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2005.10.29

国連スキャンダルは終わったのか

 これで話が終わりというわけでもないが、ヴォルカー調査の終わりで一つの区切りはついたということで、「石油・食糧交換プログラム」を巡る国連不正についてもう一度触れておきたい。私にしてみれば、日本のメディアはこの問題を必死に隠蔽しようとしたかのように思えたものだ。
 話は二十八日付毎日新聞”イラク不正:「国連の腐敗とずさんな監査体制」浮き彫り”(参照)が詳しい。


1年半にわたる調査で浮き彫りになったのは、想像を超える「国連の腐敗とずさんな監査体制」だった。同プログラムを悪用する形で、国連経済制裁下、「旧フセイン政権が“延命”」した事実も露呈した。
 今回の報告書で、新たに英国のギャロウェー下院議員が「1800万バレル分以上の石油割り当てを受け、数百万ドルの水増し利益を得た」と指摘された。またフランスのメリミー元国連大使(91~95年)が「200万バレルの石油割り当てを受け、販売手数料として約16万5000ドル(約1900万円)を得た」とされたほか、ロシアの極右政治家ジリノフスキー氏が「7300万バレルの石油割り当てを受け、うち6200万バレル分の処分で水増し利益を得た」との指摘もあった。


いずれも「経済制裁反対や制裁早期解除に動いた」とされる人物ばかりで、今回の報告書は、アジズ・イラク元副首相が中心となり、「石油割り当て」という“武器”を利用し、66カ国2200以上の企業から18億ドル(約2070億円)の不当利益を得たからくりも白日の下にさらした。

 そのあたりがとりあえずの不正の実態であるが、一番重要なことはこの記事には書かれていない。
 二十八日付共同”ロシア企業の受注が最大 イラク石油疑惑、大物暗躍”(参照)にヒントがある。

 事業をめぐる不正事件を調べていた国連独立調査委員会(ボルカー委員長)の最終報告書が指摘した。ロシアは国連の対イラク経済制裁解除に前向きだったが、イラク側がこうした国に優先的に販売枠を割り当てていた実態が裏付けられた。

 今となってはこう言ってもそれほどトンデモ視もされないだろうが、イラク戦争反対の少なからぬ勢力がこの構図のなかにあった。そしてなにより国連が汚れていた。
 しかし、概ね終わった話のようにも見える。共同の表現を借りればこういうことか(参照)。

 独立調査委は昨年4月の安全保障理事会決議を受けて発足、「国連史上最大のスキャンダル」にメスを入れた活動はこれで終了した。

 国連史上最大のスキャンダルは終わったのか。
 私はまったくそう思わない。もっとひどい国連スキャンダルがあるではないか。と、そのとおりの標題の記事”The Worse U.N. Scandal”(参照)が二十四日付けのワシントンポストの社説にあった。

Nothing discredits the United Nations more than the continuing sexual abuse of women and girls by soldiers belonging to its international peacekeeping missions. And yet almost a year after shocking disclosures about such crimes in Congo, far too little has been done to end the culture of impunity, exploitation and sexual chauvinism that permits them to go on.

 国連のコンゴ監視団はコンゴの少女や女性に性的虐待を加えていた。すでにメディアでのニュースはネットにはないが、ブログでは「Blog for Japan」”国連コンゴ監視団が卵や牛乳と引き換えに性的虐待・買春”(参照)に当時の話が残っている。
 その後どうなったか。忘れた? ワシントンポストの記事は後日譚をこう語る。

But six months later there has been disappointingly little change in the attitudes that feed such abuse. That was the finding of a new report by Refugees International, an advocacy group that recently visited peacekeepers in Haiti and Liberia. A similar view comes from Prince Zeid, who rightly faults member states for not taking the issue seriously.

 つまり、特に変化なしという状態のままなのだ。そんなことがあっていいのだろうか。
 国際政治という視点で見れば、日本にとっても国連安保理改革ということが課題ではあるのだろう。しかし、私は、こういう問題が放置されているなら安保理改革なんてどうでもいいやとすら思う。

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コメント

国連は特別な存在と捉えられないけど、
国連が異常な存在でもないな。
これから国連をサンドバックにしていくには
別のメタ枠組みが欲しい。

投稿: 無粋な人 | 2005.10.31 11:10

幕末、隣国である中国の民が欧米列強から奴隷同然に扱われていることを知った長州藩は、下関沿岸に据えた大砲で、関門海峡に停泊していたアメリカ商船ペンブローグ号を攻撃した。その後も次々と関門海峡を通る外国船を砲撃していった。1881年(明治14年)、アメリカによって独立を脅かされていたハワイ王国のカラカウワ王は、日本を訪れ、姪のカイウラニ姫の婿として山階宮定麿王をお迎えし、日本の力でハワイの独立を守ってもらいたいと明治天皇に嘆願したが、明治天皇はアメリカとの摩擦に対抗する力はなく丁重にお断りした。1894年アメリカ人は武力でハワイ王国の支配権を奪取し、アメリカ人宣教師の息子ドールを大統領とするハワイ共和国を作った。ベバレッヂ上院議員は我々は東洋におけるわれわれの機会を放棄しない。我々は神によって世界の文明を託されたわが民族の使命を遂行するにあたってわれわれの役目を放棄しない。「神によって世界の文明を託されたわが民族の使命」 アメリカは、自らが非白人劣等民族の領土を植民地化することによって、文明をもたらすことを神から与えられた「明白なる天意」と称した。
 日本人が自らの戦争責任ばかりを責め立て、アメリカの残虐行為を怨まないのはなぜか。
 現在のアメリカとイスラエルは確実に狂いつつあるのですが、その原因はキリスト教とユダヤ教にある。キリスト教は復讐の宗教であり、戦争を絶えず続けていないといられない強迫観念に駆られてしまう。だからヨーロッパは世界を征服するために侵略を始めたのですが、結局、この欧米の植民地支配を終わらせたのは「神国」である日本である。自分のことだけしか考えない中国人には決して出来ることではない。

投稿: 神国日本 | 2007.02.13 07:22

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