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2005.10.27

普天間飛行場の移転交渉決着

 米海兵隊普天間飛行場の移転先についての日米交渉がとりあえず決着した。大きな話題である。BBCも”US agrees Okinawa air base move ”(参照)として伝えた。この話題に反対意見以外を言えばとばっちりを受けることになるのだろう。しかし、率直な私の印象を言えば、良かったと思う。
 人事異動を繰り返しその場しのぎの無責任な対応を繰り返してきた日本の官僚たちが、今回はよく尽力したものだ。普天間飛行場という市街地の中心に居座る危険極まりない爆弾のようなものは、なんとしても撤去することを第一義に考えなくてはならない。
 もちろん地元でも本土でも今回の決着への反対はあるし、反対の理由もスジが通らないものではない。端的なところ、沖縄に米海兵隊基地はまったく無用だからだ。
 軍拡を続ける中国に近い地域に米軍の空白は云々という意見もあるが、間違っている。海兵隊の実動には佐世保の揚陸艦を必要とするからだ。沖縄の海兵隊は北九州にに移したほうが効率がよい。グアムに置いてもオーストラリアに置いても、現代ではそれほど大きな差はでない。沖縄に海兵隊がいるのは、低賃金の若者軍人のリゾートの延長に熱帯地の訓練という名目がついているだけのことだ。訓練なら亜熱帯の沖縄を選ぶ必要もない。
 米軍基地の賛成派も反対派も四軍のことをわかってないことがあるが、沖縄で重要なのは嘉手納基地の空軍だけである。嘉手納基地の返還運動などというのはよほど名目的な反対を運動を除けば、存在しない。米国としても多大な被害を出した大東亜戦争の戦勝メモリアルの島を完全に明け渡すわけもないし、アジア地域の国々の本音は米軍が日本という国家の安全弁となることだ。名目の弁は隣接の地域につけておくがほうがいいし、実質の弁は首都東京を取り巻く米軍基地の存在からもわかるだろう。
 すでにこのブログでも触れたが普天間飛行場は当初嘉手納基地に統合されるものであり、今回のケースでもそのあたりが妥当な線だと見られていた。私もそうするしかないだろうと思っていた。問題の本質は米国内の空軍と海兵隊の争いにあると考えていたからだ。
 読みが外れたのは滑走路長が関係している。今回の移転でできる滑走路は一五二〇メートルになる(参照)。当初は、二〇〇〇メートルを超える滑走路を持つ海上基地を作るという、ありえない話がフカされていた。現行の普天間飛行場の滑走路は二七〇〇メートルあり、その規模から私はこの問題を考えていたので、シュワブ陸上案で一五〇〇メートルという案が出たとき驚いた。そこまで米国を譲歩させることができるのだろうか。そしてその延長で今回の妥協案ができた。
 今回の普天間飛行場移転問題で実際のところ一番大きな米軍の意図は、オスプレイの配備だろう。オスプレイについては六日付け沖縄タイムス社説”オスプレイ12年配備/普天間飛行場”(参照)が詳しい。


海兵隊が強化計画/CH46と入れ替え・ハワイより先に
 米海兵隊が、次期主力機となる垂直離着陸機「MV22オスプレイ」を二〇一二年に、普天間飛行場に配備する計画を進めていることが五日までに分かった。同飛行場に配備されている主力のCH46E中型ヘリ二十四機は一三年までに、すべて入れ替える。CH46を航続距離や速度、輸送能力で大幅に上回る同機の導入で在沖海兵隊航空部隊の機能は強化される。一方、安全性への不安もぬぐいきれず、地元の反発は必至。同飛行場の移設論議に影響を与えそうだ。

 「移設論議」と書いているももの二〇一二年まで現行の普天間飛行場が保持される前提で話が進んでいるあたりに、うちなーんちゅの複雑な思いを汲んでもらいたいのだが、端的に言えば、あんな市街地にオスプレイを配備できるわけがなく、米軍の尻にも火がついていた。
 オスプレイについては、沖縄への配備予定のMV-22は海兵隊型だが、同じくV-22の、空軍型CV-22について触れた「航空の現代」”再確認の飛行試験完了”(参照)が参考になるだろう。さらに、ブログ「大石英司の代替空港」”オスプレイ”(参照)の話が現状の本音に近いのではないか。「ネイビーファイル」というドラマについての言及だが。

 凄いですよね。ドラマにまでオスプレイの欠陥ネタが披露される。実際に番組中、オスプレイは、こんな問題を抱えていると、アナリストが暴露するシーンまである。
 実は私は先週、いろんな所でオスプレイの話をしました。最新の航空雑誌では、いかにもうまく行っているみたいなレポートもありますが、正直、私の感触では、「使い物にならんなぁ……」という評価です。
 ただ、一つオスプレイに関して、不幸なことは、最終的に海兵隊が侵攻作戦に用いるということで、もの凄くシビアなスペックを求められたわけです。それこそ、これ以上、過酷な条件下で使われることは無かろうというほどの要求が課せられた。ああいう新しい装備に関して、それはどうだったんだろうなぁ、と思いますね。これがスペースシャトルなら、一点ものということで、強引にものにできるだろうけれど、あれはちょっと無理があった。

 言うまでもなくこんなものがあの美しい海域を去来するとなれば、よほど軍事オタのジュゴンでもないかぎり、カヌチャの夕陽も索漠たるものになるのだろう……という言い方に他人事感があるかもしれない。もちろん悪い冗談だが、大半のうちなーんちゅにとって、あの地域は、やんばるでしょ、というふうに総括されてしまう地域でもある。
 今回の普天間飛行場移転に関連して各種の米軍施設が移転となる。具体的なまとめは朝日新聞”地元沖縄は蚊帳の外、政府説明これから 「普天間」合意”(参照)の図がわかりやすい。要するに、嘉手納基地以南から米軍基地が消えたかのようになる。多くの沖縄県民が暮らす中部、南部の風景からは大幅に米軍が消えることになる。
 同時に、その空白をどう開発していくのかという大きな課題が沖縄県民に突きつけられることになる。長い時間を要した天久や美浜の開発に等しい問題が起きることになる。
 政治的に割り切って見るなら、それがとてつもなく大きな問題だということを関係者は知っているはずだ。

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コメント

普天間の整備は、まさに海兵隊がオスプリを特定アジアや東南アジア方面への飛び石侵攻に使うため、その航空基地整備を急いでいるのだ、というのは昨年か一昨年の軍事研究に出てました。

つまり、今なら海兵隊は佐世保の強襲揚陸艦を必要とするけど、オスプリが配備されればグアムから普天間の移設先を踏んで空路で展開できるようになる、と。

もちろん物資弾薬先頭車両はフネで運ぶ必要がありますが、そのための高速輸送船や事前集積船をアメリカは整備してるし、最近、日本側(自衛隊)では事前集積はできないから高速輸送艦を代わりに整備したい、とかいう話が出てきたりするわけです。

普天間移設に関しては、沖縄の米軍基地縮小というより、海兵隊の焼け太りとなる可能性が非常に高いです。

投稿: ■□ Neon / himorogi □■ | 2005.10.27 22:45

開発と言っても、沖縄はあまりに商売に向かないお土地柄なので、
もう一個空港作るくらいの勢いで観光名所化しないのであれば、
金かけてもとの自然な姿を目指すのが一番経済効率よさそう。

北部はあまり詳しくないけど、中南部は那覇以外とてもじゃないが・・・という感じ。
巨大な村?…みたいな。排他意識強すぎ。

投稿: qwe | 2005.10.28 01:13

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