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2005.10.21

ベネズエラ近況

 ベネズエラについて昨今気になる話題のメモ。というわけで、突っ込むとなにかと複雑なベネズエラなので、さくさくと話を進める。話題の中心は、ベネズエラがいわゆる「核の平和利用」とやらに乗り出し、原子力発電所建設を進めようとしていることだ。私が最初に目にしたのは、今月の初め。読売新聞十月七日付けの記事”チャベス・ベネズエラ大統領、また米挑発 核の平和利用に関心、イラン訪問意向”を見るとこうある。


 2日に放映された国営テレビの番組で明らかにしたもので、「ブラジルやアルゼンチンが進める核の研究は正当だ。我々も平和利用を目的とした核エネルギー研究に着手しつつある」と述べた。核開発への関心がどこまであるのか真意は不明だが、ブッシュ米大統領をさらに刺激するのは間違いない。

 この時点では、チャベス大統領にありがちなフカシかなという感じだったが、その後の流れを見ているとそうとも言えないようだ。十七日付AFP”ベネズエラが核技術取得模索=数カ国に接触―米紙”(参照)ではワシントンポストの孫引きでこう伝えた。

【ワシントン17日】米紙ワシントン・タイムズは、ベネズエラ政府が核技術を取得するため、数カ国と接触したと報じた。米政府当局者は、ベネズエラのチャベス大統領(写真)が核兵器開発計画に乗り出す可能性もあるとして、懸念を強めている。

 フカシとか洒落のレベルではないようだ。同記事では、チャベス大統領を次のように的確に表現してもいる。

チャベス大統領は反米スローガンを公然と唱えるポピュリストで、軍備の増強を図っている。米当局者は「チャベスは何でもほしがる。そのための資金も持っている。新しい戦闘機も、人工衛星もほしがっている」と述べた。

 資金というのはオイルマネーだ。石油価格高騰のおかげである。面白いことにと言っていいのか、ご近所ということもあってベネズエラの総石油輸出量の約六十五%は米国向け。米国側にするとベネズエラからの石油が総石油輸入量の約十五%にもなる。数値上は、日本、朝鮮、中国のように仲良くやってくれだが、難問解決!ご近所の底力とはいかない。九月末には、米国が「ベネズエラ侵攻」を計画しているというデマのような変なニュースもあった。ちなみに九月三十日付け”米大使が反論、ベネズエラ大統領主張の侵攻計画で”(参照)とか。

ベネズエラ・カラカス――反米姿勢を強める南米ベネズエラのチャベス大統領が9月中旬、米テレビとの会見で、米国が「ベネズエラ侵攻」を計画していることを示す「文書の証拠」を入手している、と主張した問題で、同国駐在のウィリアム・ブラウンフィールド米大使は29日、そのような計画は存在しない、と反論した。記者団に語った。

 妄想じみているとか思うのはチャベス大統領と南米の情熱を知らない日本人ということで、彼は独裁の金ちゃんとも仲良くしている。九月三十日付け読売新聞”ベネズエラ、北朝鮮と関係強化合意 米との対決姿勢エスカレート”によればこうだ。

 世界第5の石油輸出国・ベネズエラのイサラ外務次官は28日、同国を訪問中の北朝鮮の楊亨燮(ヤンヒョンソプ)・最高人民会議常任副委員長と会談し、大使館の相互開設など関係強化を目指すことで合意した。また、エネルギー支援などについても協議した。
 ベネズエラのチャベス大統領は、ブッシュ米政権への対決姿勢を先鋭化させており、実際に原油支援などに踏み切り、北朝鮮と接近する事態となれば、ブッシュ大統領の神経をさらに逆なですることは間違いない。
 ベネズエラからの報道によると、楊副委員長は会談後、「大使館の開設は両国関係をさらに強固とするだろう」と述べた。エネルギー協力にも関心を示した。また、ベネズエラは来年1月に平壌に大使館を開設する方針という。

 北朝鮮とベネズエラ、それとイランもなのだが、この三人組仲良く「熊x栗x淳也のないしょ話」(参照)のように目立ったところでないしょ話を始めつつある。話題は、出会い系の話といった仲良きことは美しきかなというのではなく、もっとハードに核問題に直結していきそうだ。
 九日付けロイター”Venezuela wants Argentine nuclear reactor - paper”(参照)というふうに具体的なフカシのようなものも見え始めた。

Venezuela has asked to buy a nuclear reactor from Argentina in a request being handled like a "hot potato" in Buenos Aires because of leftist President Hugo Chavez's clashes with Washington, a newspaper reported on Sunday.

 こうしたチャベス大統領の情熱の行方をどう捕らえるべきか。ここは彼らの平和志向という言葉を信じて温かく見守っていこうというのが平和を愛する日本人であるみたいなボケを朝Pが言い出す…わきゃないよなと思うでしょ。言ってら。四日付け”【経済】石油と医者の交換も 山田 厚史(編集委員)”(参照)。

 「ベネズエラとキューバが石油と医者を交換しているのを知ってる?」
 中南米から飛んできた友人が原油問題を語りながらそう言った。
 ベネズエラは中南米最大の産油国。最大の輸出相手は米国だが、反米姿勢を強めているチャベス大統領はキューバのカストロ首相との連携を深めている。原油や石油製品を低価格でキューバに提供し、見返りに医師を派遣してもらっている、という。
 「米国メディアはチャベスを悪く書くけど、国民にはすごく人気がある」
 ベルギー人の彼は米国からの風圧に立ち向かう中南米の指導者に同情的だ。
 石油は紛争のタネや金儲(もう)けの道具になりがちだが、ベネズエラでは貧者のためにも使われているという。

 この段落の先も面白い怪電波を出しているが、世界情勢を読み解く上ではただのゴミなので、次行ってみよう、だが。さて、こうした事態をどう考えるか。
 というまでもなく、チャベス大統領下の原発なんて冗談で終わりにしたいもの。十七日付けフィナンシャルタイムズ”Countering Chavismo in a cool manner”(参照)が的確だ。

For a country with the largest oil reserves in the western hemisphere, it surely makes little sense to invest money in capital intensive nuclear power. Understandably therefore, the interest of Venezuela's President Hugo Chavez in acquiring nuclear technology - expressed most recently at last week's Ibero-American summit in Spain - will alarm his neighbours.

 "it surely makes little sense "は、「ってのはつまらん洒落だ」と訳したいところ。だが、近隣諸国が警戒するのも当然だ、と。
 で、この問題、国際社会はどう対応すべきか。

In the meantime, this is a time for patient diplomacy and low-key persuasion rather than empty threats. Wild verbal attacks favoured by the US president's more rightwing supporters such as Pat Robertson, the evangelical preacher, simply play into the Venezuelan leader's hands, confirming his anti-gringo credentials among supporters and boosting his image in a region where the US administration is unpopular. Mr Chavez thrives on confrontation. The US should not help him.

 つまり、 patient diplomacy(忍耐強い外交)が重要だということ。同じことは日本の類似の状況についても言えることであるが……ちょっとそう簡単に総括できない問題もある。

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コメント

世界第3位の産油国であるベネズエラが、主に重質油をOPECの規制の外で米国の言うがままに石油を供給していたことが、90年代の石油価格低迷の大きな原因のひとつである、ということが世界経済の定説であることも、朝日の記者は馬鹿だから知らない。そしてその無知の上でアメリカ陰謀論を振り回せば、石油利権をほしいままにして、小国を石油高騰で苦しめるアメリカと、貧しい国に対する慈悲ぶかき反米の指導者チャベスというチャベス自身が喧伝する図式を無条件に信じてしまう。チャベス自身が間違いない供給統制派なんだからチャベスのやってることはマッチポンプ以外の何者でもないというのに!!
私はチャベスとブッシュはどっちもどっちだと思ってるので、(アメリカも少しは省エネしろよ!)あまりチャベスばかりを批判する気にはならないですが、朝日新聞の記者のベネズエラの貧困層並みの無知さには正直戦慄を覚えました。チャベスシンパの知識人は欧米にもそれなりにいるそうですが、チャベスのプロパガンダをそのまま信じる馬鹿は、欧米のマスメディアでは皆無ですよ。

投稿: eternalwind | 2005.10.21 16:35

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