「手鍋下げても」について
耐震偽装も国連分担金も、「ヤケ」になった犯罪者もイラク派兵延長も、ましてジョン・レノンも関心がわかない。みずほ証券? いやそれほど関心ない。億のカネなど縁がない。プーアル茶を飲みながらそういえば今日のエントリを書いてないことに気が付く。書き込み予定地にしてもいいのだが、埋めておく。
先日の「覆水盆に返らず」の関連でもあるが気になる言葉があった。「手鍋下げても」である。
二〇〇五年の話題とやらのブログにこの表現があるか。テクノラティで検索してみた。十三件。多いのか少ないのかよくわからん。リンクをたぐってみたが、実際には出てこなかったり、引用だったりで書いてる本人がわかってんのかという感じ。わかってそうなブログは儂より年上っぽい感じ。ま、そうだろう。
「きなこもち」というブログの”動物占い☆”(参照)というエントリにこうあった。
リンクをたどって違う性格診断もやってみた(ようするに暇だった笑)
結果↓
http://www.egogram-f.jp/seikaku/kekka/bacbb.htm
「手鍋下げても」ってどうゆう意味だろ・・・???
疑問に思っている。リンク先を見た。「エゴグラムによるあなたの性格診断結果」というのだ。エゴグラム?
2.恋愛・結婚
優しいから情に溺れる、情に溺れるから下らない者に引っ掛かるという様に、優しくて感情的判断をしやすい性格が、仇となり易いタイプです。稀には「手鍋下げても」という様な思い込みが、貴方を幸せに導く場合も有ります。異性関係には、熟虜をすべきタイプです。
あ、いいなコレ。声に出して読みたいくだらない日本語という感じ。くだらなくもないか。その思い込みが幸せというのもあるだろう。
グーグル先生もひいてみた。二百十件。少ないんでないの。そしてこれもなんか生きた用例というか、自分の思いから使った表現というのはあまりないみたいだ。
字引を引いてみる。広辞苑に「手鍋を提げる」の項に織り込まれている。そのほうが表記としては正しいのだろう。グーグル先生も件数はさらに少ないがそんな感じ。
手鍋を提げる
自分で食事の用意をする。貧しい暮しをする。特に、「手鍋提げても」の形で、好きな男と夫婦になれるなら、どんな貧苦もいとわないという意に用いる。
意味はそういうこと。大辞林も二版にはあった。一版で落としてしまって慌てたのか。
というわけで、昔は「好きな男と夫婦になれるなら、どんな貧苦もいとわない」という女がいたのである、日本に。ニホンオオカミみたいに。
今でもいるのだろうか。いるんじゃないかと私は思う。そういう表現はなくなったが、人の心というのはそう時代で変わるものでもないというか、男女の機微の深いところはあまり時代に左右されないのではないか。逆に世相が変わってしまって、「手鍋提げても」の人生は世相と齟齬があるかもしれない。すて奥に混じっているかもしれない。ってなことを書いて苦笑・失笑を買うであろうな。ここまで読んだならな。悪かったな。
手鍋提げてもでもないが貧苦というなら山本七平の結婚の逸話も面白かった。れい子夫人によると、熱心なクリスチャンだった彼女の母が七平との結婚を勧めたらしい。当時七平さんは結核だったというのにだ。
お見合いの七平はこうだった。
そのとき主人は、戦争で経験した酷くつらいことを、初めて会った私でしたのに、熱心に何時間も語ってくれました。カトリックに告解というのがありますね、何だかそんなふうな感じがありました。
まぁ一般論として童貞の男というのはそういうものである、っていうのはある。それ以上のものもある。ひどい言い方だが、その時七平がれい子さんに告げたかったことは、たぶんこの手記(Voice,H4山本七平追悼記念号)の執筆時期でもあまり思い至らなかったのではないか。
話を戻す。当時アイドルなみのルックスのれい子さんはこう思った。
私は、何と気の毒なと思いつつ、そのときは内心ちょっと困ったなという感じでいたんです。
そんなものである。普通。手鍋下げてもということがなくても話は展開する。
彼女はその後「観念した」と言っているが、七平の押しが強かったわけではない。接し方の雰囲気と彼が聴覚障害者の自立のために校正を教えているといった素行が大きかったようだ。
そういえば、吉本隆明が旧姓黒沢和子とすったもんだで一緒になってから、彼女にどんなところが良かったかと訊いたとき、立ち小便しないことと答えた…だったかな。記憶違いならすまん。ま、それも素行ではあるだろう。
| 固定リンク
「雑記」カテゴリの記事
- ただ恋があるだけかもしれない(2018.07.30)
- 死刑をなくすということ(2018.07.08)
- 『ごんぎつね』が嫌い(2018.07.03)
- あまのじゃく(2018.03.22)
- プルーム・テックを吸ってみた その5(2018.02.11)
コメント
寒い朝に、
こういうホッと暖かいエントリを読むと気持ちが良いです。
ありがとさんです。
投稿: けろやん。 | 2005.12.11 08:46
最近、そんなもんかも知れない、と思うようになりました。・・・非常に、功利的な言い方で男の人には、本当に申し訳ないのだけれど。・・・自分を幸せにしてくれる、と、思えば、(というか、直感すれば)女は手鍋下げてついてゆきます。さすれば、男性と言うのは、それなりに頑張ってくれたりもする。・・・もう、地位も名誉も持ってる男と言うのは、「そんなん地位でも名誉でもないよ、でも私はこの人に、手鍋下げてついてゆく」という、女性、何つか、つまりジョン・レノンに対するオノ・ヨーコ(きっと、彼女は結婚する時そんな気分だったに違いないw)と、やっぱり結婚するんだと思います。・・・で、ないと結婚というのは、うまく行かない。地位や名誉目当てで結婚すると、結構不幸になる確率と言うのは高いと思います。いつになく真面目なコメントですが。
投稿: ジュリア | 2010.01.24 17:19