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2005.07.02

マイブームは石けん

 石けんの話。つまり、タルネタ。私が石けんに詳しいわけではない。が、とりあえずマイブーム(死語か)。それほどハマっているわけではないけど、面白いものですね。別所で人にいろいろ教えていただいたのだけど、みなさんいろいろ好みやお薦めがあって、それも面白い。
 石けんマイブームのきっかけは楽天のポイントだった。よくわからないのだが、期日を過ぎるたらポイントをゼロにしてやるぜ、買い物するなら今だぜ、というお知らせを貰った。楽天の仕組みがどうなっているのかまるでわからないが、今までもこの手のことはあった。でも、500円以下とか送料にもならんから勝手にしろ、とか思っていたのだけど、今回は1000円越えているらしい。ってことは送料分は浮くのか。で、何を買う? そのとき、ふとサンダルウッドの石けんが欲しいなと思ったのだった。
 私はサンダルウッドが好きだ。白檀である。お香も白檀が好きだし、サンダルウッドのエッセンシャル・オイルなんかもある。ま、その手の話はうざったいのでさておくとして、以前インド旅行で買ったサンダルウッドの石けんがよくて、あれがどっかで買えないかと思っていた。楽天ならあるでしょと思ったが、以前買ったそれはない。と、物色しているうちに、世の中、石けんがいろいろあることを知る。これがまた面白い。
 結局、サンダルソープとかいうのを二個買った。石けん一個で千円でさらに送料までかかるというのはなんだなと思ったが、使ってみると、よさげ。というわけで、海外からインド製のものを中心にいくつかその手のものを購入してみたのだが、これもよさげである。香りについては好みはあるだろうから、あまりお薦めはできないかもしれない。
 最近買ったその手の石けんが手作り石けんかどうかは知らないが、食器とかなにかと洗うのに石けんを使うようになったのは五年くらい前だ。フェアトレードでチョコのついでに買ったアレッポの石けん、例えばこんなのが、意外によかった。ただ、ボディソープとしてはちょっとなみたいな感じはあり、そっちのほうはもう二十年以上もまえから基本的にはミノンを使っていた。昔は固形だったが、最近では、液状のミノン全身シャンプーさらっとタイプを使うようになっていた。私はそれほど肌が敏感というわけでもないが、鈍感?というのでもないのでミノンだよねと決めていたのだった。
 今回ちょっと幾つか使ってみて、この使い心地の違いはなんだろと思って、ネットとか調べてみたのだが、よくわからない。というか、わけのわからない情報が多過ぎる。それでも、石けんなんて油脂にカセイソーダ(水酸化ナトリウム)を入れて作るという昔中学生んときやったあれ、鹸化じゃんと思っていたのだが、どうやら違うらしい。工業製の石けんは鹸化ではなく、中和で作るみたい。いや知らなかった(中和法を知らないというのではなく工業化がということ)。製法は、石けん百科というサイトを見ると、「石けんの製造方法(1) けん化法と中和法」(参照)にまとまっている。


反応名製法名
けん化けん化塩析法
焚き込み法
冷製法
中和中和法


 ふーん、というくらいだが、どれで作っても同じなんじゃないか、ごちゃごちゃせずに近代工業的に低コストで作ればいいじゃんと思ったのだが、しかとはわからぬものの、この製法と利用する油脂によって石けんの質はだいぶ変わるようだ。
 いわゆる普通の石けんを使うと肌が突っ張るような感じがするが、昨今購入したものだと突っ張り感はなく、すべっとしてくる。この効果は、製法差による残留グリセリンなどにもよるらしい。
 というあたりで、けっこうなるほどねと納得しつつある。
 そして、石けんていうのは、もしかすっと、工業製品に向かないものなのか、とまで思うようになった。もちろん、石けん製造は工業化できるだろうし、安価に高品質なものを提供することはよいのだが、ふと思い出したのは味噌・醤油である。
 あまりエコめいたことは言いたくないのだが、市販されている味噌・醤油はなかなか私の口に合わない。醤油はまだなんとかなるようになったが、味噌とかは未だに困っている。いろいろあってもよいのだが、基本的なところであまり工業化できないものなのだろう。
 すべて手作りならいいとか素っ頓狂なことを言うつもりはないが、石けんなんかもある種のタイプはあまり工業化に向かないものかもしれない。ということでしばし自分の好みを選んでみることになるかも。
 石けんは、自分にしてみると、ミノンだけでもよかったのだけど、ちょっと変えてみたら、香りもだが、夜風の肌の当たり具合とか(ほかにあれとか)ちょっと感触が変わるものだ。たかが石けんを変えただけなんだけど、ライフスタイルが少し変わった感じがする。

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2005.07.01

米タイム誌取材源秘匿問題雑話

 米タイム誌取材源秘匿問題が重要な局面を迎えた。この問題もいくつかの側面があり、簡単に断ずることができないのだが、それでもこの問題にふれずしてこのブログを継続する意味はない。簡単に触れておきたい。
 状況についての概要は毎日新聞”米取材源秘匿:タイム誌記者の取材メモ 連邦大陪審提出へ”(参照)が読みやすい。


米中央情報局(CIA)工作員の氏名漏えい事件に絡み、連邦最高裁が、取材源の秘匿を理由に捜査への協力を拒否した記者2人の収監を認めた問題で、米タイム誌は30日、同誌のマシュー・クーパー記者の収監を避けるため、同記者の取材メモを連邦大陪審に提出すると発表した。

 ごく簡単な構図で言えば、司法がジャーナリズムの原則とされてきた取材源の秘匿に介入できるかということでもある。古風な頭で考えると、ここは臭い飯(死語)を喰ってでも、司法に楯突くのがジャーナリストである、となるように思う。
 その構図は、ある意味で、ジャーナリズム論としてだ。
 問題のもう一つの側面は、当の取材が国家にとってどれほど重要な意味を持っているかということもある。それが重要であれば、ジャーナリストの原則・気概ということではすまないかもしれない。
 問題はなんであったか。おさらいがてらに引用する。

 漏えい事件では、ブッシュ政権を非難していた米外交官の妻がCIA工作員であることが暴露された。ホワイトハウス高官が、国家機密にあたる工作員の氏名を主要メディアに漏らしたとみられており、大陪審が容疑者を起訴するかどうかを決定するため、両記者やタイム社などに情報開示を求めていた。

 私はとりあえず二つの視点を持つ。一つはこの外交官の生命が危機に陥る可能性はないか、ということと、CIAという諜報機関の権力を制御するにはこうした手法は肯定されるべきかということだ。
 後者からすると今回の事態がどれほど国家運営に重要かということになる。そこがよくわからない。やっかいなのは、その取材メモが開示されないとわからない面があるかもしれないということだ。司法がそれに関心を持つのは、国家権力のありかたとして是認される面はあるようにも思える。ただ、その傾向が強まっているかなとも思う。朝日新聞”取材源の秘匿、また認められず スパイ疑惑報道で米高裁”(参照)などからはそうした傾向の示唆を受ける。
 前者だが、ここはまさに個別の問題でディテールの情報が重要になる。
 二点の部分について、タイム誌と一緒に関連していたニューヨーク・タイムズ紙の六月一九日付けエディトリアル”The Thinking Behind a Close Look at a C.I.A. Operation”(参照)が重要であるように思うが、率直のところこのディテールをうまくまとめて自分の見解するだけの力量は私にはない。
 この問題が日本の状況に示唆する点はなにか。
 基本構図というか潜在的な構図は同じだろうが、現実側面で日本のジャーナリズムで問題になることはあまりないようにも思う。くさしたいわけではないが、よくブログでは新聞ジャーナリズムが話題になるが、日本の新聞はあまりジャーナリズムとしては機能していない。しいていうと、週刊新潮と週刊文春くらいだろうか、ジャーナリズム的な相貌をもっているのは。単純な話、我々が日常の生活で直面する権力的な団体の問題が、新聞ではあたかも存在しないかのようになっている。
 ジャーナリズムの一般論にまで引き戻せば、今週の週刊文春の「新聞不信」”匿名情報を排除する愚”(7・7)の結語が、あたりまえとはいえ現場の感触を伝えて興味深かった。匿名情報についてだ。

 取材される側から言うと、オフレコがダメならうっかり新聞記者と話せない。身の危険、いや家族にも危害は及びかねないのである。

 権力とはなにかの議論は哲学者にまかせておけばいいが、権力の機能は単純である。恐怖であり畏怖である。些細な話だが、ブログなどでも恐怖や畏怖を意図した乱入があれば、それは権力の機能であると言っていいだろうと思う。ブログがそうした権力と向き合えるか。現実主義者にして敗北主義者の私は、だめだろ、と思う。希望をもっているかというと、馬鹿なので、もっているけど。

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2005.06.30

カナダと米国の処方箋薬事情

 あまり関心をひかない外信ネタでもあるのだろうけど、カナダと米国の処方箋薬事情について簡単にふれておきたい。現在少なからぬ米国民がカナダから処方先薬を購入している。理由は単純で米国内より安いからだ。しかし、二九日付けロイター”Canada to control bulk sales of drugs to U.S.”(参照)でも報じたが、ようやくカナダ側で国家を越えての処方箋薬購入の規制に乗り出すようだ。いろいろな含みがあって簡単にまとめるのは難しいのだが、まず事実確認あたりから。


Canadian Health Minister Ujjal Dosanjh speaks to the media following a cabinet meeting at the Foreign Affairs building in Ottawa June 29, 2005. Dosanjh announced the federal government will draw up legislation giving it the right to ban the bulk sale of prescription drugs and other medicines to the United States when necessary to ensure sufficient supplies in Canada.

 ABCのUjjal Dosanjhの写真のキャプションからの引用だが、彼はインド系移民だろうか。それはさておき、規制の法律はまだ成立していないもののその方向に向かうことになる。理由は、カナダ国民への処方箋薬が不足することのないようにするためである、とのこと。
 ご存じのとおり、カナダは米国とは違って、処方箋薬は無料(だったと記憶)。日本も事実上無料と言っていいだろう。つまり、カナダや日本は、高い税金と薬剤業界の手厚い保護というコストで国民の健康を維持している側面がある。このあたりの国家のありかたというのが基本的に私の関心事でもあり、薬剤の問題はこの側面をうまく炙り出す。
 米国はその逆で、いわゆる個人責任というのか、社会保障は薄い。米国の医療保険の状況については、「極東ブログ: 米国の話だが保障の薄い医療保険は無意味」(参照)でもふれたとおり。なので、米国では特に退職した高齢者にとって処方箋薬を含めた健康管理はかなり家計上の大きな負担にもなっている。
 米国民の国外処方箋薬購入に拍車を掛けているのは、英語圏からばかすかスパムをいただく人ならわかっているように、インターネットの活用がある。だが、国境に近い地域では買い付けツアーなどもあるようだ。この傾向はもう一面で米国に接しているメキシコでも見られるようだ。
 ロイター記事はカナダ発ではあるがカナダの視点に立っているというものでもない。その点、カナダ紙The Star”Canada to ban bulk drug exports 'when necessary'”(参照)を見ると標題からもわかるように、カナダ側の薬剤業界の利害から話を起こしている。

WINNIPEG - Canada's Internet pharmacy industry breathed a sigh of relief today as the federal health minister chose monitoring and consultation over the immediate crackdown many have feared for months.

 当面の問題ではないというわけだ。
 類似の様相は米国側にもあって、処方箋薬を必要とする米国高齢者にすぐ影響するわけでもない。ニューヨーク・タイムズ”Canada Is Drafting Regulations to Curb Bulk Drug Exports to U.S.”(参照)を引用する。

It is unlikely that the two million uninsured and underinsured Americans who depend on cheaper Canadian drugs to treat chronic conditions like diabetes and high cholesterol will be immediately affected.

 つまり、現在カナダの処方箋薬に依存している米国民も問題なし、と。
 ただ、処方箋薬の市場の国際的なシフトはあるのかという話はこれに続く。

It is possible, however, that tighter regulations in Canada may give other foreign online suppliers in places like Israel and Britain a new competitive edge and encourage Canadian companies to warehouse more of their inventories in other countries.

 新しい購入先としてイスラエルと英国があがっている。ある程度の内情を知っている人ならなるほどなということろだ。
 米国政府の本音としては、一方では自国製薬会社の利益を守りたいだろからカナダで規制されるのは好感という面があるだろうし、二期目のブッシュ政権で高齢者の締めあげがきつくなるのでこうした抜け穴はゆるくしておきたいたいというのもあるだろう。全体的な傾向からすれば、処方箋薬の国際購入は米国側の規制は難しいだろう。
 以上の動向が今後日本にどう影響するかだが、直接的な影響はないのだろう。処方箋薬といっても日本の場合ジェネリックに移行すればまだ削減はできる。よりシャープな処方箋薬がイスラエルなどから直接日本の市場に攻勢がかかるということもないだろうし。

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2005.06.29

ブラジル政府が抗エイズ薬のコピーを推進

 ざっと見たところ国内では話題になっていないようなのでふれておきたい。話は特許で守られているはずの抗エイズ薬のコピー薬製造をブラジル政府が堂々と認可したということ。もっとも、現実を追認するという意味でもあるのでそれほど話題なってないのかもしれない。ニュース的には、世界貿易機関(WTO)ドーハ宣言に基づくという点だろう。
 事実確認がてらにというわけで、ブラジルからソースとしてAgencia Brasilのサイトの記事(二七日付)”Brazil requests breaking anti-AIDS drug patent”(参照)を引用する。


The Brazilian government filed a request to break the patent of the drug, Kaletra, used in the treatment of AIDS and currently imported from the American pharmaceutical company, Abbott Laboratories. The drug, which is composed of the active ingredients, "ritonavir" and "lopinavir," is used in all phases of AIDS treatment. With this decision, the Brazilian government laboratory, Farmanguinhos, part of the Oswaldo Cruz Foundation, will produce the generic equivalent composed of the two active ingredients.

 記事にもあるように抗エイズ薬カレトラは米国から輸入していた。となると米国の反応が気になるが、この点はワシントンポストに掲載された二八日付けのロイター”US monitoring Brazil plan to break AIDS drug patent”(参照)が参考になるだろう。

The United States is keenly following Brazil's plan to break a patent held by a U.S. drug company to cut treatment costs for the country's tens of thousands of AIDS sufferers, a U.S. official said on Tuesday.

"We are monitoring this latest development closely through our embassy in Brasilia and here in Washington," a U.S. trade official said, without commenting on whether the United States would challenge Brazil on the issue.


 というわけで事実上は黙認ということになる。
 先に今回の件は現状の追認と書いたがそのあたりは、2001年の日本版ワイアード”米国の特許無視で効果をあげるブラジルのエイズ対策”(参照)が参考になる。ドーハ宣言については”世界貿易機関(WTO)モニター”というサイトの”ドーハからヨハネスブルグまでの道のり”(参照)が参考になる。これを読めば、今回のブラジルの対応がドーハ宣言との文脈に置かれることが理解しやすいだろう。
 この問題の従来からの議論の枠組みについては、DreiRotというサイトの”エイズ治療薬と特許権”(参照)がよくまとまっているし、ブラジルの状況についても詳しく解説されている。問題点は特許というインセンティブがなくなった場合、現状の抗エイズ薬はいいとしても今後の開発はどうなるだろうかという点だ。
 特に気になるのは、エイズの場合、薬耐性ができやすいことだ。レトロウイルスは変異しやすいので、新薬開発がシステム的に行われる必要がある。
 こうした状況に、もちろん、簡単な答えはない。
 政治問題好きの私などからすると、またなんらかの闇が生まれるのだろういう予感はあるが、それがどの程度の問題規模になるのかもよくわからない。
 中国も人口規模が通常国家を越えていることやさまざまな理由から潜在的にエイズ爆発を秘めている。中国は人権意識の薄い国ではあるが、いずれ大問題になることはわかっているのだから、こうした問題になんらかの貢献を提起すべきであるようにも思うが、現実的には沈黙するのだろう。
 日本がどう対応すべきかはよくわからない。あまり話題にもならないのが現状かなとは思う。

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2005.06.28

ユノカル問題続報

 ユノカル問題続報。というか、ふーんな展開になりつつあるので、もうワン・ステップ接近しておこう。まず注目すべきことは米国議員四十一名がブッシュ政権にユノカル買収問題について国家安全保障の観点から調査するよう書簡を送ったこと。朝日新聞”中国海洋石油のユノカル買収案、米議員が政府に調査要請”(参照)より。


 41人の民主・共和両党の議員が書簡のなかで、中国国営企業が、米に拠点を置く企業のエネルギー資源を買い取ったり、また特許技術を手に入れる可能性を持つことによって、米安全保障が脅かされる可能性がある、との懸念を表明した。

 ポイントは、「民主・共和両党の議員」というところ。これは後でふれる予定。
 もう一点。

こうした動きの背景には、原油価格が過去最高水準に達し、また中国の対米貿易黒字が1600億ドルに上り、さらには中国の軍事力が増大している、という点がある。

 どってことない話のようだが、通貨の問題も絡んではいる。これも後で。
 これに対して、中国海洋石油(CNOOC)は問題を緩和すべく協力的な素振りを見せている。読売新聞”ユノカル買収提案の中国海洋石油、米審査に協力表明”(参照)より。

米石油会社ユノカルに対し買収を提案した中国国有の石油大手、中国海洋石油(CNOOC)は24日、米政府の主要省庁で組織する「対米外国投資委員会」(CFIUS)による安全保障上の審査に協力する方針を発表した。

 ブッシュ政権側だが、乗り気薄ともとれないし、すっかり乗り気というふうでもない。微妙なところだが、駒は進めるようだ。日経”中国海洋石油のユノカル買収提案、米報道官「注視している」”(参照)より。

マクレラン米大統領報道官は27日の記者会見で、中国海洋石油(CNOOC)による米石油大手ユノカルへの買収提案について「注視している」と述べ、ブッシュ政権が大きな関心を示していることを強調した。計画が前進すれば、米政府として買収が米国の安全保障に問題を引き起こさないかどうかを審査することになると指摘した。

 同記事に続くように、二十三日上院公聴会でスノー財務長官が証言してように、米包括通商法(1988)では、国家安全保障にかかわりそうな外国企業による米社買収は審査され、問題があれば、政府が差し止める権限を持っている。
 中国海洋石油(CNOOC)としては、ユノカルによる石油・ガス生産量は米国の石油・ガス消費量全体の1%に過ぎないので、米国のエネルギー市場には影響を与えないと主張している。確かに、その面での問題は当面なさそうだ。が、投機への影響は与えるし、日本についても同様とは言い難いことは「極東ブログ: 行け、行け、中国海洋石油!」(参照)でふれた。あまり国内報道ではユノカルと春暁ガス田群問題がリンケージされないように見えるのだが。
 中国海洋石油(CNOOC)は、日本人から見ると、どうしても中国ベタのように見えるが、対CFIUSでは同じくカネに物を言わせて米国のコネを抑えにかかっている。
 CFIUSの審査結果待ちという流れになるのだろうが、その場合、審査結果よりも、審査期間のディレイがシェブロン側に有利になるので、高度な決着が付く可能性もある。あまりいいソースではないがPost-gazett.com”After earlier fumbles, Cnooc played to win”(参照)ではげげげな話を伝えている。このあたり、暗げなニュースなんだけどあまり注目されてなさげ。

In Public Strategies, Cnooc is getting a firm with close ties to the Bush White House. One top executive, Mark McKinnon, ran President George W. Bush's media campaign in the 2004 election. Mr. McKinnon isn't working on Cnooc, however. The point person on the account is Mark Palmer, an expert in crisis communications. Before joining Public Strategies, Mr. Palmer ran communications for Enron Corp., the failed energy firm that became a symbol of corporate excess after its collapse in 2001.

 この話は筆禍ゾーンでもないのだろうけど、これまでにして、冒頭残した「民主・共和両党の議員」のことと通貨の関連だが、端的になぜ民主党? 中国バッシングは民主党のほうがというのはあるだろうが、あれっと思ったのは、昨日のクルーグマンのコラム”The Chinese Challenge”(参照)だった。役どころはちゃんと抑えてるとも言えるのだが、話の向きがちょっと違う印象を受けた。

Fifteen years ago, when Japanese companies were busily buying up chunks of corporate America, I was one of those urging Americans not to panic. You might therefore expect me to offer similar soothing words now that the Chinese are doing the same thing. But the Chinese challenge - highlighted by the bids for Maytag and Unocal - looks a lot more serious than the Japanese challenge ever did.

 メイタグについてはここではふれないが、こうした中国の攻勢について、かつての日本と対比し、そしてやや否定的な立場に立っている。
 理由は、二点ある。
 一つは、日本の米国買いは実際には無害だったが、中国の場合は、そういう生ちょっろいものではないということ。クルーグマンはこの点はさらっと撫でている程度なのだが、背景には企業経営という視点で中国共産党ってどうよという含みあるように思う。
 二点目は、中国には台頭の意識があるよ、ということ。このあたりはちょっと微妙なので引用したほうがいいかもしれない。

The more important difference from Japan's investment is that China, unlike Japan, really does seem to be emerging as America's strategic rival and a competitor for scarce resources - which makes last week's other big Chinese offer more than just a business proposition.


Unocal sounds, in other words, like exactly the kind of company the Chinese government might want to control if it envisions a sort of "great game" in which major economic powers scramble for access to far-flung oil and natural gas reserves.

 ただ、クルーグマン的にはそれほどは深刻になっていないし、毎度のことながら、政治センスはないよなのオチになっている。
 クルーグマンの話のスジはそういうことなのだが、意外に否定的なもんだなという印象は強い。
 議論としては脇道かもだが、案外こちらの指摘が重要なのかもしれない。

So it was predictable that, sooner or later, the Chinese would stop buying so many dollar bonds. Either they would stop buying American I.O.U.'s altogether, causing a plunge in the dollar, or they would stop being satisfied with the role of passive financiers, and demand the power that comes with ownership. And we should be relieved that at least for now the Chinese aren't dumping their dollars; they're using them to buy American companies.

 いずれアジア各国もドルを買い支えなくなるよってな与太話はよく聞くが、米国の赤字と人民元のはいわば共犯的な関係にある。
 マクロ的にはそのあたりで、米国の算盤に合うあたりで答えを出すのか、事態を「いやいやマジっすよ」と出すか。EUの武器輸出が頓挫した経緯を見ていると、陰謀論とかではなく、裏の認識はありそうなので、ワタシ的にはマジな答えが出そうな気がする。

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2005.06.27

少子化問題なんてないのかも

 週末NHKでえんえんと少子化問題の番組をやっていたようで、金曜日のほうはなんとなくHDRに入れたものもまだ見てない。土曜日の近未来ドラマみたいなのはひょんなことから見ることになったので見た。「幸福2020」(参照)とかいうのだ。


 ヒロインは秋月雪乃(永作博美)、離婚歴のある35歳のシングルマザーである。契約職員として介護ビジネスで働き、小学生の娘・綾(大橋彩香)の教育を生きがいにしている。
 雪乃は、友人に誘われて渋々出かけた政府主催のお見合いパーティで高杉隆太(高橋克実)と出会う。隆太は40歳、独身、非常勤講師として小学校で理科を教えている。

 というわけで、高橋克実のトリビアのコメントかよみたいな演技が楽しめたのと、木内みどりの老け役が似合いすぎとか思った。お茶の間ふうにはよく出来た作品のように思えた(意外なディテールがよく出来ている面もあった)が、全体の主張はひどいもので、国民を信じますってなことを吹いてみたり、擬古的な日本のふるさと感みたいなものに情感を収斂させていた。散人先生の一括を待つまでもなくだめだめなビジョンである。ただ、こうした話題はNHKとしてはネタにしやすいだろうし、なんとなくみなさまのNHKという演出にはなるのだろう。
 少子化問題はもう議論の余地はないと思う。日本は縮退するのである。中国はいずれ連邦分解せざるをえないだろうとは思うがそここまでの歴史の経路で日本と朝鮮はかなりのとばっちりを受けることになるだろう。統一朝鮮は日本に匹敵するようになるかわからないが、もともと韓国は日本と同型の社会でもあるので、日本と同じように縮退している。として見ると中華連邦にいずれ縮退した朝鮮も日本も吸収されるのかというと、日本はそうならないだろう。さて、日本はどうサバイブしていけばいいものか。
 そんなことくらいしか思わないのだが、そういえば、「政府主催のお見合いパーティ」(シンガポールで実施された)で思い出したが、23日のフィナンシャルタイムズ”Japan's birth deficit”(参照)が日本の少子化を扱っていた。海外から見ればこの問題はNHKのようにエンタの話題ではなく、もっと冷ややかに見える問題でもある。記事は、ざっと読んだところとくに知見もないければもちろん解決策もない。

Japan is right to consider cutting working hours for civil servants with young children. The country desperately needs more babies and more working mothers. Policies and practices will have to change if it is to get them.

 "desperately"がいい響きだが、考えてみると、このフィナンシャルタイムズの問題の立て方は悪くない。
 フィナンシャルタイムズの言い分をさらっとまとめると、問題は、少子化もだけど、ようするに労働力でしょ。で、高齢者もすでに働いていてそのセクターは増えない(私は増えると思うけどね)、しかも、日本は移民を受け入れる気なんかないでしょ、だったら、つまり、女性を働かせるってことだよね、というのだ。
 少子化問題というのは、なるほど、女性を働かせるという問題なのだな。

Only 35 per cent of Japanese mothers with children below the age of six work, compared with an OECD average of 59 per cent.


The scope for improvement lies in employment rates of women. The female employment rate of 57 per cent is about average for the OECD, but far below countries such as Switzerland, Sweden, Norway and Denmark, where more than 70 per cent of women work.

 北欧みたいにスモールサイズの国家と大国日本と並べるその感性はどうよと思うが、日本の女性の労働力はまだまだ余剰があるのだろう。そのあたりがソルブされると、実は少子化問題は雲散霧消ということになるかもしれない。
 ただ、話がここに来てずっこけるのだけど、先日、大型書店の新刊書を見てなんかようするに玉の輿に乗って勝ち組狙いの本が多いんでないのと思った。どうなんでしょと、それから三十代半ばの女性にちらと訊いてみてたら、苦笑していた。

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2005.06.26

B映画チャイニーズ・フランケンシュタインの復活

 ふざけたタイトルですまん。マジなタイトルにできそうにもない。
 タルネタとも言い難いのにこの時点でエントリを起こすのもなんだが、情報を掘っていく手間に書くきっかけを失してしまうかもしれないし、この問題に詳しい方に情報を教えてもらうほうがよいのかもしれないので、粗いのだがざっとふれておきたい。
 エントリのきっかけは産経系”江沢民前主席、原潜「参観」 存在感アピール ”(参照)である。話は、江沢民・前中央軍事委主席が夏級原子力潜水艦を参観したとされる写真がインターネットに掲載されているというのだ。単純な話、それってどこ?と思うのだが、まだ私は追跡していない。中国語の情報の追跡は苦手でもある。
 産経のニュース発表は今朝のものだが、該当写真のネット掲載時期は四月二二日、つまり先日の反日デモのあたりのことらしい。産経の記事は、胡錦濤政権が反日デモを押さえ込んだ直後」と記すことで、胡錦濤対江沢民死んでないのかフランケンシュタインとの対立と読んでいる。それはありそうな話でもある。
 写真はこうらしい。


写真は夏級原潜(タイプ092型)の甲板上で、私服姿の江前主席が多数の軍人の中央で記念写真におさまっている。撮影時期、基地名は明記されていない。

 問題は、チャイニーズ・フランケンシュタイン復活の恐怖よりも、この原潜の恐怖のほうだ。産経はこう指摘している。

この原潜は今月16日に青島沖から新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を実施したとみられる艦艇であることもあって、江前主席を中心とする軍の勢力が国内外に向けて存在感をアピールする狙いが垣間見えている。

 一六日のSLBM発射実験だが、朝日新聞”中国が新型SLBMの発射実験に成功 大連沖から内陸へ”(参照)を事実確認として引用しておく。

 中国が、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験に成功したことがわかった。政府関係者によると、16日夕に大連沖の黄海の潜水艦から発射、中国西部の砂漠地帯に着弾させたという。大陸間弾道ミサイルのDF(東風)31型を改造したJL2型とみられ、3000キロ余り飛んだとみられる。
 中国海軍は現有する夏型原子力潜水艦の後継艦を開発中で、新型SLBMは後継用らしい。中国は80年代に初めてSLBMの実験に成功。昨年、新型の実験をしたが失敗したとされる。

 関連の話は、「極東ブログ: 中国は弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN-Type094)を完成していた」(参照)でもふれたので関心のあるかたは参照してほしい。簡単に言えば、これだけは米国は洒落にしない。
 同記事ではさらっとこうふれているのだが、ここはけっこう問題でもある。

 政府関係者によると、数年後には、中国は新型のSLBM搭載原潜を西太平洋に配備するとみられ、米中の海軍同士の緊張が高まる可能性もある。政府関係者は「SLBMにおける技術向上を示したもの。急速な近代化を図る中国の軍事政策の一環」と分析している。

 朝日新聞はなぜ西太平洋なのかを華麗にネグっているが、単純な話、石油のシーレーンである。石油の自由主義市場という米国の逆鱗を中国様はそそっと撫でてくれるのである。余談だが不安定な弧というのは、案外中国問題のカモフラージュなのかもしれない。
 ちょっと読みが甘いし、あんまり読むとネットにありがちな陰謀論ができるだけだが、昨今の次の例えば二点のシフトも、上の文脈にあるのではないか。
 例えば、今日付の産経系”新型イージス艦、舞鶴配備 07年春に「日本海シフト」”(参照)。

 海上自衛隊が三菱重工業長崎造船所(長崎市)で建造している新型イージス艦(7,700トン)を2007年春、海自舞鶴基地(京都府舞鶴市)に配備することが26日、分かった。
 同基地には現在、イージス艦1隻を配備。佐世保基地(長崎県佐世保市)の2隻と合わせ計4隻が朝鮮半島危機に備えた「日本海シフト」を敷くことになる。当初、佐世保基地を候補にしていたが、日本海での任務が多い舞鶴基地を増強することにした。

 もいっちょ。ロイター”台湾、米国から早期警戒レーダーを購入へ”(参照)。米国防総省は二十三日、台湾に早期警戒・探査レーダーを提供すると発表した。受注はレイセオン社である。

レイセオンによると、このシステムで台湾の空軍機は、長短距離の弾道ミサイルや巡航ミサイル、敵の戦闘機・水上艦を「絶対的な」信頼性で探査・追跡できる。

 ただ、こうした緊張の構図はある意味でゾンビの江・フランケン・沢民がのこのこ出てくるあたりで、またですか、中国の内紛、ということでもある。軍が噛んでいるので洒落にならない事態にはなりうるのだが、それでも、胡錦濤政権との対立の構図があるなら、そのあたりは日本もきちんと読む必要はある。
 現状では、胡錦濤はいわゆる中国の平和的な台頭という路線からそれほど外していないようにも見える。場合によっては、日本も戦略的に折れてもいい局面はあるかもしれない。みそくそな言い方をするとそのあたりのタイミングは米国は出す可能性も高いと思う。

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