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2005.10.30

バーナンキ祭の後

 バーナンキ祭、正式には、バー・ナン・キ祭の後である。私のようなおっちょこちょいが出てくるのはよい頃合いである。後の祭りだとちょっとなにかとなんだが。それにおっちょこちょいは私だけではないかもしれない。政治オンチの聖人クルーグマンが政治混濁志向米ミンス党機関誌鴨ニューヨークタイムズに”Bernanke and the Bubble”(参照)というカネを払わないと読んじゃダメよ記事を出したが、それが違法転載されたり和訳されているものも、まだ祭でぇと勘違いした意気込みなのだろう。そんなの読むまでもないプリンストン大学の納豆ワークじゃんとか言うのは野暮すぎる。とはいえハイセンスなAA札を貼るのもなんだかな、と。

cover
リフレと金融政策
 というわけで、無料で読めるワシントンポスト”After Alan Greenspan”(参照)をまたーりとまで言わずともほげっとした気分で読んでみるかね。
 その前にバーナンキの紹介だが、Wikipediaを見ると…あれ、ない。へぇーないんだ(感動)。日本語には説明がないのか、なるほど。もちろん、英語のほうにはあるBen Bernanke(参照)である。ドビルパン的に呼ぶならベンバーナンキでしょう。ベンダサンでもあるし。そう、お名前はBen Shalom Bernankeというわけで特に解説は不要ですよね。どう見てもカルピスです。グリーンスパンもそうだったし…でもそのあたり解説している人いるかなとググって見たら、なし。え? 空気を嫁? そ、じゃ次行ってみよう。
 バーナンキの手短だが正式の経歴は白い家にある(参照)。日本語で比較的詳しいのは毎日新聞記事”次期議長のバーナンキ氏 就任直後に試練も”(参照)だろうか。

 ハーバード大経済学部を首席で卒業し、金融政策の研究で最先端を走るプリンストン大で経済学部長を務めた理論派。学究肌ながら、難解な経済用語を平易な言葉に翻訳できるのが持ち味だ。ブッシュ大統領は指名会見で「スピーチは洞察力が鋭く、明せきで分かりやすい」と称賛した。
 主張は大胆でも、人柄は穏やか。プリンストン大の同僚だったブラインダー元FRB副議長が「一緒に多くの論文を書き、昼食を何度もともにしたが、共和党員とは知らなかった」と振り返るように、政治色は薄い。大リーグファンで、球団を経営していたブッシュ大統領と野球談議に花を咲かせることもある。
 「米経済の繁栄と安定を持続するため全力を注ぎたい」。バーナンキ氏は指名会見で重責をかみ締めるように語った。
 家族は妻と娘2人。51歳。

 ということ。
 日本で一部祭になっているのは、「リフレと金融政策」(参照)の一般評(子母原心)あたりの空気からわかる。

 我が国ではインフレ目標政策というと、「インフレ下でインフレを抑制するために導入されたのであってデフレを阻止するために導入された前例がない」などという反対論がまかり通っているが(よくよく考えればこれはバカバカしい理屈である。だが「バカバカしい」と思わない奇妙な考えの持ち主の何と多いことか!)、本書はそのインフレ目標論研究者の、本家本元の論説である。読むべし。

 リフレ派、インタゲ派にはバーナンキが援軍のように見られているのだろう(棒読み)。彼は、アメリカ大恐慌研究の第一人者ということでもあるし、その応用はそのスジでは昭和恐慌についての新しい定説化しているふうでもある。
 金融政策としての主張は、いうまでもなく、インフレターゲット論(インタゲ)であり、彼のインタゲ理論は数学的にあまりにエレガントで人間を必要としないほどにまで洗練されてる。中央銀行の金利決定に役立つコンピューターを作ればいいのである。いやぁ、そうだったんだよね。ボーイングの飛行機の事故は人間が操縦するからであって、エアバスのように操縦はコンピューターにまかせるほうが安全なのである。そうよそうよ。
 悪い冗談言うな? そんなことはない。ワシントンポスト”Inflation: Man vs. Machine”(参照)でも伝えている。

Before Mr. Bernanke came to Washington -- and long before President Bush nominated him to run the Federal Reserve -- he proposed creating a machine to crank out the central bank's interest-rate decisions.

Ben S. Bernanke, then chairman of Princeton University's Economics Department, worked with a colleague in 2001 to design a mathematical model that could absorb economic information and recommend how to adjust short-term interest rates to keep both inflation and unemployment low.


 もっとも、今となっては、マジーこと言った俺?的な弁解もついているので、そのあたりに期待しようっていうことなんだが、ま、期待といってもね、心理学的なものではなくてというのが、冒頭触れた”After Alan Greenspan”なんかにも出ている。

In his academic writings, Mr. Bernanke has argued that central banks should set explicit inflation targets. But such targets may get in the way of other legitimate concerns; for example, heading off remote but potentially costly dangers, such as a drastic loss of confidence in the wake of a disaster.

 ご立派なインタゲ理論とかでも、現実にはまじーこともあるっしょ("get in the way of")、と。要するに危機への対応というのは理論通りにいかないでしょ、と。ボーイング的というか、ま。
 ようするに修羅場でのチカラが求められている。学歴なんかより"crisis manager"でなければならない。その点で、グリーンスパンがボルカーを継いだときに比べて、"novice"であるというのだ。

In such a research-based, quasi-academic institution as the Fed, Mr. Bernanke's intellectual horsepower confers the status needed to lead the institution successfully. But compared with Mr. Greenspan at the time of his appointment, or indeed with Mr. Greenspan's predecessor, Paul A. Volcker, Mr. Bernanke is a novice in policy circles and untested as a crisis manager. Aside from his three years at the Fed, he has served four months as chairman of Mr. Bush's Council of Economic Advisers; he has never had to manage the response to the default of a country, the collapse of the dollar or the implosion of a big hedge fund, all crises that may lie in his future. Given the shaky quality of the Bush economic team, that is a disturbing gap. Other Fed governors have more crisis experience, and Mr. Bernanke may need to rely on them.

 とはいえ、そのあたりの話はクサシ、というに近いというのが妥当な評価でもあるだろう。グリーンスパンが登場したときの市場の動向に比べれば、ワシントンポストも開口一番"YESTERDAY'S BIG economic story was the lack of a story: "というほど穏やかなものだった。
 祭はさておき。
 具体的に次はどう?というのをワシントンポストのスジから見ていくと結語のあたりの次の曖昧な記述(私には曖昧ということ)が気になる。

Equally, Mr. Bernanke has argued that central banks should not try to affect stock market and other asset prices, but there may be circumstances in which the Fed should try to do that.

 たぶん、「極東ブログ: 米国の住宅バブルが終わるらしい」(参照)でもふれた住宅バブルの問題なのだろう。目下の指標としては、「極東ブログ: グリーンスパンの難問(Greenspan's conundrum)」(参照)でもふれた長期金利の動向だろうか。

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コメント

日銀はケチャップでも買えと言った人が、こういった要職についたことは、目出度い事です。さっさと日銀が百害あって一理無しのデフレターゲットを捨ててくれるのを祈るのみ。

投稿: XYZ | 2005.10.30 12:36

いまやこのような問題について熟知している金融関係者が何人もブログを書いて解かりやすく説明してくれる時代に、ワシントンポストの記事からこのような話題をわざわざ持ってこなくても良いのでは?

投稿: F.Nakajima | 2005.10.30 23:24

政府インフレ率?
http://blogs.yahoo.co.jp/fumadayo/8836336.html

投稿: 宣伝 | 2006.12.16 22:51

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