« 小田急高架化訴訟が例証する改正行政事件訴訟法の意味 | トップページ | [書評]老人と棕櫚の木(林秀彦) »

2005.12.15

マレーシアの国産車プロトン関連の話

 クアラルンプールで十三日に開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本との首脳会議だが、日本でのニュースをなんとなく聞いていると、奇妙に日中関係のテーマがクローズアップされていたように思う。とはいえ確かに会議では冒頭マレーシアのアブドラ首相による日中関係についての懸念表明はあった。現在のマレーシアの立ち位置や日本とマレーシアの関係はどうなのだろうか。露骨に言ってしまえば、華僑をシンガポールに分離したマレーシアが親中国ということはないだろうと思っていた。
 中韓問題などどうでもいいので関連ニュースをざっと見ているなか、日経”日本とマレーシアのFTA、来秋発効へ・両首相が署名”(参照)の記事にプロトンの名前を見て、しばらく考えこんだ。プロトンはマレーシアの国産車である。


 04年1月の交渉開始以来、自動車の扱いが最大の焦点だった。マレーシアは乗用車「プロトン」などを育成する国民車構想を打ち出しており、自動車関税は最大で200%に達していた。マレーシア側に配慮して10年間の猶予期間を設定することで妥結に至ったが、スピード感に欠ける印象は否めない。

 今回の日本・マレーシア間の自由貿易協定(FTA)を支える経済連携協定によって、今後十年以内にマレーシアは、自動車を含め、鉄鋼などの鉱工業品の関税を段階的に撤廃することになる。この自動車がプロトンである。
 マレーシアはマハティール首相時代の八三年に、国策として国産車の育成につとめることにした。ゼロから出発はできないので、現地資本と日本の三菱自動車が提携してプロトンと立ち上げた。さらにその十年後、小型車をメインのターゲットとして、日本のダイハツ工業が資本・技術提携したプロドゥアができた。
 先の日経の記事にもあるように、マレーシアはプロトン保護のために大きな関税をかけてきたのだが、現在の世界では、こうした保護政策はもはや立ち行かない。関税撤廃の潮流もだが、マレーシアが現状のスタンスのままでいるなら、自動車産業への投資はタイに流れていくばかりだし、さらにマレーシアの富裕層はこの関税でも外車を購入しはじめている。先日のラジオで聞いた話では、プロトンのシェアも往時六〇パーセントから現状四十四パーセントまで落ち、今年の四・六月期の決算では赤字に転落した。マレーシアとしても単純な保護政策ではだめということで、十月に国民車構想を転換したようだが、その実態は研究補助というくらいしかわからない。
 プロトンの基礎を作った三菱自動車はすでに昨年提携を解消した。この六月からは、三菱商事と提携しその現地販売社を通じて販路を広げるようだ。このあたりのマレーシアと三菱自動車・三菱商事の関係については私は知らない。技術供与は当面継続しているようだが、それほど良好とはいえないのではないかとなんとなく思う。
 プロトンとしては代わりに昨年フォルクスワーゲンとの提携に合意し、当時の話では今年末までにフォルクスワーゲンの自動車を生産するとのことだったが、どうもこの話もうまく進んでいないようだ。マレーシアが国産車にこだわるあまり、フォルクスワーゲンに経営を握られるのが恐いようでもある。
 この分野についてよくわからないのだが、近代国家というのは自動車産業を持ちたがるものなのだろう。が、それに成功したのは日本だけではないだろうか。いや、韓国の現代(ヒュンダイ)はどうか。そういえば、現代も、七五年の韓国初純国産車「ポニー」は三菱自動車との提携でできたものだった(参照)。マレーシアは時代に遅れたということだろうか。
 そのあたりで、「極東ブログ: 国家の適正サイズ」(参照)を思い出したが、国家のスケールとしては、マレーシアと韓国では倍の開きがあり、案外そのあたりの要因が大きいのかもしれない。
 近代国家とアジアの自動車産業ということでは、タイと中国を加えるとどういう図柄になるのか気になる。そのあたりが、アブドラ首相の日中関係懸念表明に影を落としているような気もする。が、よくわからない。勉強が足りないというだけだが。

|

« 小田急高架化訴訟が例証する改正行政事件訴訟法の意味 | トップページ | [書評]老人と棕櫚の木(林秀彦) »

「経済」カテゴリの記事

コメント

リビアへの輸送途中に押収された遠心分離機部品を製造したと指摘された。「遠心分離機部品はアラブ首長国連邦ドバイの企業に輸出したもので、最終購入者がリビアとは知らなかった」との声明を発表した。遠心分離機はウラン濃縮等核爆弾開発に転用可能。昨年。又中国の軍門に下ってると宣言。台湾の張富美僑務委員会委員長が、マレーシアの台湾留学経験者とのパーティーに出席するためクアラルンプールに到着したところ、中国の圧力を受けたマレーシア外務省から、行事への出席自粛を要請され台湾に帰国した。

リビアは米国から経済制裁を受けてる国家、中国が盛んに援助して接近してる石油施設など中国資本で建設されてる。

マレーシアはアジアの通貨危機以来、経済が悪くてマハティール時代とは様変わりしてる。宮崎メルマガに石油資源を求めて手を広げる中国で具体的に出てました。なりふりかまわず、米国の経済制裁されてる国々と堂々と商売しています。イランにも石油施設を作った。
東南アジア諸国は微笑みの日和見主義が習い性となってる国なのでアセアンとして集団で付き合うのは危ない。2国間の交渉です。各個ばらばら個別に落とす。華僑が進出するとその国の経済は壊されます。何故か?  それは華僑はその国の人を雇用しない。最初小さな工場でも本国から安い労賃の人間を呼び寄せる。その工人は又彼の親しい人間を呼び寄せる、何時の間にか華僑だらけになる。密入国もしてくる。華僑同士で癌細胞のように増殖してその国の経済をじわじわと占拠する。フィリピンも今、米国が出てからは中国架橋の国となってる。フィリピンの上流家庭は全部中国系フィリピン人です。中国人が浸透してインドネシア経済n中心は全部架橋ですよ。インド人と中国人は昔から犬猿の仲。インド国内には華僑は居ない。インドも英国の植民地、中国も1部英国の植民地で英国人はインド人を使って中国人を支配した。印僑もアフリカ諸国で活躍してる商売上手な国民です。カースト制度があるから厄介ですよ。


投稿: ようちゃん | 2005.12.16 03:18

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: マレーシアの国産車プロトン関連の話:

» 東アジア共同体という絵空事 [王様の耳はロバの耳]
東アジア首脳会議閉幕 「共同体」多難な船出 (産経新聞) - goo ニュース 東アジア共同体を創設するため中国はASEAN諸国+3(日中韓)を中軸として中韓共同で日本の影響力排除を狙い 日本はインドやオーストラリア、NZの参加を求めたり さてロシアが参画の意向とか もともと中核のASEANだが始めはタイ、フィリィピン、インドネシア、シンガポール、マレーシアの6カ国1967年創設だそうだが頭の2国は1954年SEATOという... [続きを読む]

受信: 2005.12.17 13:57

« 小田急高架化訴訟が例証する改正行政事件訴訟法の意味 | トップページ | [書評]老人と棕櫚の木(林秀彦) »