 イラク南部の治安を統括するイギリス軍、そして自衛隊のいるサマワ周辺に駐留するオーストラリア軍からの相次ぐ撤退の打診は日本政府内に波紋を広げています。
 関係筋によりますと、両国とも、イラクでの任務が今後、終了するメドが立たないことから、新憲法下で国民投票が行われるこの10月に撤退を判断し、来年夏頃部隊を撤収させたい、という意向を水面下で日本側に打診してきたという事です。

 内容は朝日新聞記事とほぼ同じで、5W1Hが曖昧な点も同じだ。
 これに対して、十三日付読売新聞”英・豪軍、サマワ撤収を検討…自衛隊駐留に影響”(参照)はこの打診の日時をより明確にしている。

 外務省幹部は13日朝、「1、2か月前に英豪両国がサマワからの撤収を検討していると伝えてきた。撤退の時期については、明示はなかった」と語った。
 また、「英軍はイラクからすべて撤退するのではなく、比較的、治安の安定しているサマワの駐留をやめるかどうかという話だ」と指摘した。サマワで活動する自衛隊は今年12月14日に派遣期限が切れる。

 重要点は二点。まず、英軍はサマワ地域からの一部撤退を日本に打診してきたということで、朝日新聞・TBSのように全面的と言明していないもののそうしたニュアンスのある撤退ではない。もう一点は、この打診は一、二か月前のできごとだ。それをなぜ、朝日新聞・TBSはぼかしているのか。なお、時事”英豪軍、サマワ撤退を打診=自衛隊派遣延長に影響も”(参照)も読売に近い。
 ニュースのリーク元も読売新聞では外務省幹部と特定がやや狭い。また、このリーク日時が読売新聞によると十三日の朝ということで、TBSはそれ以前の時点になり、同型のニュースであるならTBSから朝日新聞に流れたのかもしれない。
 読売新聞に加えて、十四日付時事”サマワからの撤退打診を否定=任務は1年を強調-豪国防相”(参照)がさらに疑問を深める。豪州側からはそんな打診はしてないというのだ。

 【シドニー14日時事】オーストラリアのヒル国防相は14日、自衛隊が駐留するイラク南部サマワの治安維持に当たっている豪軍が非公式に日本側に撤退を打診したとの報道について、「豪軍のサマワへの派遣は(今年4月から)1年間の任務となっている。それ以外は日本側に伝えていない」と述べ、否定した。キャンベラで記者団に語った。

 こちらはソースもはっきりとしており、英軍については現状わからないようだが、豪軍についてのサマワ撤退打診については虚報と断言してもよさそうだ。
 ニュースの日付から考えると、朝日新聞とTBSのニュース・ソースはその後の読売新聞や時事とは違うようだ。いったいどこから朝日新聞とTBSはニュースを得たのだろうか?

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2005.09.14

国連改革ってアナンの辞任のことでもなさげ

 国連首脳会合が開幕した。ので、簡単に関連のネタである。昨年は日本のメディアはイラクの石油食糧交換プログラムにおける国連不正についてほとんど報道しなかった。ので、極東ブログはけっこうちくちく書いてきた。さすがに国連不正はもうバックレようもないので日本のメディアでも報道するようになったみたいだが、それでも少ない。なぜなんでしょうかね。私もこの問題への関心は薄れてきているので、昨今の状況について簡単にまとめておくだけにしたい。
 まず日本語で読めるあたりのニュースからだが、八日付の朝日新聞”アナン氏、辞任否定 各国に改革協力訴え 国連不正報告”(参照)が実に軽い。


 旧フセイン政権下のイラクへの国連人道支援をめぐる不正について独立調査委員会が「国連に指導力が欠けていた」などとする最終調査結果を報告したことを受け、アナン事務総長は7日、国連の改革に各国が協力するよう呼びかけた。自身の去就については、来年末までの任期を全うするほか、ほかの国連幹部も辞任する必要はないとの考えを示した。

 毎度ながら、なんだかよくわかんない記事だが、要するに「イラク関連で国連に不正はあったし国連はイラクに対してだめだめだった。だけど、国連幹部の不正追及もこの辺りで終わりにしたいし、アナンも責任はとらないよ~ん」ということ。いいのかそれで、って、朝日新聞は思わないのだろうか。たぶん、思わないのだろう、似たような体質だし。
 現在の国連はどうかというと、十四日付の産経新聞”きょう国連首脳会合開幕 成果文書、難航必至”(参照)がさらっと触れている。

 国連は、史上最大のスキャンダルといわれるイラク「石油・食糧交換プログラム」をめぐる不正事件で大きな打撃を受けており、アナン事務総長自身も調査対象となって、仲介などで指導力を発揮できる状況にない。
 成果文書の採択に失敗すれば、「国連に対する信頼がさらに低下するのは避けられない」(国連外交筋)状況である。

 冷静に考えると、国連は終わったと言っていいくらいかも、だが、物事冷静に考えるだけが面白いっていうものでもない。
 オモテに浮き出しているわかりやすい争点は何かというと、単純に「アナンさんヤメレ」という話である。十二日付の共同”国連事務総長「レームダックでない」・辞任を否定”(参照)が自ネタじゃなくてブログみたいな記事を書いているが、そーゆーこと。

アナン国連事務総長は12日付の英紙インディペンデントとのインタビューで「自分はレームダック(死に体)のように感じてはいない」と述べ、辞任の意思はないことを明らかにした。国連の対イラク人道支援事業「石油・食料交換計画」をめぐる不正事件で事務総長の責任を問う米国などから辞任要求が強まっていた。

 「米国などから」っていう他人事の表現がどうよだが、総じて共同は米国が国連を糾弾しているという枠で日本は関係ないかのごとくの報道を繰り返している。他にも九日付”アナン事務総長の辞任要求”(参照)はこんな感じ。

イラクへの人道支援事業「石油・食料交換計画」をめぐる不正を調べている米上院調査小委員会のコールマン委員長(共和党)は9日、国連本部で記者団に対し、不正を防止できなかった責任を問われているアナン国連事務総長について「トップとして不適格」と述べ、あらためて辞任要求を突き付けた。

 英国テレグラフもアナン辞めろの社説がこのところ続いた。十一日付”Kofi must be sacked”(参照)はこんな感じ。

The first of those reforms is to get rid of Kofi Annan, the UN's General Secretary. However genial he may be personally, he has proved himself incapable of ensuring that the UN runs in a minimally efficient and uncorrupt fashion.

 アナンは無罪かもしれないけど無能なんだからやめてくれというわけだ。九日付”If the UN is to prosper, Kofi Annan should quit”(参照)ではもう少しディテールに踏み、ボルトン新米国連大使の活動に触れていた。アナンが辞任すればいいというものでもないという話でもあった。

Meanwhile, John Bolton, the new American ambassador to the UN, has set the cat among the pigeons by suggesting numerous amendments to plans for making the world body more effective. The plans are based on recommendations from a high-level panel established, like the oil-for-food inquiry, by Kofi Annan, the Secretary-General.

 ワシントンポストはむしろアナンに焦点を当てるのを避けているよう見える。”Reforming the U.N.”(参照)より。

Again, it would be nice to believe that replacing Mr. Annan with a stellar manager would change this. But the United Nations' incompetence is hard-wired into the institution's DNA: the rules created by its member states that make it impossible for the secretary general and his top staff to hire good people, fire bad ones and move resources from unneeded programs to priority ones.

 問題はアナンじゃなくて、不正と無能は国連のDNAなのだというのだ。それもすげー表現だが。
 この前段になるが、ワシントンポストは事実上ヴォルカーも無能だと断じているに等しい。さすがにそうかもしれないなと思う。

To forge such a consensus, it's important first of all to understand what the Volcker report did not find. Despite a budget that ran into the millions, the inquiry did not nail large numbers of U.N. officials for personal corruption in administering the oil-for-food program. If it had done that, life would be easier; firing the wrongdoers might fix the problem. Instead, the inquiry found evidence of corruption on the part of just two officials, both of whom have since been forced out of their jobs. The real scandal that Mr. Volcker underlined is that the United Nations' culture is dysfunctional.

 確かに不正関与者は二人で終わりです、というわけにもいかないだろう。
 話を端折るが、国連改革というのはこのすさまじい糾弾の向こうにあるわけだが、ま、日本としてはどうなんでしょうかね。

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2005.09.13

長谷川憲正参議院議員の反復横跳び

 考えようによっては些細な話だが、気になるのでブログにメモしておこうっと。天声人語風な洒落でいうとランタナの趣きといったところか、長谷川憲正参議院議員の処世についてである。
 今回の衆議院解散に際し、長谷川憲正参議院議員は自民党を抜け国民新党の結成に加わった。だが、その後、政党をさらに鞍替えして、田中康夫長野県知事が代表の新党日本に移籍した。そして、昨日、またまた国民新党に復党した。コロコロ変わる。体力測定、反復横跳びって感じ。
 サンスポ”長谷川氏「人数あわせだった」選挙終わって再度国民新党へ”(参照)を引く。


 長谷川氏は衆院解散後に自民党を離党し、先月17日の国民新党旗揚げに参加。しかし、その後に結成された新党日本の所属国会議員(衆院は前議員)が、公選法上の政党要件の5人に1人足りなかったことから、わずか6日後の同23日付で移籍して「新党互助会だ」と批判を浴びた。
 この批判をまるまる認めた今回の復党宣言だが、長谷川氏は「当初から、選挙の時に(新党日本の)人数が足りないので応援してくれと、いう話だった。選挙が終わったので戻った」と悪びれる様子もなく平然と説明した。

 コロコロ変わった理由は、新党日本が公選法上の政党要件を満たすためだった。
 公選法上の政党要件というのは、国会議員が五人以上所属するか、または直近の国政選挙で有効投票総数の二パーセント超を満たすことだ。
 これを満たすと、寄付金について会社や労働組合からの多額の寄付を受けることができる。この要件を満たさないと個人からの寄付は百五十万円まで。満たすと二千万円まで。選挙活動も違ってくる。選挙カーだのビラだのの制限が変わる。よくわからないのだが、政見放送の条件も変わるようだ。田中康夫新党日本代表を選挙速報でよく見かけたのはそのせいか。
 しかし、そんなことは極論すればどうでもいいのだ。どうでもよくないのは、政党要件を満たすと、政党交付金が出るということだ。
 政党交付金というのは、国が政党に出すカネで、もとを辿ると国民が払った税金である。
 長谷川憲正参議院議員がひょこひょこと政党間を動いたことで、国民の税金が、田中康夫長野県知事が代表の新党日本に流れ込む。
 率直に言って今回のひょこひょこで田中康夫長野県知事が代表の新党日本はいくら貰うのだ、っていうか、血税をいくらぶんどるのか、知りたい。
 ちなみに、田中康夫新党日本代表は同党についてこう説明していた(参照)。

 独特の言いまわしで2大政党を斬った後、新党日本については「道路に面したブティック。ファッション、アクション、ミッションは極めて明確で分かりやすく、同じ目線で接客します」。新しさ、行動力、使命感を武器に、有権者の立場で考える党だとPRした。

 だそうなので、極めて明確でわかりやすく、ずばり、いくらだ?
 政党交付金の仕組みをちょいとぐぐったのだがよくわからない。参考になりそうなのは、毎日新聞”特集WORLD・大人の授業時間:新党 かつて非自民政権樹立、再編のカギを握れるか”(参照

 選挙後の「カネ」も違う。政党交付金は国民1人当たり250円で算出。国政選挙のある年は選挙の翌日を基準日(選挙のない年は毎年1月1日)として、所属国会議員数の割合と直近の選挙の得票率を基礎に年4回に分け交付される。05年度の総額は317億円で交付額(概数)は自民党154億円、民主党122億円、公明党30億円、社民党10億円、自由連合1億円。共産党は受け取りを拒否しており、算定はそもそも共産党の議員数を除いて行われている。

 何千万円って額ではないのだろうし、ネットのどっかに公開されているかもしれない。わかったら、このエントリに追記しておこう。

【追記】(2005.09.14)
 今日付の読売新聞の試算によると、今回の衆議院選挙で新党日本がゲットする政党交付金は四千万円とのこと。田中康夫長野県知事代表の新党日本は労もない名義貸しで四千万円もゲットですか。実に賢い商売選択だったようだ。
 ちなみに、読売新聞試算ではないが、ブログIrregular Expressionの試算(参照)によると、来年以降の新党日本の年間受取額を政党交付金見込み額は、一億六千万円ほどにはなるとこと。庶民からは想像しがたいビッグビジネスの新党日本ではある。

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2005.09.12

二〇〇五年衆院選挙結果

 驚いた。昨晩八時になったのでいつになくリアルでテレビのスイッチを入れたらNHKに尋常でない表示がある。自公三〇〇、ですか。しばし見ているとマジだ。そして結果は自民単独で二九六議席。これが自民党自身完璧に想定外だったことは東京ブロックの比例リストが足りずに、社民党のしかも保坂展人に流れるというお笑いからもわかる。
 で、「オメーさんの予想(参照)はどうかね?」ということだが、自民圧勝、単独過半数というあたりは、ま、かろうじて合格ラインか。ホリエモンの落ちも当てたしな。この間の極東ブログのスタンスとしても、それなりにスジは通ったかなとも思う。
 しかし、私は自民単独議席数二四〇と予想したわけで五十議席も外した。ということは、ハズシはハズシ。というわけでなんでこんなに外したかだが、予想のロジックをトレース(読み直し)してみて、強弁するわけではないが、率直のところ大きな見直し点はない。現状の統計を見直してもこれはまったく想定外だというものもない。いわゆる無党派層が自分の予想より自民党に流れたことが小選挙区制度だとこれだけの地滑り(Landslide)起こすのだなとは反省。が、各小選挙区の状況を大局的に俯瞰して予想するには勘というくらいしかない。実際、予想で辛勝から圧勝へと補正したのは私の勘だった。この時点で産経などから三〇〇という数字も出ていたがそれは信頼していなかった。今後も、私としてはこうしたスタンスはそれほど変わらないとも思う。というか、ここで今回の結果を自民単独三〇〇とかの「ネ申」の予想をすることは私にはできないだろう。
 勘がそれほどは働かなかったのはバイアスもある。私が基本的に民主党の支持者であり、今回のような憲法改正まで視座に収めるような衆院(下院)の自公与党勝利を率直には受け入れがたい。私は、わけのわからない批難もされたが、それほど小泉の支持者でもないし、まして公明党を是とするわけでもない(憲法改正批判者は公明党が最後の砦だろうけど)。
 結果の数値以外に今回自分が外したなという他の部分を見ていくと、まず投票率の増加がある。六七・五パーセント(前回より約七パーセントアップ)になったし、七〇パーセントいくかもなという思いもわずかにあったが、率直なところ六〇パーセントちょいくらいではないかと思っていた。それが小選挙区制のシステムの無理解と相まって最終議席数の予想を狂わせた。余談めくが、今回の結果をもって衆愚政治だの小泉マジック、催眠術とかいうやつは小選挙区制度というシステムの理解を放棄しているだけ、というかその時点で思想の自滅だよと思う。ついでにいうと今回の選挙はマーケティングの勝利だんなてのもタワケだと思う。
 それにしても、この投票率の高さは、日本人は、やるときはやるものだなと思わせるに足る。これなら本当に日本に危機がくればそしてリーダーさえあれば日本はきちんと日本人としてまとまって行動ができるだろう。すごい国だなと自国を誇りに思う。他国も内心はビビったのではないか。中国様など偉そうに言っても、民衆の総意の上にある権力ではない。ただの軍政に過ぎない。いずれは南米のように解体するしかないだろう。少子化とはいえ日本はまとまった国民としては今後もアジアの最大パワーでは有り続ける。だからこそ日本の未来は厳しい。
 これも関連しているのだが民主党がここまでボロボロになるとも思っていなかった。昨晩の岡田を見ていて「笑え、ジャイアントロボ!」とか言いそうになってしまう。民主党は小泉の術中にはまったみたいな反省をしているようでは今後もダメダメだろう。今回、元・民主党支持の私から見て本当にまいったなと思ったのは、マニフェストが機能してないことだった。岡田はマニフェストから逸脱して爆走を繰り返した。理由はいくつかあるが、郵政民営化反対というとき具体的な対案の法案を提示できなかったのはやはり政策政党としてはダメというしかない。立て直しはきついだろうなとは思う。が、民主党も初心に帰ればいい。これまでが僥倖だった。
 自滅した民主党に加え、参院。やったぜ、こいつらお笑い集団だ、イラネ、と率直に思う。報道を見ていてもあまり指摘されてないようだが、参院の一票格差のゆがみが今回の参院の迷走を招いた。良識の府ならそれらしく一票格差を是正し、議員自体も半分くらいに縮小したほうがいい。真面目に言うと、参院は憲法上は不要でもないのだから、それなりの見識が出せる場であってほしい。でも、たぶん、だめでしょ。
 後は余談のようなことだが、ブログと選挙だが、それほど関係なかったと思う。選挙が近づくにつれ変なトラバやコメントが増えると言ってのけたブログもあるが、そんな印象はうけるし、私もけっこう無体な誹謗中傷を受けた。今後はこうした傾向がさらに増長するのだろうと思う。が、対応のしようもないだろう。ブログは変な意見を増幅するシステムでもある。
 雑誌や新聞や出版界のオピニオンとかは今回の選挙でくっきり負け組になったと思う。朝日新聞はすでに成仏の領域にあるが、読売新聞も中曽根に転けたあたりで迷走したし、雑誌系も文藝春秋や新潮などわけのわからないタマぶっ放しまくった。女性候補のスキャンダル・ネタも下品過ぎっていうか、おまえらボケすぎ。
 いわゆる偉そうな識者もけっこう転けた。というか、プチ・インテリあたりが「衆愚政治だ」とかほざいて、さらにルサンチマン度を深めて、それがブログとかに溢れてうざくなりそうな悪寒(オメーもそ?まぁまぁ)。この傾向はいわゆるふっきれちゃった右派にも言える。西尾幹二とか小林よしのりとかなんか、振り切れ、ま・す・た。というか、この振り切れ右派の裏の動きの縦糸があるように思う。
 個別の選挙では、ムネオやうどん屋のねーちゃんの比例での復活は完璧に想定内。どってこともない。永岡洋治衆院議員の弔いで出た永岡桂子候補は比例で当選したが、地場で見ると中村喜四郎に八千票近い差で負けた。重苦しいものを感じる。
 私は気分的にはまだ沖縄にいるような感じもするのだが、嘉手納統合を率先して進めていたワタブーオレンジ革命の下地幹郎が復活。良かったねと言いたいところだが、実態はナーガトーヤラムルワカランで白保台一の票を食ってみました。白保(公明)はそれなりに見識のある平和主義者ではあると思うが。辻元疑惑の関連者だろの照屋寛徳は入り、東門美津子は落ちた。西銘恒三郎も入った。

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2005.09.11

藻前ら、どんな卵料理が好きか?

 自慢ではないが私は世事に疎くて、書店に並んでいる今週号のステラの表紙の茶髪のおねーさんのドアップを見てつい「これって、あれ、韓国人のユンソナっていうのでしょ」とか言ったらそばにいたものに「ゴマキよ」と言われた。「ゴマキってモーニングなんとかで作詞の盗用とかしてた子か?」と続けると「違うわよ」と言われた。以下略。
 なもんで、「サニーサイドアップ」とか言われても、私は知らないよ。っていうか、本物のサニーサイドアップなら知っているぞ。若い頃修道院に暮らしていた私は卵料理ならすぐに十品くらいは作れる。いや、修道院というのは嘘で、トラピストなんですが、ってさらに嘘だが、卵料理のほうはそれほど嘘でもない。
 というわけで、喪男でもできる卵料理を紹介しよう。きっと、役立つはずだ(何故と問うなよ)。
 の、前にこれ”Poll: How do you like yor eggs?(参照)”を見れ。「藻前ら、どんな卵料理が好きか?」というのだ。米人のアンケートだ。


Raw 0 (0%)
Over Easy 19 (19%)
Sunny Side Up 14 (14%)
Hard Boiled 1 (1%)
Deviled 6 (6%)
Scrambled 32 (33%)
Poached 6 (6%)
Other, you insensitive clod! 20 (20%)

 全部わかりますか。私はわかりますよ。では解説。

生卵(Raw)
 これが米人ではゼロ・パーセント。私も一時期米人文化に染まったので喰えなくなった。が、子供のころはエリザベスサンダーホームの朝食ではないが喰ってはいた。新鮮なのに上等の醤油だとたしかにうまい。お薦めは以前もしたけど伊勢醤油(参照)。
 しかし考えてみると、シャーベットとか菓子とかだと結局生卵を使ってはいるか。そういえば、昔はオロナミンセーキというのがあったが今でもあるだろうか。知ってる? 飲むとメガネが落ちるんですよ。
 生卵のキモさをめいっぱい味わいたい人にはバタイユの「マダム・エドワルダ」なんかもお薦め。うへぇ。

両面焼き(Over Easy)
 これは日本ではターンオーバー(Turn Over)とか言われている。簡単にいうと両面焼きってやつ。どうやって両面焼くかというと、次の目玉焼き(Sunny Side Up)をひっくりかえして焼く。というけど、ここがワザ。というのは、この時当然というか、半熟な黄身が潰れるのだけど、この潰し具合が味に関わるわけだ。私は、これに懲りまして、けっこう上手ですよ。
 ちなみになんでこんなことをするかというと理由はたぶん二つ。一つはこれ、ハンバーガーに挟む用なのでそれに合わせている。もう一つは衛生の問題。生卵は衛生上危険というのは米人の常識なんで火をよく通す。

目玉焼き(Sunny Side Up)
 二個使わなければ目玉焼きじゃないとかのコメントはなしですよ。これはま、日本でもありげ。で、これが料理としてみれば火のコントロールがけっこう難しい。ポイントはフライパンだと思う。肉厚のフライパンを使えや。お薦めはクリステルのフライパン(参照)。楽天を見たら売り切れ。ほいでも、iPod nanoよりクリステル買っとけ。
 火のコントロールの次に難しいのが油と水蒸気。水蒸気というのは、仕上げを蒸し焼きにするテクがあるわけだけど、これもへたにやると白身がなんか、やわらかプラスチックみたいになってしまう。
 ところでブログで話題の目玉焼きに何をかけるかだが、私は、もちろん、醤油です。ハーブ塩(参照)も使うけど。塩だけだとちょっと卵が臭い。

ゆで卵(Hard Boiled)
 これはけっこう難しいんですよ。普通に作るなら水から茹でる。塩をちょいと入れておく。くらいは常識として、意外に知られてないのが、新鮮な卵を使わないこと。これはマジ。新鮮な卵だと茹でたあとでうまく剥けないのだ。
 茹でたら冷水で冷やして剥くのだがさて何分? How long?
 これで困るのがホテル。ってか、それが困るようなホテルの経験は若いうちにしておくとよいかも。答えは、ま、黄身が半熟(Medium boiled)ならファイブ・ミニッツ、固ゆでならテン・ミニッツでしょうか。Five-minutes, pleaseとか言うとよいかも。
 ゆで卵の食べ方というと「広島や卵食ふとき口開く(西東三鬼)」みたいなのがニッポンだし、米国なんかのハードボイルドっていうかなんでもありかもだけど、なんつうか西欧的にはそうしない。ゆで卵はゆで卵の入れ物に載ってくるのでその上部を割る(ホテル割られていることが多いはず)。ほいでスプーンで掬う。割られてなければどう割るかについてはいろいろ問題がある。ま、スプーンで叩けや。世の中には専用の卵割り鋏というものもあるがネットでは見あたらない。なんて呼ぶのだ? 追記:トック・ウフ、エッグトッパー、エッグシェルカッター(コメント欄参照)。
 あー、味付けだが、普通は塩かだが、ブルーチーズもイケる。もちろん醤油は旨い。

デビルド・エッグ(Deviled)
 そういえば日本ではこれはあまり名前としては有名ではない。が、多分、見ればわかる。あれだよ(参照)。 半割ゆで卵に黄身をサラダ風にして乗せたあれだ。イースターの定番だったか。
 ところでこれがなんでデビルド(悪魔処理)なのかなのだが、粉々にするあたりではないか。

炒り卵(Scrambled)
 炒り卵と書いて、ちがうよなと思う。違う。すごく違う。スクランブルド・エッグはもっとべとーっとクリーミーにする。パンとかのディップみたいなものだ。
 これははっきり言ってすごい難しい。ポイントは油(オリーブオイル)かなと思う。ま、この話はこれ以上立ち入らない。

落とし卵(Poached)
 日本人はあまりやらないみたいだが、私はよくやる。あまり上手ではない。新鮮な卵を使うとよい。湯を沸かして酢を少し入れる(酸味付ではない)、火を消して、静かに卵を落とす。大きいスプーンで静かに落とすのがよいと思う。
 すぐに白身が固まる。黄身のかたまり具合は慣れ。半熟がよい。湯から取り出すときは、アク取りみたいので水を切って掬うこと。
 私は醤油で食うの好きだが、和風ダシでもよいかとも思う。

オレの好みはココにはねーよ(Other, you insensitive clod!)
 そんなもんかねである。

 さて、以上が米人風ではあるが、おおっ、卵焼きはどうした?っていうのが日本人だろ。これは卵焼き器があればそう難しくない。作り方などは大竹まことの「こんな料理で男はまいる。」がよい。ってか、この本はけっこうお薦め。

cover
いつものたまごと
じゃがいもで
Spain
 オムレツ、スペイン卵、温泉卵、茶卵など、あー、北京風、スペイン風…もあるか、うへぇ、まだまだレパートリーはあるがちょっと飽きたのでまたの機会でもあれば。
 そういえば卵料理のお薦めの本は「いつものたまごとじゃがいもで…Spain」と思って、アマゾンをみたら、プレミアになってら。

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