遼寧省の鳥インフルエンザ発生からよからぬ洒落を考える
お笑いネタとして軽い洒落を書いてみたい、という前書きをつけておくので誤解無きように。
と言って話のスジをどう展開していいのか二案考えてみるのだが決まらない。
第一案は、十一月六日に報告された遼寧省の鳥インフルエンザ発生だが、確かにその発生に嘘はなくて海外ジャーナリズムにもなんか実にマレにきちんと公開したわけだけど、なんでよりよって遼寧省かなぁ。遼寧省ってすることで中国様になんかメリットがあるんじゃないのか、さてそのメリットはなにか。このどさくさに遼寧省の問題分子を締めあげてやれ、かな。
第二案は、同じく鳥インフルエンザが発端だが、中国様の本音としては、ほ、本当なのか、やべーな遼寧省かよ、こんなんでさらにあそこに問題が広まったらどえりゃーこっちゃ、オレの責任じゃないからな、ってことで、責任所在錯乱でぶちまけて観客よろしく諸外国のジャーナリズムでも入れたれ、かな。
さて、どっちか。考え方のスジとしては、鳥インフルエンザ発生で遼寧省が注目されるのはどうよというのがあるのだが、なんとも腑に落ちない。ちなみに、上澄みは人民網”遼寧省の2村で鳥インフルエンザ発生 H5N1型”(参照)にある。
遼寧省阜新市の阜新蒙古族自治県にある大阪鎮朝陽寺村、同省錦州市にある南站新区大嶺村で6日、養鶏業者が飼育するニワトリ計1100羽が死亡し、直ちに省動物衛生監督管理局に報告された。同省は同日、高病原性鳥インフルエンザの疑いがあることを認め、直ちにサンプルを国家鳥インフルエンザ参考実験室に送付。同実験室で9日、H5N1型の高病原性鳥インフルエンザであることが確認された。
ということで、蒙古族自治の地域というのがいい味出している。
これまで中国の鳥インフルエンザというと、湖南省や安徽省などどっちかというとベトナムに近いよな地域。とはいえ、正確にいうと、CRI”中国、鳥インフルエンザ対策を続行 ”(参照)にこうある。
先月中旬以降、中国の内蒙古自治区、安徽省、湖南省、遼寧省、湖北省などで相次いで「H5N1亜種」の高病原性鳥インフルエンザ感染が起きており、これを受けて、関係部門は家禽を1000万羽近く処分したということです。
というわけで、内蒙古自治区は入っているのだけど、どうも地域的にそういうもんか感は漂う。
話を先の二案どっちで行こうかと考えるのだが、これの補強ネタはなんといっても先週のニューズウィーク日本語版11・16”東北部の怒りと不満は爆発寸前”である。
昨年、北京を訪問したアメリカ政府高官が中国の高官と酒席を共にしたときのこと。話題は、中国国内の社会不安に及んだという。
で、中国の社会不安といえば、東トルキスタンでしょという通念があるが、そうではなく東北部なのだとこっそり言ったというのだ。
「この地方では、国有企業がことごとく売却されていて、しかも労働組合の力が最も強い。中国政府は、一刻も早く手を打たなくてはならない」
東北部の遼寧省、吉林省、黒竜江省の工業地帯は、中国の社会不安の震源地になりつつある。中国東京の統計によると、昨年中国で起きた大規模なデモの12件に1件は遼寧省で起きている。
ほぉってなもので、ネットを探ってみたのだが、ほとんど裏なし、っていうか、ネットに本当の情報はないのか、そもそも情報はないのか、このエントリのようにフカシなのか。悲惨な情況についてはいくつか話はあるが略。
同記事は、遼寧省が北朝鮮に接しているという問題にも触れている。つまり、北朝鮮に事あれば遼寧省に波及してやばいでしょ、と。
いや、遼寧省と北朝鮮の関係はそれだけでもなさげ。読売新聞(2005.11.14)”膨張中国]第4部 きしむ周辺世界(3)北朝鮮の鉱物開発”にはこんな美しい話がある。
北朝鮮から中国へ、いま大量の鉱物が運ばれている。鉄鉱石、無煙炭、亜鉛、鉛、銅……。中朝国境の鴨緑江と豆満江(中国名・図們江)に架かる橋は鉱物積載のトラックが盛んに往来し、渋滞も起きる。
北朝鮮は地下資源の宝庫として知られる。高度成長を続け、慢性的な資源不足に苦しむ中国が、その獲得に血眼になっている。
そのあたりはごく普通に知られているところ。特にレアメタルが多い。ついでにウラン資源ってどうよとも思うがそれはさておき。
9月初め、中国の「本音」が一瞬、垣間見えた。吉林省長春市で開かれた豆満江開発計画の次官級会議。同計画は、中朝国境地帯の共同開発を目指す。南北朝鮮と中露、モンゴルの5か国は年末に満期となる計画の10年延長で合意した。
会議で、中国代表がこう持ちかけた。
「計画の対象を『グレーター豆満江地域』とし、中国の東北3省に北朝鮮全域を含めるのがよい」
北朝鮮代表は猛然と反発した。「黒竜江、吉林、遼寧省に次ぐ東北の4番目の省になりかねない」との危機感からだった。
そうだよな。北朝鮮は中国様にしてみれば、「東北の4番目の省」なのだ。というあたりで、昨年韓国と中国でがたがたやっていた歴史認識問題もスジが通ってくる。
さて、このあたりのネタもどう愉快な話にまとめていいか悩むところ。表向きには中国様としては、東北振興(参照)という流れにしたいし、このあたりで東海の島国のカネも入れるとよさげにも見えるが、考えてみると、中国の東北”四”省ってベタにあの島の歴史も関わっているしな。ところで、ニュースを見ていたら、シンガポールもこれに絡んでいるらしい。
なんかいいスジがあるときれいな洒落になるのだが、うまくいきませんね。ウ的世界の才能がないのか、話はそう単純でもないのか。
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コメント
中国の鳥インフルエンザは実際はもっと死者数が多数です。「大紀元」に掲載されていますよ。230名以上。そして「nikaidu.com」さんにこのインフルエンザ発生地は全て中国の生物生態研究所や最近研究所の近辺と詳細が出ていますよ。一読して目を覚ますべきです。
投稿: ようちゃん | 2005.11.17 23:39
中国東北部、つまり旧満州の重工業基盤は、日本の投資した工業資産をソ連に奪われた残りかすですが、それでも長年中国の工業力の中心だったと聞いています。
でも、近年は沿海地方重視で東北部のインフラの更新は後回しになってる上に、自由化の名の下に保護政策が崩壊して問題化してるとかしてないとか。
投稿: ■□ Neon / himorogi □■ | 2005.11.18 15:11