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2005.10.05

ラップ口座、だとか、Yay!

 昨日だったか朝のラジオを聞いていたら評論家の内橋克人が富裕層目当ての銀行ビジネスの話をしていた。現代日本だとどのあたりが富裕層かと思って聞いていたのだが、金融資産で一億円、十億円とかいう話になってきたので、いきなりふーんモードになってしまった。が、そこは社会派内橋克人なので、きっと貧困層がいるのになんだコラ、というオチを想定していると、そうなった。評論家というのも伝統芸能みたいなものである。
 カネかぁ、とぼんやり思うことはいろいろあるのだが、うまくまとまらない。そういえばこのところラップ口座の話題とか多かったなとニュースを見直してみると、さらにいろいろ思うが、まとまらない。なので書いてみる。
 郵政民営化反対ではトバシまくった日刊ゲンダイがこのあたりは庶民感覚的でちょこっと書いているのをみかけた。”野村証券 最低1億円の金融商品投入へ”(参照)である。


 驚きの金融商品が発売される。野村証券が9月にもスタートさせる大金持ち向けの商品で、最低預入金額が何と1億円!
 これまでも証券各社は富裕層向けの「ラップ口座」と呼ばれる金融商品を扱っていたが、最低1億円とは驚愕だ。

 だよね、驚愕だ、か。でそのラップ口座とやらだが、読売のサイトに用語説明がある(参照)。

 証券会社が、個人投資家の意向に基づいて、株式や投資信託などで資産運用と管理を行い、預かり資産残高に応じてサービスの報酬を受け取る契約の口座。主に富裕層向けで、投資一任勘定ともいう。2004年4月から規制が緩和され、証券会社本体で提供しやすくなる。

 内橋克人はもっとわかりやすく、金持ちの「お守り役」と表現していた。実際そんなところだろう。で、お守り役のビジネスだが、収入は成功報酬か歩合みたいなものになるそうだ。なんとなく変な連想が沸くがやめとこ。いずれにせよ、金持ちの「お守り役」は証券や先物には昔からいたし、郵貯も実質はそうなっていた。特に郵貯はと口が滑りそうだがやめとこ。
 ゲンダイのオチはこう。

 思い切った野村の戦略だが、1億円以上をポンと預けられる投資家が果たしてどのぐらいいるか。
 結構いるんだろうなあ……。

 います。
 どころか、ターゲット層は一億円じゃなくて三億円なんだってばさ。
 もうネットからは消えてしまったが朝日新聞”富裕層を狙い資産一括運用 野村証券、3億円以上を対象”(2005.09.24)にはこうある。

 派遣労働者やフリーターなどの増加で低所得層が拡大する一方、情報技術(IT)起業家などが出て日本では富裕層も増加。メリルリンチ日本証券の調べでは04年末時点で100万ドル(約1億1000万円)以上の純資産を持つ個人は134万人いるとされる。

 これは不動産とか入ってなくて金融資産だけなので、大金持ちと言っていいかもだが、それが人口比でみると一パーセントもいる。え、そんなにいるか? いやいるかもしれない。アルファーブロガー(参照)とやらだって平均するとそのくらいにはなりそうだ…すまそ悪い冗談ですてば。
 ついでに野村以外でもこうした富裕層狙いはトレンド。朝日新聞”メリルと三菱東京、富裕層ターゲットの証券会社設立”(参照)は標題どおりの内容だ。

 米証券大手のメリルリンチと三菱東京フィナンシャル・グループは28日、合弁で金融資産を1億円以上持つ個人富裕層に的を絞った証券会社を設立すると正式発表した。来年5月にも営業を始め、資産の運用や管理の個別相談に応じるプライベートバンキング業務(PB)を全国展開する。

 雲の上の話はそんなところ。先の内橋克人は、預貯金が二百万円以下の庶民が人口の十五パーセントだというのに嘆かわしいみたいなオチにしていた。確かに、ワーキングプアとかニートとかみんなぁ仲良くやってこうぜいの庶民には関係なさげな話ではある…かな?
 ちなみに、五十代の資産平均は千五百万程度内五百万負債。六十代だと資産二千万内負債二百万。それより上は千二百万。というわけで、団塊の世代が退職金もあってどかんと資産を増やしそうな感じはする。
 億単位だとどうもふーん感が漂いまくりだが、ラップ口座は、大和証券は最低五千万、さらに日興コーディアルだと最低一千万円。一千万円だとそう遠い世界でもない。ま、私なんぞには遠い世界だが、先日ばらけた外貨をユーロにまとめにシティバンクに行ったら、店内はけっこうがらんとしていて、個人対応のシティゴールドの部屋もがらんとしているふうだった。あれいくらだったっけとパンフを見直したら一千万。そんなものかねと思った。
 話がばらけてきたが、マクロ経済学なんぞの入門書とか見ると、消費行動は一生涯の賃金の予測に比例するみたいな話があって、なーんだマクロ経済学って笑わせるじゃんかとか思ったが、そんなことをネットに書くとこっぴどい目にあうのだろうからワロタとか言えるまでもないし、きっとマクロ経済学は正しいのでしょうし、正しくするにはそういう所得の見通しが立つ政策でもあるといいし、それはあるだろうし云々…だが、実際のところは、所得見通しというより、カネ余りの五十代の世代勝ち組のマネーゲームが始まるのだろう。
 するってえと昔の長谷川慶太郎みたいのが「日経平均五万円!」とか言い出すんじゃないか…とネットをみたら、うわっマジだか洒落だかこいているのもいるげ(参照)。さて、そうなりますかね。

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コメント

5万円でも3万円でもなく、2万円と言っている人の意見をトラックバックさせてもらいました。

投稿: donald | 2005.10.05 20:16

意外と、増田俊男って世に知られてませんか。
株やっている人の間ではそれなりに有名な超超強気論者で毎年々々同じネタの本を暮れに出す人です。

去年までは、日本は破産するのキャピタルフライトは起きるのと、有象無象の(似非も含む)エコノミストの予想本が暮れに山積みされてましたが、今年は打って変わって超強気論の本が(しかも著者は相も変らぬ同じ連中が口をぬぐって)山積みされるんでしょうなあ。

投稿: F.Nakajima | 2005.10.05 21:30

ダイヤモンドか東洋経済かエコノミスト(毎日新聞)だか忘れましたが、あの弱気の武者氏が株価は年内に2万とか言ってましたから。

投稿: ■□ Neon / himorogi □■ | 2005.10.05 22:59

あ、年内ではなくて2007年でしたか。

投稿: ■□ Neon / himorogi □■ | 2005.10.05 23:00

 はじめまして。
 今年の稼ぎのうちいくらを貯蓄するか、というフローの世界でも経済学は確かに辻褄優先で、モデルが閉じるまで仮定を増やしましょう、みたいなところがあります。ただ株価や地価は、過去に積みあがったストックの資金が国境を超えてうろうろするほうがずっと大きいので、もうほとんど所得関係なしの資産選択の世界だと思います。いま持ってる人が持ってるものをどこの何で持つのが一番得かという問題。それだって、リスクを無理やり期待値と分散に押し込めないと辻褄の合ったモデルにならないわけですが。
 歩合の部分より売買の固定手数料を当てにしているのかもしれませんが、担当者の年俸との比較で行くと、3億だとまだまだ小口な気もします。定期的に懇切丁寧に応対するのがやっとペイするレベル、といいますか。

投稿: 並河 | 2005.10.07 10:25

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