iPodが学習ツールとして普及すればいいのに
「キャンパスはiPod革命前夜」という記事が今週のニューズウィーク日本版があった。話は大学の講義がアイポッド用に配信されるというのだ。そりゃそうだろうなと前から思っていたので、現状の確認という感じで記事を読んだ。すでに始まっている大学もあるようだが、概ねこれかららしい。そのあたりが邦題の「革命前夜」であろう。原題は "Professor in Your Pocket"でオリジナルはMSNBCのサイト(参照)で読める。
米国は以前からオーディオブックの文化でもあり(特に啓蒙書の音読を通勤に聞くというのが多いようだ)、大学の講義などもそうなるだろうとは思った。が、実際の米国の講義というのはディスカッションや演習が多いので、アイポッドで聞く講義の部分はリーディング・アサインメントの延長のようなものでもあるのだろう。日本の一般的な大学の講義のほうがアイポッドに向いているのかもしれない。と書いたところで、すでにその傾向は進んでいるのだろうか。ニューズウィークの記事は大学がオーソライズした講義だが、日本ではこっそり録音とか。ああ、そういうのは昔もあったか。
すでに他所でも話したが(参照)、私はNHKラジオをMP3に落として聞くことが多い。使い初めて一年くらいになる。当初は、少しは勉強しなくちゃなと講義っぽい内容のものも聞いていたが、続かない。歳かな。いやこれが実際に優れた先生の講義とかだとそうでもないだろうから、ぬぼーっと聞いていることになにか抵抗感があるのだろう。
ということで経験的になんとなくわかってきたのだが、集中して聞けるのはせいぜい二十分といったところ。四十五分ものだと二回にわけたほうがいいのでしおり機能のあるM4B(ブック形式)にエンコードし直したほうがいのだが、それもめんどくさい。寝れない夜が一番聞く上でコンディションがよい。三時間くらい集中して聞いていられる、が健康にいいことではないな。追記:コメントで教えてもったので確認した。MP3でもしおり機能が使える。
テレビソースの音声は、実際に画面を見ていると見ている必要もないと思うのだが、音声だけを聞く段になると意外と聞きづらい。ラジオソースのほうがいい。情報の構成に関係があるようだ。それと、話のうまい人というか講演みたいのは意外とだめなものだ。聞きづらい。情報が少ないことが多くて、つらい。アイポッドで聞くというのは、人にもよるのだろうが、情報量が経時的に増加していかないとつらい。などなど。
アイチューズのストアなどを見ると、日本でもアイポッドコンテンツとしてのオーディオブックに人気がありそうだが、市場的にはまだまだうまくいってない。個人的には松平定知の声色による藤沢周平も色気があっていいのだが、なんかこうもっとよさげな色気のコンテンツがあるといい。中年女性の落ち着いた声の音読がよいが…話がずっこけた。
アイポッドと限らないのだろうが、社会人再勉強ツールのニーズは高いだろう。三十半ばくらいだろうか、もっと勉強しときゃよかったと各種入門書などを読み出すという人は多いと思う。が、読んでいるだけでは、なにかいまひとつ達成感も薄いのではないだろうか。
アイポッドによる教育マテリアルでも類似に思える。なので、ポータブルなアチーブメントテストがバインドされているといい(メモツールも欲しい)。ということは、アイポッドの画面にそういう機能を担わせるといいのだろうが。
今年の話題の言葉にポッドキャスティングがあるが、音声コンテンツをただエンコードしてRSSベースで配信というだけでは面白くもないだろう。アチーブメント的な補助と内容についてのインデクシングのような機構がうまく統合されるとよいのだが…そのあたり米国からまたなにか出てくるだろうか。
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コメント
しおり機能はMP3のままでも大丈夫みたい
http://maxfast.noblog.net/blog/i/10111153.html
投稿: iPod欲しいなあ | 2005.12.11 16:51
iPod欲しいなあさん、こんにちは。試してみました。できます。びっくりです。インフォありがとう。
ファイル一つずつ設定するのでなく、まとめてできたらいいのに…。
投稿: finalvent | 2005.12.11 17:15
うーん。鋭い視点ですね。私もiPodは登場以来、ずっと愛用しています(今「あいぽっど」と打ったら、自動で変換されました)が、たしかに車のカーステに飛ばして音楽を聴くだけではなく、放送大学などの講義を有料でも構わないので配信してくれればいいのにな、とふと思いました。大学でも大げさにサテライト授業をするくらいなら、ウェブで配信してくれればいいのにと思います。私の専門分野のアメリカの大学の有名教授の講義を録画したビデオをかつては売っていましたが、如何せん価格が高すぎました。
投稿: wnm | 2005.12.11 17:50
P2Pコンテンツとしても、放送大学だとか英会話教材だとかは人気があるみたいですね。もちろん法的には真っ黒wですが、そういうのを真っ黒にしてしまうのは放送大学の理念としてどうなんだろ、と。
投稿: 自由の敵 | 2005.12.11 21:21
ラジオ深夜便のエントリがあったときから、世の中もこういう方向に進むのではと思っていましたが、まだみたいですね。
"学習"と銘打ってしまうとちょっと抵抗がありますが、講演会とか座談会とか商売になりませんかね。
むかし貸し切りバスの中で1時間の講演のテープをきいたことがあります。落語家が刑務所の慰問を通じて人生を学んだみたいなテーマでしたが、なかなかきかせるものだと思いました。きみまろさんだけじゃないんだと。
自動車で通勤していると、ラジオのニュース、速報ニュースだけでは飽き足らなくなります。FMなので聴取者のお便りも読んだりしてそれはまあ勘弁してくれと。
ちょっとした内容でもいいんですよね。編集が行き届いていなくても。繰り返し聞くわけじゃない時事解説みたいなものがあったら、買うか?微妙だ。
極東ブログ読み聞かせサービスなら、お金払ってもいいですよ!大枚ははたきませんが!
投稿: mori | 2005.12.11 22:00
極東ブログの読み聞かせは書き回しが癖ありなので、生身の人間が読むとつっかえそう。ロボッツが読んでも意味わかんなそう。購読料はスイスになんとなく。とかってなりそうなので、面倒くさそう。
投稿: uho | 2005.12.12 00:55
これは大分前から知ってるし利用しています。米海軍さん、海上自衛隊さんも語学用とかで使用してるよ。音楽だけではない事も普通です。昔昔、丸いテープの肩から下げる弁当箱の大きさの録音機がシャープで出た時にも、講義用として活躍した、カセット・テープ型も手の平サイズから、小さいカセット・テープ時代も謡曲の録音として我が家の老人は未だ使っています。録音機能として使うのが正当な機械にたいする使用方法と思っていました。ソニーの100円ライター型も安いし、同じように使えますよ。今秋発売は性能アップしています。軽いし首からストラップつけて毎日愛用しています。
投稿: ようちゃん | 2005.12.12 04:08
NHKは定時のラジオニュースをWindowsMediaでWeb配信してます。私は難聴なので、家族がTVのNewsを観てるとき、音声は聞かずに映像だけ見てるため、イマイチ事の詳細がわからないことが多く、後でパソコン使いながらこのWeb配信されたラジオニュース聞いて補完してます。
今、夜勤監視の業務に就いてるので、暇つぶしにこれを聞きたいのだけど、会社のサイトからはストリーミングサーバーが弾かれてしまいました。映像ニュースの方はちゃんと見えるのに。
同僚はPSPに朝の連続TV小説なんかを入れて同じく夜勤の暇つぶしに観てるようです。
投稿: ■□ Neon / himorogi □■ | 2005.12.12 12:20
米国に居た時にオーディオブック聞きました。初体験はJack Welchの自伝もの。ご本人の訛りがひどくて途中で挫折しました。長距離ドライブ中にAMラジオの人生相談がデフォでした。語学学習の点からは、どんなコンテンツでもOKでしょう。
学習ツールとしてのiPodで言うと、興味のある分野でしかも双方向にならないと続かないと思います。米大学(院)の授業がwebsiteにあふれてますが、なかなか真剣に取り組めませんでした。
これからは、もっとお気楽にiTunesでNBCの番組を楽しもうと思ってます。
投稿: aKy | 2005.12.12 12:28
たしか同志社大学で、外部資金の寄附講座に限ってWebで配信した例があったと思います。弊社(埼玉大学経済学部)も公開講座の内容をCATVで流し始めました。ただaKyさんがおっしゃるように、一方通行だと独習のメディアが変わるだけなので、どのへんで双方向性の(人手のかけ方の)折り合いをつけるかが問題ですね。
投稿: 並河 | 2005.12.12 15:56
NHKの教育番組とか放送大学のラジオは全部ポッドキャストで配信してほしいなぁ。
投稿: 774 | 2005.12.13 21:58